2026.02.12

TikTokの目的設定:認知拡大・採用・集客・EC、何を狙うべきか

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TikTokの目的設定:認知拡大・採用・集客・EC、何を狙うべきか

この記事でわかること

  • TikTok運用における4つの主要な目的(認知拡大・採用・店舗集客・EC販売)の違い
  • 目的別に設定すべきKPI(重要業績評価指標)の具体例
  • 「バズ」を唯一の目標にすべきでない理由
  • 成果が出るまでの現実的なタイムライン
  • 運用途中で目的を変更する際の注意点

「TikTokを始めたいが、何を目指せばいいのかわからない」。企業のSNS担当者から、こうした声を聞くことが増えました。

TikTok for Businessの調査によると、TikTokを活用している中小企業の45.6%が「認知度が向上した」と回答し、35.0%が「新規顧客を獲得できた」と実感しています。一方で、目的が曖昧なまま運用を始めた結果、「投稿は続けているが成果が見えない」と悩む企業も少なくありません。

TikTok運用の成否を分けるのは、最初に「何を狙うか」を明確にすることです。この記事では、企業がTikTokで設定できる4つの主要な目的と、それぞれに適したKPIの設計方法を解説します。


なぜ「目的設定」がTikTok運用の成否を分けるのか?

TikTokは他のSNSと比較して、フォロワー数に依存しない拡散力を持っています。アカウント開設初日でも、コンテンツ次第で数十万回再生を獲得できる可能性があるプラットフォームです。

この特性は大きなチャンスである一方、明確な目的がなければ「バズったが、その後どうすればいいかわからない」という状況に陥りやすい原因にもなります。

目的が明確であれば、投稿の方向性が定まります。どのようなコンテンツを作るべきか、どの指標を追うべきか、いつ軌道修正すべきかの判断基準ができるためです。逆に目的が曖昧なままだと、投稿内容がぶれ、効果測定もできず、継続のモチベーションも保てなくなります。


企業がTikTokで設定できる4つの目的とは?

企業のTikTok活用における主要な目的は、大きく4つに分類できます。

1. 認知拡大・ブランディング

企業名や商品名、ブランドの世界観を広く知ってもらうことを目指す活用方法です。TikTokのアルゴリズムは興味関心に基づいてコンテンツを表示するため、少ないフォロワー数でも広範なリーチを獲得できます。

向いている企業・商材:

  • 新商品・新サービスの認知を広げたい企業
  • ブランドイメージを刷新したい企業
  • 若年層への認知を強化したいBtoC企業

設定すべきKPIの例:

  • 動画再生数(月間・累計)
  • リーチ数
  • フォロワー増加率
  • 指名検索数の変化(Google Search Console等で計測)

2. 採用活動

職場の雰囲気や社員の人柄を動画で伝え、採用候補者の母集団形成やミスマッチ防止を図る活用方法です。2024年の調査では、Z世代の81%がTikTokで企業の動画を視聴し、66.2%が実際にエントリーした経験があるというデータも報告されています。

向いている企業:

  • 若手人材の採用に注力している企業
  • 従来の求人媒体だけでは応募が集まらない企業
  • 社風や企業文化を伝えたい企業

設定すべきKPIの例:

  • プロフィール訪問数
  • 採用サイトへの流入数
  • 応募数・問い合わせ数
  • エンゲージメント率(コメント率を含む)

3. 店舗集客

実店舗への来店を促進する活用方法です。飲食店、美容室、小売店など、地域に根ざしたビジネスでの活用が進んでいます。動画で店舗の雰囲気や商品の魅力を視覚的に伝え、「行ってみたい」という動機づけを行います。

向いている企業・業種:

  • 飲食店・カフェ
  • 美容室・エステ
  • 小売店・ショップ
  • レジャー施設

設定すべきKPIの例:

  • 動画経由のクーポン利用数
  • 保存数(後で見返す意図の表れ)
  • 来店アンケートでの認知経路
  • 投稿後の来店数推移

4. EC・商品販売

TikTokを起点として、ECサイトでの購入を促進する活用方法です。2025年には日本でもTikTok Shopがローンチし、動画視聴から商品購入までをアプリ内で完結できるようになりました。

向いている企業・商材:

  • ECサイトを運営している企業
  • 視覚的に訴求しやすい商品(コスメ、食品、アパレル等)
  • 若年層がターゲットの商材

設定すべきKPIの例:

  • ECサイトへの流入数
  • コンバージョン数・率
  • TikTok Shop経由の売上
  • 商品ハッシュタグの投稿数(UGC)

KGIとKPIはどのように設計すればよいのか?

TikTok運用のKPI設計では、最終目標(KGI)と中間指標(KPI)を明確に分けることが重要です。

KGI(最終目標)の設定ポイント

KGIは具体的な数値で表すことが基本です。「認知拡大」「売上向上」といった抽象的な目標ではなく、「TikTok経由のサイト訪問数を月間1万件にする」「TikTok経由の応募を四半期で30件獲得する」のように、測定可能な形で設定します。

もう一点重要なのは、達成可能な範囲の数値を目標にすることです。TikTokはバズれば飛躍的に数値が伸びる可能性があるプラットフォームですが、バズは確実にコントロールできるものではありません。現実的な積み上げで達成できる水準を基準にしつつ、バズが発生すれば上振れする、という設計が望ましいでしょう。

目的別KPI設計の例

認知拡大を目的とする場合:

区分指標目標例
KGI指名検索数前年比150%
KPI(主)月間総再生数50万回
KPI(補)フォロワー増加率月間10%増

採用を目的とする場合:

区分指標目標例
KGITikTok経由の応募数四半期30件
KPI(主)採用サイト流入数月間500件
KPI(補)プロフィール訪問数月間3,000件

EC販売を目的とする場合:

区分指標目標例
KGITikTok経由売上月間100万円
KPI(主)ECサイト流入数月間1万件
KPI(補)動画再生数月間30万回

TikTokアナリティクスで確認できる指標

TikTokのビジネスアカウントでは、以下の指標を確認できます。

  • 合計再生時間・平均視聴時間
  • 合計視聴回数
  • 視聴者の所在地
  • トラフィックソース(おすすめ、検索、フォロー中など)
  • フォロワー数の増減
  • プロフィール表示回数
  • エンゲージメント数(いいね、コメント、シェア)
  • 視聴者の年齢層・性別割合

これらの指標を活用し、KPIの達成状況を定期的に確認する体制を整えることが重要です。


「バズ」を唯一の目標にすべきでない理由は?

TikTok運用において「バズを狙う」という表現をよく耳にします。しかし、バズを唯一の目標に据えることには注意が必要です。

バズはあくまで手段であり、目的そのものではありません。仮にある動画が100万回再生されたとしても、それが認知拡大につながったのか、採用応募につながったのか、売上に寄与したのかは別の問題です。

TikTok売れの分析でも指摘されていますが、動画がバズっても商品名や企業名が認知されなければ、購買行動には結びつきません。「再生数」と「成果」の間には、いくつかのステップが存在するためです。

バズと成果の関係性:

  1. 動画がバズる(再生数増加)
  2. 視聴者が商品・企業に興味を持つ
  3. 検索や詳細確認の行動を取る
  4. 購入・応募・来店などの成果につながる

このプロセスを意識し、動画内で商品名やブランド名が認知されるよう設計することが重要です。

また、バズは再現性が低いことも念頭に置く必要があります。「バズった動画と同じ構成で作ったが、次は伸びなかった」という経験を持つ運用担当者は少なくありません。継続的な成果を求めるなら、バズに依存しない安定的なKPI設計が求められます。


成果が出るまでのタイムラインはどれくらいか?

TikTok運用を始めてから成果が出るまでの期間について、現実的な期待値を持つことが重要です。

一般的な目安:

  • 最初の1〜3ヶ月:試行錯誤期間(投稿パターン、反応の良いコンテンツの把握)
  • 3〜6ヶ月:成果の兆しが見え始める期間
  • 6ヶ月以降:安定的な成果が期待できる期間

もちろん、業種や商材、投稿頻度によって差は生じます。ただし、「1ヶ月で成果を出したい」という期待は現実的とはいえません。少なくとも週3〜5回の投稿を6ヶ月以上継続することを前提に計画を立てることをお勧めします。

また、TikTokの効果は直接的な成果だけでなく、間接効果として現れることも多いです。動画を見た視聴者が、後日Googleで検索して購入するケースや、知人に口コミで伝えるケースなどは、TikTokのアナリティクスだけでは計測しきれません。Google Analyticsなど他のツールと併用し、複合的に効果を測定する視点が必要です。


運用途中で目的を変更することは可能か?

結論として、運用途中での目的変更は可能です。ただし、いくつかの注意点があります。

目的変更が有効なケース:

  • データ分析の結果、当初想定と異なるフォロワー属性が集まっていることが判明した場合
  • 事業環境の変化により、優先すべき課題が変わった場合
  • 試験的に始めた運用から、本格的な活用にシフトする場合

注意すべき点:

  • 頻繁な方向転換はアカウントの一貫性を損なう
  • フォロワーが期待するコンテンツと乖離すると、エンゲージメントが低下する
  • 変更の判断は「感覚」ではなく「データ」に基づいて行う

目的を変更する場合は、過去の投稿の分析結果を踏まえ、なぜ変更が必要なのかを明確にした上で判断することが重要です。「なんとなく上手くいっていない気がする」という理由での変更は、同じ失敗を繰り返す原因になりかねません。


まとめ

TikTok運用を成功させる鍵は、最初に「何を狙うか」を明確にすることにあります。

認知拡大、採用活動、店舗集客、EC販売。それぞれの目的によって、作るべきコンテンツも、追うべきKPIも異なります。「とりあえずバズりたい」という漠然とした目標ではなく、自社のビジネス課題に直結した目的を設定することが、持続可能な運用の第一歩です。

成果が出るまでには3〜6ヶ月のスパンが必要です。短期的な再生数に一喜一憂するのではなく、設定したKPIに基づいて継続的に改善を重ねていく姿勢が求められます。

この記事からわかるQ&A

TikTok運用の目的は複数設定してもよいですか?

可能ですが、優先順位を明確にすることをお勧めします。複数の目的を同時に追うと、コンテンツの方向性がぶれやすくなります。まずは1つの目的に集中し、成果が出始めてから次の目的を追加する方が効果的です。

認知拡大の効果はどのように測定すればよいですか?

TikTokアナリティクスでの再生数・リーチ数に加え、Google Search Consoleでの指名検索数の推移を確認する方法があります。動画投稿後に企業名や商品名の検索数が増加していれば、認知拡大の効果が出ていると判断できます。

採用目的のTikTok運用で注意すべき点はありますか?

社員が出演する動画では、「やらされ感」が出ないよう自然な雰囲気を心がけることが重要です。調査によると、「新入社員が踊るTikTok」はマイナスイメージを与える可能性があるというデータもあります。社員の人柄や職場の雰囲気が自然に伝わるコンテンツが効果的です。

KPIは途中で変更してもよいですか?

はい、データに基づいた判断であれば変更は適切です。当初設定したKPIが事業成果と相関していないと判明した場合や、市場環境が変化した場合は、柔軟に見直すことが重要です。ただし、十分なデータが蓄積される前(目安として3ヶ月未満)での変更は避けたほうがよいでしょう。

成果が出るまで最低どれくらい継続すべきですか?

少なくとも6ヶ月、理想的には1年の継続を推奨します。最初の3ヶ月は試行錯誤の期間であり、どのようなコンテンツが自社のターゲットに響くかを把握するための投資期間と捉えてください。週3〜5回の投稿頻度を維持できる体制を整えた上で開始することが重要です。

引用・参考資料

  • TikTok for Business「中小企業のTikTok活用に関するアンケート調査」
  • TikTok Socio-Economic Impact Report(2025年6月発表)
  • 博報堂DYホールディングス「コンテンツファン消費行動調査2025」
  • StockSun「TikTok採用市場調査2024-2025」

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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