#01 “ふざけんな”が熱弁と受け取られる国 ── インド駐在4年で学んだ前提の違い

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今日のテーマは「日本の当たり前が通用しないインドの前提の違い」です。 アイシンでの調達業務を経てインドに4年駐在した内藤健司さんが、現地で最初にぶつかった文化ギャップを語ります。「迷惑をかけるな」と教わる日本と「怒るな」と教わるインド。本気で怒っているのに「熱弁してくれている」と受け取られる構造、1年後でもASAPになる時間感覚など、パンフレットには載っていない現実をお届けします。


このエピソードで話していること

  • 内藤健司の経歴──アイシンで12年間の調達業務、うちインド駐在4年の現場経験
  • アイシンがインドに進出した背景──マルチスズキのシェアと現地生産の必要性
  • インド赴任が決まったときの心境と、空港に降り立って最初に感じた「インドの匂い」
  • 調達の仕事とは何か──直接材の調達は図面の作り込みから始まる
  • スズキ向け拠点ならではの「いつものメンバーがいない」環境と新規開拓の現実
  • 教育の前提の違い──日本は「迷惑かけるな」、インドは「怒るな」
  • 本気で怒っているのに「熱弁してくれている」と受け取られるギャップの正体
  • 「私は怒っている」と明確に言葉にしなければ伝わらないインドのコミュニケーション
  • 時間感覚の違い──日本は異常なほど厳密、インドは「スーパーフレキシブル」
  • 予定はあくまで予定、努力義務という感覚──「辞書で引いてみな」と言われる世界
  • 「ASAP」が1年後でも2年後でもASAPになる──期限と罰則を明示しないと動かない現実
  • 宗教の多様性がビジネスに影響する──ヒンドゥー、ムスリム、シーク、それぞれの行動指針
  • ラマダンや食事制限など、宗教に基づく日常の違いへの向き合い方
  • 失敗談から学ぶという番組コンセプト──成功の再現は難しいが、失敗は回避できる

こんな方におすすめ

  • インド市場への進出を検討している中小製造業の経営者の方
  • インドとの取引で「なぜ思い通りにいかないのか」と感じている方
  • インド駐在・出張を控えており、文化ギャップの実態を知りたい方
  • 書籍やセミナーでは得られない実務者目線のインド情報を求めている方
  • 海外ビジネスにおける異文化コミュニケーションに関心がある方

この記事からわかるQ&A

「迷惑をかけるな」と「怒るな」の違いが、ビジネスの現場ではどう影響するのですか?

内藤さんは、日本では「人に迷惑をかけちゃダメ」と教えられるのに対し、インドでは「迷惑をかけられても怒っちゃダメ」と教えられていると説明しています。その結果、インドの方は自分がいいと思ってやっていることが相手にとって迷惑でも悪いことだとは捉えない。日本人から見ると自分勝手でワガママに見えてしまうが、それは倫理のポイントの置きどころが違うだけだと語っています。

怒りが「熱弁」と受け取られるというのは、具体的にどういう場面で起きるのですか?

内藤さんは、日本人が単価交渉などで本気で怒り「ふざけるな」と言っているのに、インド側は「こんなに真剣に改善提案をしてくれている」とポジティブに受け取るケースがあると話しています。インドでは「アーギュー(熱弁)」という捉え方をするため、明確に「私は怒っている」「これ以上続けるなら評価に影響する」と言葉にしなければ伝わらないと語っています。

インドの時間感覚はどれくらい日本と違うのですか?

内藤さんは「ASAP(できるだけ早く)」と伝えても、インドでは1年後でも2年後でもASAPだと話しています。予定は日本では明確なタスクだが、インドでは「そうなったらいいよね」程度の意味。「辞書で引いてみな、予定はあくまで予定でしょ」と言われるほど。期限を具体的に伝え、「じゃないと買わない」「もう頼まない」といった罰則をセットにしないと動かないのが現実だと語っています。

アイシンがインドに進出した背景と、内藤さんの調達の仕事はどのようなものだったのですか?

内藤さんは、インドではマルチスズキが当時シェア約55%を占めており、スズキ向け部品を現地で生産する必要があったためアイシンがインドに進出したと説明しています。調達の仕事は、新しい車の部品について材料や製法を検討し、ゴム屋やメッキ屋といったサプライヤーと図面を作り込む仕事。スズキ拠点にはトヨタ系のいつもの仲間がいないため、インド企業との新規開拓を一からやる必要があったと語っています。

インドではなぜ宗教の違いを意識する必要があるのですか?

内藤さんは、インドにはヒンドゥー教、クリスチャン、ムスリム、シークなど多様な宗教があり、それぞれで行動指針が異なると話しています。ラマダンの断食期間や「この日はこれを食べてはいけない」といったルールがあり、会食の場で突然注文できないものがあるケースも。日本のように宗教を意識しない環境に慣れていると見落としがちだが、相手の宗教を知り、良い悪いではなく尊重して合わせることが大事だと語っています。

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番組情報

ガンジス川でスクロール〜日本人がインドで失敗する方法〜

アイシンで12年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。

メインMC

内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/

アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。

サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com⁠

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。

kenji.naito@minari-partners.co.jp

制作

アストライド-Astride-(⁠https://www.ast-ride.com⁠

サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈

カバーデザイン

みなりパートナーズ株式会社

※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。