2026.02.04

TikTokが向いている企業、向いていない企業

, , , ,
TikTokが向いている企業、向いていない企業

この記事でわかること

  • TikTokが向いている企業の5つの特徴
  • TikTokが向いていない企業の特徴と例外的な活用法
  • 業種別のTikTok適性傾向(一覧表付き)
  • 「向いていない」と思われがちだが可能性がある業種
  • 自社の適性を判断できる10項目のチェックリスト

「TikTokを始めてみたいが、うちの会社に合っているのかわからない」——そんな声を耳にする機会が増えています。

2025年現在、日本国内のTikTok月間アクティブユーザー数は4,200万人を超え、ユーザーの平均年齢は約35歳まで上昇しました。かつての「若者向けSNS」というイメージは過去のものとなりつつあり、幅広い業種の企業がTikTokを活用し始めています。

しかし、すべての企業にTikTokが適しているわけではありません。向いている企業と向いていない企業には明確な違いがあり、自社の特性を見極めた上で導入を判断することが重要です。

この記事では、TikTokが向いている企業・向いていない企業の特徴を整理し、業種別の適性傾向と自己診断のためのチェックリストを提供します。


TikTokが向いている企業の特徴は?

TikTokで成果を上げている企業には、いくつかの共通点があります。以下の特徴に多く当てはまる企業は、TikTok活用の可能性が高いといえます。

1. ビジュアルで伝わる商品・サービスを持っている

TikTokは短尺動画のプラットフォームであり、「見て伝わる」商品・サービスとの相性が抜群です。

飲食業であれば料理の調理過程や盛り付けの様子、アパレルであればスタッフによるコーディネート紹介、美容業であればビフォーアフターの変化など、視覚的なインパクトを与えられる商材は、TikTokで拡散されやすい傾向にあります。

佐渡島のキムチ店「キムチの家」は、キムチの製造工程を動画で発信したところ、初投稿の翌日から膨大な反響があり、アカウント開設から2ヶ月で売上が40倍以上に跳ね上がりました。「見て楽しい」「見て食べたくなる」という視覚的な訴求力が成功の鍵でした。

2. 「人」や「雰囲気」を見せたい

TikTokユーザーは、企業アカウントかどうかよりも「面白いかどうか」「共感できるかどうか」を重視する傾向があります。そのため、社員の人柄や職場の雰囲気を前面に出せる企業は、TikTokと相性が良いといえます。

タクシー会社の三和交通は、社長や部長が一生懸命ダンスを踊る動画で話題となり、採用活動の強化に成功しました。「この会社で働きたい」と思わせる職場の空気感を伝えられたことが、新卒採用の応募数増加につながっています。

3. 若年層〜30代がターゲットに含まれる

TikTokユーザーの年齢層は拡大傾向にありますが、依然として10代〜30代が中心です。総務省の調査によると、10代の利用率は約66%、20代は約59%、30代・40代も約40%前後と、若年層から中堅層にかけて高い利用率を示しています。

採用活動で若手人材を獲得したい企業、10代〜30代をメインターゲットとする商品・サービスを扱う企業は、TikTokとの親和性が高いといえます。

4. 継続的な発信リソースを確保できる

TikTokで成果を上げるには、継続的な投稿が不可欠です。TikTok公式サイトでは「2日に1回」の投稿が推奨されており、少なくとも週に2〜3回の投稿を継続できる体制が求められます。

動画の撮影・編集を担当できる人材がいるか、外部に委託する予算があるか、社内で出演者を確保できるかなど、リソース面での準備が整っている企業は、TikTok運用に適しています。

5. トレンドへの柔軟な対応ができる

TikTokはトレンドの移り変わりが非常に速いプラットフォームです。流行の音楽やハッシュタグ、投稿フォーマットを取り入れることで、動画が「おすすめ」に表示されやすくなります。

社内の承認プロセスが複雑で、投稿までに何週間もかかるような組織体制では、トレンドに乗り遅れてしまう可能性があります。ある程度のスピード感を持って意思決定・発信できる体制が整っている企業は、TikTok向きといえます。


TikTokが向いていない企業の特徴は?

一方で、以下のような特徴を持つ企業は、TikTokの活用に慎重になる必要があります。ただし、後述するように「採用活動」という切り口であれば活用の余地がある場合もあります。

1. 機密性の高いBtoB事業を展開している

顧客情報や技術情報の機密性が高く、業務の様子を外部に見せることが難しいBtoB企業は、TikTokでの情報発信に制約があります。

金融機関、法律事務所、コンサルティングファームなど、顧客との守秘義務が厳格な業種では、「職場の日常」や「業務の裏側」を見せるコンテンツが作りにくいのが現実です。

ただし、採用活動目的であれば話は別です。 製造業やBtoB企業でも、「働く人の魅力」「職場の雰囲気」「会社の文化」にフォーカスしたコンテンツであれば、機密情報に触れることなくTikTokを活用できます。この点については後述します。

2. ビジュアル訴求が本質的に難しい

形のないサービス、説明に時間がかかる複雑な商品、ビジュアルでの差別化が困難な商材を扱う企業は、TikTokでの訴求に工夫が必要です。

保険商品、業務用ソフトウェア、税務・会計サービスなど、「見てすぐわかる」という特性を持たない商材は、15秒〜60秒の短尺動画で魅力を伝えることが難しい場合があります。

3. 発信リソースを確保できない

TikTok運用には継続的なリソース投下が必要です。動画の企画・撮影・編集・投稿・分析という一連の作業を、少なくとも週に2〜3回のペースで継続する必要があります。

「忙しくて動画を作る時間がない」「担当者が一人で他業務と兼任している」「外注する予算もない」という状況では、中途半端な運用になりがちです。TikTokは継続してこそ効果が出るプラットフォームであり、リソースが確保できないまま始めると、かえって機会損失につながる可能性があります。

4. 企業イメージとTikTokの雰囲気が合わない

TikTokは「エンタメ性」「親しみやすさ」「カジュアルさ」が重視されるプラットフォームです。高級感や格式を前面に押し出すブランド戦略をとっている企業が、安易にTikTokに参入すると、ブランドイメージを損なうリスクがあります。

ただし、これは「TikTokに合わせた見せ方を工夫できるかどうか」の問題でもあります。高級車ディーラーのトラスティコーポレーションは、社長自らがTikTokに出演し、ベンツの外装・内装の魅力をカジュアルに伝えることで、多くの成約を獲得しています。

5. 炎上リスクへの耐性が低い

TikTokは拡散力が高い反面、意図しない形で批判を受けるリスクも伴います。投稿内容が「行き過ぎ」と捉えられたり、社内の雰囲気を伝える投稿が「ブラック企業」と誤解されたりする可能性もゼロではありません。

炎上時の対応体制が整っていない、企業としてのリスク許容度が低い場合は、TikTok参入に慎重になるべきかもしれません。


業種別の適性傾向は?

業種ごとのTikTok適性を、主な活用目的とともに一覧表にまとめました。

業種適性主な活用目的備考
飲食・外食集客・認知拡大調理動画、メニュー紹介が人気。「TikTokグルメ」は66億回以上再生
アパレル・ファッション販促・EC送客コーディネート動画、スタッフ着用動画が効果的
美容・化粧品販促・認知拡大メイク動画、ビフォーアフターが拡散されやすい
美容院・サロン集客・指名予約スタイリストの技術アピールで指名予約増加
小売・EC販促・EC送客商品紹介、開封動画。TikTok Shopとの連携も
不動産物件紹介・集客内見動画、物件ルームツアーが人気
教育・学校学生募集・採用オープンキャンパス、学校生活の様子
旅行・観光認知拡大・集客観光地紹介、施設の魅力発信
製造業△→○採用・認知拡大工場見学風動画、製造工程が意外と人気
建設・設備△→○採用・認知拡大現場の様子、職人技の紹介
BtoB全般採用中心商品訴求は難しいが、採用活用は有効
金融・保険採用・教育コンテンツ商品訴求は難しい。お金の知識系コンテンツは可能
士業(税理士・弁護士等)採用・専門知識発信専門知識をわかりやすく解説するコンテンツ
医療・介護採用中心規制への配慮が必要。職場紹介は可能

凡例: ◎=非常に向いている、○=向いている、△=工夫が必要


「向いていない」と思い込んでいるが可能性がある例は?

「うちの業界はTikTokに向いていない」と思い込んでいる企業の中にも、実は大きな可能性を秘めているケースがあります。

製造業の「工程」が実はバズりやすい

製造業は「BtoBで一般消費者向けではない」「工場の様子は地味」と思われがちですが、実際には製造工程を映した動画がTikTokでバズるケースが増えています。

印刷会社の中央テクノ株式会社は、工場見学風に印刷設備の紹介をする動画を投稿し、認知拡大に成功しました。普段は見ることができない「ものづくりの裏側」は、多くのユーザーにとって新鮮で興味深いコンテンツとなり得ます。

キムチ店の「キムチの家」も、まさに製造工程(キムチができるまでのストーリー)を動画にしたことで爆発的な反響を得ました。「どうやって作られているのか」を見せることは、製造業全般で活用できるアプローチです。

BtoB企業の「採用」活用

BtoB企業にとって、TikTokを「商品・サービスの販促」に使うことは確かに難しい場合が多いでしょう。しかし、「採用活動」という目的であれば話は変わります。

京都のBtoB製造業、日本ニューロン株式会社は、製品の魅力や現場のリアルな雰囲気をユーモアとテンポ感で発信することで、技術職志望の若年層からの注目を集め、採用ブランディングの強化につなげました。

若手人材の採用に苦戦している企業にとって、TikTokは「求人媒体では届かない層」にリーチできる貴重なチャネルとなり得ます。実際に、ある建築系BtoB企業では、TikTok運用により新卒応募者の約30%がTikTok経由にシフトしたという報告もあります。

「堅い」業種でも人間味を出せば変わる

運送会社、タクシー会社、産業廃棄物処理業など、一般的に「堅い」「地味」と思われがちな業種でも、TikTokで大きな成功を収めている事例があります。

三和交通(タクシー)、三洋所持株式会社(産業廃棄物処理)などは、社員や経営者が前面に出て「人間味」を見せることで、業界のイメージを覆し、採用活動の成果につなげています。

重要なのは「業種」そのものではなく、「人を見せる」「裏側を見せる」「親しみやすさを出す」といったアプローチができるかどうかです。


判断チェックリスト

自社がTikTokに向いているかどうかを判断するための10項目のチェックリストです。「はい」の数が多いほど、TikTok活用の可能性が高いといえます。

商品・サービスの特性

No.項目はい/いいえ
1商品・サービスは「見てわかる」ものか、または「見せ方を工夫できる」か
2製造過程、調理風景、ビフォーアフターなど、動画映えする要素があるか
3若年層(10代〜30代)がターゲットに含まれるか、または採用で若手を獲得したいか

組織体制・リソース

No.項目はい/いいえ
4動画の撮影・編集を担当できる人材がいるか、または外注予算があるか
5週に2〜3回の投稿を継続できる体制を構築できるか
6動画に出演してもらえる社員や経営者がいるか
7トレンドに素早く対応できる意思決定スピードがあるか

企業文化・リスク許容度

No.項目はい/いいえ
8「カジュアルさ」「親しみやすさ」を出すことに抵抗がないか
9炎上リスクへの対応体制を構築できるか
10長期的な視点で運用を継続する覚悟があるか(成果が出るまで半年〜1年)

判定目安

  • 7〜10個「はい」: TikTok活用に向いている。具体的な運用計画の策定を推奨
  • 4〜6個「はい」: 条件付きで向いている。課題を解決してから参入を検討
  • 0〜3個「はい」: 現時点での参入は慎重に。他のSNSや施策を優先することも選択肢

まとめ

TikTokが向いている企業の特徴をまとめると、以下の5点に集約されます。

  1. ビジュアルで伝わる商品・サービスを持っている
  2. 「人」や「雰囲気」を見せることに抵抗がない
  3. 若年層〜30代がターゲットまたは採用対象に含まれる
  4. 継続的な発信リソースを確保できる
  5. トレンドへの柔軟な対応ができる

一方で、機密性の高いBtoB事業、ビジュアル訴求が難しい商材、リソースが確保できない企業は、TikTok活用に工夫が必要です。

ただし、「向いていない」と思われがちな製造業やBtoB企業でも、「採用活動」という切り口であれば十分に活用の余地があります。製造工程の動画が意外とバズりやすいこと、職場の雰囲気を伝えることで若手採用につながることなど、業種にとらわれない活用方法が広がっています。

最終的な判断は、この記事で紹介したチェックリストを参考に、自社の状況と照らし合わせて行ってください。TikTokはあくまでも選択肢の一つであり、自社に合ったマーケティング手法を選ぶことが成果への近道です。

この記事からわかるQ&A

TikTokはBtoB企業でも活用できますか?

商品・サービスの直接的な販促は難しい場合が多いですが、採用活動には有効です。製造業などでは、工場見学風の動画や「働く人の魅力」にフォーカスしたコンテンツで、若手人材からの注目を集めている事例があります。

TikTokに向いている業種はどこですか?

飲食・外食、アパレル・ファッション、美容・化粧品、美容院・サロン、小売・ECなど、ビジュアルで訴求しやすい業種が特に向いています。調理動画やコーディネート動画、ビフォーアフター動画などが拡散されやすい傾向にあります。

製造業は本当にTikTokに向いていないのですか?

一般消費者向けの販促は難しい場合もありますが、製造工程を見せる動画は「普段見られない裏側」として人気があります。実際に、工場見学風の動画でバズを生んだ製造業の事例も複数報告されています。採用目的での活用も有効です。

TikTok運用にはどれくらいの投稿頻度が必要ですか?

TikTok公式では「2日に1回」の投稿が推奨されています。最低でも週に2〜3回の投稿を継続できる体制が必要です。継続的な投稿ができないと、アルゴリズム上も不利になり、成果が出にくくなります。

TikTok運用で成果が出るまでどれくらいかかりますか?

一般的には半年〜1年程度の継続運用が必要とされています。TikTokはフォロワー数に関係なくバズる可能性がある反面、安定した成果を得るには継続的な投稿と改善の積み重ねが求められます。短期的な結果を求めず、長期的な視点で運用することが重要です。

引用・参考資料

  • 総務省「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
  • 博報堂DYメディアパートナーズ「コンテンツファン消費行動調査 2023」
  • TikTok for Business 公式サイト
  • 各企業事例:三和交通、キムチの家、中央テクノ株式会社、日本ニューロン株式会社 公式TikTokアカウント

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。