中小企業YouTube開始前に知るべき5つのこと|準備と心構え

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中小企業YouTube開始前に知るべき5つのこと|準備と心構え

この記事でわかること

  • 成果が出るまでの現実的な期間と、その間に必要な心構え
  • なぜ継続が前提となるのか、単発投稿では効果が出にくい理由
  • YouTube運用に必要な社内体制と役割分担の考え方
  • 外注と内製、それぞれのメリット・デメリット
  • 始める前に決めておくべき撤退基準の設定方法

「YouTubeを始めてみたい」——そう考える中小企業の経営者や担当者が増えています。動画は一度制作すれば半永久的に残り、検索からの流入も期待できる「資産性の高いメディア」として注目されているからです。

しかし、十分な準備なく始めてしまい、数ヶ月で更新が止まってしまうケースは少なくありません。「思ったより大変だった」「成果が見えない」という理由で撤退する企業も多いのが現実です。

この記事では、YouTube運用を始める前に知っておくべき5つのポイントを解説します。事前に現実を理解し、適切な心構えで臨むことが、長期的な成功への第一歩となります。


成果が出るまでにどれくらいの期間がかかるのか?

6ヶ月〜1年は覚悟が必要

YouTubeチャンネルが軌道に乗るまでには、一般的に6ヶ月から1年程度の期間が必要とされています。チャンネル登録者数1,000人に到達するまでの期間は、早い場合で3〜4ヶ月、平均的には6ヶ月〜1年、長い場合は2年以上かかることもあります。

この数字は個人チャンネルのデータを含むものですが、企業チャンネルであっても同様の傾向が見られます。知名度のある大企業でない限り、開設直後から多くの視聴者を獲得することは困難です。

YouTubeのアルゴリズムは、新しいチャンネルの動画を積極的に推奨しません。まずは検索や関連動画経由で少しずつ視聴者を増やし、一定の評価を得てから「おすすめ」に表示されるようになります。この評価を得るまでには、相応の時間と投稿本数が必要です。

初期の再生数に一喜一憂しない

「渾身の動画を投稿したのに、再生回数が100回にも満たない」——開設初期にはよくある状況です。しかし、これは決して失敗を意味するものではありません。

YouTubeでは「3ヶ月後に伸び始める」という説がありますが、これにはいくつかの条件があります。週1〜2本のペースで20本以上の動画を投稿していること、動画の総再生時間がある程度蓄積されていること、この2つの条件を満たすチャンネルが、およそ3ヶ月後からアルゴリズムに評価され始める傾向にあるとされています。

重要なのは、初期の数字に振り回されないことです。投稿から1〜2ヶ月経って急に伸び始める動画もあります。アルゴリズムが「この動画は視聴者に価値がある」と判断するまでには時間がかかるため、公開直後の数字だけで判断するのは早計です。


なぜYouTubeは継続が前提となるのか?

単発では効果が出にくい理由

YouTubeは継続的な投稿を前提としたプラットフォームです。「30本投稿してからがスタートライン」という言葉がYouTube運用の世界では広く知られています。

この「30本」という数字には根拠があります。まず、YouTubeのアルゴリズムはチャンネル全体の評価を行うため、ある程度の動画本数がないと正確な評価が行われません。また、30本程度のデータが蓄積されて初めて、どの動画が伸びているのか、どのテーマが視聴者に響いているのかを分析できるようになります。

単発や数本の投稿では、アルゴリズムからの評価を得ることが難しく、視聴者も「このチャンネルは今後も更新されるのか」と不安を感じてしまいます。定期的な更新があってこそ、視聴者は「次の動画も見てみよう」とチャンネル登録を検討するものです。

投稿頻度の目安

企業チャンネルの場合、週1本以上の投稿が理想とされています。週2本以上を継続できるチャンネルは、より早い成長が期待できます。

ただし、無理なペースで質の低い動画を量産するよりも、週1本でも質の高い動画を継続的に投稿する方が効果的です。重要なのは「一貫性」であり、「毎週金曜日に新しい動画が公開される」といった予測可能なスケジュールを維持することで、視聴者の定着率が高まります。

現実的には、月に2〜4本のペースを半年以上継続できる体制を整えることが、中小企業にとっての最初の目標となります。


YouTube運用にはどのような社内体制が必要か?

担当者の確保と役割分担

YouTube運用には、Instagram や X(旧Twitter)などの他のSNSと比べて、はるかに多くの工数がかかります。企画立案、撮影準備、撮影、編集、サムネイル作成、タイトル・説明文の最適化、公開後の分析——これらの工程すべてを一人でこなすのは現実的ではありません。

社内で運用する場合、最低でも以下の役割を明確にしておく必要があります。

  • ディレクター(全体統括): 企画立案、スケジュール管理、品質チェック
  • 出演者: 動画に出演する社員(社長、専門スタッフなど)
  • 撮影担当: カメラ操作、照明、音声の管理
  • 編集担当: 動画編集、テロップ挿入、サムネイル作成
  • 分析担当: YouTubeアナリティクスの確認、改善提案

中小企業の場合、一人が複数の役割を兼任することが多いですが、少なくとも2〜3名のチーム体制を構築することが推奨されます。

属人化を防ぐ仕組みづくり

YouTube運用で注意すべきなのは「属人化」のリスクです。担当者一人に依存した体制では、その人が退職したり、業務過多で倒れたりした場合に、チャンネル運営が完全に止まってしまいます。

属人化を防ぐためには、以下の取り組みが有効です。

  • 企画から投稿までのフローをマニュアル化する
  • 複数名で情報を共有し、担当が変わっても運用を継続できる体制を整える
  • 撮影協力が必要な部署(営業、製造、人事など)との連携体制を事前に構築する

特に、動画に社員が出演する場合は、出演者のスケジュール調整が大きな課題となります。撮影日程を月初に確定させる、撮影協力を業務の一環として認識してもらうなど、社内調整の仕組みを整えておくことが重要です。


外注と内製、どちらを選ぶべきか?

外注のメリット・デメリット

YouTube運用を外部に委託する選択肢もあります。運用代行会社やフリーランスに依頼する場合のメリットとデメリットを整理します。

外注のメリット

  • 専門的なノウハウを活用できる
  • 社内のリソースを本業に集中できる
  • 撮影・編集のクオリティが安定する
  • アルゴリズムの変化にも専門家が対応してくれる

外注のデメリット

  • コストがかかる(月額数十万円〜)
  • 社内にノウハウが蓄積されにくい
  • 自社の意図と異なる動画になる可能性がある
  • コミュニケーションコストが発生する

外注を選ぶ場合、「丸投げ」は避けるべきです。企画の方向性や自社の強みは社内でしかわからないため、外注先と密にコミュニケーションを取りながら進めることが成功の鍵となります。

内製のメリット・デメリット

社内で完結させる内製の場合は、以下のようなメリット・デメリットがあります。

内製のメリット

  • 外注費用を抑えられる
  • 社内にノウハウが蓄積される
  • 自社の意図を正確に反映できる
  • 更新頻度を上げやすい(スケジュールの融通が利く)

内製のデメリット

  • 担当者の業務負担が増える
  • スキル習得に時間がかかる
  • 機材購入などの初期投資が必要
  • 品質にばらつきが出やすい

ハイブリッド型という選択肢

多くの企業にとって現実的なのは、内製と外注を組み合わせた「ハイブリッド型」です。

たとえば、企画立案と撮影は社内で行い、編集作業だけを外注するパターンがあります。編集は専門スキルと時間を要する工程のため、ここを外部に任せることで社内の負担を大幅に軽減できます。

また、立ち上げ初期はコンサルティングを受けながら運用し、ノウハウが蓄積されたら徐々に内製化していくアプローチも有効です。最終的にどの程度内製化するかは、社内リソースと予算のバランスを見ながら判断していくことになります。


撤退基準をどのように設定すればよいか?

目標を数値で設定する

「とりあえず始めてみる」という姿勢でYouTubeを開始する企業は少なくありませんが、目的が曖昧なままでは、成果が出ているのかどうかの判断ができません。

YouTube運用を始める前に、具体的な数値目標を設定することが重要です。

  • 期間: 半年後、1年後など
  • 登録者数: 500人、1,000人など
  • 月間再生回数: 1万回、5万回など
  • 問い合わせ数: YouTube経由の問い合わせ月5件など

これらの目標は、自社の事業規模やYouTubeを活用する目的によって異なります。採用強化が目的であれば「採用サイトへの遷移数」、認知拡大が目的であれば「インプレッション数」など、本来の目的に紐づいた指標を設定することが大切です。

撤退を判断するタイミング

撤退基準を事前に決めておくことは、ネガティブな発想ではありません。むしろ、限られたリソースを有効活用するための合理的な判断基準です。

一つの目安として、「30本以上の動画を投稿しても、1本あたりの平均再生回数が100回を超えない場合」は、チャンネルの方向性を見直すタイミングとされています。ただし、これはすぐに撤退すべきという意味ではなく、企画内容やターゲット設定、サムネイルの改善など、戦略を修正する必要があるというシグナルです。

また、同じジャンルの競合チャンネルがどの程度のペースで成長しているかを調査し、それと比較することも有効です。競合が25本以上の投稿で伸び始めているのであれば、自社チャンネルにもまだ伸びしろがある可能性があります。

撤退前に検討すべきこと

YouTubeの動画は、一度制作すれば半永久的に残り、長期にわたって検索流入をもたらす可能性があります。この「資産性」を考慮すると、短期間の成果だけで撤退を判断するのは早計です。

撤退を検討する前に、以下の点を確認してください。

  • 動画の企画やテーマは視聴者のニーズに合っているか
  • サムネイルやタイトルは改善の余地がないか
  • 投稿頻度は十分か(30本以上投稿したか)
  • ターゲット層は明確か

これらの改善を試みた上で、設定した期間内に目標に到達しなかった場合に、撤退または大幅な方針転換を検討するという流れが望ましいです。


まとめ

中小企業がYouTubeを始める前に知っておくべきポイントを5つ紹介しました。

  1. 成果が出るまでに時間がかかる: 6ヶ月〜1年は覚悟し、初期の再生数に一喜一憂しない
  2. 継続が前提: 30本がスタートライン、週1本以上の投稿を維持できる計画を立てる
  3. 社内体制の整備が必要: 役割分担を明確にし、属人化を防ぐ仕組みをつくる
  4. 外注と内製の選択: 自社のリソースと予算に応じて、ハイブリッド型も検討する
  5. 撤退基準を設定する: 具体的な数値目標を定め、達成できなかった場合の判断基準を持つ

YouTubeは「始めやすく、続けにくい」メディアです。しかし、事前に現実を理解し、適切な準備を整えた上で臨めば、中小企業にとって強力なマーケティングツールとなります。

焦らず、しかし着実に。長期的な視点でYouTube運用に取り組んでいきましょう。


この記事からわかるQ&A

YouTubeで成果が出るまでに、最低何本の動画が必要ですか?

一般的に「30本がスタートライン」とされています。30本程度の投稿があって初めてアルゴリズムからの評価が始まり、チャンネル分析も可能になります。50〜100本で本格的な見極めができるケースが多いです。

週1本の投稿を続けられるか不安です。もっと少ない頻度でも大丈夫ですか?

月2本(隔週)でも継続することは可能ですが、成長スピードは遅くなります。重要なのは一貫性であり、「月2本を1年間続ける」方が「最初の3ヶ月だけ週2本投稿して更新が止まる」よりも効果的です。無理のないペースで継続できる計画を立ててください。

社内に動画編集ができる人がいません。YouTube運用は難しいでしょうか?

編集作業だけを外注する「ハイブリッド型」という選択肢があります。企画と撮影は社内で行い、編集をフリーランスや制作会社に依頼することで、社内の負担を軽減しながら運用を続けることが可能です。

どのような指標で撤退を判断すればよいですか?

30本以上投稿しても1本あたりの平均再生回数が100回を超えない場合は、方向性の見直しが必要なシグナルとされています。ただし、これはすぐに撤退すべきという意味ではなく、企画内容やサムネイルの改善を検討するタイミングです。

競合企業がすでにYouTubeで成功しています。今から始めても間に合いますか?

YouTubeは参入企業が増えていますが、特定のニッチな領域ではまだ競合が少ない場合もあります。重要なのは「差別化できるテーマ」を見つけることです。競合が強いジャンルに正面から挑むのではなく、自社ならではの切り口や専門性を活かせるテーマを選ぶことで、後発でも成長の余地があります。

引用・参考資料

Brain公式メディア「『YouTubeは3ヶ月後に伸びる』は本当?伸びる前兆や伸びない人の特徴についても解説」(2025年7月)

クロボ「【YouTube】登録者数1,000人達成までの道のりを解説!」(2025年8月)

ノックス「企業主導のYouTubeが伸びなかったら撤退すべき?改善策も解説」(2023年6月)

動画幹事「企業がYouTubeに失敗する8つの理由|改善方法も解説」

フロンティアチャンネル「失敗する企業YouTubeチャンネルの10の特徴を改善策とあわせて解説」(2024年10月)

YouTube Creator Academy

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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