「社長の想いが社員に伝わっていない」企業が失うもの

この記事でわかること
- 経営者が感じる手応えと社員の実感のギャップが生まれる理由
- 想いが伝わらないことで企業が失う3つのもの
- 「言葉」だけでは想いが伝わらない構造的な原因
- 想いを「見える化」することの意味と選択肢
「理念は何度も話している」「朝礼でも繰り返し伝えている」——そう感じている経営者は少なくありません。しかし、社員アンケートを取ってみると、理念を正確に答えられる社員が思いのほか少ない、という現実に直面することがあります。
本記事では、経営者の想いが社員に伝わっていないことで企業が失うものを具体的に示し、なぜこのギャップが生まれるのかを構造的に解説します。
「想いは伝わっているはず」という錯覚はなぜ生まれるのか?
経営者が感じる手応えと社員の実感のギャップ
経営者は、自社の理念や想いについて日常的に考えています。創業の経緯、事業に込めた想い、社員への期待——これらは経営者の頭の中で常に生きており、折に触れて言葉にしています。
しかし、社員にとってはどうでしょうか。日々の業務に追われる中で、経営者の言葉に触れる機会は限られています。朝礼での話は業務連絡と混ざり合い、社内報は読まれないまま積まれていく。経営者が「伝えた」と感じている回数と、社員が「受け取った」と感じている回数には、大きな開きがあります。
リクルートマネジメントソリューションズの調査(2023年)によると、「経営理念が浸透している」と感じている経営層と、実際に理念を理解・共感していると回答した一般社員の間には、20ポイント以上の認識ギャップがあることが報告されています。
朝礼やメール、社内報では伝わらない理由とは?
朝礼での訓示、全社メール、社内報——これらは理念浸透の定番施策です。しかし、これらの手段には共通した限界があります。
まず、一方通行のコミュニケーションという点です。経営者が話し、社員が聞く。この構図では、社員は受け身の姿勢になりやすく、内容が記憶に残りにくくなります。
次に、情報の洪水に埋もれるという問題があります。社員は日々、大量のメールや情報に接しています。その中で、経営者からのメッセージが特別な重みを持って受け止められるとは限りません。
さらに、文字情報の限界があります。テキストでは、経営者の表情、声のトーン、間の取り方といった非言語情報が伝わりません。「本気で言っているのか」「どれほど重要なことなのか」という温度感が、文字だけでは伝わりにくいという問題があります。
想いが伝わらないことで企業が失うものとは?
経営者の想いが社員に伝わっていない状態を放置すると、企業は具体的な損失を被ります。その影響は、目に見えにくいからこそ深刻です。
離職率の上昇:理念への共感がなければ人は離れる
社員が会社を辞める理由は、給与や待遇だけではありません。「この会社で働く意味がわからない」「経営者が何を考えているかわからない」という感覚は、静かに離職の引き金となります。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」によると、離職理由として「会社の将来性・安定性への不安」「仕事の内容に興味を持てない」を挙げる人が一定数存在します。これらは、経営者の想いやビジョンが伝わっていれば軽減できる可能性のある理由です。
特に若手社員は、「なぜこの会社が存在するのか」「自分の仕事が何につながっているのか」という意味を求める傾向があります。経営者の想いが伝わっていなければ、より「意味」を感じられる職場へと移っていきます。
生産性の低下:「なぜこの仕事をするのか」が見えない
経営者の想いが伝わっていない状態は、社員の日常業務にも影響を及ぼします。
「なぜこの仕事をするのか」が明確でなければ、社員は指示されたことをこなすだけの存在になりがちです。自発的な改善提案や、困難な局面での踏ん張りは生まれにくくなります。
ギャラップ社の調査(State of the Global Workplace 2023)によると、仕事に対してエンゲージメント(積極的な関与)を感じている社員の割合は、日本では世界平均を大きく下回る水準にとどまっています。このエンゲージメントの低さは、経営者と社員の間にある「想いの断絶」と無関係ではありません。
組織文化の希薄化:判断基準がバラバラになる
経営者の想いは、組織の判断基準を形づくります。「うちの会社はこういう会社だ」「こういう場面ではこう判断する」という共通認識が、組織文化の土台となります。
経営者の想いが伝わっていなければ、この共通認識が育ちません。部署ごと、人ごとに判断基準がバラバラになり、組織としての一貫性が失われます。
顧客対応の場面で考えてみましょう。「お客様第一」という理念があったとしても、その言葉の背景にある経営者の想い——なぜお客様を大切にするのか、どこまで踏み込むべきなのか——が共有されていなければ、現場での判断は人によって異なります。結果として、顧客体験にばらつきが生まれ、ブランドの一貫性が損なわれます。
なぜ「言葉」だけでは伝わらないのか?
経営者の想いが伝わらない原因は、経営者の努力不足だけではありません。コミュニケーション手段そのものに、構造的な限界があります。
テキストと映像の情報量の違い
人間が受け取る情報のうち、言語情報が占める割合は限られています。心理学者アルバート・メラビアンの研究では、感情や態度を伝えるコミュニケーションにおいて、言語情報は7%、声のトーンは38%、表情やボディランゲージは55%を占めるとされています。
この数字の解釈には議論がありますが、「言葉以外の情報が重要」という点は広く認められています。テキストだけのコミュニケーションでは、経営者が伝えたい情報の大部分が抜け落ちてしまいます。
非言語情報(表情、声のトーン)の重要性とは?
経営者が「社員を大切に思っている」と文章で書いても、それがどれほど本気なのかは伝わりにくいものです。しかし、経営者が実際に語る姿——目の輝き、声の震え、言葉を選ぶ際の間——を見れば、その本気度は一目瞭然です。
人は、相手の顔を見て、声を聞いて、その人を信頼するかどうかを判断します。文字情報だけでは、この「信頼形成のプロセス」が働きにくくなります。
「繰り返し見られる」ことの価値
経営者が直接語りかけることには大きな効果がありますが、物理的な制約があります。全社員に対して、経営者が何度も直接語りかけることは現実的ではありません。
映像であれば、経営者の想いを「いつでも、何度でも」伝えることができます。新入社員研修で見せることも、社内イントラネットに置いて自由に視聴させることも可能です。経営者の時間を使わずに、経営者の想いを繰り返し届けられる——これは、組織規模が大きくなるほど重要な価値となります。
想いを「見える化」することの意味とは?
ここまで、経営者の想いが伝わらないことの損失と、その構造的な原因を見てきました。では、どうすればこの課題を解決できるのでしょうか。
一つの選択肢として、経営者インタビュー映像があります。経営者自身が、自分の言葉で、カメラの前で想いを語る。その映像を社内に共有し、繰り返し見られる状態を作る。
経営者インタビュー映像は、テキストでは伝わらない非言語情報を届け、経営者の想いを「見える化」します。朝礼やメールでは得られなかった「伝わった」という実感が生まれる可能性があります。
もちろん、映像を制作すれば自動的に理念が浸透するわけではありません。映像をどう活用するか、どのタイミングで見せるか、視聴後にどのようなフォローを行うかも重要です。しかし、「想いを形にする」という最初の一歩として、経営者インタビュー映像は有効な手段となり得ます。
まとめ
経営者の想いが社員に伝わっていない状態は、目に見えにくいからこそ放置されがちです。しかし、その影響は確実に企業を蝕んでいきます。
本記事のポイントを整理します。
- 経営者が「伝えた」と感じる回数と、社員が「受け取った」と感じる回数には大きなギャップがある
- 想いが伝わらないことで、離職率の上昇、生産性の低下、組織文化の希薄化という損失が生じる
- テキスト中心のコミュニケーションには、非言語情報が伝わらないという構造的な限界がある
- 経営者インタビュー映像は、想いを「見える化」する一つの選択肢となる
「伝えているはず」という前提を一度疑い、社員が本当に経営者の想いを受け取っているかを確認してみてください。そこから、具体的な改善の糸口が見えてくるはずです。
この記事からわかるQ&A
経営者と社員の間にはどの程度の認識ギャップがありますか?
リクルートマネジメントソリューションズの調査(2023年)によると、「経営理念が浸透している」と感じている経営層と、実際に理念を理解・共感していると回答した一般社員の間には、20ポイント以上の認識ギャップがあることが報告されています。経営者が「伝えた」と感じている回数と、社員が「受け取った」と感じている回数には大きな開きがあります。
朝礼やメール、社内報ではなぜ想いが伝わりにくいのですか?
これらの手段には3つの共通した限界があります。まず、経営者が話し社員が聞くという一方通行のコミュニケーションであること。次に、社員が日々接する大量の情報の中に埋もれてしまうこと。そして、テキストでは経営者の表情、声のトーン、間の取り方といった非言語情報が伝わらないことです。
想いが伝わらないことで企業が失うものは何ですか?
主に3つの損失が生じます。1つ目は離職率の上昇で、「この会社で働く意味がわからない」という感覚が離職の引き金となります。2つ目は生産性の低下で、「なぜこの仕事をするのか」が見えなければ、社員は指示をこなすだけの存在になりがちです。3つ目は組織文化の希薄化で、判断基準がバラバラになり、組織としての一貫性が失われます。
なぜテキストだけでは経営者の想いが伝わりにくいのですか?
心理学者アルバート・メラビアンの研究によると、感情や態度を伝えるコミュニケーションにおいて、言語情報は7%、声のトーンは38%、表情やボディランゲージは55%を占めるとされています。テキストだけでは、経営者が伝えたい情報の大部分——目の輝き、声の震え、言葉を選ぶ際の間など——が抜け落ちてしまいます。
経営者インタビュー映像にはどのような価値がありますか?
映像であれば、テキストでは伝わらない非言語情報を届け、経営者の想いを「見える化」できます。また、経営者が直接語りかけることには物理的な制約がありますが、映像なら「いつでも、何度でも」伝えることができます。新入社員研修や社内イントラネットでの活用など、経営者の時間を使わずに想いを繰り返し届けられる点が価値となります。
引用・参考資料
- リクルートマネジメントソリューションズ「組織と個人の関係性に関する調査」(2023年)
- 厚生労働省「令和4年雇用動向調査」(2023年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/index.html - Gallup「State of the Global Workplace 2023」
https://www.gallup.com/workplace/349484/state-of-the-global-workplace.aspx
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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