TikTok用語集:企業担当者が知っておくべき基本用語

この記事でわかること
- TikTokの基本用語(FYP、For Youなど)
- 分析・指標に関する用語(エンゲージメント率、視聴維持率など)
- コンテンツ制作に関する用語(デュエット、スティッチなど)
- 運用・マーケティングに関する用語(インサイト、バズるなど)
TikTokを運用する際、社内ミーティングやレポート、外部パートナーとのやり取りで、さまざまな専門用語が飛び交います。用語の意味が分からないと、議論についていけなかったり、重要な指標を見落としたりすることも。
この記事では、企業担当者がTikTok運用で押さえておくべき基本用語を、カテゴリ別に整理して解説します。運用開始前の予習として、また運用中の辞書として、ご活用ください。
基本用語
FYP(For You Page)
「For You Page」の略称で、TikTokを開いたときに最初に表示される「おすすめ」フィードのこと。ユーザーごとにパーソナライズされた動画が表示される。TikTokのコアとなる機能であり、ここに表示されることが再生数を伸ばすカギとなる。
関連: アルゴリズム、おすすめ
おすすめ(レコメンド)
FYPと同義。TikTokのアルゴリズムがユーザーの興味関心に基づいて自動的に選別した動画が表示されるフィード。「おすすめに乗る」とは、多くのユーザーのFYPに自分の動画が表示されることを指す。
フォローフィード
フォローしているアカウントの投稿のみが表示されるフィード。「おすすめ」とは別のタブとして存在する。フォロワーに確実に動画を届けたい場合は、フォローフィードでの表示も意識する必要がある。
クリエイター
TikTokで動画を投稿する人の総称。個人のクリエイターだけでなく、企業アカウントの運用担当者もクリエイターと呼ばれることがある。「TikToker(ティックトッカー)」とも呼ばれる。
サウンド(音源)
TikTokの動画で使用するBGMや音声のこと。TikTokには豊富な音源ライブラリがあり、人気の音源を使用することでおすすめに表示されやすくなる傾向がある。オリジナル音源を作成・使用することも可能。
トレンド
TikTok上で流行しているコンテンツの傾向。特定のサウンド、エフェクト、フォーマット、ハッシュタグなどがトレンドとして広がる。トレンドに乗ったコンテンツは、おすすめに表示されやすい傾向がある。
指標・分析用語
再生回数(視聴回数)
動画が再生された回数。TikTokでは動画が表示され、再生が開始された時点で1回とカウントされる。最も基本的な指標だが、再生回数だけでは動画の質は判断できない。
エンゲージメント
ユーザーが動画に対して行う反応の総称。具体的には、いいね、コメント、シェア、保存、フォローなどが含まれる。エンゲージメントが高い動画は、アルゴリズムから「価値のある動画」と判断されやすい。
エンゲージメント率
動画に対するユーザーの反応率。計算方法はいくつかあるが、一般的には以下の式で算出する。
計算式:
(いいね数 + コメント数 + シェア数 + 保存数)÷ 再生回数 × 100
再生回数が多くてもエンゲージメント率が低ければ、ユーザーの興味を引けていない可能性がある。TikTokでは他のSNSと比較してエンゲージメント率が高い傾向にあり、目安として5〜10%程度が平均的とされる。
いいね率
動画に対していいねが押された割合。
計算式:
いいね数 ÷ 再生回数 × 100
目安として3〜5%程度が平均的とされる。
コメント率
動画に対してコメントが投稿された割合。
計算式:
コメント数 ÷ 再生回数 × 100
コメント率が高い動画は、視聴者の関心を強く引いている証拠といえる。
シェア率
動画が他のSNSやLINEなどに共有された割合。
計算式:
シェア数 ÷ 再生回数 × 100
シェアされる動画は「他の人にも見せたい」と思われる価値があることを示す。
保存数
動画がユーザーに保存された数。「後で見返したい」「参考にしたい」と思われる動画は保存されやすい。2025年現在、保存数はアルゴリズムにおいて重要な評価指標とされている。
平均視聴時間
ユーザーが動画を視聴した平均の時間。30秒の動画に対して平均視聴時間が15秒であれば、平均して動画の半分まで視聴されていることを意味する。
視聴維持率
動画の尺に対して、どれだけの割合が視聴されたかを示す指標。
計算式:
平均視聴時間 ÷ 動画の尺 × 100
例えば、60秒の動画に対して平均視聴時間が30秒であれば、視聴維持率は50%となる。目安として60%以上が望ましいとされる。
視聴完了率
動画を最後まで視聴したユーザーの割合。視聴完了率が高い動画は、アルゴリズムから「ユーザーのニーズを満たしている」と判断されやすい。目安として30%以上が望ましいとされる。
リピート再生率
同じユーザーが動画を繰り返し視聴した割合。「もう一度見たい」と思わせる動画は、アルゴリズムで高く評価される傾向がある。
フォロワー転換率
動画を視聴したユーザーが、その動画をきっかけにフォローした割合。フォロワー獲得に効果的な動画かどうかを判断する指標となる。
インプレッション
動画がユーザーの画面に表示された回数。再生回数とは異なり、表示されただけでカウントされる場合もある。
リーチ
動画が届いたユニークユーザー数。同じユーザーが複数回視聴しても、リーチは1とカウントされる。
コンテンツ制作用語
デュエット
他のユーザーの動画と並べて表示される形式で、自分の動画を投稿する機能。元の動画に対するリアクション、コラボレーション、パロディなどに使われる。企業アカウントでは、ユーザーの投稿にリアクションする形で活用されることがある。
スティッチ
他のユーザーの動画の一部(最大5秒)を切り取り、自分の動画の冒頭に挿入して投稿する機能。元の動画に対する回答、続き、反論などの形式で使われることが多い。
ハッシュタグ
「#」から始まるタグ。動画の内容を示すキーワードとして使用され、検索やおすすめ表示に影響する。関連性の高いハッシュタグを適切に使用することが重要。
ハッシュタグチャレンジ
企業がプロモーション目的で実施するキャンペーン形式。指定されたハッシュタグとフォーマットに沿って、ユーザーが動画を投稿する参加型の企画。TikTok広告の一種として提供されている。
エフェクト
動画に適用できる視覚効果やフィルター。顔認識を利用したエフェクト、画面全体に適用するフィルター、AR(拡張現実)を活用したエフェクトなど、多様な種類がある。人気のエフェクトを使用することで、おすすめに表示されやすくなる傾向がある。
トランジション
動画内のシーン切り替え時に使用する演出効果。スムーズな場面転換や、視覚的なインパクトを生み出すために使われる。
縦型動画
スマートフォンを縦に持った状態で全画面表示される動画形式(アスペクト比9:16)。TikTokの標準フォーマットであり、横型動画と比較して視聴体験が最適化されている。
尺(動画の長さ)
動画の再生時間。TikTokでは15秒、60秒、3分、10分などの尺で投稿可能。一般的に、短い動画(15〜60秒)のほうが視聴完了率を高めやすいとされる。
運用・マーケティング用語
アルゴリズム
TikTokが動画をどのように評価し、どのユーザーに表示するかを決定する仕組み。視聴維持率、エンゲージメント率、保存数などの指標を総合的に評価し、おすすめに表示する動画を選別する。
関連記事: 004「TikTokのアルゴリズムを理解する」
インサイト
TikTokアプリ内で利用できる分析機能。動画の再生回数、フォロワー数の推移、エンゲージメント、視聴者の属性などのデータを確認できる。個人アカウントでも利用可能。
バズる
動画が爆発的に拡散され、短期間で大量の再生数やエンゲージメントを獲得すること。明確な基準はないが、一般的に数十万〜数百万再生に達した状態を指すことが多い。
加算式アルゴリズム
動画の評価を上げる要素を評価する仕組み。視聴完了率、いいね率、コメント率、シェア率、保存数などが高いほど、おすすめに表示されやすくなる。
減算式アルゴリズム
動画の評価を下げる要素を評価する仕組み。早期離脱率、「興味ない」の報告、視聴のスキップなどが多いほど、おすすめに表示されにくくなる。
TikTok For Business
TikTokが提供する企業向けのマーケティングプラットフォーム。広告出稿、ビジネスアカウントの作成、クリエイティブツールの利用などが可能。
ビジネスアカウント
企業向けに提供されているアカウント種別。詳細なインサイト機能、プロフィールへのリンク設置、商用音源の利用などが可能になる。
UGC(User Generated Content)
ユーザーが自発的に作成・投稿するコンテンツ。企業のTikTokマーケティングでは、UGCを促進する施策(ハッシュタグチャレンジなど)が重要視される。
TikTok売れ
TikTokで紹介された商品が爆発的に売れる現象。2021年に日経トレンディが選ぶヒット商品の1位に選ばれ、TikTokの購買行動への影響力が認知されるきっかけとなった。
用語の使用例
実際の運用シーンで、これらの用語がどのように使われるかを例示します。
ミーティングでの会話例
「先週投稿した動画、再生回数は5万回だったけど、視聴維持率が40%で目標の60%を下回っている。冒頭での離脱が多いようだから、フック(冒頭の引き)を改善しよう」
「エンゲージメント率は8%と平均を上回っているから、内容自体は刺さっている。保存数も多いので、次は類似のテーマで投稿してみよう」
レポートでの記載例
「今月の投稿分析:合計10本投稿、総再生回数15万回、平均エンゲージメント率6.2%。FYPへの表示率が向上し、フォロワー外からの視聴が増加。視聴完了率が高かった動画の共通点は、15秒以内の短尺であること」
まとめ
TikTok運用では、さまざまな専門用語が使われます。基本用語(FYP、おすすめ、サウンドなど)、指標用語(エンゲージメント率、視聴維持率、視聴完了率など)、コンテンツ用語(デュエット、スティッチ、ハッシュタグチャレンジなど)、運用用語(アルゴリズム、インサイト、バズるなど)を押さえておくことで、社内外のコミュニケーションがスムーズになります。
特に重要なのは、指標に関する用語です。エンゲージメント率、視聴維持率、視聴完了率などの意味と計算方法を理解しておくことで、投稿の分析と改善が効果的に行えるようになります。
次の記事からは、「戦略設計」カテゴリに入ります。TikTok運用で達成できる目的と、その達成可能性について解説します。
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。前職を含め地域企業を中心とした200社以上の経営者インタビュー映像を制作。現在は「左脳と右脳のハイブリッド」を掲げ、戦略設計から映像・Web・各種コンテンツ制作まで手がける。 これまで音楽家として楽曲提供、行政職員として12年間 制度運用・予算編成等に従事。その後、NPO法人、映像・マーケティング分野に転じ、現在に至る。現在は大学非常勤講師として映像編集ソフトの操作指導も行う。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表 纐纈がこれまで200社以上の経営者インタビュー映像を制作してきたノウハウとインタビュースキルを軸として、BtoBマーケティング視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた、各種クリエイティブをご提案・制作します。

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