年代別のYouTube利用率だけで、自社の動画を届ける相手を決めていませんか?対象者や調査条件をそろえ、利用状況と企業動画への関心・成果を分けて読む視点が必要です。
この記事では、利用率の読み方、年代・性別の利用状況、利用時間、社内資料のまとめ方、集計・解釈の注意点、利用目的について取り上げます。学習・情報収集の需要を考えるうえで、公開調査から分かる範囲と、自社で追加確認が必要な項目の分け方もお伝えします。
この記事でわかること
- 対象者・設問・調査時点をそろえた利用率の読み方
- 年代・性別の利用率から届けたい相手の利用状況を読む考え方
- 対象サービスと平均の集計対象を踏まえた利用時間の読み方
- 対象者・数字・解釈・確認事項を整理した社内判断資料の作り方
- 集計範囲の混同と利用率から成果への飛躍を防ぐ考え方
- 利用目的から学習・情報収集の需要を読み、企業動画の成果と分ける考え方
YouTubeの利用率は、対象者・設問・調査時点をそろえて読む
YouTubeのユーザー層を読む際は、誰に、何を、いつ聞いた結果かを確認してください。本記事で使う数字は、総務省の令和7年度調査にある第5章5-1の利用率が中心です。
最新の公表年月と、実際に調べた時期を分ける
同調査の公表年月は2026年6月です。総務省情報通信政策研究所は、13〜79歳の男女1,800人を対象に調査を実施しました。調査対象期間は2025年12月1〜7日です。
この記事の数字は、2025年12月の調査を基にしています。社内資料には、調査時期と公表年月を分けて記載してください。資料が公表された2026年6月や、記事を読む時点の利用状況と区別するための情報です。
利用率は「利用している」と答えた割合
同調査における利用率は、アンケートで「自分が利用している」と回答した割合です。総務省は、調査日に実際にその行動をした人の割合を「行為者率」と呼び、利用率と区別しています。
本記事で使う第5章5-1のYouTube利用率は、全年代で81.5%でした。ここでの「全年代」は、13〜79歳の調査対象者です。国内の全人口や18歳以上の月間利用者と比較する担当者は、対象範囲の違いを確認してください。
同じ「YouTube利用者」という言葉でも、人数、利用率、特定期間の視聴経験では、測っている内容が異なります。社内資料では「利用率81.5%」に加えて、対象年齢、調査時期、出典の章を併記してください。関係者が数字の意味を確認するための情報です。
年代・性別の利用率から、届けたい相手の利用状況を確認する
年代・性別のデータは、届けたい相手の属性と照合するための資料です。担当者は、まず対象の年代を確認し、必要に応じて性別も参照してください。職業、役職、求職状況、興味のある分野は、別の調査や自社の情報で確認する項目に分けます。
年代別では10代から50代まで8割を超える
同調査の第5章5-1に掲載されたYouTube利用率は、次のとおりです。10代の数値を使う際は、担当者が調査対象の年齢も併記してください。この調査の10代は13〜19歳です。
| 対象 | YouTube利用率 | 調査対象者数 |
|---|
| 全年代〔13〜79歳〕 | 81.5% | 1,800人 |
| 10代〔13〜19歳〕 | 95.0% | 140人 |
| 20代 | 96.3% | 218人 |
| 30代 | 94.0% | 235人 |
| 40代 | 91.6% | 298人 |
| 50代 | 84.9% | 338人 |
| 60代 | 72.6% | 274人 |
| 70代 | 48.5% | 297人 |
この表から読み取れるのは、若い年代に加え、40代・50代でもYouTubeを利用する人の割合が高い点です。60代・70代を対象にする担当者は、それぞれの数値を確認してください。同じ「中高年」に含める場合も、両年代の利用率には差があります。
性別の利用率と、視聴したい内容を分けて考える
同じ設問区分の男女別利用率は、男性84.4%、女性78.6%でした。男女それぞれの調査対象者数は900人で、各性別の対象者のうち、利用していると答えた割合です。
男性向け動画を優先するかを判断する際は、担当者が内容への関心も確認してください。利用率の差と、特定の動画への関心は別の情報です。男女別の合計値を個別の年代に当てはめたい担当者は、年代と性別を組み合わせた集計も確かめてください。
採用では求職者、営業では導入の検討に関わる担当者など、対象者の条件が加わります。年代・性別は、対象者とデータを照合する際の出発点です。相手が知りたい内容は、利用目的の調査や、自社に寄せられた質問・相談を基に担当者が整理してください。
利用時間は、YouTube単独の数字と動画サービス全体の数字を分ける
利用時間を読む際は、対象サービスと、平均を計算する際に含めた人の範囲を先に確認してください。公的調査の「動画投稿・共有サービスを見る」時間は、複数のサービスを含む集計です。担当者は、YouTube単独の視聴時間や、企業動画の視聴に使われる時間と区別して扱います。
動画投稿・共有サービスの平均利用時間
同調査では、「動画投稿・共有サービスを見る」の平均利用時間は、全年代で平日54.5分、休日73.1分でした。次の表は、概要資料の第2章2-1に掲載された数値です。
| 対象 | 平日の平均利用時間 | 休日の平均利用時間 |
|---|
| 全年代 | 54.5分 | 73.1分 |
| 10代 | 127.2分 | 166.1分 |
| 20代 | 107.1分 | 151.0分 |
| 30代 | 68.0分 | 81.4分 |
| 40代 | 55.2分 | 78.1分 |
| 50代 | 30.7分 | 49.0分 |
| 60代 | 30.4分 | 35.7分 |
| 70代 | 19.3分 | 22.4分 |
担当者が表を引用する際は、動画投稿・共有サービス全体の数値であることを注記してください。YouTube単独の時間とは集計の対象が異なります。
男女別では、同じ行動の平均利用時間は男性が平日62.9分・休日87.4分、女性が平日46.0分・休日58.8分でした。こちらも、動画投稿・共有サービスを見る行動についての集計です。
全対象者平均と、利用した人だけの平均を区別する
総務省の「平均利用時間」は、調査対象者全員を分母にした値です。同調査では、その日に該当する行動をした人だけを分母にした値を「行為者平均時間」と呼んでいます。集計の基になる記録は、平日が調査した2日間、休日が1日です。
平日54.5分という数字を使う担当者は、「全調査対象者で平均した、動画投稿・共有サービスを見る時間」と説明を添えてください。「利用者が毎日見る時間」とは、平均を計算する対象者や期間が異なります。
平均時間から動画の長さを直接決めない
視聴に使う合計時間と、1本の動画を見続ける時間は別の情報です。担当者は、1本の動画の長さを決める際に、最後まで視聴する割合などを別に確認してください。表の数値から分かるのは、動画投稿・共有サービスを見る時間であり、長い製品解説や経営者インタビューを最後まで視聴する割合とは異なります。
利用時間のデータは、対象年代の動画視聴習慣を考えるための背景資料です。担当者は企画段階で説明する内容を整理し、公開後に実際の視聴状況を確認してください。端末別の普及トレンドや適切な動画の長さは、この記事の対象範囲から切り分けます。
社内の判断資料は、対象者・数字・解釈・確認事項の順にまとめる
社内でデータを使う際は、担当者が届けたい相手を先に書き、対応する数字と読み取れる範囲を並べてください。最後に記載するのは、自社で追加確認する条件です。関係者は、全国の利用状況から分かる範囲と、自社で調べる範囲を区別して検討を進めます。
工程1:目的に合わせて対象者の条件を整理する
採用、広報、営業では、同じ年代でも相手が求める情報は異なります。担当者は、対象年代・性別に加えて、仕事内容を知りたい人なのか、技術を理解したい人なのか、導入を検討する人なのかを記載してください。企画の判断に使うのは、対象者の年代と、知ってほしい内容の両方です。
「職場の雰囲気」「社員の人柄」「製品紹介」「技術解説」などの内容も、担当者が対象者の関心と組み合わせて整理してください。年代だけで内容を決めた場合は、関係者が動画で説明する内容を判断しにくくなります。
工程2:数字と調査条件を一緒に抜き出す
利用率を使う担当者は、対象年代の数値、調査対象者数、調査時期、資料の章を抜き出してください。利用時間の欄に加えるのは、YouTube単独か、動画投稿・共有サービス全体かを区別する情報です。
主要な利用率の出典は総務省の第5章5-1、利用時間の出典は第2章2-1です。社内資料を作る担当者は、同じ調査でも両者が調べている内容は異なる点を、数値と併せて記載します。
工程3:分かることと、追加確認することを分ける
担当者は、数字から分かることと追加で確認することを並べて記載してください。例えば、利用率から分かるのは「対象年代でのYouTube利用状況」です。自社の仕事や製品への関心は、担当者が別の項目として確認します。
| 確認するデータ | 読み取る範囲 | 追加で確認する内容 |
|---|
| 年代別利用率 | 対象年代でのYouTube利用状況 | 求職状況、職業、役職、分野への関心 |
| 男女別利用率 | 各性別の対象者における利用状況 | 対象年代との組み合わせ、知りたい内容 |
| 動画サービスの利用時間 | 動画視聴に使う時間の背景 | YouTube単独の時間、企業動画の視聴状況 |
| ビジネス系動画の利用目的 | 学習・情報収集に関する回答 | 自社の動画で説明する内容との対応 |
工程4:社内説明の表現を確認する
資料をまとめる担当者は数字と出典の対応を確認し、採用・広報・営業の担当者は対象者の条件を点検してください。経営者や承認者が確認するのは、そのデータが今回の判断にどう関係するかと、追加で調べる条件です。
以下は想定の例です。
「対象年代の利用率が高いので応募が増える」という説明は、利用状況から応募への影響まで結び付けています。担当者は、「対象年代でのYouTube利用状況は確認済みです。採用情報への関心と応募への影響は、別途確認してください」と書き換えてください。
プラットフォーム選定、自社の適性、詳細な成果指標の設計は、この記事の対象範囲外です。
集計範囲の違いと、利用率から成果への飛躍を防ぐ
同じ名前の指標でも、担当者は設問区分と調査対象を確認してください。前年比を示す際にそろえる条件には、対象年齢も含みます。
利用している人の割合、特定分野の動画を見る割合、視聴後の成果は、それぞれ別の情報です。担当者は、説明したい内容に対応する根拠を選んでください。
同じ報告書の81.5%と84.4%を混ぜない
同調査では、第5章5-1の「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等」におけるYouTube利用率は81.5%です。一方、第5章5-3の「動画共有・配信サービス等」では84.4%と掲載されています。
両者は設問区分が異なるため、数字を引用する担当者は、資料名に加えて章と表の区分を確認します。ここに掲載した利用率は第5章5-1の数値で、年代別・男女別の数値も同じ表から抜き出した結果です。
過去の80.8%との対応を見る場合も、参照するのは第5章5-1です。担当者は81.5%と84.4%を、それぞれの設問に対応する結果として扱ってください。
対象年齢が変わった前年比を、そのまま使わない
総務省情報通信政策研究所の2025年6月公表の令和6年度調査の概要では、令和6年度から70代を含む13〜79歳の1,800人を正式な調査対象としたと説明しています。対象年齢の変更に合わせ、過去の全年代値も70代を含めて再集計したため、以前の報告書の数値と一致しない場合があるという説明です。
前年比を示す担当者は、新しい報告書に掲載された同条件の時系列を使ってください。異なる対象範囲の値を並べた場合は、利用率の増減と対象者の構成による違いを区別する作業が必要です。比較条件がそろわない場合は、担当者が対象範囲の違いを記載し、増減の断定を外します。
年代を職業や意思決定権に読み替えない
30代・40代・50代という区分には、さまざまな職業や立場の人が含まれます。「BtoBの意思決定者の利用率」を知りたい担当者は、職業や役職を対象にした別の調査を確認してください。
20代・30代の利用率から分かるのも、対象年代のYouTube利用状況です。担当者は、求職者が採用動画を見る割合や、視聴後に応募する割合を別の項目として調べてください。
利用目的の調査は、学習・情報収集の需要を読む材料にする
利用目的の調査は、視聴者が何を知るために動画を見るかを考える材料です。国内の一次調査では、ビジネススキル向上や市場・業界の情報収集という回答が確認されています。
担当者が結果を紹介する際は、調査対象と実施時期を添えてください。その調査の対象者による回答と、現在の全ユーザーの利用目的は区別して扱う情報です。
ビジネス系動画の視聴と、その目的
ナイル株式会社が2023年10月に公表した調査では、全国の20代〜60代のYouTube利用者1,763人のうち、41.3%がビジネス系YouTubeチャンネルの動画を視聴すると回答しました。インターネット調査の実施期間は、2023年10月18〜23日です。
同調査では、ビジネス系動画を、仕事に関する学び・ノウハウ・スキルに関する動画と説明しています。視聴目的に関する回答は、「ビジネススキルを向上させるため」が44.1%、「市場や業界の情報収集」が43.3%でした。
| 調査項目 | 結果 | 読む際の対象範囲 |
|---|
| ビジネス系動画を視聴する | 41.3% | 調査に回答した20代〜60代のYouTube利用者 |
| ビジネススキルを向上させるため | 44.1% | ビジネス系動画を見る目的についての回答 |
| 市場や業界の情報収集 | 43.3% | ビジネス系動画を見る目的についての回答 |
学習需要と、企業動画の成果を分ける
これらの回答から分かるのは、仕事に関する学習や情報収集のために動画を見る人が、調査対象に含まれていた点です。製品紹介や技術解説を企画する担当者は、視聴者が理解したい内容と、自社が動画で説明できる内容を照合する手がかりとして使ってください。
41.3%は、同調査の対象者がビジネス系動画を視聴すると回答した割合です。担当者は、企業の製品動画を見る割合や、導入の検討、問い合わせ、採用応募への影響と区別して扱います。
この調査の位置づけは、2023年当時の国内の視聴状況と利用目的を知るための資料です。2026年時点の最新動向や視聴目的の変化を説明したい担当者は、同条件の調査や時系列比較を確認してください。この記事では、調査が実施された当時の結果として紹介します。
まとめ
自社向けの判断資料を作る担当者は、最初に「誰に、何を知ってほしいか」を書き、その条件に対応する年代・性別のデータを選んでください。次に添えるのは、数字の対象範囲、調査時期、設問区分です。利用時間と利用目的のデータは、担当者が補足情報として加えます。
判断に使う条件が変わるのは、対象年代を変えるとき、求職者や特定の職種に絞るとき、知ってほしい内容を変えるときです。その場合は、担当者が自社で追加確認する項目を見直してください。
次に確認する項目には、対象者が自社について知りたい内容と、その内容を動画で説明する必要性があります。担当者は「公開調査から確認できたこと」と「自社で確認すること」を分けて資料にまとめてください。関係者が同じ前提で検討を進めるための整理です。
この記事からわかるQ&A
同じ総務省の調査に81.5%と84.4%があるのはなぜですか?
違いは、設問区分です。総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した令和7年度調査では、第5章5-1のソーシャルメディア系サービス等で81.5%、第5章5-3の動画共有・配信サービス等で84.4%と掲載されています。 ここに掲載した利用率の基準は、第5章5-1の81.5%です。数字を引用する担当者は、章・表の区分を併記し、年代別・男女別の数値も同じ設問区分から選びます。
利用率に人口を掛ければ、国内のYouTube利用者数を計算できますか?
国内の利用者数を説明する担当者は、人数を直接示した資料を確認してください。本記事の利用率は13〜79歳の調査対象者による回答で、月間アクティブユーザー数とは対象と定義が異なります。 人口に利用率を掛ける方法で推計する際の確認項目は、対象年齢や利用者の定義です。18歳以上の人口や全人口と、この調査の13〜79歳という対象範囲を区別してください。 社内資料で利用者数を示す担当者は、人数の定義、対象年齢、対象期間が明記された公表資料を選びます。利用率と人数の違いを関係者が確認するための情報です。
男性の利用率が高ければ、男性向け動画を優先した方がよいですか?
優先順位は、事業上届けたい相手と伝える内容から決めてください。総務省の男女別利用率は、各性別の対象者におけるYouTube利用状況を示す数字です。特定の動画への関心は、担当者が別に確認します。 対象者の年代や知りたい情報は、企画の条件です。男女別の合計値と特定年代の利用状況を区別し、担当者は必要な属性の組み合わせと、動画で説明する内容を確認してください。
平日54.5分という数字を「YouTubeの平均視聴時間」と書けますか?
「動画投稿・共有サービスを見る平均利用時間」と書いてください。総務省情報通信政策研究所が2026年6月に公表した54.5分は、動画投稿・共有サービスについて、全調査対象者を分母に計算した平日の平均です。 1本の動画を見続ける時間や、利用した人だけの平均とは、測っている内容が異なります。担当者は、図表の見出しや注記に対象サービスと分母を明記してください。動画の長さを決める際に参照する視聴状況は、別に確認する項目です。
2023年のビジネス系動画の調査は、今の記事に載せてもよいですか?
実施時期と対象を明記したうえで、当時の調査結果として紹介してください。ナイル株式会社が2023年10月に公表した調査は、同月に20代〜60代のYouTube利用者を対象に実施したインターネット調査です。同調査では、ビジネス系動画の視聴状況や目的を質問しています。 この記事での位置づけは、学習・情報収集の目的が確認された2023年当時の国内調査です。担当者は、現在の全国利用率や、採用・商談の成果を示す数字と区別して扱ってください。
引用・参考資料