#04 インド人が言う「Win-Win」を信じてはいけない ── 契約書はラブレター、離婚条件まで書く国

今日のテーマは「インドビジネスにおける契約と”ウィンウィン”の本当の意味」です。 「契約書はラブレター」──インドでは離婚条件まで書き切るのが愛情。一方の日本はハンコ文化で、発注者有利の契約書が受注者を守らないまま通ってしまう。裁判所の準拠地、支払い遅延時の延滞利息、解除条件……海外取引で譲ってはいけないポイントを、インド駐在4年の内藤さんが現場経験から語ります。役職へのこだわり、ギブ&テイクの明確さ、量産直前の値上げ交渉まで、インド人の行動原理も含めて解説。
このエピソードで話していること
- ハンコ文化の日本と細かい契約文化のインド──契約書への向き合い方がまるで違う
- 「契約書はラブレター」──一緒にやっていくためのエンゲージメント
- 日本の契約書は発注者有利で受注者が訴えられない構造になりがち
- フェアな契約は「双方に」という書き出しから始まる
- 海外取引で最も見落とされる「裁判所の準拠地」──日本と書いていますか?
- 支払い遅延の延滞利息、契約解除条件──書いていないと守られない
- インドは役職へのこだわりが極めて強い──給料より昇格、タイトルで人生が決まる
- 転職文化が前提だから、前職のタイトルが次のサラリーレンジを決める
- インド人のギブ&テイクは明確──もらったら返す、なければ返さない
- 日本の「無償で助ける」文化とは違う、実利ベースのウィンウィン
- 量産直前の値上げ交渉──足元を見られないための相見積もり運用
- フランスの結婚観に近い契約観──離婚条件を決めておくのが愛情
- 譲ってはいけない3点:裁判所、支払条件、解除条件
- 来週は「調達という仕事の重要性」──アイシン・KPMGの現場経験から
こんな方におすすめ
- インドとの契約・取引をこれから本格化させたい経営者
- 海外企業との契約書レビューに不安がある方
- インド人スタッフのマネジメントや評価制度に悩んでいる方
- サプライチェーン・調達交渉の基礎を学びたい方
- 国際契約の「譲れないポイント」を押さえておきたい方
この記事からわかるQ&A
「契約書はラブレター」とはどういう意味ですか?
内藤さんは「これから一緒に結婚しましょう、というエンゲージメントが契約書だ」と語っています。うまくいっている時の利益配分だけでなく、うまくいかなかった時にどう"離婚"するかまでしっかり決めておくのが、お互いを守る本当の愛情。インドではこれを徹底するのが当たり前で、「今が盛り上がっている時にしかできない話」だからこそ契約段階で書き切るのだと強調されています。
インドとの契約で絶対に譲ってはいけないポイントは何ですか?
内藤さんが挙げたのは3点。①裁判所の準拠地──海外で裁判になると日本人にはほぼ勝ち目がないため、どちらの国でもできる形にするのが基本線。②支払い条件──キャッシュは命綱なので、自分たちが不利にならない条件交渉が不可欠。③契約解除条件──どういう条件で離婚できるかを明確にしておかないと、関係悪化時に「お前が来い」の不毛なやり取りで互いが身動きできなくなると語られています。
インド人はなぜそんなに役職(タイトル)にこだわるのですか?
内藤さんによると、インドは転職文化が前提のため、前職のタイトルが次の会社でのサラリーレンジを決めるからです。つまり金額より役職が先に付いてきて、金額はその後。現場でも「給料変わらなくていいから役職だけ上げてくれ」という声があるほど。マネジメント側は給料改定ではなくタイトル昇格を明確な目標として提示することで、相手のモチベーションとコミットを引き出せます。
インドの「ギブ&テイク」は日本とどう違うのですか?
内藤さんは「日本は無償で助けてもなんとなくでしか返ってこないが、インドはもらったら絶対返す、もらえなければ返さない」と語ります。ドライと言えばドライですが、分かりやすい。だからウィンウィンを作るには、まずこちらから与える→相手がギフトを感じる→相手が返してくれる、というステップが明確に存在する。定性的な友情ではなく、実利ベースで積み上がるのがインド流です。
量産直前に値上げを要求されるという話は本当ですか?
本当にあると内藤さんは証言します。金型も作り、材料も買い、あと1ヶ月で量産というタイミングで「この金額にしなければ生産しない」と足元を見てくる──これはインドに限らずよくある交渉戦術。対策として、相見積もり禁止ではなく期限内の相見積もりを許可する、理屈に合わない値上げは分面上認めないよう契約条項で先に定めておく、外部要因による価格変動は上下どちらも反映する、といった運用が有効だと紹介されています。
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番組情報
ガンジス川でスクロール〜日本人がインドで失敗する方法〜
アイシンで12年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。
メインMC

内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。
番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。
kenji.naito@minari-partners.co.jp
制作
アストライド-Astride-(https://www.ast-ride.com)
サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈
カバーデザイン
みなりパートナーズ株式会社
※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。
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