TikTokの概況:日本市場と進化の歴史

この記事でわかること
- TikTokの誕生から現在までの歴史的経緯
- 日本市場における4,200万人ユーザーの実態と特徴
- 動画尺の変遷とプラットフォーム機能の進化
- 2025年開始のTikTok Shopがもたらす変化
- 企業がTikTokを活用する際の市場背景
TikTokを企業のマーケティングや採用に活用しようと考えたとき、「そもそもTikTokとはどのようなプラットフォームなのか」「日本市場はどの程度の規模なのか」といった基本的な疑問が浮かぶかもしれません。
本記事では、TikTokの誕生から現在に至るまでの歴史、日本市場の最新データ、そしてプラットフォームとしての進化について整理します。企業がTikTok活用を検討する際の基礎知識として参考にしてください。
TikTokはいつ、どのように誕生したのか?
TikTokの原型は、2016年9月に中国のByteDance社がリリースした「抖音(Douyin)」に遡ります。わずか200日で開発されたこのアプリは、リリースから1年で1億ユーザーを突破。その急成長を受け、2017年9月に国際版として「TikTok」がグローバル展開を開始しました。
日本でのサービス開始は2017年。同年11月には日本のApp Store総合ランキングで1位を獲得し、若年層を中心に急速に普及していきます。
主要なマイルストーン
TikTokの成長は、いくつかの重要な転機によって加速しました。
2017年11月、ByteDanceは音楽動画アプリ「Musical.ly」を約10億ドルで買収。翌2018年8月に両サービスを統合し、Musical.lyのユーザー基盤を取り込むことに成功しました。
2018年には、日本でも「流行語大賞」にノミネートされ、JC・JK流行語大賞のアプリ部門で1位を獲得。社会的な認知度が一気に高まった時期です。
2019年2月には、TikTokとDouyinを合計した世界ダウンロード数が10億を突破。その後も成長は続き、2021年9月には世界月間アクティブユーザー数が10億人を超えました。FacebookやInstagramが同じ規模に達するまでに要した期間の約半分という驚異的なスピードです。
2021年には、Cloudflareの調査でGoogleを抜いて世界で最もアクセスされたウェブサイトとなり、日経トレンディの「ヒット商品ベスト30」では「TikTok売れ」が1位に選出されました。
日本市場の規模はどれくらいか?
2025年11月にTikTokが発表した最新データによると、日本国内の月間アクティブユーザー数(TikTokとTikTok Lite合計、重複除く)は4,200万人に達しています。これは日本の人口の約3人に1人が利用している計算です。
急成長する日本市場
この数字は、2022年11月時点の2,120万人から約3年で2倍に成長したことを意味します。当初は10代・20代の若年層が中心でしたが、現在は30代以上のユーザー層も拡大しており、幅広い年齢層に浸透しています。
TikTokが2025年6月に発表した調査レポートでは、2024年にTikTokのコンテンツをきっかけに生じた日本国内の推定消費額は2,375億円にのぼり、前年比37%増となりました。ファッション・コスメ、家具・家電、観光など幅広い分野にわたり、TikTokで商品やサービスを知って実際に購入・体験に至った結果です。
クリエイターと広告出稿企業の状況
2025年6月時点で、日本国内のTikTokクリエイター数は226万人。広告を出稿している企業数は48万社を超えています。
TikTokユーザーの約3人に1人(33.9%)が、TikTokをきっかけに商品やサービスを購入した経験があると回答しており、視聴から購買行動への転換が活発に起きているプラットフォームといえます。
動画の長さはどのように変化してきたのか?
TikTokは「ショート動画」のプラットフォームとして知られていますが、投稿可能な動画の長さは段階的に拡大してきました。
動画尺の変遷
| 時期 | 最大動画長 | 特徴 |
|---|---|---|
| サービス開始時 | 15秒 | 短尺ダンス動画が主流 |
| 2018年頃 | 60秒 | 情報量の多いコンテンツが増加 |
| 2021年7月 | 3分 | チュートリアル系コンテンツに対応 |
| 2022年3月 | 10分 | YouTubeとの競合を意識した拡張 |
| 2024年〜 | 60分(テスト中) | 一部ユーザー限定で長尺対応 |
現在、一般ユーザーが投稿できる動画の上限は10分です。アプリ内で撮影・編集する場合は「15秒」「60秒」「3分」のモードを選択でき、外部で編集した動画をアップロードすれば10分まで対応可能です。
長尺化の背景と使い分け
長尺化が進んだ背景には、コンテンツの多様化があります。サービス開始当初はダンスやリップシンクが中心でしたが、現在はレシピ紹介、美容チュートリアル、商品レビュー、ゲーム実況など、より詳細な説明を必要とするコンテンツが増加しました。
ただし、TikTokのアルゴリズムでは視聴完了率が重要な指標となるため、長尺動画は最後まで見てもらうためのより高い企画力が求められます。企業が活用する際は、伝えたい情報量と視聴者の集中力のバランスを考慮した尺の設定が重要になります。
プラットフォームはどのような機能を追加してきたのか?
TikTokは動画投稿・視聴の基本機能に加え、さまざまな機能を段階的に追加してきました。
主な機能拡張の経緯
ライブ配信機能は早期から実装され、リアルタイムでの視聴者とのコミュニケーションを可能にしています。ライブ配信には時間制限がなく、「ギフティング」と呼ばれる投げ銭機能を通じてクリエイターが収益を得ることもできます。
デュエット機能は、他のユーザーの動画と自分の動画を並べて表示できる機能で、コラボレーションやリアクション動画の制作に活用されています。
クリエイター向け収益化プログラムも拡充が進み、Creator Rewards Program(視聴回数に応じた報酬)、ライブギフティング、アフィリエイト機能など、複数の収益化手段が用意されています。
広告プラットフォームとしても進化を続け、インフィード広告、ブランドテイクオーバー、ハッシュタグチャレンジなど、企業向けの広告商品が充実しています。
2025年に開始したTikTok Shopとは何か?
2025年6月30日、TikTokは日本でTikTok Shopのサービスを開始しました。これは、TikTokアプリ内で商品の発見から購入・決済までを完結できるEC機能です。
ディスカバリーEコマースという新しい購買体験
TikTok Shopの最大の特徴は、「ディスカバリーEコマース」と呼ばれる購買体験にあります。従来のECサイトではユーザーが商品を能動的に検索しますが、TikTok Shopでは動画コンテンツを楽しみながら偶然出会った商品をその場で購入できます。
動画視聴中に表示される商品リンクをタップすれば、外部サイトに遷移することなくTikTok内で購入手続きが完了します。この「離脱しない」導線設計が、購買転換率の向上につながると期待されています。
主な機能
- ショッピング動画: 商品リンクを設定したショート動画を投稿
- ショッピングLIVE配信: ライブ配信中に商品を紹介・販売
- 商品ショーケース: ブランドのプロフィール画面に商品一覧を表示
- アフィリエイト連携: クリエイターが商品を紹介して報酬を得る仕組み
海外での先行事例
TikTok Shopは日本に先駆けて米国、英国、東南アジア諸国など15以上の国・地域で展開されています。イギリスではライブ配信1回あたりの平均CVR(購買転換率)が14%を超え、インドネシアでは食品ブランドがTikTok Shop経由で月商120%増を達成した事例も報告されています。
日本でも同様の効果が得られるかは今後の検証が必要ですが、「TikTok売れ」という言葉が定着しているように、TikTokが購買行動に与える影響力は既に実証されています。
コンテンツのトレンドはどう変化してきたのか?
TikTokで人気を集めるコンテンツのジャンルは、年々多様化しています。
日本市場におけるトレンドの変遷
2018年頃は、ダンスやリップシンクが主流でした。倖田來未の「め組のひと」やDA PUMPの「U.S.A.」に合わせたダンス動画が大流行し、TikTokの認知度向上に貢献しました。
2020年にはコロナ禍の影響で利用者が急増。瑛人の「香水」がTikTokをきっかけに大ヒットし、アーティストが紅白歌合戦に出場するなど、音楽業界への影響力も顕著になりました。「#時を戻そう」「#きゅんです」といったトレンドも生まれています。
2021年には「#地球グミ」が総再生回数7億回を超え、「TikTok売れ」の代表的事例となりました。
2023年以降は、レシピ動画、美容・スキンケア、ライフハック、教育系コンテンツなど、実用的な情報を提供する動画の人気が高まっています。「踊ってみた」から「役に立つ情報」へと、ユーザーがTikTokに求めるものが広がっている傾向が見られます。
企業はこの市場をどう捉えるべきか?
ここまで見てきたように、TikTokは2016年の誕生から約9年で、日本国内4,200万人以上が利用する巨大プラットフォームへと成長しました。
企業活用の観点から見たポイント
市場規模の大きさは明らかです。日本の3人に1人が利用し、年間2,000億円以上の消費を生み出しているプラットフォームは、マーケティングチャネルとして無視できない存在になっています。
コンテンツの多様化により、ダンスや音楽以外のジャンルでも成果を出せる可能性が広がっています。製品紹介、企業文化の発信、採用広報など、企業が発信しやすいコンテンツの受け皿も整いつつあります。
EC機能の実装により、認知獲得だけでなく購買までを一貫してTikTok内で完結させることが可能になりました。特にD2Cブランドや小売業にとっては、新たな販売チャネルとしての可能性があります。
一方で、TikTokはアルゴリズムの変化が速く、トレンドの移り変わりも激しいプラットフォームです。継続的な運用と、プラットフォームの特性に合わせたコンテンツ制作が求められる点は、他のSNSと同様に考慮すべきポイントです。
まとめ
TikTokは2016年の誕生から約9年で、世界10億人、日本4,200万人以上が利用するプラットフォームへと成長しました。
動画の長さは15秒から最大10分(テスト中は60分)まで拡張され、コンテンツのジャンルもダンス・音楽から実用的な情報発信へと多様化しています。2025年にはTikTok Shopが日本でも開始され、動画視聴から購買までをアプリ内で完結できる環境が整いました。
企業がTikTokを活用する際は、これらの市場背景とプラットフォームの進化を理解した上で、自社の目的に合った活用方法を検討することが重要です。
この記事からわかるQ&A
日本のTikTokユーザー数はどれくらいですか?
2025年11月発表のデータによると、TikTokとTikTok Liteを合計した月間アクティブユーザー数は4,200万人です。日本の人口の約3人に1人が利用している計算になります。
TikTokに投稿できる動画の最大の長さは?
現在、一般ユーザーが投稿できる動画の上限は10分です。アプリ内撮影では15秒・60秒・3分から選択でき、外部編集した動画をアップロードすれば10分まで対応可能です。60分動画は一部ユーザー限定でテスト中の段階です。
TikTok Shopとは何ですか?
TikTokアプリ内で商品の発見から購入・決済までを完結できるEC機能です。2025年6月30日に日本でサービスを開始しました。動画視聴中に商品リンクをタップすれば、外部サイトに遷移せずにTikTok内で購入手続きが完了します。
TikTokで人気のコンテンツジャンルは何ですか?
サービス開始当初はダンスやリップシンクが主流でしたが、現在はレシピ動画、美容・スキンケア、ライフハック、教育系コンテンツなど実用的な情報を提供する動画の人気が高まっています。
「TikTok売れ」とは何ですか?
TikTokの動画をきっかけに商品が爆発的に売れる現象を指す言葉です。2021年には日経トレンディの「ヒット商品ベスト30」で1位に選出されました。2024年にはTikTokをきっかけとした国内推定消費額が2,375億円に達しています。
引用・参考資料
- TikTok「TikTok Shopを日本で提供開始」(2025年6月)
- TikTok「日本における経済効果を発表」(2025年6月)
- TikTok「TikTok利用者4,200万人発表」(2025年11月)
- ITmedia NEWS「TikTok、動画長さを60秒から3分に拡張」(2021年7月)
- 日経トレンディ「2021年ヒット商品ベスト30」
- JETRO「TikTok Shop、6月に日本でサービス開始の見通し」(2025年3月)
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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