TikTokのトレンドと将来展望_2026年に向けて中小企業が押さえておくべきポイント

この記事でわかること
- 2025年から2026年にかけてのTikTokの主要トレンドと、企業活用における変化の方向性
- TikTok Shopの日本上陸がもたらす「ディスカバリーEコマース」の可能性
- 検索プラットフォームとしてのTikTokの台頭と、企業が取るべきSEO的アプローチ
- 米国の規制動向と日本への影響、企業として認識しておくべきリスク
- 競合プラットフォーム(Instagram Reels、YouTube Shorts)との関係と、使い分けの考え方
TikTokは急速に変化を続けるプラットフォームです。2025年にはTikTok Shopが日本に上陸し、EC連携が本格化。検索プラットフォームとしての機能強化や、AI活用の進展も加速しています。
一方で、米国における規制強化の動きや、プラットフォーム間競争の激化など、不確実な要素も増えています。こうした変化の中で、中小企業がTikTok活用をどう考えるべきか。2026年に向けたトレンドと、準備すべきポイントを整理しました。
なお、TikTokの歴史的な変遷については、「TikTokの歴史|ByteDanceの誕生からグローバルプラットフォームへの成長」で詳しく解説しています。
2025年から2026年にかけてのTikTokトレンドはどう変化しているのか?
月間利用者数4,200万人突破——日本でも「約3人に1人」が利用するプラットフォームへ
2025年、TikTokの国内月間アクティブユーザー数は4,200万人を突破しました。日本の人口に対して約3人に1人が利用する計算となり、もはやニッチなプラットフォームとは言えない規模に成長しています。
TikTok Year End Summit 2025(2025年11月27日開催)では、広告主総数48万超、登録クリエイター約226万人、クリエイター経済規模約1,197億円という数字が発表されました。企業活用の土台は、この1年で大きく整備されたといえます。
2026年の3つのキーワード——「ライブコマース」「フォトモード」「検索SEO」
株式会社コムニコの予測によると、2026年のTikTok企業活用において注目すべきキーワードは3つあります。
1つ目は「ライブコマース」。TikTok Shopの本格稼働に伴い、LIVE配信を活用した販促が企業のスタンダードになる見込みです。毎日のLIVE配信、クーポン配布などのLIVE限定施策が加速すると予測されています。
2つ目は「フォトモード」。静止画カルーセルで投稿できるこの機能は、動画制作のリソースが限られる中小企業にとって参入障壁を下げる役割を果たしています。動画が作れなくても、画像中心のコンテンツで存在感を示せる環境が整いつつあります。
3つ目は「検索SEO」。TikTok内検索が浸透する中、ハッシュタグだけでなく、動画内の音声(自動字幕)やテロップ、キャプションに含まれるキーワードがより検索アルゴリズムに影響するようになっています。検索流入を意識したコンテンツ設計が求められる時代です。
TikTok Shopは日本市場にどのような変化をもたらすのか?
2025年6月30日——日本上陸の意味
2025年6月30日、TikTok Shopが日本でサービスを開始しました。グローバルでは1,500万以上の販売事業者が参加しており、2024年のGMV(流通取引総額)は約326億ドル(約5兆円)を記録。過去最高を更新しています。
TikTok Shopの核心は「ディスカバリーEコマース」という概念です。従来のECが「欲しい商品を検索して購入する」モデルだったのに対し、TikTok Shopは「コンテンツを楽しんでいたら、気になる商品に出会って購入する」という流れを実現します。
主要機能——アプリ内で完結する購買体験
TikTok Shopは複数の機能で構成されています。
ショッパブル動画は、通常のショート動画にカート機能を付与したもの。視聴者は動画を見ながら、気になった商品をそのままカートに入れられます。
ライブコマースは、LIVE配信中に商品を紹介・販売する機能。リアルタイムのコミュニケーションを通じて購買を促進できる点が特徴です。
ショーケースは、プロフィールページに商品一覧を表示する機能。アカウントを訪れたユーザーに、取り扱い商品を一覧で見せることができます。
決済手段としてPayPay、クレジットカード、コンビニ決済に対応しており、アプリ内で購買が完結する設計となっています。
日本市場の課題と可能性
日本でのライブコマース普及は、中国や東南アジアと比較して遅れているのが実情です。ただし、Qoo10が2025年3月のライブコマースで初日7.3万件・4.2億円を達成するなど、成功事例も生まれ始めています。
NIQ/GfK調査によると、TikTok Shop体験者の82%が新ブランドを発見しており、他のSNSと比較して48%高い即購入率を示しています。コンテンツをきっかけとした「発見型」の購買行動が、日本でも定着する可能性は十分にあるといえます。
TikTokが「検索プラットフォーム」になりつつあるのはなぜか?
Z世代の検索行動変化——40%がTikTokを検索エンジンとして利用
米アドビが2024年1月に発表した調査によると、米国人の40%以上がTikTokを検索エンジンとして利用しています。Z世代に限ると64%がTikTokでの検索経験があり、約10%がGoogleよりもTikTokを優先して使っていると回答しました。
Google幹部も「若者の約40%がランチを探す際、GoogleやGoogleマップを使わず、TikTokやInstagramを使っている」と認めており、検索行動の変化は業界内でも広く認識されています。
日本でも、LINEリサーチ(2023年11月)によると女性10代の約5割がTikTok検索を利用しているという結果が出ています。
なぜTikTok検索が選ばれるのか
TikTokが検索に使われる理由は複数あります。
まず「動画で理解が早い」点。テキストを読むより、動画を見た方が情報をイメージしやすいという感覚が若年層を中心に広がっています。
次に「リアルな口コミ」。企業が作った広告よりも、一般ユーザーが投稿したレビュー動画の方が信頼できるという認識があります。
また「パーソナライズされたレコメンド」も大きな要因です。TikTokのアルゴリズムは、ユーザーの興味関心に基づいて最適な検索結果を表示するため、自分に合った情報が見つかりやすいと感じるユーザーが増えています。
企業が意識すべき「TikTok SEO」
この流れを踏まえると、企業は「TikTok内で検索されることを前提としたコンテンツ設計」を意識する必要があります。
具体的には、キャプションへのキーワード配置、テロップでの情報補足、動画内での音声(自動字幕化される)への配慮などが挙げられます。ハッシュタグだけでなく、コンテンツ全体で検索意図に応える設計が求められる時代に入っています。
誤情報リスクへの注意
一方で、TikTok検索には課題もあります。NewsGuard調査では、TikTok検索結果の5つに1つが誤情報を含むと指摘されています。アルゴリズムはエンゲージメントを重視するため、必ずしも正確な情報が上位に表示されるとは限りません。
企業としては、正確な情報発信を心がけることで、この「信頼性のギャップ」を埋める存在になれる可能性があります。
米国の規制動向は日本企業にどう影響するのか?
「TikTok禁止法」の経緯と現状
2024年4月、米国で「外国敵対勢力が管理するアプリから米国人を保護する法」が成立しました。TikTokの親会社ByteDanceに対し、270日以内(90日延長可能)に米国事業を売却することを求める内容です。
2025年1月の施行後、トランプ大統領は執行を複数回延期。2025年9月25日には米国事業売却を承認する大統領令が発表されました。新たな合弁企業は米国人が過半数を所有し、ByteDance所有は20%未満。アルゴリズムやコードは新合弁企業が管理し、米国ユーザーデータは米国企業のクラウドに保存されるという条件が設定されています。
規制の背景にある懸念
規制の背景には、中国国家情報法第7条(企業に情報活動への協力義務を課す規定)への懸念があります。ユーザーデータの窃取リスク、アルゴリズムを通じた世論操作の可能性などが指摘されてきました。
各国の対応も厳しさを増しています。インドは2020年に恒久禁止、カナダは2023年2月に政府端末での使用禁止、英国は2023年3月に行政機関での禁止、EUは2023年2月に欧州委員会端末での禁止を決定しています。
日本企業への影響
日本政府は2023年2月、松野官房長官(当時)が「機密情報を扱う機器のみ制限」という方針を示しており、米国ほど厳しい規制は現時点では導入されていません。
ただし、日本企業として認識しておくべきリスクはあります。
第一に、米国での規制強化がグローバルなプラットフォーム機能に影響を与える可能性。第二に、日本でも将来的に規制議論が活発化する可能性。第三に、取引先や顧客の中にTikTok利用に慎重な企業が存在する可能性です。
TikTok活用を進める際は、こうしたリスクを頭に入れつつ、過度に依存しないポートフォリオ構築を意識することが現実的な対応といえます。
競合プラットフォームとの関係はどう考えるべきか?
Instagram Reels、YouTube Shorts——「三大ショート動画」の現在地
TikTokの成功を受け、Instagram Reels(2020年8月開始)とYouTube Shorts(2020年9月インドでベータ開始、2021年グローバル展開)が登場しました。現在、この3つが「三大ショート動画プラットフォーム」として競合関係にあります。
2025年時点の規模感を整理すると、TikTokは月間アクティブユーザー約15億人以上(グローバル)、1日平均利用時間約95分。Instagram Reelsは、Instagramの月間20億人以上のユーザーがアクセスし、利用時間の約50%がReels視聴に充てられています。YouTube Shortsは月間20億人以上のユーザー、1日あたり700億回以上の再生を記録しています。
各プラットフォームの特性と使い分け
3つのプラットフォームには、それぞれ異なる特性があります。
TikTokは「発見」に強みがあります。For You Pageのアルゴリズムが、フォロワー数に関係なくコンテンツを届ける仕組みを持っているため、新規参入でもリーチを獲得しやすい環境です。トレンドへの反応速度も最も速く、バイラル(急速拡散)が起きやすいプラットフォームといえます。
Instagram Reelsは「ブランドとの親和性」が特徴です。ショッピング機能との連携が充実しており、EC導線の設計がしやすい構造になっています。既存のInstagramフォロワーベースを活用できる点も、企業にとっては魅力です。
YouTube Shortsは「資産性」と「収益化」に強みがあります。Shortsから長尺動画への誘導ができるため、コンテンツの蓄積が長期的な資産になりやすい構造です。また、YouTubeは広告収益の45%をクリエイターに還元しており、収益化の仕組みが最も整備されています。
「どれか1つ」ではなく「目的に応じた使い分け」
企業としては、「どれか1つに絞る」のではなく、目的に応じた使い分けを検討するのが現実的です。
認知拡大・新規リーチが目的ならTikTok。既存顧客との関係強化やEC連携ならInstagram Reels。長期的なコンテンツ資産化やSEO効果を狙うならYouTube Shorts。こうした整理をした上で、リソースに応じて優先順位をつけていくアプローチが有効です。
1本の動画を3プラットフォームに展開する場合も、それぞれの特性に合わせた微調整(テンポ、テロップの見せ方、キャプションなど)を加えることで、反応に違いが出るという指摘もあります。
AI活用はTikTok運用をどう変えるのか?
TikTok Symphonyの登場——制作効率化の新たな選択肢
2024年、TikTokは「TikTok Symphony」というAIクリエイティブ制作スイートを発表しました。商品写真やURLを入力するだけで、約60秒で複数の広告コンテンツプレビューを生成できる機能です。
多言語翻訳機能(Translate)、AIによる声の吹き替え(AI Dubbing)、デジタルアバター(ストックアバター)など、グローバル展開やコンテンツ量産を支援する機能が含まれています。
さらに、2025年9月にはTikTok広告管理画面内に「Creative AI Studio」が正式リリースされ、すべてのビジネスアカウントで利用可能になりました。商品写真や動画クリップをアップロードするだけで、AIが構成・テロップ・BGM・エフェクトを自動生成。A/Bテスト用の複数クリエイティブまで自動で作成できる環境が整っています。
AI生成コンテンツのラベル付け義務化
一方で、AI活用には透明性の確保が求められるようになっています。
TikTokは、AI生成コンテンツや大幅にAI編集されたコンテンツについて、ラベル付けを促すガイドラインを設けています。2025年8月にはコミュニティガイドラインが大幅に刷新され、AI生成コンテンツの明示や商業コンテンツ(PR)の透明性が厳格化されました。
C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)との連携により、他プラットフォームからTikTokにアップロードされたAI生成コンテンツには自動でラベルが付与される仕組みも導入されています。
企業としては、AI活用で制作効率を上げつつも、ラベル付けルールを遵守し、透明性を確保することが求められます。
不確実性の中で企業はどう準備すべきか?
「参入しないリスク」と「過度な依存リスク」の両面を見る
TikTokを取り巻く環境には、不確実性が存在します。規制動向、アルゴリズム変更、プラットフォーム間競争など、コントロールできない要素は少なくありません。
一方で、4,200万人という国内ユーザー基盤、EC連携の本格化、検索プラットフォームとしての成長など、ビジネス機会も拡大しています。コムニコの分析では「企業にとって参入しないリスクの方が高いメディアに変化してきた」という評価もあります。
このバランスを踏まえると、以下のような準備が現実的です。
2026年に向けた準備のポイント
1. TikTok Shopへの対応準備
EC事業を展開している企業は、TikTok Shop連携の検討を始める時期といえます。ショッパブル動画、ライブコマースなど、どの機能が自社に適しているかを見極め、小規模なテスト運用から始めることを検討してください。
2. 検索を意識したコンテンツ設計
TikTok内検索の浸透を踏まえ、キャプション、テロップ、音声(字幕)でのキーワード配置を意識したコンテンツ設計を取り入れることが有効です。自社の商品やサービスがどのような検索ワードで探されているかを把握することから始めましょう。
3. AI活用による制作効率化
TikTok SymphonyやCreative AI Studioの活用により、コンテンツ制作の効率化が可能です。ただし、AIラベル付けルールの遵守、透明性の確保は必須。ルールを理解した上での活用が前提となります。
4. マルチプラットフォーム展開
TikTokに過度に依存せず、Instagram Reels、YouTube Shortsとの併用を検討することで、リスク分散と接点拡大の両方を実現できます。リソースが限られる場合は、1本のコンテンツを複数プラットフォームに展開する方法も有効です。
5. 規制動向のウォッチ
米国の規制動向、日本での議論の推移については継続的にウォッチしておくことが望ましいといえます。急な変化に対応できるよう、TikTokに依存しすぎない情報発信体制を並行して整備しておくことも一つの選択肢です。
まとめ
TikTokは、EC連携、検索プラットフォーム化、AI活用など、複数の軸で進化を続けています。2025年のTikTok Shop日本上陸は、特に大きな転換点となりました。
一方で、規制リスクや競合との関係など、不確実な要素も存在します。「すべてをTikTokに賭ける」のではなく、特性を理解した上で、自社のマーケティング全体の中での位置づけを明確にしながら活用していく姿勢が求められます。
変化の速いプラットフォームであるからこそ、トレンドを追いかけるだけでなく、自社の強みや顧客価値に立ち返りながら、持続可能な活用方法を模索することが大切です。
この記事からわかるQ&A
TikTok Shopはいつ日本でサービスを開始しましたか?
2025年6月30日に日本でサービスを開始しました。ショッパブル動画、ライブコマース、ショーケースなどの機能があり、PayPayやクレジットカード、コンビニ決済に対応しています。
TikTokを検索エンジンとして使う若者はどれくらいいますか?
米アドビ調査(2024年1月)によると、米国人の40%以上がTikTokを検索エンジンとして利用しています。Z世代の64%がTikTok検索経験があり、約10%がGoogleよりTikTokを優先していると回答しています。
米国のTikTok規制は現在どうなっていますか?
2025年9月25日に米国事業売却を承認する大統領令が発表されました。新合弁企業は米国人が過半数所有、ByteDance所有は20%未満となり、アルゴリズムやコードは新合弁企業が管理する条件が設定されています。
Instagram ReelsやYouTube Shortsとの違いは何ですか?
TikTokは「発見」に強くバイラルが起きやすい特性があります。Instagram Reelsはショッピング連携が充実しEC導線に強み、YouTube Shortsは長尺動画への誘導と収益化の仕組みが整備されている点が特徴です。
AI活用でTikTokコンテンツを作る際、注意すべきことは何ですか?
TikTokはAI生成コンテンツや大幅にAI編集されたコンテンツにラベル付けを求めています。2025年8月にガイドラインが厳格化され、ラベル付けを怠るとアルゴリズムでのペナルティや炎上リスクがあるため、透明性の確保が必須です。
引用・参考資料
- AIsmiley「TikTok、AI生成コンテンツに対して自動でラベル付けを開始」(2025年4月)
- TikTok Year End Summit 2025(2025年11月27日)
- TikTok For Business「TikTok Symphony」紹介ページ
- 株式会社コムニコ「【2026年トレンド予測付き】2025年のTikTok企業投稿成功事例18選」
- ジェトロビジネス短信「米国のTikTok規制」関連記事(2025年9月、6月、1月)
- 国立国会図書館「TikTok禁止法の制定」
- 米Adobe「TikTok検索利用調査」(2024年1月)
- TikTok公式ニュースルーム「TikTok Shop Japan」
- NIQ/GfK「TikTok Shopユーザー調査」
- LINEリサーチ「TikTok検索利用調査」(2023年11月)
- Shopify「2026年版TikTokトレンド」
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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