YouTubeのアルゴリズムを理解する:おすすめ・検索の仕組み

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この記事でわかること

  • YouTubeの2つの流入経路(検索・おすすめ)の違い
  • アルゴリズムが評価する4つの主要指標
  • 検索SEOの基本的な考え方
  • おすすめに表示される仕組み
  • 企業チャンネルが意識すべきポイント

「動画を投稿しても、なかなか再生されない」——YouTubeを始めた企業からよく聞く悩みです。

YouTubeでは、アルゴリズムによって「どの動画を、誰に、どこで表示するか」が決定されています。このアルゴリズムの仕組みを理解することで、効果的な運用につなげることができます。

この記事では、YouTubeのアルゴリズムの基本的な仕組みと、企業チャンネルが意識すべきポイントを解説します。


YouTubeの2つの流入経路

YouTubeで動画が視聴されるまでには、大きく2つの経路があります。

1. 検索経由

視聴者がYouTubeの検索ボックスにキーワードを入力し、検索結果から動画を発見するパターンです。

特徴:

  • 視聴者が能動的に情報を探している
  • 明確なニーズを持っている
  • Google検索結果にも表示される可能性がある

「〇〇 やり方」「〇〇 使い方」「〇〇 比較」といった検索で、自社の動画が表示されれば、見込み客や求職者にリーチできます。

2. おすすめ経由

YouTubeのホーム画面や関連動画として、アルゴリズムが自動的に動画を表示するパターンです。

特徴:

  • 視聴者の過去の行動データに基づいて表示
  • 視聴者は受動的に動画を発見
  • 興味関心に合った動画が提案される

おすすめ経由は、検索経由よりも多くの流入を生むことがあります。YouTubeのホーム画面を開いただけで、興味のありそうな動画が表示されるため、視聴者は自然とクリックします。

企業チャンネルはどちらを狙うべきか

企業チャンネル、特に開設初期は「検索経由」を重視することをおすすめします。

理由は以下の通りです。

  • 検索経由は、明確なニーズを持ったユーザーにリーチできる
  • キーワードを意識した動画制作で、狙った層に届けやすい
  • おすすめ表示はデータの蓄積が必要で、初期は表示されにくい

検索経由で一定の視聴データが蓄積されると、徐々におすすめにも表示されるようになります。


アルゴリズムが評価する4つの主要指標

YouTubeのアルゴリズムは、視聴者の行動データをもとに動画を評価しています。企業担当者が理解しておくべき主要な指標は4つあります。

1. 視聴維持率

定義: 動画がどこまで視聴されたかを示す割合

視聴維持率は、アルゴリズム評価において最も重要な指標の一つです。動画の最後まで視聴された割合が高いほど、「視聴者を満足させた動画」と判断されます。

目安:

  • 40%以上:平均的
  • 50%以上:良好
  • 60%以上:優秀

改善のポイント:

  • 冒頭で「この動画で何がわかるか」を明示
  • 不要な部分を削除し、テンポよく進行
  • 途中で離脱されやすいポイントを分析し改善

2. クリック率(CTR)

定義: 表示された回数(インプレッション)に対して、クリックされた割合

サムネイルとタイトルを見た視聴者が、実際にクリックして動画を視聴した割合です。CTRが高いほど、「興味を引くサムネイル・タイトル」と評価されます。

目安:

  • 2〜5%:平均的
  • 5〜10%:良好
  • 10%以上:優秀

改善のポイント:

  • サムネイルは視認性を重視(文字は大きく、少なく)
  • タイトルは検索キーワードを含めつつ、興味を引く表現に
  • サムネイルとタイトルで「何が得られるか」を明確に

3. 総再生時間

定義: 動画が視聴された累計時間

1本の動画だけでなく、チャンネル全体の総再生時間もアルゴリズム評価に影響します。総再生時間が長いほど、「視聴者に価値を提供しているチャンネル」と判断されます。

ポイント:

  • 長い動画=良いではない。最後まで見られる長さが重要
  • 再生リストで複数動画の連続視聴を促す
  • 定期的な投稿で総再生時間を積み上げる

4. エンゲージメント

定義: 高評価、コメント、共有、チャンネル登録などの視聴者アクション

視聴者が動画に対してアクションを起こした数です。エンゲージメントが高いほど、「視聴者の心を動かした動画」と評価されます。

ポイント:

  • 動画内でコメントを促す質問を投げかける
  • 高評価・チャンネル登録のお願いは自然な形で
  • コメントには返信し、コミュニケーションを促進

検索SEOの考え方

YouTube検索で上位表示されるためには、Webサイトの検索SEOと同様の考え方が有効です。

キーワード選定

視聴者がどのようなキーワードで検索するかを想定し、動画を企画します。

キーワード選定のポイント:

  1. 検索ボリュームがあるか
    誰も検索しないキーワードでは、流入は見込めない
  2. 競合が強すぎないか
    人気キーワードは大手チャンネルが上位を占めている場合が多い
  3. 自社の強みと合致するか
    自社が専門性を持つ領域のキーワードを選ぶ

キーワードの探し方:

  • YouTube検索のサジェスト機能を活用
  • 競合チャンネルの人気動画のタイトルを参考に
  • Google トレンドで検索傾向を確認

タイトルの最適化

タイトルは、検索結果での表示とクリック率の両方に影響します。

タイトル作成のポイント:

  • 狙っているキーワードを含める(できれば前半に)
  • 28〜40文字程度(長すぎると省略される)
  • 視聴者の疑問や課題を反映させる
  • 「〇〇とは」「〇〇の方法」など検索されやすい形式を活用

良いタイトルの例:

  • 「溶接の基礎|初心者が押さえるべき3つのポイント」
  • 「採用動画の作り方|中小企業でもできる撮影・編集のコツ」

説明文(概要欄)の最適化

説明文も検索アルゴリズムの評価対象です。

説明文作成のポイント:

  • 冒頭2〜3行に要点とキーワードを含める(折りたたまれる前に表示される部分)
  • 動画の内容を具体的に記載
  • 関連動画やWebサイトへのリンクを設置
  • ハッシュタグは3〜5個程度(過剰なタグはスパム判定の恐れ)

おすすめに載る仕組み

おすすめ表示には、主に「ホーム画面」と「関連動画」の2つがあります。

ホーム画面

YouTubeアプリやWebサイトを開いたときに表示される画面です。

表示される動画の決定要因:

  • 視聴者の過去の視聴履歴
  • 視聴者がフォローしているチャンネルの新着動画
  • 視聴者と似た属性のユーザーが視聴している動画
  • 動画自体のパフォーマンス(視聴維持率、CTRなど)

ホーム画面に表示されるには、まず「視聴者に見つけてもらう」必要があります。検索経由や外部流入でデータを蓄積し、アルゴリズムに「この動画は〇〇に興味がある人に向いている」と認識させることが重要です。

関連動画

動画視聴中に、画面の右側(PCの場合)や下部(スマホの場合)に表示される動画一覧です。

表示される動画の決定要因:

  • 現在視聴中の動画との関連性
  • 視聴者の過去の視聴履歴
  • 一緒に視聴されることが多い動画

関連動画に表示されるためのポイント:

  • 同じテーマの動画を複数制作し、シリーズ化
  • 再生リストでまとめ、連続視聴を促す
  • タイトルや説明文に共通のキーワードを含める

企業チャンネルが意識すべきポイント

ここまでの内容を踏まえ、企業チャンネルが特に意識すべきポイントを整理します。

1. アルゴリズムより「視聴者」を見る

YouTubeの公式見解として、「アルゴリズムを満足させることより、視聴者を満足させることを考えるべき」とされています。

アルゴリズムは、視聴者の行動を反映したものです。視聴者が満足する動画を作れば、結果的にアルゴリズムからも評価されます。

2. 最初の10秒に力を入れる

視聴維持率を高めるために、冒頭の10秒は特に重要です。

  • この動画で何がわかるかを明示
  • 視聴者の課題に共感を示す
  • 続きが気になる展開を作る

冒頭で離脱されると、どれだけ後半が良くても評価されません。

3. サムネイルとタイトルは「約束」

サムネイルとタイトルで期待を持たせて、内容で裏切ると、視聴者の信頼を失います。

「釣り」のようなサムネイルやタイトルは、一時的にクリック率を上げても、視聴維持率が下がり、長期的にはマイナスです。サムネイルとタイトルは「この動画ではこれがわかります」という約束であり、内容で約束を果たすことが重要です。

4. 継続的な投稿でデータを蓄積

アルゴリズムは、過去のデータをもとに動画を評価します。投稿数が少ないと、データが蓄積されず、おすすめに表示されにくくなります。

企業チャンネルでは、週1本程度の継続的な投稿が理想です。難しい場合でも、月2〜4本程度は維持したいところです。

5. 分析と改善のサイクルを回す

YouTube Studioのアナリティクス機能を活用し、各動画のパフォーマンスを分析します。

確認すべき指標:

  • どの動画が視聴維持率が高いか
  • どのサムネイルがCTRが高いか
  • どこから流入しているか(検索、おすすめ、外部など)

データをもとに、次の動画制作に活かすサイクルを回すことで、徐々にパフォーマンスが向上していきます。


まとめ:アルゴリズムは「視聴者満足度」の反映

YouTubeのアルゴリズムについて解説しました。ポイントを整理します。

2つの流入経路:

  • 検索経由:能動的に情報を探す視聴者にリーチ
  • おすすめ経由:過去の行動データに基づき表示

4つの主要指標:

  • 視聴維持率:最後まで見られたか
  • CTR:クリックされたか
  • 総再生時間:どれだけ視聴されたか
  • エンゲージメント:アクションを起こしたか

企業チャンネルが意識すべきこと:

  • 視聴者を満足させることを最優先に
  • 冒頭10秒とサムネイル・タイトルに力を入れる
  • 継続的な投稿と分析改善のサイクル

アルゴリズムの仕組みを理解することは重要ですが、最も大切なのは「視聴者にとって価値のある動画を作る」ことです。視聴者が満足すれば、アルゴリズムは自然と味方になります。

次の記事では、YouTube運用に必要な基本用語を解説します。

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。前職を含め地域企業を中心とした200社以上の経営者インタビュー映像を制作。現在は「左脳と右脳のハイブリッド」を掲げ、戦略設計から映像・Web・各種コンテンツ制作まで手がける。 これまで音楽家として楽曲提供、行政職員として12年間 制度運用・予算編成等に従事。その後、NPO法人、映像・マーケティング分野に転じ、現在に至る。現在は大学非常勤講師として映像編集ソフトの操作指導も行う。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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