TikTokの利用者数や機能の増加だけを見て、自社の採用や販売にも役立つと判断していませんか?活用の判断には、市場の数字が示す範囲と、目的に合う機能を分けて捉える視点が必要です。
この記事では、目的別の評価、日本市場の読み方、進化の歴史、現在の仕様、成果を判断する際の注意点、活用範囲と社内体制について取り上げます。必要な作業を基に、社内で担う範囲と外部に依頼する範囲を分ける考え方もお伝えします。
この記事でわかること
情報発信と購買の接点としてTikTokを目的別に評価する考え方
利用者数・推定消費額・広告費を分けた日本市場の読み方
日本での開始から動画表現の拡張と購買機能の追加までの変遷
動画の上限と販売機能を確認し、社内で情報をそろえる手順
市場の成長や機能の変化と自社の成果を区別する考え方
活用目的と必要な作業に基づく社内体制・内製と外注の判断基準
目次
TikTokは情報発信と購買の接点として、目的別に評価する 日本市場は利用者数・消費額・広告費を分けて読む 2017年の日本開始から進んだ、表現の拡張と購買機能の追加 現在の仕様は、撮影方法と販売機能を分けて確認する 市場の成長を、自社の採用成果や売上の保証に置き換えない 活用範囲を決めてから、必要な社内体制を判断する まとめ この記事からわかるQ&A 引用・参考資料
TikTokは情報発信と購買の接点として、目的別に評価する
企業がTikTokを検討する際に先に決めるのは、届けたい相手、伝える内容、視聴後に取ってほしい行動です。市場規模を活用先の候補に入れるための参考情報とし、自社に合うかどうかは、目的や発信内容、利用できる機能から判断してください。
TikTokの進化を整理する軸は、動画で表現できる内容の拡張と、視聴後の行動をつなぐ機能の追加です。TikTokは2021年7月、レシピ、美容、教育などを表現するために長い動画を作りたいという声を受け、3分までの動画制作機能を提供すると発表しました。
投稿される内容は、教育やニュースなどの分野にも広がっています。TikTokが2025年11月の公式発表で触れたのは教育系コンテンツの広がりで、2026年6月の調査で上昇したと報告したクリエイターの投稿カテゴリは「ニュース・社会問題」「教育・学習」です。
企業はこうした変化を参考に、自社が伝えたい内容を動画で説明できるか検討できます。採用広報では職場や仕事、認知拡大では製品やサービスについて、視聴者に何を理解してほしいかを具体的に決めてください。
購買につなげたい企業には、TikTok Shopという選択肢も加わりました。TikTokが2025年6月の提供開始発表で「ディスカバリーEコマース」と位置づけたのは、視聴者が動画やLIVE配信で商品を発見し、その場で購入する体験です。
採用情報を伝えたい企業と商品を販売したい企業では、必要な機能が異なります。まず担当者は自社の活用目的を決め、その目的に必要な機能、情報、体制を確認してください。
日本市場は利用者数・消費額・広告費を分けて読む
日本市場を検討する担当者は、利用者数、TikTokをきっかけとした推定消費額、広告費を別々に確認してください。それぞれが示すのは、利用者の規模、消費への関わり、広告市場の動きです。同じ意味の数字として扱った場合、担当者は市場の規模や自社の活用可能性を誤って判断しやすくなります。
利用者数は、集計対象と基準時点を確認する
TikTokの2026年6月発表によると、2026年5月末時点の日本の月間アクティブユーザー数は約4,950万人です。同社は自社調べとして、TikTokとTikTok Liteのユーザー数を合計し、重複を除いた数字と説明しています。
同社が2025年11月に発表した数字は4,200万人超です。記事や提案資料で引用する際は、担当者が数字とともに基準時点、発表年月、集計範囲を残してください。全国の利用者数と、自社が届けたい地域・職種・購買層の人数は、分けて考えるべき情報です。
推定消費額は、調査にもとづく市場の参考値
TikTokは2026年6月、2025年の利用を通じて発生した国内推定消費額を3,468億円と発表し、前年の2,375億円から46%増と説明しています。マクロミルグループへの委託調査による数値で、対象期間は2025年1月から12月です。
担当者は、この推計値と、TikTok Shop内だけの売上や広告出稿によって得られる売上を区別してください。購買との関わりを検討するための参考値として使い、自社の販売計画は商品や運営条件を踏まえて別に組み立てる必要があります。
広告費は、TikTok単独と市場全体を区別する
CARTA HOLDINGS、電通、電通デジタル、セプテーニが2026年3月に発表した詳細分析では、2025年の国内ソーシャル広告費は1兆3,067億円、動画広告費は1兆275億円です。同資料では、SNS上の縦型動画広告の伸長も説明されています。
これらは複数のサービスを含む市場全体の数字です。ソーシャル広告と動画広告は分類の軸が異なるため、担当者は単純な合算を避けてください。同資料にTikTok単独の国内広告費の記載はなく、これらの数字をTikTok単独の金額として引用することはできません。
TikTokは2025年11月に国内広告出稿企業数48万社超を自社調べとして公表し、2026年6月の同調査では国内クリエイター数を235万人と推計しています。どちらも企業の利用や創作活動の規模を示す参考値です。
2017年の日本開始から進んだ、表現の拡張と購買機能の追加
日本でのTikTokの歴史を整理する主な節目は、2017年のサービス開始、2018年のmusical.lyとの統合、2021年の長尺動画への対応、2025年のTikTok Shop開始です。企業の担当者は各時点の流行に加え、動画で説明できる内容と、視聴後に促せる行動の変化を確認してください。
公式発表で確認できる主な出来事
時期 確認できる出来事 企業が見るポイント 2017年 TikTokの2022年7月の5周年発表によると、日本でのサービス開始は2017年です。 日本での利用の歴史を捉える起点として確認してください。 2018年8月 TikTokは2018年8月の公式発表で、musical.lyとの統合を公表しました。 既存の両サービスを統合し、利用地域とネットワークを広げた出来事です。 2021年7月 TikTokは同月の公式発表で、3分までの動画を撮影・アップロード・編集できる機能の提供を発表しました。 レシピや教育など、説明量を必要とする表現への対応です。 2025年6月 TikTokは同月の公式発表で、日本でのTikTok Shopの提供開始を公表しました。 視聴者が動画やLIVEで商品を発見し、アプリ内で購入するための機能です。 2025年11月 TikTokが同月に発表した国内月間アクティブユーザー数は4,200万人超です。 TikTok Liteを含む利用者数として読みます。 2026年6月 TikTokは同月、国内月間アクティブユーザー数約4,950万人と、2025年の経済的・社会的影響の調査を公表しました。 市場の現状を過去の数字と比較するための資料です。 2026年7月 TikTokは同月、日本でのTikTok Shop提供開始から1年の利用動向を発表しました。 提供開始の機能説明に加え、国内での利用状況を把握するための資料です。
長尺化は、説明できる内容を広げる変化
2021年7月の同発表でTikTokが紹介したのは、料理、美容、教育などを表現する際に、もう少し長い動画を作りたいというクリエイターの声です。長尺化によって、クリエイターは複数の動画に分けて説明していた内容を、一つの動画で扱える範囲が広がりました。
企業がこの変化を活用する際に先に考えるのは、動画の長さよりも、説明する必要がある内容です。製品紹介や企業文化の発信でも、担当者は伝える内容の量と、視聴者が理解するための順序を整理して判断してください。
購買機能の追加で増えた、視聴後の接点
2025年6月30日のTikTok Shop開始により、日本でも視聴者が動画やLIVE配信を通じて商品を発見し、アプリ内で購入する仕組みが加わりました。同月の公式発表で紹介された機能は、ショッピング動画、ショッピングLIVE、商品ショーケースなどです。
TikTokの2026年7月の1周年発表では、国内での利用動向が報告されています。企業の担当者は、開始時の機能説明と開始後の利用状況を分けて読み、提供された機能と実際の使われ方を整理してください。
これらの変化から読み取れるのは、動画で表現できる内容と、視聴後に促せる行動の選択肢が広がっている点です。この記事では将来展望の詳細と論点を分け、企業の担当者がこれまでの変化を自社の目的に照らして評価するための情報を整理しています。
現在の仕様は、撮影方法と販売機能を分けて確認する
現在の機能を検討する担当者は、過去の発表と、最新のヘルプに記載された仕様を分けて確認してください。動画の長さは撮影とアップロードで異なり、TikTok Shopの利用には情報発信に加えて販売の準備が必要です。
工程1:動画の上限を、作成方法ごとに確認する
TikTok Help Centerの英語版ヘルプによると、2026年10月確認時点で、アプリ内で撮影する動画は最大10分、アップロードする動画は最大60分です。ページには発表・更新年月の表示がありません。
動画の作成方法 公式ヘルプの案内 企画前に確認すること TikTokアプリ内で撮影 最大10分です。 制作担当者は撮影画面で選べる長さを確認してください。 作成した動画をアップロード 最大60分です。 制作担当者は使用する投稿方法で受け付けられるか確認してください。 録画・アップロード前に音源を選択 音源の長さによって動画の長さが決まると説明されています。 使用音源と必要な動画尺の照合が確認事項です。
上限は制作できる長さの制限で、企画に適した長さとは別の判断事項です。まず制作担当者は使用する投稿方法を確認し、次に企画担当者は伝える内容と視聴の流れに合わせて必要な説明量を整理してください。
工程2:販売を行う場合だけ、TikTok Shopの役割を確認する
TikTok Shopは、視聴者が動画やLIVEで商品に出会い、そのままアプリ内で購入するためのEC機能です。TikTokは2025年6月の提供開始発表で、この体験を「ディスカバリーEコマース」と説明し、2026年7月の同資料でも国内での利用状況を報告しています。
同発表で説明されているのは、販売者が動画で商品の特徴を実演する方法、LIVEで紹介しながら質問に答える方法、視聴者がプロフィールの商品一覧から購入する方法です。商品の特徴をどのように説明するかに合わせて、販売者は必要な動画やLIVE、質問への対応を検討してください。
開始時の発表には段階的な提供予定も含まれていました。過去の予定と現在の仕様を区別するため、担当者が確認する対象は、現行の案内と自社アカウントでの利用可否です。
工程3:社内で目的、使用機能、確認結果をそろえる
社内検討で最初に整理する情報は、活用目的と視聴後に取ってほしい行動です。検討担当者がこの二つを整理したうえで、制作に関わる人が撮影・投稿方法を確認してください。商品販売を扱う企業では、ECの担当者も機能の確認に加わり、判断に使った資料に対象時点と確認日を残す必要があります。
準備する情報は、目的、届けたい相手、伝える内容、使用する機能、担当する部署です。担当者は仕様の確認を終えてから制作条件を決め、現在の動画上限と販売機能の利用範囲に合った準備を進めてください。
市場の成長を、自社の採用成果や売上の保証に置き換えない
市場の成長は、企業がTikTokを活用先として検討するための参考情報です。自社の採用や販売の成果については、担当者が対象者、発信内容、視聴後の行動を踏まえて判断してください。数字が測っている範囲、社内で期待する成果、実際に確認できる成果は、それぞれ分けて整理する必要があります。
利用者数を、そのまま到達人数として扱わない
約4,950万人という数字は、TikTokとTikTok Liteを合計し、重複を除いた日本の月間アクティブユーザー数です。TikTokは2026年6月の同発表で、2026年5月末時点の自社調べと注記しています。
社内資料にこの数字だけを大きく示した場合、読み手は自社の動画も同じ規模の人に届くと期待しやすくなります。担当者は引用欄に集計範囲を併記し、自社が届けたい地域や関心との適合を別の確認項目にしてください。
推定消費額を、TikTok Shopの売上として引用しない
2025年の推定消費額3,468億円は、TikTokの利用を通じて発生した消費についての推計です。TikTokは2026年6月の同発表で、マクロミルグループへの委託調査にもとづく経済的・社会的影響の一部として公表しています。
この数字をTikTok Shopの流通総額と説明した場合、資料の読み手に伝わる数値の範囲が変わります。担当者は「TikTokの利用を通じて発生した国内推定消費額」と表記し、Shop内の取引を説明する際にはShopについての資料を使ってください。
広告市場の数字を、自社の必要予算に換算しない
CARTA HOLDINGS、電通、電通デジタル、セプテーニが2026年3月に発表した資料にある国内広告市場の規模は、媒体社へのアンケート、追加ヒアリング、データ収集などにもとづく推定値です。企業の担当者は、この資料でソーシャル広告や動画広告の成長を把握できますが、個社の必要予算を算出する用途には使えません。
自社の予算を検討する担当者は、何を伝えるか、どこまで制作・運用するかを先に決め、その範囲に必要な費用を確認してください。市場全体の金額と自社の施策を分けて考えることが、予算検討の基本です。広告メニューの詳細は、この記事の対象から外しています。
長尺化や購買機能から、成果を断定しない
動画の上限拡張は、企業が選べる動画の長さを広げる変化です。企画担当者は、伝える内容と視聴の流れに合わせて長さを判断してください。購買機能についても、機能の有無と個々の商品で得られる販売成果は別の判断事項です。
社内の期待を調整する際は、担当者が市場の数字と、その数字が示す範囲をセットで説明してください。「TikTokに利用者がいること」と「自社の発信内容が目的に合うこと」は別の判断事項です。担当者は、今回の発信で何を確かめるかを社内で共有する必要があります。
活用範囲を決めてから、必要な社内体制を判断する
社内で必要な体制を判断する基準は、採用や認知拡大の情報発信まで行うか、来店や商品購入まで扱うかです。まず検討担当者はTikTokの活用目的を決め、その範囲で素材の準備、内容の確認、投稿後の対応を誰が担うか整理してください。
採用・認知は、理解してもらう内容を先に決める
採用広報で視聴者に理解してほしいのは職場の雰囲気や仕事の内容で、認知拡大では製品・サービスや企業文化です。担当者は、短い動画で説明する内容と、詳しい情報を確認してもらう場所を分けて決めてください。
ユーザー層の年代別の詳細は別の記事で扱います。この記事の市場規模に加えて検討する情報は、届けたい人に必要な内容と、視聴後に確認してほしい情報です。
店舗集客・ECは、来店とアプリ内購入を分ける
店舗への来店と、TikTok Shopでの商品購入では、視聴者に取ってほしい行動が異なります。担当者は動画で商品やサービスについて説明する内容を整理し、購入・利用してもらう場所と、販売機能を使うかどうかを決めてください。
TikTok Shopを検討する企業には、情報発信に加えて商品販売を扱う体制が必要です。検討担当者は、動画やLIVEの制作担当者と、商品情報や販売に関わる担当者が一緒に確認できる場を設け、発信の方針と販売の準備をそろえてください。
分担の判断は、必要な作業が見えてから進める
検討担当者は先に活用範囲を決め、次の項目に沿って各担当者の役割を整理してください。担当者が決まらない項目が残った場合、検討担当者が見直すのは活用範囲か分担方法です。
発信する内容を決め、企業として確認する人は誰か。
動画に必要な素材や商品情報を準備できるか。
投稿後の反応や質問を、誰が確認するか。
商品販売を扱う場合、販売側の担当者が加われるか。
内製・外注の詳細を検討するための材料は、決めた作業範囲と社内の対応力です。まず担当者は目的に必要な仕事を整理し、その結果を運用体制の判断に使ってください。
まとめ
TikTokの導入を判断する前に、検討担当者は社内で「誰に、何を伝え、視聴後にどう行動してほしいか」を一文にまとめてください。その一文は、採用・認知の情報発信から始めるか、来店や商品購入まで検討するかを判断する基準です。
判断に使う条件は、対象者との接点、動画で説明したい内容、販売を扱う必要性、社内で担える作業です。目的の変更に応じて、検討担当者は使用する機能と担当者を見直し、必要な範囲を選んでください。
次に確認する情報は、使用する機能の現行仕様と、社内の担当範囲です。担当者は市場資料に発表年月と集計条件を残し、仕様には確認日を添えてください。情報の更新時にこの二つを見直すことで、担当者は最新の情報にもとづいて検討を続けられます。
この記事からわかるQ&A
日本の利用者約4,950万人は、TikTok単体の人数ですか?
約4,950万人は、TikTokとTikTok Liteのユーザー数を合計し、重複を除いた人数です。TikTokは2026年6月に公表した資料で、2026年5月末時点の月間アクティブユーザー数として、自社調べにもとづくこの数字を示しています。引用する担当者は、基準時点や集計範囲とともに、自社調べという条件も記載してください。 この数字の用途は、全国の市場規模を把握することです。担当者は、自社の採用対象者や商圏内の利用者との適合を別に確認してください。
TikTokだけの日本国内広告費は分かりますか?
CARTA HOLDINGS、電通、電通デジタル、セプテーニが2026年3月に発表した国内広告費の資料で示しているのは、複数のサービスを含む市場全体の規模です。この資料にはTikTok単独の国内広告費の記載がないため、企業の担当者は市場全体の数字とTikTok単独の金額を区別して扱う必要があります。 広告出稿企業数も広告費とは異なる指標です。担当者は企業数と出稿総額、自社の必要予算を分けて扱い、資料には「何を数えた数字か」を残してください。
最大60分まで投稿できるなら、企業も長い動画を作るべきですか?
TikTok Help Centerの英語版ヘルプによると、2026年10月確認時点で、アプリ内撮影は最大10分、アップロードは最大60分です。企画担当者は、この上限と企画に適した長さを分けて判断してください。ページには発表・更新年月の表示がありません。 必要な説明を一つの動画にまとめるか、内容を分けるかは、企画に応じた判断事項です。制作担当者は、録画・アップロード前に選ぶ音源の長さが動画尺に影響する点も確認してください。
採用や会社の認知拡大にも、TikTok Shopは必要ですか?
採用や会社の認知拡大を目的とする企業は、動画による情報発信から検討してください。TikTok Shopは、視聴者が動画やLIVEを通じて商品を発見し、アプリ内で購入するためのEC機能です。 商品販売も目的に含める企業では、検討担当者が販売側の担当者と利用範囲を整理する必要があります。来店を促したい企業も、来店とアプリ内購入を分け、それぞれの行動につなげるために説明する内容を決めてください。
「TikTok売れ」は、TikTok Shop内の売上を指しますか?
TikTokが2026年6月に公表した推定消費額3,468億円は、2025年のTikTok利用を通じて発生した消費についての推計です。このコラムでは、この数字が示すTikTokをきっかけとした購買と、TikTok Shop内の取引を分けて扱います。 担当者は、その金額を「TikTokの利用を通じて発生した国内推定消費額」と表記してください。「TikTok売れ」という言葉を使う際に明確にする点は、アプリ内購入を指すのか、外部での購入を含むのかという範囲です。
引用・参考資料