#06 うまくいっている時こそ疑え——坂本啓一氏の品質哲学

今日のテーマは「最後のアナログレタッチャー・坂本啓一氏から学んだ『指揮命令系統』と『ひっかけてみろ』という2つの品質哲学」です
品質を守るのはセンスや感性ではなく「仕組み」と「姿勢」である——最後のアナログレタッチャーと呼ばれた印刷の巨匠・坂本啓一氏から的場が学んだ2つの教えを紹介します。「生産現場に指揮命令系統がないなら作れ」という組織論と、「ひっかけてみる」という多面的チェックの哲学。お客様から苦情がないときこそ、自ら問題を探しに行く姿勢が信頼の源泉になるという、すべてのものづくりに通じる品質管理の本質をお届けします。
このエピソードで話していること
- 「存在意義と理念の紡ぎ方——師匠からの教え」シリーズ第2回
- 今回の師匠は最後のアナログレタッチャー・プリンティングディレクターの坂本啓一氏
- 坂本氏の経歴——大日本印刷で見習いからスタート、70代まで現場に立ち続けた巨匠
- 『レタッチ技術手帳』は印刷・デザイン業界の教科書として何刷も重ねている
- 教え①:生産現場に指揮命令系統がないなら作ってそれを厳守させよ
- 印刷工程の各職種——DTPオペレーター、レタッチ、面付け製版、印刷オペレーター、後工程
- 組織命令系統が崩れている現場では情報が届かず品質劣化が起こる
- 教え②:ひっかけてみる——自分すら疑って多面的にチェックせよ
- うまくいってるように見える時こそ本質的な問題がないかチェックする
- ハインリッヒの法則(1:29:300)との関連——苦情がないから安心ではない
- お客様から言われる前に自ら気づいて修正する姿勢が信頼の源泉
- タイポグラフィーは出版印刷の産業全体を指す言葉——「印刷を知らずにタイポグラファーにはあらず」
こんな方におすすめ
- デザインや印刷物の品質管理をどう仕組み化すればいいか悩んでいる
- 「お客様から何も言われないから大丈夫」と安心してしまいがち
- 制作現場で情報がうまく伝わらず、意図しないミスが発生している
- 品質は「センス」や「経験」の問題だと思い込んでいる
- 自社のものづくりにおける「信頼の源泉」を明確にしたい
この記事からわかるQ&A
坂本啓一氏とはどのような人物ですか?
最後のアナログレタッチャーと呼ばれたプリンティングディレクターです。大日本印刷で見習いからキャリアをスタートし、70代まで現場に立ち続けました。その技術を『レタッチ技術手帳』にまとめ、印刷・デザイン業界で教科書として読み継がれています。
印刷・デザインの現場で指揮命令系統が崩れやすいのはなぜですか?
パソコンが道具になったことで、DTPオペレーター、レタッチ、面付け製版など従来は分かれていた職種の境界が曖昧になっているからです。坂本氏は、製造業では当然の指揮命令系統が、印刷・デザインの現場では意外と崩れていることが多いと指摘しています。情報が正しく届かないと品質劣化が起こるため、三角形のピラミッド型の組織を作り厳守させることが重要だと教えています。
「ひっかけてみろ」とはどういう意味ですか?
ミス、不具合、言葉の解釈の違いを見つけるために、他人だけでなく自分すら疑って多面的にチェックせよという品質哲学です。一見うまくいっているように見える時こそ、目を凝らして本質的な問題がないかチェックすることが重要だと坂本氏は教えています。
ハインリッヒの法則と品質管理はどう関係しますか?
1つの重大事故の背景には29の軽微な事故と300のヒヤリハットが隠れているという法則です。日本のビジネスでは事故が起きなくて当たり前という前提で仕事をしているため、お客様から苦情がないから安心ではなく、わずかな濁りやズレにこちらから気づいて修正する姿勢が信頼の源泉になります。
タイポグラフィーと印刷はどのような関係がありますか?
的場氏はタイポグラフィーを出版印刷のマスプロダクション、つまり産業全体として捉えています。グーテンベルクの活版印刷術の開発以来、タイポグラフィーは出版印刷の産業全体を指す言葉であり、「印刷を知らずにタイポグラファーにはあらず」と語っています。
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番組情報
デザイン審美眼──社長の第六感をカタチにするデザインの話
タイポグラフィを探求し続けるデザイナー・的場仁利が、デザインの世界で積み上げられてきた「判断の原理」を経営者の言葉に翻訳し、社長の「第六感」を確かな判断軸に変えていくビジネス番組。AIがあらゆる選択肢を出力する時代に、「これは自社に合っているか」を見定める力——それが「デザイン審美眼」。毎週木曜配信。
メインMC

的場仁利
Mat N. Studio代表
https://japan-designers.jp/profile/1453/
タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。
サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。
番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。
制作
アストライド-Astride-(https://www.ast-ride.com)
サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈
カバーデザイン
的場仁利(Mat N.Studio)
※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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