TikTok採用とは?基礎と始め方

この記事でわかること
- TikTok採用の定義と、従来の求人広告との違い
- Z世代がTikTokで企業情報を収集している実態
- TikTok採用のメリットと、知っておくべき限界
- 自社で始めるための具体的な3ステップ
「求人広告を出しても応募が来ない」「若手人材の採用に苦戦している」——こうした声が中小企業から多く聞かれます。
有効求人倍率が1.26倍を超える現在の採用市場では、従来の求人広告だけでは人材確保が難しくなっています。そこで注目を集めているのが、TikTokを活用した採用活動です。
Z世代の就活生の81%が企業のTikTok動画を視聴した経験があり、そのうち66.2%が実際にエントリーしたという調査結果もあります(StockSun調査、2024年)。短尺動画というフォーマットが、若年層の情報収集スタイルに合致しているためです。
本記事では、TikTok採用の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、実際に始めるためのステップまでを解説します。
TikTok採用とは何か?
定義と基本的な仕組み
TikTok採用とは、短尺動画プラットフォーム「TikTok」を活用して、企業の認知向上や求職者からの応募促進を図る採用手法を指します。
具体的には、15秒から1分程度の縦型動画を通じて、企業の日常風景や社員の素顔、職場の雰囲気などを発信します。求人票では伝わりにくい「働く環境のリアル」を視覚的に届けることで、求職者との距離を縮めることが目的です。
TikTokの特徴的なアルゴリズムにより、フォロワー数が少ないアカウントでも、コンテンツの質が高ければ多くのユーザーに表示される可能性があります。これは知名度の低い中小企業にとって、大きなメリットとなります。
従来の求人広告との違いは?
TikTok採用と従来の求人広告には、いくつかの根本的な違いがあります。
情報の届け方
求人広告は、求職者が「仕事を探している」タイミングでアクセスするプル型のメディアです。一方、TikTokは日常的にコンテンツを楽しんでいるユーザーの目に触れるプッシュ型。「今すぐ転職を考えていない」潜在層にもアプローチできる点が異なります。
伝えられる情報の質
求人広告は主にテキストと静止画で構成されるため、給与や勤務条件といった定量的な情報が中心となります。TikTokでは動画という形式を活かし、社員の表情、オフィスの雰囲気、仕事中のやり取りなど、文字では伝わりにくい「空気感」を届けることができます。
株式会社Suneightの調査(2023年)によると、TikTokを採用活動に活用している人事担当者の57.9%が「文字や画像よりも強みが伝わりやすい」、36.4%が「文字や画像よりも雰囲気が伝わりやすい」と回答しています。
比較されにくい環境
求人媒体では、同じページに複数の企業が並び、年収や待遇が直接比較されます。TikTokでは1つの画面に1つの動画しか表示されないため、自社のコンテンツに集中してもらえる環境があります。
なぜ今、TikTok採用が注目されているのか?
Z世代の情報収集スタイルの変化
TikTok採用が注目される背景には、若年層の情報収集方法の変化があります。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、10代のTikTok利用率は約4割に達しており、2019年の14.6%から毎年大きく伸びています。大学生の82%が毎日TikTokを利用し、そのうち30%は1日1時間以上視聴しているというデータもあります。
就活生を対象とした調査では、約6割がSNSで企業情報を収集していることが明らかになっています。特に「社員の雰囲気」「1日の仕事の流れ」「人間関係」といった、求人票には載りにくい情報を求める傾向が見られます。
こうした背景から、Z世代にリーチするためのチャネルとして、TikTokの重要性が高まっています。
採用コストの削減効果
TikTok採用に取り組む企業からは、コスト面での効果を実感する声も上がっています。
前述のSuneight調査では、TikTokを活用し始めてから47.6%の企業が「3ヶ月以内に採用単価が求人広告運用時より低くなった」と回答。TikTokと求人広告での採用者比率を比較すると、TikTok経由が44.2%、求人広告経由が37.8%という結果も報告されています。
新卒採用1人あたりの平均コストは約90万円といわれる中、アカウント開設・運用が無料のTikTokは、コスト効率の高い採用チャネルとして期待されています。
TikTok採用で実現できること
企業の「素顔」を伝えられる
TikTok採用の最大の強みは、企業文化や職場の雰囲気を動画で直接伝えられる点にあります。
社員同士のコミュニケーション、オフィスの日常風景、仕事中の真剣な表情——こうした「リアル」は、テキストや写真だけでは表現しきれません。動画という形式により、求職者は「この会社で働く自分」をイメージしやすくなります。
調査によると、TikTokで企業情報を収集する学生の45.3%が「社員コミュニケーションの様子」、40.7%が「実際の仕事の様子がわかるコンテンツ」に関心を示しています。
潜在層へのアプローチが可能
TikTokのレコメンドアルゴリズムは、ユーザーの興味関心に基づいてコンテンツを表示します。そのため、「今すぐ転職を考えていない」「就活はまだ先」という潜在層にも、自然な形で企業の存在を知ってもらう機会が生まれます。
従来の求人広告は、求職活動中の顕在層にしかリーチできませんでした。TikTokを活用することで、早い段階から企業への認知と好感を醸成し、将来の応募につなげるという戦略が可能になります。
入社後のミスマッチを防ぐ
採用動画を通じて職場のリアルな姿を見せることで、入社前後のギャップを減らす効果も期待できます。
求職者は動画を見て「自分に合いそうか」を事前に判断できるため、カルチャーフィットしない人材からの応募が減り、結果として採用の質が向上する可能性があります。ただし、ポジティブな面だけを強調しすぎると、逆にミスマッチを招くリスクもある点には注意が必要です。
TikTok採用の限界と注意点
TikTok採用にはメリットがある一方で、導入前に理解しておくべき限界もあります。
即効性は期待できない
TikTokで採用成果を出すには、一定の時間が必要です。
アカウントを開設してすぐにバズることは稀であり、フォロワーを増やし、企業の認知度を高め、最終的に応募につなげるまでには、半年から1年程度の継続的な運用が求められます。「すぐに人を採用したい」という短期的なニーズには向いていません。
また、投稿を続けながら「どのような動画が視聴者の関心を引くか」を試行錯誤する必要があり、PDCAを回す運用工数も発生します。
すべての採用ターゲットに適しているわけではない
TikTokのユーザー層は10代〜20代が中心であり、30代以上の経験者採用をメインターゲットとする場合、効果は限定的になる可能性があります。
また、TikTokで好まれるのはエンタメ性のあるコンテンツです。業種や企業文化によっては、「ユーモアのある動画を作ること自体が難しい」というケースも考えられます。
炎上リスクへの備えが必要
TikTokは拡散力が高い分、不適切な内容が炎上につながるリスクも存在します。
「注目を集めようとして行き過ぎた企画を実施した」「社員の発言が視聴者の反感を買った」といったケースでは、採用どころか企業イメージの毀損につながりかねません。投稿前の社内チェック体制を整え、運用ルールを明確にしておくことが重要です。
TikTok採用を始めるための3ステップ
実際にTikTok採用を始める場合、以下のステップで進めることをお勧めします。
ステップ1:目的を明確にする
まず、TikTokを活用して何を達成したいのかを明確にします。
- 認知向上:企業の存在を知ってもらい、将来の応募につなげる
- 応募促進:特定の職種への応募数を増やす
- 企業文化の発信:社風や働き方を伝え、カルチャーフィットする人材を集める
目的によって、発信すべきコンテンツの方向性や評価指標(KPI)が変わります。「とりあえず始める」のではなく、ゴールを設定した上で運用計画を立てましょう。
ステップ2:体制を整える
TikTok運用には、継続的なコンテンツ制作と投稿が必要です。
担当者を決め、週に1〜3回程度の投稿ペースを維持できる体制を構築します。動画の企画・撮影・編集を1人で行うのは負担が大きいため、可能であれば複数名で分担することが望ましいです。
また、炎上リスクを防ぐため、投稿前に内容をダブルチェックする仕組みも設けましょう。
現場社員の協力も重要です。人事担当者だけが登場する動画よりも、さまざまな部署の社員が出演する動画のほうが、職場のリアルな雰囲気を伝えやすくなります。
ステップ3:アカウントを開設し、運用を開始する
TikTokアプリをダウンロードし、ビジネスアカウントを作成します。
プロフィールには企業名、事業内容、採用情報へのリンクなどを記載。視聴者が「もっと知りたい」と思ったときに、すぐに企業情報にアクセスできる導線を用意しておくことが大切です。
最初の投稿では完璧を目指す必要はありません。まずはスマートフォンで撮影した簡単な動画から始め、視聴者の反応を見ながら改善していくアプローチが現実的です。
人気のハッシュタグや音源を活用すると、より多くのユーザーの目に触れやすくなります。「#採用」「#会社紹介」「#就活」などのタグに加え、業界特有のタグも検討してみてください。
まとめ
TikTok採用は、短尺動画を通じて企業の魅力を発信し、若年層の求職者にリーチする採用手法です。
従来の求人広告では伝えきれなかった「職場の雰囲気」や「社員の人柄」を動画で届けることで、求職者との心理的な距離を縮め、応募や入社後の定着につなげる効果が期待できます。
一方で、成果が出るまでには時間がかかること、ターゲット層や企業文化によっては向き不向きがあること、炎上リスクへの備えが必要なことも事実です。
まずは自社の採用課題と照らし合わせ、TikTokが適切なチャネルかどうかを検討してみてください。導入を決めた場合は、目的を明確にし、継続できる体制を整えた上で、小さく始めることをお勧めします。
この記事からわかるQ&A
TikTok採用は本当に応募につながりますか?
StockSunの調査によると、Z世代就活生の81%が企業のTikTok動画を視聴した経験があり、そのうち66.2%が実際にエントリーしています。TikTok経由での応募は一定数期待できますが、成果が出るまでに半年から1年程度の継続的な運用が必要です。
求人広告と比べて、どのようなメリットがありますか?
Suneightの調査では、TikTok活用企業の57.9%が「文字や画像よりも強みが伝わりやすい」、36.4%が「雰囲気が伝わりやすい」と回答しています。また、47.6%の企業が3ヶ月以内に採用単価が低下したと報告しており、コスト面でのメリットも期待できます。
TikTok採用が向いていない企業はありますか?
採用ターゲットが30代以上の経験者中心の場合や、エンタメ性のあるコンテンツを制作することが企業文化に合わない場合は、効果が限定的になる可能性があります。自社のターゲット層とTikTokのユーザー層が合致しているかを事前に確認することをお勧めします。
炎上リスクにはどう対応すればよいですか?
投稿前に複数人でダブルチェックする体制を整え、運用ルールを明確にしておくことが重要です。「バズを狙って行き過ぎた企画を実施しない」「社員の発言内容を事前に確認する」など、リスクを未然に防ぐ仕組みを構築しましょう。
どのくらいの頻度で投稿すればよいですか?
週に1〜3回程度の投稿ペースが目安です。認知を高めるには定期的な投稿の継続が必要ですが、質を維持できる範囲で無理のないペースを設定することが大切です。
引用・参考資料
- StockSun株式会社「TikTok採用に関する調査」(2024年)
- 株式会社Suneight「TikTok採用に関する実態調査」(2023年1月)
- NTTドコモ モバイル社会研究所「SNS利用動向調査」(2022年)
- TikTok for Business「人材業界向けクリエイティブTips」(2023年6月)
- リクルート「就職白書2020」
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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