ポッドキャストの制作を内製するか外へ任せるか、機材とソフトの費用だけで判断していませんか?判断の分かれ目は、外注しても社内に残る作業に加え、内製で増える工程を担当する時間を確保できるかどうかです。
この記事では、外注時に社内へ残る作業と、内製で担当する制作・編集・配信の工程について取り上げます。作業時間に自社の人件費単価を掛けて費用を比べる手順と、内製・外注が向く条件、途中で切り替える選び方もお伝えします。
この記事でわかること
- 外注したときに社内へ残る月6時間の中身
- 内製へ切り替えると社内に乗る作業
- 音源の完成までに必要な編集の4工程
- フィラーを取り除く作業と残す言葉の判断
- 聴き流せる順番へ会話を組み直す作業
- 音量の基準となる2つの数値と毎回そろえる難しさ
- KOEGURAへの登録と媒体ごとの書式・概要欄の作成
- 話を引き出すための台本と質問の設計
- 費用を自社の単価で計算する手順
- 社内の編集経験と時間から見た内製の条件
- 兼務やゲスト対応から見た外注の条件
- 立ち上げ後や運用途中で内製・外注を切り替える選択肢
外注したときに社内へ残る月6時間
私たちはまず、お任せいただいた場合に発注する側で発生する作業を並べます。
| 作業 | 月あたりの目安 | 誰が動くか |
|---|
| 月1回のまとめ録り(打ち合わせを含む) | 3〜4時間(半日程度) | 話し手と、同席する担当者 |
| 月次ミーティング | 1時間 | 担当者 |
| 公開前の確認 | 配信予定日の7日前に届く初稿を2日以内に確認 | 担当者 |
この3つを合わせた作業時間は、週1本の15分番組を運用する場合、月あたり6時間が目安です。年間では6時間×12ヶ月=72時間となり、1人の担当者が月に1日弱を使います。
収録は月1回、最大4時間で、その時間内に複数本をまとめて録ります。1エピソードの収録時間は30分ほどです。
内製へ切り替えると社内に乗る作業
外注のときにアストライドが持っている工程は10あります。前半の5つは、企画立案、台本と質問の設計、収録とディレクション、進行役とサブMCの対応、そして編集です。後半の5つには、ノイズ除去とMA、番組サムネイルとBGM、配信入稿、概要欄とタイトルの作成、そして公開後の運用支援が含まれます。
内製にすると、この10の工程を社内の担当者が受け持ちます。加えて、番組の立ち上げ時には5つの作業が必要です。企画構成案、クリエイティブ制作、音響設計、配信環境構築、そしてトレーラー制作・配信の5つで、こちらは番組を始める最初の1回だけ発生します。
年48本の番組であれば、社内の担当者が10の工程を年48回繰り返すことになります。この繰り返しを誰の時間で持つのかが、内製を選ぶときの最初の問いです。
編集 — 音源に至るまでの4つの工程
音源に至るまでの工程は、不要部分のカット、フィラーの除去、会話の整理、そしてノイズ除去とMAの4つです。
| 工程 | 何をしているか |
|---|
| 不要部分のカット | 収録の前後に入った雑談を外し、不自然なほど長い思考の間を切る。話し手の呼吸とリズムに合った間は基本的に残す |
| フィラーの除去 | 「えー」「あのー」「まあ」といったつなぎ言葉を編集で処理する |
| 会話の整理 | 言い直しや話題の立ち返りを整え、伝わる順番へ組み直す |
| ノイズ除去とMA | 環境音を減らし、各媒体のラウドネス基準へ合わせる |
この4つのうち、社内でやってみたときに時間の読めない工程は、2つ目と3つ目です。以下で、この2つを順に取り上げます。
フィラーの除去 — 「えー」「あのー」「まあ」の編集処理
フィラーとは、「えー」「あのー」「まあ」といったつなぎ言葉のことです。話す人であれば誰の口からも出ますし、その場で聞いているぶんには気になりません。
音声にして耳だけで聴いた場合、この音は残ったままです。15分の番組の中に何十回と入るため、聴く側は話の中身より先にそちらを拾ってしまいます。
私たちは、「えー」「あのー」「まあ」といったフィラーを編集で処理します。間は基本的に残し、話し手の呼吸とリズムに合っているかを見極める方針です。極端に間を切るジェットカットはせず、不自然なほど長い思考の間などを切ります。
どれを取ってどれを残すかという判断が、聴きやすさと自然さの両方を決めています。
会話の整理 — 集中しないと頭に入らない話を、聴き流せる順番へ
3つ目の工程は、会話そのものの整理です。
対談でも1人語りでも、話は録った順のままでは伝わりません。素材に入っているのは、言葉の言い直し、話題の立ち返り、そして途中で散漫になった会話です。この3つが入ったままの音源は、聴く側がじっくり集中しなければ理解できません。
ポッドキャストは、多くの場合、移動中や作業中に聴かれています。聴く側に集中を求める音源は、その場面で最後まで聴かれません。ですから私たちは、聴き流していても筋が通る順番へ話を組み直します。
後半で出た一言を頭に持ってくると、同じ素材でも聞こえ方が変わります。仕上がりを分けるのは、どこを残してどこを削り、どう並べ替えるかという判断です。
私は2014年7月に、島村楽器「録れコン2014」で総合グランプリを受賞しました。前職では、東海ラジオと三重テレビの放送枠に番組を展開し、パーソナリティとして出演した経験もあります。どのコンテンツをいつ配信するかという構成も、私の担当でした。
音量 — 2つの数値を毎回そろえる
ラウドネス -14 LUFS、トゥルーピーク -1 dBTP は、私が定めている仕上げの基準です。
| 指標 | 基準 | 外したときに起きること |
|---|
| ラウドネス | -14 LUFS | 再生時にプラットフォーム側で音量が自動調整される |
| トゥルーピーク | -1 dBTP | 再生機器によって音が割れる |
数値そのものは、測定できるソフトを使えば社内でも確認できます。難しいのは、毎回そろえるほうです。話し手が変わり、収録の場所が変わり、マイクとの距離が変わっても、聴く側の音量が同じところに来るように整えます。
年48本の番組なら、担当する人がこの作業を繰り返す回数は年間48回です。1本だけ基準を外した回があると、その回で聴く側は音量のつまみに手を伸ばします。
配信入稿 — 登録と媒体ごとの書式・概要欄
アストライドでは、回ごとにKOEGURAへ音源を1回登録します。Spotify・Apple Podcasts・Amazon Musicへの配信は、RSSによる自動配信です。内製の場合は、配信サービスへの登録と各媒体での表示の確認を社内で行います。年48本を配信する場合、登録回数は年間48回です。
媒体によって書式の決まりが違います。異なるのは、エピソードの番号の振り方、シーズンの扱い、説明文で使える文字数の3つです。ここをそろえずに送った場合、媒体側の表示が崩れます。
概要欄の文章も回ごとに必要です。この文章は聴き手が番組を選ぶときに読む場所であり、同時に検索の対象にもなります。ですから私たちは、その回で扱った固有名詞をここへ入れてきました。
話を引き出す側 — 台本と質問の設計
内製で見落とされやすいのは、編集より前の工程です。誰に何を聞くかを決め、質問の順番を組むところから、収録の中身が決まります。
私は前職で、2018年から2023年までの5年間、毎週、経営者インタビューを行っていました。訪問した会社は250社以上で、直接話を聞いた経営者は200名を超えます。私が担当したのは、インタビュアーと構成の指示です。
社内の担当者が自社の社長へ質問する場合、この設計がとりわけ難しくなります。相手の答えをあらかじめ知っているぶん、聞かずに済ませてしまう質問が出てくるためです。
費用をどう比べるか
月額の料金は、月1回配信で150,000円、月2回で200,000円、週1回で250,000円です(いずれも税別)。
| 配信頻度 | 年間本数 | 月額(税別) | 1本あたり |
|---|
| 月1回 | 12本 | 150,000円 | 150,000円×12ヶ月÷12本=150,000円 |
| 月2回 | 24本 | 200,000円 | 200,000円×12ヶ月÷24本=100,000円 |
| 週1回 | 48本 | 250,000円 | 250,000円×12ヶ月÷48本=62,500円 |
内製と比べるときは、上に並べた10の工程に社内で何時間かかるかを見積もり、自社の人件費単価を掛けてください。ここでアストライドの側から「編集は1本あたり何時間」という一般的な数字をお出しすることはしていません。担当者の慣れによって数倍の幅が出るためです。
見積もるときは、機材と場所の費用も足してください。外注の場合、録音スタジオのレンタル費や交通費は実費として別途ご請求しますから、内製でも同じ費用がかかります。
内製が向いている場合
社内に音の編集を仕事にしてきた人がいて、その人の時間を月に確保できるのであれば、内製が向いています。フィラーをどこまで取るか、会話をどう並べ替えるかという判断を、その方がすでにお持ちだからです。
配信の頻度が月1回で、1本あたり15分に収まる番組も、内製で回りやすい形です。年12本であれば、担当する人が10の工程を繰り返す回数は、年間12回で済みます。
話し手が社内に固定されていて、外部のゲストを招かない番組も、事前のやりとりが少なくて済みます。
外注が向いている場合
担当者が他の業務と兼務している場合、外注のほうが続きます。編集の作業は、締め切りのある業務に押し出されやすいためです。
外部のゲストを招く番組も、外注が向いています。相手の会社へ日程を打診し、当日の進行を組み、公開前の確認を取る作業が回ごとに発生するためです。
社外へ出す番組で、音の仕上がりを毎回そろえたい場合も同じです。1本だけ音量が違う回があると、その番組の作り手への信頼がそこで下がります。
途中で切り替えるという選び方
最初の半年を外注で立ち上げ、その後で内製へ切り替える進め方もあります。
立ち上げ時に作る5つのもの、つまり企画構成案、番組サムネイル、BGM・サウンドロゴ、RSSフィード、そしてトレーラーは、一度作れば番組が続くかぎり使えます。アストライドの最低契約期間は、第1回の公開日から6ヶ月です。御社はこの期間で立ち上げと運用の形を作り、そのうえで社内に移すという判断をお取りいただけます。
逆に、内製で始めて途中から外注へ移ることも可能です。その場合、私たちはそれまでの音源と設計をお預かりし、まず音量の基準をそろえ直します。
社内向けの番組で、制作会社と配信サービスに何を頼むかは、制作会社に頼むか、配信サービスを使うかで整理しています。
まとめ
外注した場合、発注する側の作業は月6時間ほどで、年間では72時間です。内製へ切り替えると、この6時間の外側にあった10の工程が社内へ乗ります。
10の工程のうち、作業量が読みにくいのはフィラーの除去と会話の整理です。作業する人は、「えー」「あのー」「まあ」をどれだけ取り、言い直しや話題の立ち返りをどう整えるかを、1本ごとに判断しなければなりません。この判断が仕上がりを分けており、そこは慣れによって時間が数倍変わります。
私が定めている音量の仕上げの基準は、ラウドネス -14 LUFS、トゥルーピーク -1 dBTP で、年48本の番組であれば音量を整える作業を年48回続けます。配信入稿では、回ごとにKOEGURAへ1回登録するため、年48本なら登録回数は年間48回です。
お読みいただいたあとは、社内で担当する方の月あたりの空き時間を書き出してみてください。その時間が10の工程に足りるかどうかが、内製と外注の分かれ目にあたります。
月額と年間の総額については、ポッドキャスト制作の費用は月いくらかで詳しく記載しています。
この記事からわかるQ&A
自社で作ると費用はいくら安くなりますか
社内でかかる時間を見積もり、自社の人件費単価を掛けて比べてください。外注の月額は月1回配信で150,000円、月2回で200,000円、週1回で250,000円です(税別)。週1回のプランなら、1本あたりの費用は250,000円×12ヶ月÷48本で、62,500円と計算できます。機材費に加え、録音スタジオのレンタル費や交通費といった実費も、内製の場合に同じくかかる費用です。
外注すると社内ではどれくらいの作業が発生しますか
週1本の15分番組を運用する場合、社内で発生する作業は月6時間ほどが目安です。月1回のまとめ録りには打ち合わせを含めて3〜4時間、月次ミーティングには1時間を見込みます。公開前の確認は、配信予定日の7日前にお送りする初稿を、2日以内に確かめていただく作業です。収録は月1回・最大4時間で複数本をまとめて録り、1エピソードの収録には30分ほどかかります。
編集には何が含まれますか
編集には、4つの工程が含まれます。中身は、不要部分のカット、フィラーの除去、会話の整理、そしてノイズ除去とMAです。フィラーとは「えー」「あのー」「まあ」といったつなぎ言葉のことで、私たちはこれを編集で処理します。会話の整理では、言い直し、話題の立ち返り、散漫になった会話を、聴き流していても筋が通る順番へ組み直すのが私たちの作業です。
音量の基準は自分たちでも守れますか
測定できるソフトを使えば、-14 LUFS と -1 dBTP という数値そのものは社内でも確認が可能です。難しいのは毎回そろえることで、年48本の番組なら、この作業を年48回繰り返します。話し手も収録場所もマイクとの距離も、回ごとに異なるためです。
途中で内製へ切り替えられますか
切り替えられます。立ち上げ時に作る5つ、つまり企画構成案、番組サムネイル、BGM・サウンドロゴ、RSSフィード、トレーラーは、番組が続くかぎり使い続けられる制作物です。アストライドの最低契約期間は第1回の公開日から6ヶ月で、この期間中に運用の形を作ってから社内へ移す進め方もお選びいただけます。
出典