1本の収録を、記事・短い尺・営業資料へ広げる

この記事でわかること
- 再利用できているBtoB企業の割合
- 再利用で得られている効果の順位
- 営業資料まで届いている割合
- 文字起こしをそのまま出す危うさ
- 収録前に決めておく二次利用の範囲
御社が月に1回、30分の収録をされたとします。そこから出てくる素材を番組の配信だけで終わらせるのは、もったいないと私は考えています。
同じ素材から、記事も、短い尺の動画も、営業の場で使う資料も作れます。ただし作り方を間違えると、検索に評価されない記事が増えるだけになってしまいます。
この記事では、IDEATECHの2つの調査とGoogleが公表している資料をもとに、1回の収録をどこまで広げられるかを整理します。
再利用できている企業は、64.4%です
IDEATECHが2025年6月に、BtoB企業のコンテンツマーケティング担当者328人へ調査を行いました。
御社は、作ったコンテンツを継続的に再利用・転用できておられるか。この問いに、十分にできていると答えた担当者が20.7%、ある程度できていると答えた担当者が43.7%でした。合わせて64.4%が、何らかの形で再利用に取り組んでいる計算になります。
この調査は民間企業が公表したインターネット調査であり、政府統計でも無作為抽出による全数調査でもありません。数字を社内で使われる場合は、標本の条件もあわせてお伝えください。
再利用の効果は、制作コストの削減が1位です
再利用できていると答えた211人に、その方法と効果を聞いた結果があります。
| 再利用の方法 | 割合 |
|---|---|
| 更新して再公開 | 46.0% |
| 別の媒体へ転用 | 46.0% |
| 複数を組み合わせて新規作成 | 39.8% |
| フォーマットの変更 | 31.8% |
| 要約・分割して活用 | 25.1% |
効果としては、制作コストの削減が55.0%で最も多く、量の担保が44.1%、制作効率の向上が36.5%と続きました。
328人全体に聞いた課題も見ておきます。人員と時間の不足が45.4%、管理体制の不備が33.5%、過去コンテンツを整理する手間が32.6%でした。再利用が進まない理由は、企画の不足よりも運用の側にあるとお考えください。
営業資料まで届いているのは、13.7%です
同じ調査で、再利用できていると答えた211人のうち、営業資料として活用していると答えたのは13.7%でした。
別の調査も見ておきます。IDEATECHがBtoB企業の営業責任者・担当者317人へ聞いた結果を、下の表にまとめました。
| 営業の場で使うコンテンツ | 割合 |
|---|---|
| 営業用の提案資料テンプレート | 41.3% |
| 競合比較資料 | 24.3% |
| 顧客の導入事例 | 22.4% |
| ホワイトペーパー | 21.8% |
| 営業コンテンツを活用していない | 31.2% |
営業の場で何も使っていない担当者が、317人のうち31.2%を占めました。
作ったコンテンツが営業の現場まで届いていない会社が、それだけ多いという数字になります。私たちが番組の設計をお手伝いするときに、営業の場で何を配るのかを先に伺うのは、この断絶を避けるためです。
文字起こしをそのまま出すことの危うさ
ここが、この記事で最もお伝えしたい点になります。
Googleは、生成AIや自動化の利用そのものを禁止していません。問題になるのは、検索順位の操作を主目的として、読者への価値や独自性をほとんど加えないページを大量に作る行為です。同社はこれを「大量生成されたコンテンツの不正使用」として扱っており、制作の手段を問わないと明記しています。
逐語の文字起こしを機械的に公開し続ける運用も、実質的な付加価値がなければ同じ構造に入ります。1つのエピソードを、地域名や業種名だけ替えた複数の記事へ分割するような作り方は避けてください。
「ポッドキャストを文字起こしすれば検索順位が上がる」という言い方が流通しています。この一般論を、私たちはGoogleの公式見解として確認できませんでした。公式に確認できるのは、コンテンツの形式よりも、価値・独自性・正確性・検索操作を目的としているかどうかで評価が決まるという点だけです。
制作会社を選ばれる際の判断材料については、ポッドキャスト制作会社の選び方にまとめています。
記事にするときの手順
収録した音声を記事にする場合、私たちは次の順序で作っています。
| 順序 | 作業 |
|---|---|
| 1 | 冒頭に結論と、誰に向けた記事かを置く |
| 2 | 発言を3つから5つの論点へ再編集し、各論点に見出しを付ける |
| 3 | 話し言葉の冗長さ、言い淀み、誤変換を直す |
| 4 | 数字・固有名詞・制度の説明を、公開前に一次資料へ当たって確かめる |
| 5 | 収録日、出演者、編集の注記を表示する |
| 6 | 音声の該当チャプター、短い尺の動画、営業資料へ相互にリンクする |
| 7 | 音声に無かった背景・実例・図解・用語解説・自社の判断基準を足す |
7番目が、いちばん手間のかかるところです。そして、この工程の有無が検索での扱いを分けます。
Google が Search Essentials で推奨しているのは、有用で信頼でき、人を第一に考えたコンテンツです。収録の場で語られなかった補足を足す作業が、その条件を満たす近道になります。
短い尺の動画へ広げる
収録の場にカメラを入れておけば、映像も同時に残ります。動画と音声の役割の違いについては、ポッドキャスト制作・運用代行のページもあわせてご覧ください。
弊社の場合、番組の尺は15分で、1エピソードあたりの収録は30分程度です。私たちは、この30分の素材から60秒〜180秒の短い尺を3本前後まで切り出します。
切り出す箇所は、収録の前に決めておくのが確実です。「この論点は短い尺にする」と決めて収録に臨むと、その部分だけ言い切りの形で話していただけます。
1年でどれだけ増やせるかを数字から見る
ここまでの話を、私たちは本数の計算に置き換えてみたいと思います。
弊社の月額は15万円からで、収録は月1回です。年間では 15万円 × 12か月 = 180万円、配信は 1本 × 12か月 = 年12本になります。
御社がこの12回の収録から記事を1回につき1本作られると、記事は年12本になります。短い尺を1回につき3本切り出された場合は 3本 × 12回 = 年36本です。番組12本と合わせると、年間で60本前後の素材が手元にそろう計算になります。
私たちがこの60本で年間の費用を割ると、180万円 ÷ 60本 = 1本あたり3万円という単価が出ます。番組だけを数えた場合の単価は 180万円 ÷ 12本 = 15万円ですから、御社は同じ費用で5分の1の単価でのコンテンツ制作が可能となる計算になります。
御社が月2回の収録を選ばれれば年24回、週1回であれば年48回まで増やせます。ただし本数を増やすほど、切り出しと編集を誰が担うかという問題が前に出てきます。IDEATECHの調査で課題の1位が人員と時間の不足(45.4%)だったのは、この地点の話です。
収録前に決めておく二次利用の範囲
社外の方に出演していただく場合、二次利用の範囲を収録の前に文書で決めてください。御社がここを曖昧にしたまま進められた場合、後から営業資料へ使う道が閉じてしまいます。
文化庁が示しているとおり、制作を依頼しただけでは完成した著作物の著作権を取得できません。取得するには契約上の明確な合意が要ります。著作権を全部譲渡する場合でも、著作権法27条・28条の権利を明記しなければ、翻案や二次的著作物に関する権利は譲渡の対象外と推定されます。
契約では、利用の主体・利用の方法・利用の期間・第三者への利用許諾の4点を具体化してください。御社が想定される使い道は、収録前に列挙しておくのが安全です。とくに見落とされやすいのは、営業資料への転用、切り抜きのSNS投稿、展示会での上映という3つになります。
まとめ
IDEATECHがBtoB企業のコンテンツマーケティング担当者328人へ行った調査では、継続的に再利用できている企業が64.4%でした。効果の1位は制作コストの削減で55.0%です。
一方で、再利用できていると答えた211人のうち、営業資料として活用しているのは13.7%にとどまりました。営業責任者・担当者317人への別調査では、31.2%が営業コンテンツを活用していないと回答しています。
文字起こしをそのまま公開する運用には、検索上の危うさがあります。Googleが問題としているのは、価値と独自性をほとんど加えずに大量のページを作る行為です。制作の手段そのものは問われません。
社外の方に出演していただく場合は、二次利用の範囲を収録前に文書化してください。制作の依頼だけでは著作権を取得できず、27条・28条の明記が無ければ翻案の権利も譲渡の対象外と推定されます。
1回の収録から出てくるのは、番組1本ぶんの素材にとどまりません。記事・短い尺・営業資料まで届かせる設計を、企画の段階から組み込んでいただくのが得策だと私は考えています。
この記事からわかるQ&A
収録した音声を、そのまま記事にしてもよいですか
逐語の文字起こしをそのまま公開する運用を、私たちはお勧めしません。Googleはスパムポリシーで、価値と独自性をほとんど加えずに大量のページを作る行為を不正使用として扱い、制作の手段を問わないと明記しています。IDEATECHの調査でも、再利用の方法の1位は更新して再公開の46.0%であり、逐語の再掲は上位に入っていません。論点の再編集、事実の確認、音声に無かった補足という3件の工程を加えたうえで公開してください。
文字起こしをすれば検索順位が上がりますか
その一般論を、私たちはGoogleの公式見解として確認できませんでした。同社が2026年8月時点で公開している2件の資料、すなわちスパムポリシーとSearch Essentialsから確認できるのは、次の点だけです。コンテンツの形式よりも、価値・独自性・正確性・検索操作を目的としているかどうかで評価が決まる。形式が評価を決めるという記述は見当たりません。
1回の収録から、どのくらい作れますか
弊社の場合、番組の尺は15分で、1エピソードあたりの収録は30分程度です。私たちは、この30分の素材から記事1本と、60秒〜180秒の短い尺を3本前後、そして営業の場で使う要点の資料を作ります。御社が月1回の収録を12か月続けられた場合、記事12本と短い尺36本前後、番組12本の合計60本前後という計算になります。
営業資料へ使うとき、注意することはありますか
社外の方に出演していただく場合、二次利用の範囲を収録前に文書化してください。文化庁が示しているとおり、制作の依頼だけでは著作権を取得できません。著作権法27条・28条の権利を明記しなければ、翻案の権利も譲渡の対象外と推定されます。利用の主体・方法・期間・第三者への利用許諾という4件を契約書へ具体的に書き込み、営業資料への転用を明記しておくのが安全です。
再利用が続かない理由は何ですか
IDEATECHの調査で328人が挙げた課題は、人員と時間の不足が45.4%、管理体制の不備が33.5%、過去コンテンツを整理する手間が32.6%でした。企画の不足というより、運用の側に理由があるという結果です。誰がいつ切り出すかを、番組の運用へ最初から組み込んでください。
出典
- IDEATECH「BtoB企業のコンテンツ再利用に関する実態調査」2025年6月3〜4日実施。BtoB企業のコンテンツマーケティング担当者328人が対象。継続的に再利用・転用できている=「十分」20.7%+「ある程度」43.7%=64.4% https://prtimes.jp/
- IDEATECH 同調査(2025年6月3〜4日実施。再利用できている211人が対象。複数回答上位3つ)。更新して再公開46.0%、別媒体へ転用46.0%、複数を組み合わせて新規作成39.8%、フォーマット変更31.8%、要約・分割25.1%。効果は制作コスト削減55.0%、量の担保44.1%、制作効率向上36.5%。課題は人員・時間不足45.4%、管理体制不備33.5%、過去コンテンツ整理の手間32.6%(n=328) https://prtimes.jp/
- IDEATECH 同調査。再利用先として「営業資料として活用している」は13.7%(n=211)。全BtoB企業の割合ではなく、再利用できていると答えた層に対する複数回答 https://prtimes.jp/
- IDEATECH「BtoB営業のコンテンツ活用に関する実態調査」BtoB企業の営業責任者・担当者317人が対象。営業用提案資料テンプレート41.3%、競合比較資料24.3%、顧客の導入事例22.4%、ホワイトペーパー21.8%、営業コンテンツを活用していない31.2% https://prtimes.jp/
- Google 検索セントラル「スパムに関するポリシー」2026年8月時点で公開されている版を参照。検索順位の操作を主目的とし、読者への価値・独自性をほとんど加えないページを大量に作る行為を「大量生成されたコンテンツの不正使用」として扱う。制作手段を問わない https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies
- Google 検索セントラル「Google Search Essentials」2026年8月時点で公開されている版を参照。有用で信頼できる、人を第一に考えたコンテンツを推奨している。正確性・品質・関連性を優先し、制作方法について読者に文脈を伝えることも案内している https://developers.google.com/search/docs/essentials
- 文化庁「著作権契約書作成支援システム/著作権テキスト 令和7年度版」2026年8月時点で公開されている版を参照。制作を依頼しただけでは完成した著作物の著作権を取得しない。全部譲渡でも著作権法27条・28条の権利を明記しなければ翻案・二次的著作物に関する権利は譲渡対象外と推定される。契約では利用主体・利用方法・利用期間・第三者への利用許諾を具体化する https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
- アストライド「ポッドキャスト制作・運用代行 月15万円〜|収録は月1回|三重・全国対応」月1回=年12本/月2回=年24本/週1回=年48本、番組尺15分、1エピソードの収録は30分程度。配信先はSpotify・Apple Podcasts・Amazon Music・KOEGURA(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/
- アストライド「ポッドキャスト制作会社の選び方。見積の内訳と3つの契約条件」見積の読み方と、契約前に確かめる3点を整理した記事 https://ast-ride.com/knowledge/15940/
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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