理念や方針を繰り返し話しているのに、社員の行動が変わらないと感じていませんか?経営者が伝えたつもりの想いと、社員が受け取った内容には差が生じることがあります。
この記事では、その受け止めの差と、離職・生産性・組織文化の面で失うおそれのあるもの、文字だけでは伝わりにくい理由について取り上げます。文字と映像で表せる情報の違いを整理し、想いを見える形にする意味と、社員の受け止めを確かめる視点もお伝えします。
この記事でわかること
経営者の手応えと社員の受け止めに差が生まれる理由
想いが伝わらないことで失うおそれのあるもの
文字と映像で表せる情報の違いと文字だけの限界
想いを「見える化」する意味と映像の可能性
目次
「想いは伝わっているはず」という錯覚はなぜ生まれるのか? 想いが伝わらないことで企業が失うものとは? なぜ「言葉」だけでは伝わらないのか? 想いを「見える化」することの意味とは? まとめ この記事からわかるQ&A 引用・参考資料
「想いは伝わっているはず」という錯覚はなぜ生まれるのか?
経営者が感じる手応えと社員の実感のギャップ
経営者は、自社の理念や想いについて日常的に考えています。創業の経緯、事業に込めた想い、社員への期待は、経営者が折に触れて言葉にしている内容です。
しかし、社員にとってはどうでしょうか。日々の業務に追われる中で、経営者の言葉に触れる機会は限られています。朝礼での話は業務連絡と混ざり合い、社内報は読まれないまま積まれていく。経営者が「伝えた」と感じている回数と、社員が「受け取った」と感じている回数には、大きな開きがあります。
朝礼やメール、社内報では伝わらない理由とは?
朝礼での訓示、全社メール、社内報は、理念浸透の定番施策です。ただし、これらの手段には共通した限界があります。
まず、一方通行のコミュニケーション という点です。経営者が話し、社員が聞く。この構図では、社員は受け身の姿勢になりやすく、内容が記憶に残りにくくなります。
次に、情報の洪水に埋もれる という問題があります。社員が日々接するメールや情報の量は膨大です。その中で、経営者からのメッセージが特別な重みを持って受け止められるとは限りません。
さらに、文字情報の限界 があります。テキストでは、経営者の表情、声のトーン、間の取り方といった非言語情報が伝わりません。社員が文字だけで「本気で言っているのか」「どれほど重要なことなのか」を読み取るのは難しいのが実情です。
想いが伝わらないことで企業が失うものとは?
経営者の想いが社員に伝わっていない状態を放置すると、企業は具体的な損失を被ります。その影響は、目に見えにくいからこそ深刻です。
離職への懸念:会社の将来や働く意味への不安
社員が会社を辞める理由には、給与や待遇のほかに、「この会社で働く意味がわからない」「経営者が何を考えているかわからない」という感覚も含まれる可能性があります。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、離職理由として「会社の将来性・安定性への不安」「仕事の内容に興味を持てない」を挙げる人が一定数存在します。ただし、この調査から、経営者の想いやビジョンを伝えることで、これらの理由による離職を減らせるとは判断できません。
「なぜこの会社が存在するのか」「自分の仕事が何につながっているのか」は、若手社員が仕事に意味を求めるときに抱く問いの例です。経営者の想いが伝わっていないことが、そうした社員にとって、意味を感じられる別の職場を探すきっかけとなる可能性があります。
生産性の低下:「なぜこの仕事をするのか」が見えない
経営者の想いが伝わっていない状態は、社員の日常業務にも影響を及ぼします。
「なぜこの仕事をするのか」が明確でなければ、社員は指示されたことをこなすだけの存在になりがちです。自発的な改善提案や、困難な局面での踏ん張りは生まれにくくなります。
ギャラップ社の調査(State of the Global Workplace 2023)によると、仕事に対してエンゲージメント(積極的な関与)を感じている社員の割合は、日本では世界平均を大きく下回る水準にとどまっています。ただし、この結果だけで、経営者の想いが伝わっていないことが原因だとは判断できません。
組織文化の希薄化:判断基準がバラバラになる
組織の判断基準のもとになるのは、経営者の想いです。「うちの会社はこういう会社だ」「こういう場面ではこう判断する」という共通認識が、組織文化の土台となります。
経営者の想いが伝わっていなければ、この共通認識が育ちません。部署ごと、人ごとに判断基準がバラバラになり、組織としての一貫性が失われます。
例として取り上げるのは、顧客対応の場面です。「お客様第一」という理念があったとしても、その言葉の背景にある経営者の想い(なぜお客様を大切にするのか、どこまで踏み込むべきなのか)が共有されていなければ、現場での判断は人によって異なります。判断がそろわない状態が続けば、顧客体験にばらつきが生まれるおそれも否定できません。
なぜ「言葉」だけでは伝わらないのか?
経営者の想いが伝わらない原因の1つは、コミュニケーション手段そのものの構造的な限界です。
テキストと映像の情報量の違い
心理学者アルバート・メラビアンの研究では、話し手が自分の感情や態度を伝える場面において、言語情報は7%、声のトーンは38%、表情やボディランゲージは55%を占めるとされています。
この割合は、話し手が感情や態度を伝える場面を対象にした研究で示された数字です。経営者が理念に込めた思い入れを伝える場面でも、表情や声のような言葉以外の手がかりが受け止め方に関わると考えられます。
非言語情報(表情、声のトーン)の重要性とは?
経営者が「社員を大切に思っている」と文章で書いても、その言葉だけで本気度まで判断することは困難です。経営者が実際に語る姿(表情、声のトーン、言葉を選ぶ際の間)は、想いを受け止める際の手がかりになり得ます。
人が相手を信頼するかどうかを判断するとき、顔や声は手がかりの1つです。文字情報だけでは、こうした手がかりが得られません。
「繰り返し見られる」ことの価値
経営者が直接語りかける方法には、時間と場所の制約があります。経営者が全社員に何度も直接語りかけるのは難しいのが実情です。
映像を使えば、経営者が想いを語る姿を「いつでも、何度でも」社員に見てもらえます。使い道は、新入社員研修での上映や、社内イントラネットへの掲載などです。経営者の時間を使わずに想いを繰り返し共有できる点は、社員が多い会社ほど役立ちます。
想いを「見える化」することの意味とは?
ここまで、経営者の想いが伝わらないことによる損失と、その構造的な原因を取り上げました。次に、この課題への対応方法の1つを紹介します。
一つの選択肢として、経営者インタビュー映像 があります。経営者自身が、自分の言葉で、カメラの前で想いを語る映像です。企業がその映像を社内で共有しておけば、社員は必要なときに何度でも見返せます。
経営者インタビュー映像を使えば、テキストでは伝わらない経営者の表情を社員に見てもらい、声を聞いてもらえます。経営者と社員が、朝礼やメールでは得にくかった「伝わった」という実感を持てる可能性があることも、この方法の特徴です。
ただし、映像を制作しただけで理念が浸透するとは限りません。理念の浸透には、映像をどう活用するか、どのタイミングで見せるか、視聴後にどのようなフォローを行うかも関わります。そのうえで、「想いを形にする」最初の一歩として、経営者インタビュー映像は選択肢の1つです。
採用の場面で想いを伝える方法は、なぜ優秀な人材が集まらないのか?採用で差がつく「経営者の想い」の伝え方 で取り上げています。経営者インタビュー映像の制作を検討する場合は、アストライドの「経営者インタビュー映像制作」 をご覧ください。
まとめ
経営者の想いが社員に伝わっているかは、経営者自身の手応えだけでは判断が難しい点です。離職・生産性・組織文化への影響を考えるうえでも、社員がどう受け止めているかを確かめる必要があります。
本記事のポイントを整理します。
経営者が「伝えた」と感じる回数と、社員が「受け取った」と感じる回数には大きなギャップがある
想いが伝わらないことで、離職率の上昇、生産性の低下、組織文化の希薄化という損失が生じる
テキスト中心のコミュニケーションには、非言語情報が伝わらないという構造的な限界がある
経営者インタビュー映像は、想いを「見える化」する一つの選択肢となる
「伝えているはず」という前提を一度疑い、社員が本当に経営者の想いを受け取っているかを確認してみてください。そこから、具体的な改善の糸口が見えてくるはずです。
この記事からわかるQ&A
経営者と社員の受け止めには、どんな差がありますか?
経営者が「伝えた」と感じていても、社員が「受け取った」と感じているとは限りません。話した回数と受け取ったと感じる回数に差が生じる可能性があるため、伝えた回数だけを判断の基準にすることには限界があります。
朝礼やメール、社内報ではなぜ想いが伝わりにくいのですか?
これらの手段には、3つの共通した限界があります。1つ目は、経営者が話し、社員が聞くという一方通行のコミュニケーションになることです。2つ目に、経営者のメッセージが、社員が日々接する大量の情報の中に埋もれてしまいます。3つ目は、テキストでは経営者の表情、声のトーン、間の取り方といった非言語情報が伝わらないことです。
想いが伝わらないことで企業が失うものは何ですか?
本文では、3つの損失を取り上げています。1つ目は離職に関するもので、「この会社で働く意味がわからない」という感覚が、離職を考える理由の1つになりうる点です。2つ目の生産性については、「なぜこの仕事をするのか」が見えないと、社員が指示をこなすだけになりがちな点を挙げています。3つ目は組織文化に関するもので、判断基準が人によって異なり、組織としての一貫性が保ちにくくなる点です。
なぜテキストだけでは経営者の想いが伝わりにくいのですか?
心理学者アルバート・メラビアンの研究は、話し手が自分の感情や態度を伝える場面に限った研究です。その結果を、経営者が伝えたい情報全体の割合として解釈することはできません。テキストには、経営者が語るときの表情、声のトーン、言葉を選ぶ際の間といった情報が含まれないため、それらを手がかりに想いを受け止めることが難しくなります。
経営者インタビュー映像は、想いを伝えるうえでどう役立ちますか?
映像を使えば、テキストでは伝わらない経営者の表情を社員に見てもらい、声を聞いてもらえます。経営者が直接語りかける方法には時間と場所の制約がある一方、映像なら「いつでも、何度でも」見てもらえるのが特徴です。新入社員研修や社内イントラネットで使えば、経営者の時間を使わずに想いを繰り返し共有できます。
引用・参考資料
厚生労働省「令和4年雇用動向調査」(2023年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/index.html
Gallup「State of the Global Workplace 2023」 https://www.gallup.com/workplace/349484/state-of-the-global-workplace.aspx