Webサイト制作の失敗パターン5選|原因と対策を解説

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この記事でわかること

  • Webサイト制作で中小企業が陥りやすい5つの失敗パターン
  • 各失敗が起きる根本的な原因と背景
  • 失敗を未然に防ぐための具体的な対策
  • 問題に気づいた場合のリカバリー方法
  • 制作前に確認すべきチェックリスト

「せっかく費用をかけてWebサイトを作ったのに、まったく成果が出ない」「公開したはいいが、更新できないまま放置している」。こうした声は、中小企業のWeb担当者や経営者から少なくありません。

レンタルサーバー比較サイトが実施した調査(221名対象)によると、企業のWeb担当者の55.2%が制作会社の選定に後悔した経験があると回答しています。Webサイト制作の失敗は、費用の損失だけでなく、機会損失やブランドイメージの低下にもつながりかねません。

本記事では、Webサイト制作でありがちな5つの失敗パターンを取り上げ、その原因と対策を具体的に解説します。これからWebサイトを制作する方はもちろん、リニューアルを検討している方にも参考になる内容です。


Webサイト制作で陥りやすい失敗パターンとは?

Webサイト制作における失敗は、大きく5つのパターンに分類できます。これらは独立した問題ではなく、相互に関連していることが多いため、全体像を把握しておくことが重要です。

失敗パターン1:目的が曖昧なまま作ってしまった

「とりあえずリニューアルしたい」「競合がリニューアルしたから」といった理由でWebサイト制作を始めてしまうケースがあります。目的が曖昧なまま進めると、デザインの方向性や掲載するコンテンツの判断基準が定まらず、制作途中で迷走してしまいます。

具体的には、以下のような問題が発生しやすくなります。

  • 制作途中で「やっぱりこうしたい」という要望が頻発し、スケジュールと予算が膨らむ
  • 完成後に「思っていたものと違う」という不満が残る
  • 成果を評価する基準がなく、投資対効果を判断できない

失敗パターン2:安さだけで制作会社を選んでしまった

見積もり金額だけで制作会社を選定すると、後になって想定外の問題が発生することがあります。格安の制作費用には、必ず理由があるためです。

格安制作でよく見られる特徴として、打ち合わせ回数の制限、テンプレートデザインの使用、公開後のサポートの欠如などが挙げられます。また、初期費用は格安でも、月額費用が高額に設定されているケースもあります。数年間の契約期間で計算すると、一般的な制作会社に依頼するよりも総額が高くなる場合も少なくありません。

失敗パターン3:公開後の運用を考えていなかった

Webサイトは「作って終わり」ではありません。公開後の更新や改善を継続することで、はじめて成果につながります。しかし、制作段階で運用体制を考えていないと、公開後に更新が滞り、数年前の情報がそのまま掲載され続ける事態に陥ります。

デジタルマーケティング企業のアンダーワークスによると、運用マニュアルは軽視されがちで、最終更新日が10年前というケースも珍しくないとのことです。モノサスの統計データでは、BtoB企業のコーポレートサイトのリニューアル期間は平均6.4年とされています。つまり、6年以上にわたって継続的に運用・更新する体制が必要ということになります。

失敗パターン4:更新できない・しづらいサイトになった

CMS(コンテンツ管理システム)を導入したにもかかわらず、管理画面が複雑で更新作業が負担になるケースがあります。「操作が難しくて触るのが怖い」「ちょっとした修正でも制作会社に依頼しなければならない」という状況では、更新頻度が下がり、サイトの鮮度が失われていきます。

Webサイト制作を専門とするキノトロープによると、CMS導入で運用更新の手間が削減されることを期待していたのに、結果として工数が増えてしまったというケースも報告されています。また、制作会社独自のCMSを使用している場合、他社への移行が困難になるリスクもあります。

失敗パターン5:成果を測定できる設計になっていなかった

Webサイトを公開しても、アクセス解析ツールが設置されていなかったり、コンバージョン(問い合わせや資料請求などの成果)を計測する設定がされていなかったりすると、改善のための判断材料がありません。

また、SEO(検索エンジン最適化)の基本的な対策がされていないサイトでは、検索結果で上位に表示されず、見込み客に見つけてもらえません。First Page Sageの調査によると、検索結果1位のクリック率は39.8%であるのに対し、10位では1.6%まで下がります。検索順位は、Webサイトへの流入に大きく影響する要素です。


なぜこれらの失敗が起きてしまうのか?

失敗パターンには、共通する根本的な原因があります。原因を理解することで、より効果的な対策を講じることができます。

社内の準備不足

Webサイト制作は、制作会社に「丸投げ」できるものではありません。自社の強みや顧客像、達成したい目標などを明確にし、制作会社と共有する必要があります。この準備が不足していると、目的の曖昧さや、完成後のミスマッチにつながります。

また、社内で決裁者や関係部署を巻き込んでいないと、制作途中で「そんな話は聞いていない」という事態が発生し、やり直しが必要になることもあります。

制作会社選定の判断基準の偏り

見積もり金額やデザインの見た目だけで制作会社を選んでしまうと、自社のビジネスに本当に必要な要素を見落としてしまいます。制作会社にはそれぞれ得意分野があり、デザインが得意な会社、マーケティングが得意な会社、システム開発が得意な会社など、特性が異なります。

自社の目的に合った強みを持つ制作会社を選ぶためには、複数の観点から評価する必要があります。

公開後の視点の欠如

制作段階では「どんなサイトを作るか」に意識が向きがちですが、公開後に「誰が・どのように・どれくらいの頻度で」更新するのかを考えておかないと、運用段階で問題が発生します。

Webサイトは24時間365日稼働する営業ツールです。情報が古いままでは、訪問者に「この会社は活動しているのだろうか」という不信感を与えかねません。

Web知識の不足

SEOやアクセス解析、CMSの基本的な知識がないと、制作会社からの提案内容を適切に評価できません。専門用語がわからないまま進めてしまうと、後になって「そういう意味だったのか」と気づくことになります。

すべてを理解する必要はありませんが、最低限の知識を身につけておくことで、制作会社とのコミュニケーションがスムーズになり、失敗のリスクを減らせます。


失敗を未然に防ぐためにはどうすればよいか?

失敗パターンと原因を踏まえ、具体的な対策を解説します。

目的とKPIを明確にする

Webサイト制作を始める前に、「何のためにWebサイトを作るのか」「成功をどのように測定するのか」を明確にします。

目的の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 新規顧客からの問い合わせを増やしたい
  • 採用応募者を増やしたい
  • 既存顧客へのサポート情報を提供したい
  • 企業の認知度を高めたい

目的が決まったら、それを数値化したKPI(重要業績評価指標)を設定します。「問い合わせ数を月10件に増やす」「採用ページからの応募を月5件にする」など、具体的な数値目標を立てることで、成果を評価できるようになります。

RFP(提案依頼書)を作成する

RFPとは、制作会社に提案を依頼する際に、自社の要件や期待する内容をまとめた文書です。RFPを作成することで、複数の制作会社から同じ条件で提案を受け、比較検討しやすくなります。

RFPに含める主な項目は以下のとおりです。

  • 会社概要と事業内容
  • Webサイト制作の目的と背景
  • ターゲットとなる顧客像
  • 必要なページ構成や機能
  • 予算と希望納期
  • 選定基準とスケジュール

制作会社は複数の観点で評価する

制作会社を選ぶ際は、費用だけでなく、以下の観点も含めて総合的に評価します。

  • 実績と得意分野: 自社と同じ業種や規模のサイト制作実績があるか
  • 提案内容: 自社の課題を理解し、具体的な解決策を提示しているか
  • 担当者の対応: 質問への回答が的確で、コミュニケーションが取りやすいか
  • サポート体制: 公開後の保守・運用サポートはどのような内容か
  • 契約内容: 著作権の帰属、解約条件、追加費用の発生条件は明確か

運用体制を事前に決めておく

公開後の運用について、制作段階で以下の点を決めておきます。

  • 更新作業の担当者は誰か
  • 更新頻度はどれくらいか(週1回、月1回など)
  • どのような内容を更新するか(新着情報、ブログ、実績など)
  • 制作会社への依頼が必要な作業と、自社で行う作業の範囲
  • 運用にかかる月額費用の予算

CMSの操作性を事前に確認する

CMSを導入する場合は、契約前にデモ画面を見せてもらい、実際の操作感を確認します。ITに詳しくない担当者でも直感的に操作できるかどうかが重要なポイントです。

また、以下の点も確認しておくとよいでしょう。

  • 操作マニュアルや研修は提供されるか
  • 自社でできる更新の範囲はどこまでか
  • サーバーやドメインは自社名義で契約できるか

測定環境を整備する

Webサイト公開時に、以下の設定が完了しているか確認します。

  • Google アナリティクス(GA4)の設置
  • Google サーチコンソールへの登録
  • コンバージョン(問い合わせ完了など)の計測設定
  • 主要なSEO対策(タイトルタグ、メタディスクリプションの設定など)

これらの設定がされていないと、アクセス状況や成果を把握できず、改善の手がかりを得られません。


失敗に気づいた場合はどう対処すればよいか?

すでにWebサイトを公開していて問題を感じている場合も、対処方法はあります。

現状を正確に把握する

まずは、現在のWebサイトがどのような状態にあるのかを確認します。アクセス解析ツールが設置されていれば、訪問者数、直帰率、コンバージョン数などのデータを確認します。設置されていなければ、すぐに導入することを検討してください。

また、ユーザー視点でサイトを見直し、情報が古くなっていないか、問い合わせフォームは正常に動作するかなども確認します。

部分改修か全面リニューアルかを判断する

問題の程度によって、対応方法は異なります。

  • 部分改修で対応可能な場合: コンテンツの追加・修正、デザインの一部変更、機能の追加など
  • 全面リニューアルが必要な場合: サイト構造の根本的な問題、CMSの変更、ブランドイメージの刷新など

部分改修で済む場合は、優先度の高い箇所から段階的に改善していく方法が費用面でも現実的です。

制作会社の変更を検討する

現在の制作会社との関係に問題がある場合は、他社への移行も選択肢となります。その際は、以下の点を事前に確認します。

  • 現在の契約における解約条件と違約金の有無
  • Webサイトのデータ(画像、テキスト、ソースコードなど)の所有権
  • ドメインとサーバーの名義と移行手続き

契約内容によっては、データの引き渡しに制限がある場合もあるため、新しい制作会社に相談しながら進めることをおすすめします。


制作前に確認すべきチェックリスト

Webサイト制作を失敗しないために、以下のチェックリストを活用してください。

目的・計画に関するチェック

  • [  ] Webサイト制作の目的を明文化した
  • [  ] 達成したいKPI(数値目標)を設定した
  • [  ] ターゲットとなる顧客像を具体的に定義した
  • [  ] 予算と希望納期を決めた
  • [  ] 社内の決裁者・関係部署と合意を取った

制作会社選定に関するチェック

  • [  ] RFP(提案依頼書)を作成した
  • [  ] 3社以上の制作会社から提案を受けた
  • [  ] 費用だけでなく、実績・提案内容・サポート体制も評価した
  • [  ] 担当者との相性やコミュニケーションのしやすさを確認した
  • [  ] 契約書の内容(著作権、解約条件、追加費用)を確認した

運用・公開後に関するチェック

  • [ ] 更新担当者と更新頻度を決めた
  • [ ] CMSの操作性を事前に確認した
  • [ ] 運用にかかる月額費用を把握した
  • [ ] サーバー・ドメインの名義を確認した
  • [ ] 保守・サポートの範囲と費用を確認した

測定・改善に関するチェック

  • [  ] アクセス解析ツール(GA4など)の設置を依頼した
  • [  ] コンバージョンの計測設定を依頼した
  • [  ] 主要なSEO対策が施されているか確認した
  • [  ] 公開後の効果測定の方法を決めた

まとめ

Webサイト制作の失敗は、事前の準備と正しい判断基準があれば、多くの場合、回避できます。本記事で紹介した5つの失敗パターンを意識し、目的の明確化、制作会社の適切な選定、運用体制の整備、測定環境の構築を進めてください。

特に重要なのは、Webサイトを「作ること」ではなく「成果を出すこと」を目的として捉えることです。公開はゴールではなくスタートであり、継続的な運用と改善によって、はじめてビジネスに貢献するWebサイトになります。

制作前のチェックリストを活用し、自社に合ったWebサイト制作を実現してください。

この記事からわかるQ&A

制作会社への見積もり依頼は何社くらいにすべきですか?

3社以上から見積もりを取ることをおすすめします。費用だけでなく、提案内容や担当者の対応、サポート体制なども比較することで、自社に合った制作会社を選びやすくなります。

RFP(提案依頼書)は必ず作成する必要がありますか?

必須ではありませんが、作成することで自社の要件を整理でき、複数の制作会社から同じ条件で提案を受けられます。比較検討がしやすくなり、認識のズレによるトラブルを防ぐ効果もあります。

公開後の更新は自社で行うべきですか、制作会社に依頼すべきですか?

テキストや画像の差し替えなど日常的な更新は自社で行い、技術的な保守やセキュリティ対策は制作会社に任せる、という役割分担が一般的です。制作段階でどこまで自社で更新できる設計にするか、確認しておくことが重要です。

すでに公開しているサイトに問題がある場合、全面リニューアルが必要ですか?

問題の程度によります。コンテンツの追加・修正や一部機能の改善で対応できる場合は、部分改修で済ませる方が費用面で現実的です。サイト構造やCMSの根本的な問題がある場合は、全面リニューアルを検討する必要があります

アクセス解析ツールはいつ設置すべきですか?

Webサイト公開と同時に設置することをおすすめします。公開後から計測を開始しないと、改善のための比較データを蓄積できません。制作会社への依頼時に、アクセス解析ツールの設置とコンバージョン計測の設定を含めてください。

引用・参考資料

  • レンタルサーバー比較サイト「制作会社選定に関する調査」(221名対象)
  • モノサス「BtoB企業のコーポレートサイトリニューアル期間に関する統計データ」(平均6.4年)
  • First Page Sage「Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2025」(検索順位1位のクリック率39.8%、10位は1.6%)
  • アンダーワークス「CMS導入後のWebサイトで陥りがちな運用課題の3つの原因」
  • キノトロープ「よくあるCMS導入失敗例」
  • ITトレンド「CMS導入が失敗する原因とは?失敗例4選から学ぶ対策とポイントを紹介」
  • 株式会社シフト「サイトリニューアルのよくある失敗とその理由とは?」
  • 株式会社デパート「Webサイト・ホームページの保守運用とは?公開後の対応内容や費用相場をご紹介」

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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