Moradi らの研究チームが、2024年に時系列の分析を発表しています。掲載は Journal of the Academy of Marketing Science 第52巻370〜398頁です。対象になったのは、Kickstarter の報酬型キャンペーン1,245件です。研究チームは、LIWC という言語分析のツールと、functional data analysis という手法を組み合わせています。
Naimi 氏らの研究チームが、2023年に社会的な目的を掲げた起業の語りを分析しています。掲載は International Journal of Entrepreneurial Behavior & Research です。巻号は第29巻3号687〜706頁で、対象は55か国の起業家2,098人になります。
動画の内側で何が働いているかを分けた研究もあります。Kolbe らの研究チームが2022年に分析したところ、調達と結びついていたのは動画に含まれる情報の中身のほうでした。一方で、音楽のような情報を持たない要素は、調達と結びついていません。掲載は Journal of Economics and Business 第122巻106081番です。
Anglin ほか(2023、Entrepreneurship Theory and Practice 47巻2号461〜494頁)が Kickstarter のキャンペーン359件を fsQCA で分析したところ、高い資金調達を生む物語の構成は5つ見つかりました。同じ結果へ至る道が複数あるという結果です。型を1つに定める根拠を、この研究は示していません。
地域のことを語る意味はありますか
Kimmitt ほかの研究チームが、ガーナの新規ベンチャー10社を4年間追跡しています(2024、Journal of Management Studies 61巻3号1036〜1073頁)。起業家が場所を投影的・接続的・権威的に語ることは、将来の可能性、創業者への信頼性、事業の実現可能性という3種類の正統性を作っています。文脈への依存が高い研究ですが、地域に根ざした会社には使いやすい結果になります。
感情を込めて語るほうが、資金は集まりますか
集まるとはかぎりません。Naimi ほか(2023、International Journal of Entrepreneurial Behavior & Research 29巻3号、55か国・起業家2,098人)では、認知に訴える表現のほうが情動に訴える表現より多くの資源を引き寄せています。とくに否定的な感情の語は、資源の獲得に不利に働いています。
熱意ある話し方は、事業の質を示しますか
示しません。Hu & Ma (2025、Journal of Finance 80巻5号2639〜2688頁)が創業者のピッチ動画1,139本を分析したところ、肯定性が1標準偏差高いと資金提供の確率は3ポイント上昇(基準から35.2%増)していました。一方で、肯定性が高かった企業ほど資金獲得後の雇用や出口の成果は低調です。研究チームの実験は、この原因が投資家の側の不正確な信念形成にあることを示しています。
出典
Anglin, A. H., Reid, S. W., & Short, J. C. (2023). “More Than One Way to Tell a Story: A Configurational Approach to Storytelling in Crowdfunding.” *Entrepreneurship Theory and Practice*, 47(2), 461–494. Kickstarter キャンペーン359件を fsQCA で分析。高い資金調達を生む物語の構成が5つ、等価な経路が複数存在する https://doi.org/10.1177/10422587221082679
Kimmitt, J., Kibler, E., Schildt, H., & Oinas, P. (2024). “Place in Entrepreneurial Storytelling: A Study of Cultural Entrepreneurship in a Deprived Context.” *Journal of Management Studies*, 61(3), 1036–1073. ガーナ・カソアの新規ベンチャー10社、4年間の縦断的質的研究。場所を投影的・接続的・権威的に語ることが、創業者への信頼性・事業実現可能性・将来可能性という3種類の正統性を作る https://doi.org/10.1111/joms.12912
Moradi, M., Dass, M., Arnett, D., & Badrinarayanan, V. (2024). “The time-varying effects of rhetorical signals in crowdfunding campaigns.” *Journal of the Academy of Marketing Science*, 52, 370–398. Kickstarter 報酬型1,245件、LIWC と functional data analysis。感情トーンと認知トーンは初期、共同体的言語と言語スタイル一致は後期で強い。既存支援者数が効果を増幅 https://doi.org/10.1007/s11747-023-00943-5
Naimi, …, Arenas, D., Kickul, J., & Awan, U. (2023). “Too emotional to succeed: entrepreneurial narratives in a prosocial setting.” *International Journal of Entrepreneurial Behavior & Research*, 29(3), 687–706. 55か国・起業家2,098人。認知的訴求は情動的訴求より多くの資源を引き付け、ネガティブ感情語は資源獲得に不利 https://doi.org/10.1108/IJEBR-11-2020-0800
Rittstieg, M. (2022). “Convincing investors: A study of personal, adapted storytelling and strategic behavior in entrepreneurial fundraising.” *Junior Management Science*, 7(5), 1193–1223. 資金調達経験を語る起業家15人の帰納的定性研究。一貫した個人史が創業者のコミットメントを理解可能にし、情緒的関与と信頼を生む https://doi.org/10.5282/jums/v7i5pp1193-1223
Hu, A., & Ma, S. (2025). “Persuading Investors: A Video-Based Study.” *Journal of Finance*, 80(5), 2639–2688. 米国主要アクセラレーター5社、2010〜2019年の創業者ピッチ動画1,139本。肯定性が1標準偏差高いと資金提供確率が3ポイント上昇(基準から35.2%増)。一方で資金獲得後の雇用・後続VC・出口は低調 https://doi.org/10.1111/jofi.13471
Kolbe, M., Mansouri, S., & Momtaz, P. P. (2022). “Why do video pitches matter in crowdfunding?” *Journal of Economics and Business*, 122, 106081. ブロックチェーン型クラウドファンディングのピッチ動画分析。調達と結びついていたのは動画に含まれる情報の中身であり、音楽など非情報的要素は結びついていない https://doi.org/10.1016/j.jeconbus.2022.106081