2026.04.23

Webサイトの目的設定:認知・信頼構築・集客・採用、どれを狙うか

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Webサイトの目的設定

この記事でわかること

  • Webサイトで達成可能な5つの主要目的とその特徴
  • 目的別に異なるサイト設計のポイント
  • KGI・KPI・KSFの関係性と設定手順
  • 業界平均を踏まえた現実的な目標値の考え方
  • 複数目的を持つ場合の優先順位の付け方

「Webサイトを作りたい」「リニューアルしたい」——そう考えたとき、最初に決めるべきは「何のためのサイトか」という目的の設定です。

総務省の通信利用動向調査によると、企業がWebサイトを開設する主な目的は「会社案内・人材募集」が93.7%、「商品・サービスの紹介」が67.1%、「定期的な情報提供」が46.9%となっています。しかし、@niftyの調査では、Web販促を「活用できている」と実感している経営者はわずか18.0%にとどまります。

この差が生まれる原因の一つが、「目的の曖昧さ」にあります。「とりあえず持っておく」という姿勢では、サイトは名刺代わりの静的な存在で終わってしまいます。本記事では、Webサイトの目的を明確に設定し、その目的に応じた設計とKPIの考え方を整理します。


Webサイトで達成可能な目的にはどのようなものがあるか?

Webサイトが果たせる役割は、大きく5つに分類できます。自社が「何を実現したいのか」を明確にすることが、サイト設計の出発点となります。

1. 認知拡大

自社や商品・サービスの存在を、まだ知らない人に知ってもらうことが目的です。新規事業の立ち上げ時や、新商品のリリース時に特に重要となる目的といえます。

認知拡大を目的とする場合、検索エンジンからの流入(SEO)やSNSからの誘導が主な集客経路となります。コンテンツの充実度と更新頻度が成果を左右します。

主なKPI例: PV数、UU数(ユニークユーザー数)、検索順位、オーガニック流入数、SNSフォロワー数、指名検索数

2. 信頼構築

「この会社は信頼できる」という印象を形成することが目的です。トライベックの「企業情報サイト調査2024」によると、企業情報サイトは顧客・取引先・株主・従業員など多様なステークホルダーの企業イメージに影響を与えることが示されています。

特にBtoB取引において、取引先の選定時にWebサイトの情報が判断材料となるケースは少なくありません。代表者のメッセージ、沿革、実績、第三者評価などが信頼の根拠となります。

主なKPI例: 滞在時間、直帰率、ページ回遊率、リピート訪問率、NPS(ネットプロモータースコア)

3. 集客・リード獲得

見込み顧客の情報(メールアドレス、会社名、連絡先など)を獲得することが目的です。BtoBマーケティングにおいては、問い合わせフォームからの送信、資料ダウンロード、ホワイトペーパー請求などがコンバージョンポイントとなります。

才流の調査によると、BtoBサイトのCVR(コンバージョン率)は1%以上を目標とするのが一般的です。Ruler Analyticsの2023年調査では、BtoB全体の平均CVRは2%超という数値も報告されています。

主なKPI例: CV数、CVR、問い合わせ数、資料DL数、リード獲得数、商談化率

4. 採用

求職者に自社の魅力を伝え、応募につなげることが目的です。採用サイトは、求人媒体だけでは伝えきれない「働く環境」「企業文化」「社員の声」を発信する場として機能します。

Wantedlyの調査によると、採用KPIとして重視すべき指標は「応募数」「有効応募率」「書類選考通過率」「面接通過率」「内定承諾率」「採用単価」「入社後定着率」など多岐にわたります。特に「応募数」は最も基本的なKPIとされています。

主なKPI例: 応募数、有効応募率、書類選考通過率(目安50%)、面接通過率(各段階40-50%)、内定承諾率(目安50-70%)、採用単価

5. 業務効率化

問い合わせ対応や情報提供の自動化によって、社内の業務負荷を軽減することが目的です。FAQ(よくある質問)の整備、オンライン予約システムの導入、マニュアルのWeb公開などが該当します。

この目的は、他の4つと比べて「攻め」よりも「守り」の性格が強いといえます。直接的な売上貢献は見えにくいものの、人件費削減や顧客満足度向上といった効果が期待できます。

主なKPI例: 問い合わせ件数の削減率、電話対応時間の削減、FAQ閲覧数、オンライン予約率


目的によってサイト設計はどう変わるのか?

目的が異なれば、サイトの設計思想も変わります。デザイン、コンテンツ、機能、導線——それぞれの要素において、目的に応じた設計が求められます。

認知拡大を目的とする場合

検索エンジンからの流入を増やすことが重要となるため、SEO対策を意識したコンテンツ設計が必要です。ブログやオウンドメディア機能を持たせ、継続的な情報発信を行う体制を整えます。

  • キーワード選定に基づいたコンテンツ企画
  • 更新頻度を維持できるCMS(コンテンツ管理システム)の導入
  • SNS連携によるコンテンツ拡散の仕組み
  • シェアされやすいビジュアルやタイトル設計

信頼構築を目的とする場合

「この会社は信頼できる」と感じてもらうための情報設計が中心となります。抽象的なキャッチコピーよりも、具体的な実績や第三者評価が効果的です。

  • 代表者の顔写真とメッセージ(顔が見える安心感)
  • 実績紹介(取引先、導入事例、受賞歴など)
  • 顧客の声・導入事例のインタビュー
  • オフィスや工場の写真(働く環境の可視化)
  • 社員紹介コンテンツ

集客・リード獲得を目的とする場合

訪問者を「問い合わせ」や「資料請求」といったコンバージョンポイントに導くことが最優先となります。導線設計とフォーム最適化が成果を左右します。

  • CTA(Call To Action)ボタンの配置最適化
  • 入力項目を絞ったフォーム設計(ステップ数削減)
  • ホワイトペーパーや資料ダウンロードの提供
  • 離脱防止のポップアップやチャットボット
  • ランディングページ(LP)の作成

採用を目的とする場合

求職者が「この会社で働きたい」と思えるかどうかが勝負です。条件面だけでなく、企業文化や働く人の魅力を伝えるコンテンツが重要となります。

  • 社員インタビュー(仕事のやりがい、入社理由など)
  • 1日のスケジュール、働く環境の紹介
  • 企業理念・ビジョンの可視化
  • 募集職種ごとの詳細ページ
  • 採用フローの明示

KPIはどのように設定すればよいのか?

目的を達成するためには、進捗を測定できる指標(KPI)の設定が欠かせません。「なんとなく良くなった気がする」では、改善のPDCAを回すことができません。

KGI・KSF・KPIの関係性

まず、3つの概念を整理します。

用語意味
KGI(Key Goal Indicator)最終的に達成したい目標年間売上1億円、新規採用10名
KSF(Key Success Factor)目標達成のための成功要因Webからのリード獲得、採用サイト経由の応募増
KPI(Key Performance Indicator)成功要因を測定する中間指標月間CV数、応募数、CVR

KPIは「KGIを達成するために、何を測定すべきか」という観点から逆算して設定します。この関係性を可視化したものが「KPIツリー」と呼ばれる図です。

KPI設定の手順

ステップ1:KGIを明確にする

「Webサイトで何を達成したいのか」を具体的な数値目標として定めます。「認知度を上げたい」ではなく「指名検索数を月間1,000件にする」のように、測定可能な形で設定することが重要です。

ステップ2:KSF(成功要因)を特定する

KGI達成のために「何が実現できれば成功といえるか」を洗い出します。例えば「リード獲得数を増やす」というKGIに対して、「サイト訪問者数の増加」「CVRの向上」などがKSFとなります。

ステップ3:KPIを設定する

KSFを測定可能な指標に落とし込みます。このとき、「SMARTの法則」を意識すると精度が上がります。

  • Specific(具体的である)
  • Measurable(測定可能である)
  • Achievable(達成可能である)
  • Relevant(関連性がある)
  • Time-bound(期限がある)

ステップ4:測定手段を確保する

Google Analyticsやサーチコンソールなど、KPIを継続的に測定できるツールを導入します。測定できない指標は改善のしようがありません。

目的別のKPI設定例

目的主なKPI補足
認知拡大PV数、UU数、検索順位、オーガニック流入数指名検索数は認知度の直接的な指標
信頼構築滞在時間、直帰率、ページ回遊率定量化が難しいため複数指標で補完
集客・リード獲得CV数、CVR、問い合わせ数、商談化率BtoB平均CVR 1-2%を目安に
採用応募数、書類通過率、内定承諾率、採用単価歩留まり率の改善が重要

期待値はどの程度が現実的なのか?

目標設定において陥りがちな失敗が、「非現実的な期待値を設定してしまう」ことです。業界平均を把握した上で、自社の現状に即した目標を設定することが重要です。

CVR(コンバージョン率)の目安

BtoBサイトにおけるCVRは、業界や商材によって大きく異なります。ただし、一般的な目安として以下の数値が参考になります。

  • BtoB全体の平均: 1-2%(才流)、2%超(Ruler Analytics 2023)
  • 検索広告経由: 平均3.75%(WordStream 2017-2018)
  • ディスプレイ広告経由: 平均0.77%(WordStream)

「CVRが1%未満」という状況であれば、まずフォーム改善や導線設計の見直しから着手するのが効果的です。逆に「いきなりCVR5%を目指す」といった目標は、多くの場合現実的ではありません。

採用KPIの目安

採用サイトにおいては、各選考フェーズの「歩留まり率」を把握することが重要です。

選考フェーズ目安の通過率
書類選考通過率50%(求人広告経由の場合)
面接通過率(各段階)40-50%
内定承諾率50-70%

これらの数値を基に、「最終的に10名採用したい場合、何名の応募が必要か」を逆算できます。

中小企業特有の課題

中小企業がWebサイトで成果を出しにくい背景には、いくつかの構造的な課題があります。

  • 人材不足: 専任のマーケティング担当者がいない
  • 予算制約: 大企業と比較して広告費・制作費が限定的
  • ノウハウ不足: 何から始めればよいかわからない
  • 経営層の理解不足: Web投資の優先度が低い

これらの課題に対しては、「すべてを自社で行おうとしない」という判断も重要です。外部パートナーへのアウトソーシングや、ニッチ市場への集中、ローカル市場でのSEO強化など、中小企業ならではの戦い方があります。


目的は一つに絞るべきなのか?

「認知拡大も採用も集客もすべて実現したい」——そう考えるのは自然なことです。しかし、リソースが限られる中で、すべてを同時に追求しようとすると、どれも中途半端になるリスクがあります。

メイン目的とサブ目的の設定

推奨されるのは、「メイン目的」を一つ明確に定め、「サブ目的」を補完的に設定するアプローチです。

例:

  • メイン目的: 集客・リード獲得(BtoBマーケティングの強化)
  • サブ目的: 信頼構築(企業情報の充実による信頼醸成)

この場合、サイト設計の優先順位は「リード獲得」に置きつつ、企業情報ページの充実も並行して進めます。リソース配分としては、メイン目的に70%、サブ目的に30%といった配分が考えられます。

フェーズ別の目的設定

事業のステージによって、Webサイトに求める役割は変化します。

フェーズ優先すべき目的理由
立ち上げ期認知拡大、信頼構築まず存在を知ってもらい、信頼を得る
成長期集客・リード獲得認知が広がった段階で刈り取りを強化
拡大期採用、業務効率化組織拡大に伴う人材確保と効率化

「今、自社はどのフェーズにあるのか」を見極め、目的の優先順位を定期的に見直すことが重要です。

目的間のトレードオフ

複数目的を追求する場合、目的間でトレードオフが発生することがあります。

例:認知拡大 vs 集客・リード獲得

認知拡大を目的とするコンテンツは、幅広い層にリーチするために「誰でも読める」内容になりやすい傾向があります。一方、リード獲得を目的とする場合は、「見込み顧客に絞った」専門的な内容が効果的です。

このトレードオフを意識せずに「どちらも」を追求すると、「幅広い層が訪れるが、誰もコンバージョンしない」というサイトになりかねません。


まとめ

Webサイトの目的設定は、サイト制作・運用のすべての判断に影響を与える最重要事項です。

  • 目的を明確にする: 認知拡大、信頼構築、集客・リード獲得、採用、業務効率化のいずれを優先するのかを決める
  • 目的に応じた設計をする: デザイン、コンテンツ、機能、導線は目的によって異なる
  • KPIを設定する: KGI→KSF→KPIの順で、測定可能な指標を設定する
  • 現実的な期待値を持つ: 業界平均を把握し、段階的な改善を目指す
  • 優先順位を決める: メイン目的を一つに絞り、リソースを集中させる

「何のためのサイトか」が曖昧なままでは、制作会社との打ち合わせも、社内での合意形成も、公開後の効果測定も、すべてが難航します。まずは「自社のWebサイトに何を期待するのか」を言語化することから始めてみてください。

この記事からわかるQ&A

複数の目的を同時に追求することは可能ですか?

可能ですが、リソースが分散するリスクがあります。「メイン目的」を一つ明確に定め、「サブ目的」を補完的に設定するアプローチが推奨されます。メイン目的にリソースの70%を配分し、サブ目的に30%といった配分が現実的です。

BtoBサイトのCVR(コンバージョン率)の目安はどれくらいですか?

一般的に1-2%が目標とされています。Ruler Analyticsの2023年調査では平均2%超、才流の調査でも1%以上を目標とするのが一般的とされています。1%未満の場合は、フォーム改善や導線設計の見直しが効果的です。

採用サイトのKPIとして何を重視すべきですか?

「応募数」が最も基本的なKPIとなります。加えて、書類選考通過率(目安50%)、面接通過率(各段階40-50%)、内定承諾率(目安50-70%)といった歩留まり率を把握することで、改善ポイントが明確になります。

目的を変更するタイミングはいつが適切ですか?

事業のフェーズが変わったとき(立ち上げ期→成長期など)、当初の目的が達成されたとき、市場環境が大きく変化したときなどが目的見直しのタイミングとなります。半年〜1年ごとに定期的な振り返りを行うことをお勧めします。

認知度を測定する方法はありますか?

定量的な測定方法としては、「指名検索数」(会社名や商品名での検索回数)の推移を追う方法が有効です。Google サーチコンソールで測定できます。また、アンケート調査による「純粋想起率」「助成想起率」の測定も、認知度を把握する方法として用いられています。

引用・参考資料

  • 総務省「通信利用動向調査」企業のWebサイト開設目的に関するデータ
  • @nifty「WEB販促に関する調査」中小企業のWeb活用実態
  • トライベック「企業情報サイト調査2024」企業サイトがステークホルダーに与える影響
  • 才流「BtoBサイト改善ガイド」CVRの目標設定に関する知見
  • Ruler Analytics「2023 Conversion Benchmark Report」業界別CVR調査
  • WordStream「Google Ads Benchmarks」広告経由のCVR平均値
  • Wantedly「採用KPI設計ガイド」採用活動における指標設定
  • 日経BPコンサルティング「Webブランド調査」ブランド認知の測定手法

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

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