YouTubeが向いている企業・向いていない企業の特徴と判断基準

この記事でわかること
- YouTubeが向いている企業に共通する5つの特徴
- YouTubeが向いていない企業の3つのパターン
- 業種別のYouTube適性傾向(製造業・BtoB・飲食・小売など)
- 「うちには向いていない」という思い込みを覆す視点
- 自社がYouTubeに向いているか判断できる10項目のチェックリスト
「YouTubeを始めたほうがいいと言われたけれど、うちの会社に合っているのだろうか」——そう悩む経営者や担当者は少なくありません。
YouTubeの国内月間アクティブユーザーは7,300万人を超え、全世代の利用率は80.8%に達しています(総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)。一方で、東京商工リサーチの調査によると、企業のSNS運用率は45.1%にとどまり、運用している企業のうち29.3%が「効果が得られていない」と回答しています。
つまり、YouTubeは万能ではありません。向いている企業とそうでない企業があり、その見極めが成否を分けます。この記事では、YouTubeの適性を判断するための具体的な基準を示し、無駄な投資を防ぐための情報を提供します。
YouTubeが向いている企業にはどのような特徴があるのか?
YouTubeで成果を上げている企業には、共通する特徴があります。以下の5つに当てはまるほど、YouTubeとの相性が高いと考えられます。
1. 説明が必要な商品・サービスを持っている
テキストや写真だけでは伝わりにくい商品やサービスを扱っている企業は、YouTubeと相性が良い傾向にあります。
たとえば、工作機械の動作、ソフトウェアの操作画面、施術の流れ、調理工程など、「動いている状態」を見せることで理解が深まる商材は、動画の強みを最大限に活かせます。BtoB製造業の事例では、製品の動作や加工工程を動画で紹介することで、展示会に来場できなかった潜在顧客へのアプローチに成功しています。
2. 技術力・専門性をアピールしたい
独自の技術やノウハウを持っている企業にとって、YouTubeは「見える化」の強力なツールになります。
マーケティング支援会社Faber Companyの調査(2021年)によると、「最も効果が高いSNS」としてYouTubeを挙げた割合は、情報・通信業で33.3%、製造業・メーカーで25.9%と、専門性の高い業種で高い評価を得ています。技術的な解説や専門知識の発信は、検索エンジン経由で「情報を求めている人」を集客できるため、質の高いリードにつながりやすい特性があります。
3. 採用に課題を抱えている
人材獲得に苦戦している企業にとって、YouTubeは採用活動の有効な補助ツールになります。
キャリアマートの調査によると、就職活動中の学生の約7割が採用動画を視聴した経験があり、視聴後の6割が「志望度が上がった」と回答しています。若年層の求職者は待遇や条件だけでなく、職場の雰囲気や一緒に働く社員の人柄を重視する傾向があり、これらは動画で伝えやすい要素です。
実際に、建設業や製造業など「ハード」「古い」というイメージを持たれがちな業種が、YouTubeを通じて職場環境や社員の姿を発信することで、採用応募者の増加やミスマッチの減少につなげた事例が報告されています。
4. 長期的な資産形成を考えている
YouTubeの動画は、一度公開すれば検索やおすすめ経由で継続的に視聴される「ストック型コンテンツ」として機能します。
広告のように出稿をやめれば効果がゼロになる「フロー型」とは異なり、蓄積した動画は資産として長期間価値を発揮します。この特性を理解し、短期的な成果よりも中長期での効果を見据えている企業は、YouTube運用に向いています。
5. 継続的な発信リソースを確保できる
YouTubeで成果を上げるには、継続的な動画投稿が必要です。月に1〜2本でも、半年から1年は続ける体制があることが前提となります。
企業のSNS運用における課題として多く挙げられるのが「リソース不足」と「ノウハウ不足」です。社内に動画制作の担当者を置けない場合は、外部委託も選択肢になります。Faber Companyの調査では、マーケティング施策の61.9%が全部または一部を外部委託しており、特にEC業態では84.8%が外部の力を借りています。
YouTubeが向いていない企業にはどのような特徴があるのか?
一方で、以下の特徴に当てはまる場合は、YouTube以外の施策を検討したほうが良いかもしれません。
1. 即効性を求めている
「今月の売上をすぐに上げたい」「来週の問い合わせを増やしたい」という即効性を求める場合、YouTubeは適していません。
YouTubeチャンネルが効果を発揮するまでには、最低でも6ヶ月から1年程度の継続が必要です。動画が検索エンジンに評価され、視聴者に認知されるまでには時間がかかります。短期的な成果が必要な場合は、リスティング広告やSNS広告など即効性のある施策を優先すべきです。
2. 発信リソースが確保できない
動画の企画・撮影・編集・投稿には、相応の時間と労力がかかります。社内に担当者を置く余裕がなく、外部委託の予算も確保できない場合は、無理にYouTubeを始めるべきではありません。
中途半端な更新頻度や質の低い動画は、かえって企業イメージを損なうリスクがあります。リソースが限られているなら、まずは自社Webサイトの充実や、運用負荷の低いSNS(LINEなど)から始める選択肢もあります。
3. 映像化しにくいビジネスを営んでいる
すべてのビジネスが動画と相性が良いわけではありません。
たとえば、守秘義務の関係で業務内容を公開できないコンサルティング、許認可の関係で広告表現に制限がある業種、そもそも「見せるもの」が少ない抽象的なサービスなどは、動画コンテンツの企画自体が難しい場合があります。ただし、これは「絶対に向いていない」という意味ではなく、工夫次第で可能性が開けることもあります(詳細は後述)。
業種によってYouTubeの適性は異なるのか?
業種によって、YouTubeとの相性には傾向があります。以下は、調査データや事例から見える適性の概要です。
製造業・メーカー:◎(高い適性)
製造業は、YouTubeとの相性が特に良い業種の一つです。理由は3つあります。
第一に、製品の動作や加工工程は文章では伝わりにくく、動画との親和性が高いこと。第二に、BtoB製造業でYouTubeに力を入れている企業はまだ少なく、早期参入で検索上位を狙いやすいこと。第三に、検索して動画を見に来る顧客は製品に対して高い関心を持っているため、質の高いリードを獲得しやすいことです。
実際に、工作機械メーカーや部品メーカーが、製品紹介動画や技術解説動画で成果を上げている事例が多数報告されています。
BtoB企業全般:○(適性あり)
BtoB企業にとって、YouTubeは信頼構築と検索流入の両面で効果を発揮します。
Faber Companyの調査では、BtoB企業の担当者が「最も効果が高いSNS」としてYouTubeを挙げた割合は20.7%で、全SNSの中で最も高い数値でした。製品デモンストレーションや専門家の解説を通じて、視聴者に信頼性の高い情報を提供できる点が評価されています。
また、YouTubeはGoogleと連携しているため、検索エンジンからの流入が期待できます。BtoB企業は再生回数を追う必要はなく、たとえ1動画あたり数百再生でも、問い合わせにつながる可能性があります。
飲食・サービス業:○(適性あり・条件付き)
飲食・サービス業は、店舗への集客や採用活動を目的とする場合にYouTubeが有効です。
ただし、Faber Companyの調査では、飲食・小売業で「最も効果が高いSNS」として挙げられたのはLINE(27.3%)で、YouTubeではありませんでした。即時性やプッシュ型の集客を重視するなら、LINEやInstagramのほうが適している場合があります。
一方で、調理工程の紹介やスタッフの雰囲気を伝える採用動画、店舗の世界観を伝えるブランディング動画など、長期的な資産として活用する目的であれば、YouTubeも有力な選択肢になります。
小売・EC:○(適性あり)
小売・EC業界では、商品紹介動画からECサイトへの導線を構築することで、直接的な売上貢献を狙えます。
YouTubeのショッピング機能を活用し、動画からスムーズにECサイトへ遷移させる設計を行っている企業も増えています。商品のレビュー動画や使い方解説は、テキストや写真だけでは伝わらない「使用感」を伝えられるため、返品率の低下やコンバージョン率の向上につながった事例も報告されています。
「向いていない」と思い込んでいるが実は可能性がある例とは?
「うちの会社にはYouTubeは無理だ」という思い込みが、実は誤解に基づいているケースがあります。
「うちは地味な業種だから」という思い込み
「派手なエンタメ動画を作れないから無理」と考える企業は少なくありません。しかし、企業チャンネルに求められるのは面白さではなく、視聴者にとっての有益性です。
実際に、不用品回収業やゴミ屋敷の片付けサービスを営む企業が、作業のビフォーアフターを動画で紹介することで新規顧客の獲得に成功した事例があります。地味に見える業種でも、顧客が知りたい情報を動画で提供すれば、効果は十分に見込めます。
「顔出しできないから」という思い込み
「社員の顔を出したくない」「経営者が出演を嫌がっている」という理由でYouTubeを諦める企業もあります。しかし、顔出しは必須ではありません。
製品の動作映像、作業風景の撮影、アニメーションやスライドを使った解説など、顔を出さずに動画を作る方法は多数あります。製造業では、加工工程をアニメーションで解説するチャンネルが成功した事例もあります。
「BtoBだから見る人がいない」という思い込み
「一般消費者向けではないから、動画を見てくれる人がいない」という懸念もよく聞かれます。しかし、BtoBこそYouTubeの効果が高いというデータがあります。
BtoB企業のYouTubeは、大量の再生回数を狙うものではありません。検索経由で「その製品・サービスを探している人」に見つけてもらうことが目的です。検索してまで動画を見に来る視聴者は、購買意欲の高い見込み顧客である可能性が高く、少ない再生回数でも問い合わせにつながります。
自社がYouTubeに向いているか判断するためのチェックリスト
以下の10項目で、自社のYouTube適性を確認してください。7項目以上「はい」であれば、YouTube活用を前向きに検討する価値があります。
| No. | チェック項目 | はい/いいえ |
|---|---|---|
| 1 | 自社の商品・サービスは、文章や写真だけでは伝わりにくい要素がある | □ |
| 2 | 技術力や専門性をもっと知ってもらいたいと考えている | □ |
| 3 | 採用活動で、自社の雰囲気や働く人の姿を伝えたいと思っている | □ |
| 4 | 短期的な成果よりも、中長期で資産を積み上げることに価値を感じる | □ |
| 5 | 月に1〜2本の動画を、半年以上継続して投稿する体制が組める(外注含む) | □ |
| 6 | 動画で紹介できる「見せるもの」(製品、作業、人、場所など)がある | □ |
| 7 | 顧客から「もっと詳しく知りたい」という問い合わせや要望を受けることがある | □ |
| 8 | 競合他社がYouTubeを活用していない、または活用が遅れている | □ |
| 9 | 動画制作に月額5〜20万円程度の予算を確保できる | □ |
| 10 | 会社として、情報発信やブランディングに取り組む意思がある | □ |
判断の目安
- 7項目以上「はい」:YouTube活用を積極的に検討すべき。具体的な目的設計に進む価値がある。
- 4〜6項目「はい」:条件付きで可能性あり。不足している項目(リソース、予算など)を補う方法を検討する。
- 3項目以下「はい」:現時点ではYouTube以外の施策を優先したほうが効率的。Webサイトの充実やLINE活用など、別のアプローチを検討する。
まとめ
YouTubeは強力なマーケティングツールですが、すべての企業に向いているわけではありません。
向いている企業の特徴は、説明が必要な商品・サービスを持っている、技術力・専門性をアピールしたい、採用に課題がある、長期的な資産形成を考えている、継続的な発信リソースがある、の5点です。
一方、即効性を求めている、リソースが確保できない、映像化しにくいビジネスを営んでいる場合は、YouTube以外の選択肢を検討したほうが良いかもしれません。
「地味だから」「顔出しできないから」「BtoBだから」という理由で諦める必要はありません。これらは工夫次第で克服できる課題です。
本記事のチェックリストを活用し、自社のYouTube適性を客観的に判断してください。無理に始めて中途半端に終わるよりも、自社に合った施策を選択することが、限られたリソースを有効活用する第一歩です。
この記事からわかるQ&A
YouTubeに向いている業種は具体的にどのような業種ですか?
製造業・メーカー、情報・通信業、BtoB企業全般が特に向いています。製品の動作や技術的な解説は動画との相性が良く、検索経由で質の高いリードを獲得しやすい傾向があります。飲食・サービス業や小売・ECも、目的(採用、ブランディング、商品紹介など)によっては効果を発揮します。
YouTube運用にはどのくらいの予算が必要ですか?
外部委託する場合、月額5〜20万円程度が目安となります。社内で制作する場合は人件費とツール・素材費が中心となり、低コストでの運用も可能です。ただし、継続的な投稿が必要なため、単発の予算ではなく月々の運用費として確保することが重要です。
顔出しをしなくてもYouTubeは運用できますか?
顔出しは必須ではありません。製品の動作映像、作業風景、アニメーションやスライドを使った解説など、顔を出さない形式で成功している企業チャンネルは多数あります。伝えたい情報に合わせて、最適な表現方法を選ぶことが重要です。
YouTubeを始めてから効果が出るまでどのくらいかかりますか?
最低でも6ヶ月から1年程度の継続が必要です。動画が検索エンジンに評価され、視聴者に認知されるまでには時間がかかります。短期的な成果を求める場合は、リスティング広告やSNS広告など即効性のある施策を併用することを検討してください。
BtoB企業でも再生回数は気にしなくてよいのですか?
BtoB企業の場合、再生回数を追う必要はありません。検索経由で「その製品・サービスを探している人」に見つけてもらうことが主な目的であり、1動画あたり数百再生でも問い合わせにつながる可能性があります。視聴者の質(購買意欲の高さ)のほうが重要です。
引用・参考資料
- 総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
- Google公式「YouTube月間アクティブユーザー数」(2024年10月発表)
- 東京商工リサーチ「企業のSNS利用状況調査」(2023年)
- Faber Company「BtoB企業のSNSマーケティング調査」(2021年)
- PRIZMA「マーケティング担当者のYouTube活用状況調査」(2025年)
- キャリアマート「採用活動のオンライン化に関するアンケート」
- テクノポート「BtoB製造業のYouTube活用事例」
- ムビラボ「小売/EC業界企業YouTubeチャンネル成功事例」
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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