搾りたて油で揚げる「変わり種」の天ぷら——細石大将が届ける、店では出せない一期一会

三重県松阪市に、不定期で開かれる12席限定の食のイベントがあります。「twlv club」と名付けられたこの空間は、毎回異なるシェフを招き、一夜限りのコースを提供する実験的なキッチンスタジオです。

2023年11月、この特別な空間に招かれたのは、津市の日本料理店「酒肴や 又左衛門」の大将・細石竜司氏でした。テーマは「搾りたて油で揚げたて天ぷらの会」。普段の店では出していない、変わり種を含む天ぷらの数々が披露されました。


「店では出してない雰囲気で」——変わり種の天ぷら

細石大将は、今回のコースのコンセプトをこう語ります。

「今回はですね、普段召し上がっていただくような天ぷらではなくて、少し変わり種フルーツなんかも混ぜながら、最後まで通してあっさりと食べてもらえるような、店では出してない雰囲気で提供をしていこうと思ってます」

天ぷらにフルーツを使う。それは、通常の店舗営業では難しい挑戦です。twlvという特別な空間だからこそ、こうした実験的な試みが可能になります。


4部構成で進む天ぷらコース——シーズン最後の大ハマグリ

コースは4部構成で進みます。その中でも、細石大将が特に推すのがシーズン最後の千葉県産大ハマグリです。

「今シーズン最後のですね、千葉県産の大ハマグリがちょっと入荷しましたので、そちらは是非味わっていただきたいと思います」

旬の終わりに手に入った貴重な食材。その一期一会の出会いを、ゲストと共有する。twlvというイベントの醍醐味がここにあります。


「非日常的な空間」——twlvの本質

細石大将は、twlvという場所の価値をこう語ります。

「まず1番大切なのは非日常的な空間っていうところだと思います。こちらはあのお店ではないので、やっぱりここでしかできないことを」

店舗とは違う。だからこそ、店ではできないことができる。twlvの主催者である中川社長が大切にしているのは、「特別な空間」というコンセプト。一期一会——その時のその時の料理は、二度と味わえない。細石大将は、その空間の意味を深く理解しています。


「手元が全部見える」——パフォーマンス性という価値

twlvのカウンターは、料理人の手元がすべて見える距離にあります。

「こういう手元が全部見える、自分のやってる技も全部見られるっていうところで、中川社長、ここでその人との出会いと料理、そして何よりもパフォーマンス性っていうのをすごく大切にされてると思います」

料理を味わうだけでなく、その過程を見る。技を見られる。それは、料理人にとっては緊張を伴うことです。しかし細石大将は、その緊張を前向きに捉えています。


「緊張はするけど、これが一番の醍醐味」

細石大将は、twlvでの料理についてこう語ります。

「やっぱり緊張はしますけど、これは一番醍醐味かなと思ってます」

手元を見られる緊張感。店ではできない料理への挑戦。一期一会のゲストとの出会い。それらすべてが、料理人としての醍醐味になる。twlvは、シェフにとっても特別な成長の場です。


「食べてびっくり、感動していただければ」

細石大将は、今回のコースへの想いをこう締めくくります。

「やっぱりなかなかない天ぷらの構成になってますので、もう食べてびっくり感動していただければ幸いです」

変わり種の天ぷら、旬の高級食材、4部構成の演出。すべては、ゲストに驚きと感動を届けるため。その想いが、一皿一皿に込められています。


アストライドのミッション

「ここでしかできないこと」

細石大将のこの言葉に、私は深く共感しました。

店舗では提供できない料理、試せない組み合わせ、見せられないパフォーマンス。twlvという場所が、それを可能にしている。そして、その一期一会の体験を記録し、伝えること。それは、私がインタビュー映像を通じて取り組んでいることと重なります。

私はこれまで、200社以上の経営者インタビューに携わる中で、さまざまな「想い」に触れてきました。twlvという空間で繰り広げられる一夜限りの饗宴もまた、シェフと主催者の想いが凝縮された表現の場です。

本映像では、細石大将の料理に対する姿勢——変わり種への挑戦、旬の食材への敬意、そして「緊張するけど、それが醍醐味」という料理人の矜持——が、調理の手元や語りの表情を通じて伝わってきます。

アストライドは、こうした「想い」を映像として記録し、より広く届けることに取り組んでいます。

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。前職を含め地域企業を中心とした200社以上の経営者インタビュー映像を制作。現在は「左脳と右脳のハイブリッド」を掲げ、戦略設計から映像・Web・各種コンテンツ制作まで手がける。 これまで音楽家として楽曲提供、行政職員として12年間 制度運用・予算編成等に従事。その後、NPO法人、映像・マーケティング分野に転じ、現在に至る。現在は大学非常勤講師として映像編集ソフトの操作指導も行う。