TikTokのアルゴリズム:「おすすめ」の仕組みを理解する

この記事でわかること
- TikTokの「おすすめ(For You Page)」フィードがどのような仕組みで動画を表示しているのか
- アルゴリズムが評価する主要な指標と、その優先度
- フォロワーが0人でも動画がリーチする「階層型ユーザープール」の構造
- 初期露出からバイラルに至るまでの段階的な拡散プロセス
- 企業アカウントがアルゴリズムを踏まえて意識すべきポイント
TikTokを活用したマーケティングに取り組もうとする企業にとって、「アルゴリズム」の理解は避けて通れないテーマです。「なぜ再生回数が伸びないのか」「どうすればおすすめに表示されるのか」といった疑問の多くは、TikTokがどのような基準で動画を評価し、配信しているのかを理解することで解消できます。
本記事では、TikTokのアルゴリズムの基本的な仕組みから、企業アカウントが意識すべきポイントまでを整理して解説します。
TikTokの「おすすめ」フィードとは何か?
For You Page(FYP)の基本概念
TikTokを開いたときに最初に表示されるのが「おすすめ」フィード、英語では「For You Page(FYP)」と呼ばれる画面です。ここには、ユーザーがフォローしているアカウントの投稿だけでなく、フォローしていないクリエイターの動画も表示されます。
InstagramやX(旧Twitter)といった他のSNSでは、タイムラインの中心はフォローしているアカウントの投稿です。一方、TikTokでは「おすすめ」フィードがメインの体験となっており、ユーザーは自分がフォローしていない動画との偶然の出会いを楽しむ設計になっています。
この仕組みがTikTokの最大の特徴であり、新規参入の企業やフォロワーが少ないアカウントにとって、大きなチャンスとなっています。
なぜフォロワー数に依存しないのか?
TikTokのアルゴリズムは、フォロワー数ではなく「コンテンツの質」を評価基準の中心に置いています。投稿された動画は、フォロワー数に関係なく、一定数のユーザーに配信され、その反応をもとに次の配信先が決定されます。
総務省の調査によると、TikTokの利用率は2018年(平成30年)の約10%から、2023年(令和5年)には30%超へと大きく伸びており、幅広い層がこのプラットフォームに触れるようになりました。その中で、フォロワー数よりもコンテンツの質が問われる構造は、知名度の低い中小企業にとっても、質の高い動画を制作すれば認知を広げられる可能性があることを意味しています。
アルゴリズムが評価する要素とは?
TikTokのアルゴリズムは公式に詳細が公開されているわけではありませんが、多くの運用事例やTikTok公式の発表から、評価に影響を与える主要な指標が明らかになっています。
視聴維持率と視聴完了率
動画がどれだけの時間視聴されたか、そして最後まで視聴された割合がどれくらいかは、アルゴリズムにおいて非常に重要な指標です。
視聴維持率は、動画の総時間に対して平均どれくらいの時間視聴されたかを示します。たとえば30秒の動画で平均視聴時間が15秒であれば、視聴維持率は50%となります。
視聴完了率は、動画を最後まで視聴したユーザーの割合を示します。この数値が高いほど、TikTokはその動画を「ユーザーにとって価値がある」と判断し、より多くのユーザーに配信する傾向があります。
冒頭の3秒で視聴者の関心を引きつけ、途中で離脱させない構成が求められます。
エンゲージメント指標
いいね、コメント、シェア、保存といったユーザーの反応も、アルゴリズムの評価に影響します。特に2025年現在では、「保存数」や「シェア数」といった指標の重要度が高まっているとされています。
これらの指標は、単純な数ではなく「率」で評価される点に注意が必要です。たとえば、1万回再生された動画のいいね数が300の場合、いいね率は3%となります。再生回数が多くても反応率が低ければ、高い評価は得られにくくなります。
リピート視聴
同じユーザーが動画を複数回視聴した回数も、評価に反映されます。TikTokの動画は再生が終わると自動的にループするため、「つい何度も見てしまう」動画は高く評価される傾向があります。
終わりがわかりにくい構成や、細部に気づきがある動画など、繰り返し視聴したくなる要素を取り入れることが効果的です。
動画の情報要素
キャプション(説明文)、ハッシュタグ、使用している楽曲なども、アルゴリズムが動画の内容を理解し、適切なユーザーに配信するための手がかりとして使用されます。
関連性の高いハッシュタグを3〜6個程度使用することが推奨されており、無関係なタグを大量に付けると、かえって評価が下がる可能性があります。
フォロワー0でもリーチする仕組みとは?
「階層型ユーザープール」による段階的配信
TikTokの特徴的な仕組みのひとつが、投稿された動画を段階的に配信していく「階層型ユーザープール」です。
動画が投稿されると、まず約300〜500人のユーザーに対してテスト配信が行われます。この初期配信では、投稿者と地理的に近い場所にいるユーザーや、すでに投稿者をフォローしているユーザーが優先される傾向があります。
この初期配信の段階で、視聴完了率やエンゲージメント率などの反応が一定の基準を超えると、次の層(より多くのユーザー)への配信が行われます。反響の良い動画だけがフィルターを通過し、1,000人、1万人、10万人と、配信対象の規模が段階的に拡大していく仕組みです。
テスト配信から全体配信への流れ
この段階的な拡散プロセスは、平均して12時間ほどで全体配信までたどり着くとされています。一夜にして爆発的な拡散が起きる「バズ」は、このプロセスを経て実現されています。
重要なのは、初期の300〜500人への配信段階で高い評価を得ることです。ここで反応が悪ければ、どれだけ良いコンテンツであっても次の層には配信されません。そのため、ターゲットとなるユーザー層に刺さる内容を作り込むことが、バズの可能性を高める鍵となります。
初期露出からバイラルへの流れはどのように進むのか?
加算式アルゴリズムと減算式アルゴリズム
TikTokのアルゴリズムには、「加算式アルゴリズム」と「減算式アルゴリズム」の2つの側面があります。
加算式アルゴリズムは、動画がバズる要因となる評価の仕組みです。視聴完了率、いいね率、コメント率、シェア率、リピート視聴などの指標が高いほど、おすすめへの表示が優先されます。
一方、減算式アルゴリズムは、動画の表示を抑制する要因です。「興味ありません」ボタンがタップされた場合や、視聴維持率が極端に低い場合、ガイドライン違反の報告があった場合などは、配信が制限されます。また、他のSNSへの誘導(「続きはYouTubeで」など)もマイナス評価の対象となる可能性があります。
反応に応じた段階的拡大
初期配信で高い反応を得た動画は、次の層へと配信が拡大します。この評価ループが繰り返され、最終的には数百万人規模のユーザーに配信される可能性もあります。
反対に、初期の反応が芳しくなければ、その段階で配信は止まります。つまり、「つまらない動画は自然に消え、おもしろい動画だけが爆発的に拡散される」という構造がTikTokのアルゴリズムの本質です。
この仕組みがあるからこそ、フォロワー数に関係なく、コンテンツの質次第でバズを起こせる環境が実現されています。
企業アカウントが意識すべきポイントとは?
冒頭3秒で視聴者を引きつける
視聴維持率を高めるためには、動画の冒頭で視聴者の関心を引きつけることが不可欠です。TikTokユーザーはフィードをスワイプしながら次々と動画を視聴するため、最初の数秒で「続きを見たい」と思わせなければ、すぐにスキップされてしまいます。
効果的な手法としては、冒頭で結論や見どころを提示する、意外性のある映像やテキストを配置する、視聴者への問いかけを入れるなどがあります。
エンゲージメントを促す仕掛け
コメントやシェアを促すためには、動画内でユーザーに働きかける工夫が効果的です。「あなたはどう思いますか?」といった問いかけを入れる、コメント欄で視聴者と積極的にコミュニケーションを取る、シェアしたくなるような情報価値の高いコンテンツを提供するなどの方法があります。
コメントに返信する時間や、他のユーザーのコメントを見ている時間も再生時間に含まれるため、コメント欄を活性化させることは総視聴時間の向上にもつながります。
ジャンルの一貫性を保つ
TikTokのアルゴリズムは、アカウントがどのようなジャンルのコンテンツを投稿しているかを学習し、そのジャンルに関心のあるユーザーに配信します。
異なるジャンルの動画をバラバラに投稿すると、アルゴリズムが「このアカウントは何を発信しているのかわからない」と判断し、適切なユーザーへの配信が難しくなる可能性があります。企業アカウントでは、発信するテーマや世界観を統一し、一貫性を持った運用を心がけることが重要です。
トレンドへの対応とリスク管理
TikTokではトレンドの移り変わりが速く、流行の楽曲やハッシュタグを活用した投稿はおすすめに表示されやすい傾向があります。一方で、アルゴリズムは定期的にアップデートされており、以前は効果的だった手法が通用しなくなるケースもあります。
企業アカウントの運用では、トレンドを取り入れつつも、炎上リスクへの配慮が欠かせません。投稿前に複数人で内容を確認する体制を整え、不適切な表現や誤解を招く内容がないかをチェックすることが求められます。
アルゴリズムに振り回されないために
コンテンツの本質を見失わない
アルゴリズムの仕組みを理解することは重要ですが、それに過度に振り回されると、本来の目的を見失いかねません。
2025年のTikTokでは、「本物らしさ」「誠実さ」を重視したコンテンツが評価される傾向が強まっています。加工過多の動画や、視聴者の関心を煽るだけの内容は、かえって評価が下がる可能性があります。
企業として伝えたいメッセージや価値を明確にし、それをTikTokというプラットフォームの特性に合わせて表現することが、中長期的な成果につながります。
データに基づく改善
TikTokのビジネスアカウントでは、投稿した動画のパフォーマンスを分析できる「インサイト機能」が利用できます。視聴回数、視聴完了率、フォロワーの属性、アクティブな時間帯などのデータを確認し、どのような動画が反応を得ているかを把握することで、改善のヒントが見えてきます。
「冒頭離脱率が高い」「視聴完了率が低い」といった課題が特定できたら、冒頭構成の見直しや動画尺の調整など、具体的な対策を講じることが可能です。
まとめ
TikTokのアルゴリズムは、フォロワー数ではなくコンテンツの質を評価基準の中心に置いています。「おすすめ」フィードに表示されるかどうかは、視聴完了率やエンゲージメント率といった指標によって決まり、初期配信での反応が次の配信拡大を左右します。
この仕組みは、知名度の低い企業やアカウント開設直後のフォロワー0の状態でも、質の高いコンテンツを制作すれば多くのユーザーにリーチできる可能性があることを意味しています。
一方で、アルゴリズムの変化に過度に振り回されず、企業として伝えたい価値を一貫して発信し続けることも重要です。データに基づく改善を重ねながら、中長期的な視点でTikTok運用に取り組むことが、成果につながる道筋となるでしょう。
この記事からわかるQ&A
TikTokの「おすすめ」フィードと「フォロー中」フィードの違いは何ですか?
「おすすめ(For You Page)」フィードには、フォローしていないアカウントの動画も含めて、アルゴリズムがユーザーの興味に合うと判断した動画が表示されます。一方、「フォロー中」フィードには、フォローしているアカウントの投稿のみが表示されます。TikTokではおすすめフィードがメインの体験となっており、フォロワー数に関係なく動画がリーチできる仕組みになっています。
フォロワー0のアカウントでも動画は再生されますか?
再生されます。TikTokでは投稿された動画がまず約300〜500人のユーザーにテスト配信され、その反応をもとに配信先が拡大する仕組みになっています。フォロワー数に関係なく、動画の内容とユーザーの反応によって次の配信が決まるため、開設直後のアカウントでもバズが起こる可能性があります。
アルゴリズムで最も重視される指標は何ですか?
視聴完了率と視聴維持率が特に重視されるとされています。動画が最後まで視聴された割合が高いほど、TikTokはその動画を「ユーザーにとって価値がある」と判断し、より多くのユーザーに配信する傾向があります。加えて、いいね、コメント、シェア、保存といったエンゲージメント指標や、リピート視聴も評価に影響します。
動画がおすすめに表示されなくなる原因はありますか?
減算式アルゴリズムによって表示が抑制されるケースがあります。「興味ありません」ボタンがタップされた場合、視聴維持率が極端に低い場合、ガイドライン違反の報告があった場合などが該当します。また、「続きはYouTubeで」など他のSNSへの誘導を動画内で行うと、マイナス評価の対象となる可能性があります。
企業アカウントがアルゴリズムを意識する上で最も重要なことは何ですか?
冒頭3秒で視聴者の関心を引きつけ、視聴完了率を高めることが重要です。また、発信するジャンルやテーマの一貫性を保ち、アルゴリズムが適切なユーザーに配信しやすい状態を作ることも効果的です。トレンドを取り入れつつ、企業として伝えたい価値を一貫して発信し、データに基づく改善を続けることが中長期的な成果につながります。
引用・参考資料
- TikTok公式「おすすめフィードの仕組みについて」
- 総務省「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
- レバテックメディア「TikTokの爆発的な拡散力はどこから?AIアルゴリズムと『階層型ユーザープール』で生み出した大ヒットの裏側」
- 博報堂DYメディアパートナーズ「コンテンツファン消費行動調査」(2023年)
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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