#07 タイ語を筆で書くということ ── 日タイ書アートのクロスカルチャー

今日のテーマは「タイ語を筆で書くということ──日タイ書アートのクロスカルチャー」です。 前回に続きタイのデザイナー・ベンジー、そして新ゲストに書家・増田海音(ますだみおん)を迎え、4月に実施した日タイのコラボ動画撮影を振り返ります。和紙に筆でタイ語を書くという初の挑戦、完璧主義のタイのアートとワビサビの日本のアートの違い、書道は一発勝負という覚悟、そして母語じゃないと消せない違和感をどう扱うか──言葉と造形が交わる現場から、異文化コラボの本質が見えてきます。
このエピソードで話していること
- 前回に続きタイのデザイナー・ベンジー、新ゲストに書家の増田海音(ますだみおん)が登場
- どちらもみなりパートナーズに参画している国内外のクリエイター
- 4月に2人のコラボ動画撮影を実施、桜と蓮(ロータス)を花テーマに
- 国内外デザイナーの社会価値向上というみなりパートナーズのビジョン
- 和紙を選んだことで筆を使うことが規定路線に、ベンジーには筆で初挑戦してもらう
- タイ語には「下から上」への筆使いが存在せず、筆との相性は本来悪い
- 完璧主義のタイのアートと、ワビサビを許容する日本のアートの根本的な違い
- ベンジーの感想:手が震えたが集中して時間も寒さも忘れた
- 増田さん曰く「上手な誤魔化し方も実力の範囲内」、ポジティブが書家の必須スキル
- 書道は一発勝負、練習で本番の実力を発揮できるかが問われる
- 「ご祝儀袋ちょっと書いて」問題──書道へのリスペクト欠如
- 増田さんの専門は平安時代のかな文字、文字と言葉の発生の関係から書を捉える
- 他言語を学ぶことで文化の感覚や視点が変わるというベンジーの気づき
- 母語の重要性──違和感のないデザインは母語話者にしか作れない
- あえて違和感を活用する選択肢、母語と非母語の使い分け戦略
こんな方におすすめ
- 国内外のクリエイターとのコラボレーションに関心がある
- 異文化のデザイン・アートに触れたい経営者やビジネスマン
- 書道やタイポグラフィーの本質的な価値を知りたい
- 優秀なクリエイターを正当に評価する仕組みづくりに興味がある
- 海外展開で「文字・デザインの違和感」に直面している
この記事からわかるQ&A
今回のコラボ動画はどういう企画だったのですか?
4月に内藤さんが代表を務めるみなりパートナーズが、参画クリエイターであるタイのデザイナー・ベンジーと書家・増田海音(ますだみおん)の2人によるコラボ動画を撮影した企画です。それぞれの国を象徴する花──日本は桜、タイは蓮(ロータス)──をテーマに、書道で使う和紙の上に筆で表現するという二連の作品を制作しました。みなりパートナーズが掲げる「国内外のデザイナー・イラストレーターの社会価値向上」というビジョンを、リアルなアウトプットとして示すための取り組みだと内藤さんは語っています。
ベンジーが筆でタイ語を書くのはなぜ難しかったのですか?
タイ語には「下から上」への筆使いが存在せず、普段はフラットペンや手のペンで書くため、筆との相性が本来悪いからだとベンジー自身が説明しています。今回は和紙を使うことが先に決まったため、筆を使うのも規定路線となり、ベンジーにとっては全てが初めての挑戦でした。さらにタイのアートは「完璧なフォーマットを描いてから書く」のが基本である一方、日本のワビサビは完璧でなくてもよいという文化があり、その価値観の違いも難しさにつながったと語っています。
書家・増田さんの言う「上手な誤魔化し方も実力の範囲内」とはどういう意味ですか?
書道は基本的に一発勝負の世界で、本番で予期せぬことが起きた時にどう対応するかも実力のうち、という意味だと増田さんは語っています。例えば400字の文章をガラスに一発書きする仕事や、紙に「日々是好日」と5文字を書く仕事では、書く前に文字の配置やサイズを予測してから書き始め、入らなかった場合は一切考えないというマインドで臨むそうです。「うまくいかなかったらどうしよう」と囚われる人は書家に向かない──ポジティブが書家の必須スキルだと結論づけています。
増田さんが書道の領域で意識していることは何ですか?
増田さんの専門は平安時代のかな文字で、技術面だけでなく「言葉の意味と書をどう絡めて表現するか」にフォーカスを置いてきたと語っています。書道は本来、和歌の発生する文化と崩し文字が絡み合って生まれた表現であり、文字を上手に書くこと以上に言葉の意味との関係性が重要です。今回タイ語を書く場面では、「読めない・書けない」という状態で表面上だけ筆で書くことに違和感を覚え、無理して踏み込まず「現地の人に現地の言葉で書いてもらう」という線引きをしたとのこと。プロとしての判断基準が見えるエピソードでした。
このコラボから内藤さんが得た気づきは何ですか?
「母語の重要性」を改めて認識したと内藤さんは語っています。日本人は日本人を対象にした文体・文字を扱う方が違和感がなく、母語話者でないと違和感を消し切ることはできない。一方で、もし意図的に違和感を与えたいのであれば、日本語を学んだタイ人やタイ語を学んだ日本人がデザインを手がけることで、いい感じに違和感が出る──これは逆に使いようがあると指摘しています。狙いに合わせてどのアプローチを取るか、母語と非母語の使い分け戦略が異文化コラボでは重要だという結論です。
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番組情報
ガンジス川でスクロール〜日本人がインドで失敗する方法〜
アイシンで12年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。
メインMC

内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。
番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。
kenji.naito@minari-partners.co.jp
制作
アストライド-Astride-(https://www.ast-ride.com)
サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈
カバーデザイン
みなりパートナーズ株式会社
※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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