Home ナレッジ伸びなかった企画と、その理由
2026.08.102026.08.10

伸びなかった企画と、その理由

,

この記事でわかること

  • 「90%が3話で終わる」の出所
  • 実際の累計エピソード数の分布
  • 2026年に始まった番組の離脱率
  • 対談を始めた当初の失敗
  • よそゆきの言葉が続く時間

番組が続かなくなる話を、私は始める前のご相談でよく聞かれます。数字だけを見て不安になってしまう経営者もいらっしゃいますので、この記事では確かめられる範囲を丁寧に分けて書きます。

この記事で私が扱うのは、公表されている集計から確かめられることと、私が5年間の制作で実際に間違えたことの2つになります。

なお、実在の顧客の数値を私たちが扱えないため、この記事では他社の事例を書きません。書けるのは、出所のたどれる集計と、私自身が経験した範囲だけになります。


「90%が3話で終わる」に、一次データは見当たりません

この業界には、番組の90%が3エピソードで終わるという、広く流通している数字があります。

私も講演の場で、この数字をそのまま使っています。ところが出所を確かめたところ、私たちは一次データへたどり着けないという結果になります。二次記事はPodnewsの2025年5月のレポートを出所として挙げますが、該当する一次のレポートも、集計の母集団も、定義も、算出の方法も確認できません。

ですから私たちは、この数字を事実として引用できません。おそらく、次に挙げる2つの集計が混同されて広まったのだと私は見ています。

実際の数字は、3話以下が47%です

Amplifi MediaとPodnewsがPodcast Indexを分析した結果があります。2022年7月時点で、全約400万番組の累計エピソード数は次のように分かれていました。

累計エピソード数番組の構成比番組数
3話以下47%190万5,090
4〜9話約21%差分から算出
10話以上32%133万8,631

もう1つの数字も見ておきます。同じ分析による過去90日以内に更新された番組は12%、47万5,529番組でした。裏返すと、全体の88%は90日間の更新がありません。

ただし、この2つの数字には読み方の注意があります。前者が示しているのは、番組の終了時点というより、データを取った時点のカタログに載っている累計の話数になります。短期限定のシリーズ、イベントに連動した番組、完結済みの番組も混ざっています。後者も終了を意味しておらず、休止・季節運用・低頻度の更新を区別していません。

2026年に始まった番組は、42%が離脱しています

より新しい追跡として、Podchaserが2026年上半期に開始した153,767番組を追った結果があります。

ブレイクしたと判定された番組は0.7%で、そのうえ42%が、すでに配信をやめています。

この数字が示しているのは、始めることの容易さと、続けることの難しさの落差です。1,000番組が始まれば7番組が伸び、420番組が半年のうちに止まるという計算になります。

企業の側で起きていること

ここからは、企業の番組に絞った数字についても見ておきたいと思います。

オトバンクとPitPaが2024年10月22日から28日にかけて、全国の自社マーケティング・商品企画・広告宣伝の担当者300人へ調査を行いました。調査の対象は20歳から69歳の担当者であり、方式はインターネットによるWeb調査です。

ポッドキャストを認知しているマーケターが76%を占める一方で、実際に活用している担当者は12.8%にとどまりました。最大の課題として挙がっているのは、制作のノウハウの不足です。

なお、実際に終了した企業のポッドキャストを追跡し、その理由を聞いた大規模な国内調査を、私たちは見つけられませんでした。ですから「企業の番組が続かない理由」について、因果を断定できるデータは存在しないとお考えください。

ここから先に書くのは、私が現場で見てきたことになります。

私が最初に間違えたのは、先回りでした

2018年から2023年まで、私は毎週、経営者インタビューの映像を制作していました。訪問した会社は250社以上、直接お話を聞いた経営者は200名を超えます。私の仕事は、1時間から2時間の対談を10分から15分の映像へ編集し、それを毎週配信することでした。私はこの回転を、5年間にわたって止めずに続けたことになります。

始めた当初の私のやり方は、取材先を徹底的に調べ込んでから臨むというものです。私は会社のこと、業界のこと、地域での成り立ちを一通り調べ、話の構造を頭の中にまとめたうえで当日を迎えるようにしていたのです。

ところが、この準備の仕方が仇になります。調べたことが多いほど、私は質問の意図を相手へ匂わせすぎてしまうという状態に陥ります。私が相手の答えを先回りしてしまい、対談はこちらの用意した筋書きをなぞるだけのものになっていきます。

数を重ねるうちに、私は質問をその場で臨機応変に変えること、相手の言葉をすべて受け止めることの2つへ形を変えます。私がこの2つに切り替えてから、対談の中身は明らかに変わっていきます。

私が減らしたのは準備の量そのものとは違い、準備は残したまま、その使い方だけを変えたということになります。

最初の10分、20分は、よそゆきの言葉です

私には、5年間の制作で見えた構造がもう1つあります。

私が対談で守っていたのは、取材先をきちんと調べてから臨むこと、話を誘導しないこと、聴く順番を設計することの3つです。私がこの3つを守ると、どの対談でも似た流れが生まれてきます。

対談の最初の10分から20分は、どの方でも会社案内にあるようなよそゆきの言葉が続きます。そうした言葉づかいが、30分を過ぎたあたりから変わっていくのです。創業の頃の苦労や、先代との衝突、決断の前夜に眠れず過ごした夜が語られはじめ、話し手の言葉がその方自身のものへ変わっていきます。

ここから、企画が伸びない理由の1つが見えてきます。収録の時間を短く切りすぎると、御社はよそゆきの言葉だけを録ることになってしまうのです。会社案内を読み上げた音声には、他では聴けない中身がありません。そして中身の薄い回は、作る側も聴く側も続かなくなります。

弊社が1エピソードあたりの収録を30分程度で組んでいるのは、この境目を越えるためです。

目的をどこに置くかで、続き方が変わります

私が伝七ステーションで5年間続けられた理由を、ここに書いておきます。

その理由は再生回数の側になく、毎週の対談そのものに、私にとっての価値と喜びがあったからです。

目的を「たくさん聴かれること」に置くと、始めてすぐの数か月で心が折れます。ポッドキャストはSNSのように爆発的に拡散する媒体とは性質が違い、立ち上がりの再生数がなかなか伸びないためです。

一方、目的を「会いたい方との対談」に据えると、成果は配信後の数字から離れます。収録をした時点で、御社は会いたかった方と深く語り合い、関係を一段深めるという成果をすでに得ているからです。この成果は再生数と関係なく、1回ごとに確実に積み上がります。

一度の対談で初対面の距離が変わり、そこから紹介が連鎖していく。私が5年間の制作で見てきたのは、こうした関係の広がりでした。

測れる範囲と測れない範囲については、ポッドキャストの成果は、どこまで測れるのかにまとめています。

まとめ

「番組の90%が3エピソードで終わる」に、一次データは見当たりません。二次記事はPodnewsの2025年5月のレポートを挙げますが、集計の母集団も定義も算出の方法も確認できませんでした。

一方で、出所をたどれる数字は別にあります。Amplifi MediaとPodnewsの分析では、2022年7月時点で全約400万番組のうち3話以下が47%、10話以上が32%です。過去90日以内に更新された番組は12%にとどまります。

Podchaserが2026年上半期に開始した153,767番組を追った結果では、ブレイクしたのが0.7%、すでにやめたのが42%でした。

企業の側では、オトバンクとPitPaが担当者300人へ行った調査で、認知76%と活用12.8%という差が出ています。最大の課題は制作のノウハウの不足です。

私が最初に間違えたのは、調べ込んだ内容で相手の答えを先回りしたという点です。そして5年間の制作で見えたのは、最初の10分から20分がよそゆきの言葉で、30分を過ぎてから本人の言葉に変わるという構造でした。

続くかどうかを分けているのは、機材でも話術でもないと私は考えています。分けているのは、目的をどこに置くかという一点です。再生数を目的にすると数か月で折れ、対談そのものを目的にすると1回ごとに成果が積み上がります。

この記事からわかるQ&A

90%が3話で終わるというのは本当ですか

その数字に、一次データは見当たりません。二次記事はPodnewsの2025年5月のレポートを出所として挙げますが、集計の母集団・定義・算出の方法を、私たちは確認できませんでした。確認できるのは、Amplifi MediaとPodnewsの分析による「2022年7月時点で全約400万番組のうち3話以下が47%」という数字になります。

実際、どのくらいの番組が止まっていますか

Amplifi MediaとPodnewsの分析では、過去90日以内に更新された番組が12%、47万5,529番組でした。裏返すと全体の88%は、90日間の更新がありません。ただし休止・季節運用・低頻度の更新も含んだ数字です。Podchaserが2026年上半期に開始した153,767番組を追った結果では、42%がすでに配信をやめています。

企業の番組が続かない理由は分かっていますか

実際に終了した企業ポッドキャストを追跡し、その理由を聞いた大規模な国内調査を、私たちは見つけられませんでした。因果を断定できるデータは存在しないとお考えください。関連する数字としては、オトバンクとPitPaが担当者300人へ行った調査があります。認知76%に対して活用12.8%、最大の課題は制作ノウハウの不足という結果になっています。

収録時間は、どのくらい必要ですか

弊社は1エピソードあたり30分程度で組んでいます。私が5年間で見てきた限り、最初の10分から20分は会社案内にあるようなよそゆきの言葉が続き、30分を過ぎたあたりから話し手自身の言葉に変わります。収録を短く切りすぎると、御社はよそゆきの言葉だけを録ることになってしまいます。

続けるために、何を決めておけばよいですか

御社が決めておくべきなのは、目的の置き場所です。再生数を目的にすると、立ち上がりの数か月で心が折れます。ポッドキャストはSNSのように拡散する媒体とは性質が違うためです。目的を「会いたい方との対談」に据えると、御社は収録をした時点で成果を得られます。この成果は再生数と関係なく、1回ごとに積み上がっていきます。

出典

  • Amplifi Media / Podnews「Podcast Index 分析」2022年7月時点、全約400万番組が対象。3話以下47%(190万5,090番組)、10話以上32%(133万8,631番組)、過去90日以内に更新された番組12%(47万5,529番組)。番組の終了時点を追跡したものではなく、取得時点のカタログ上の累計エピソード数であり、短期限定シリーズ・イベント連動番組・完結済み番組も混在する https://www.amplifimedia.com/
  • Podchaser「Podcasting’s Class of 2026」2026年上半期に開始した153,767番組を追跡。ブレイクした番組は0.7%、42%はすでに配信をやめている https://www.podchaser.com/
  • オトバンク/PitPa 共同調査 2024年10月22〜28日実施。全国の自社マーケティング・商品企画・広告宣伝担当者300人(20〜69歳)が対象のWeb調査。ポッドキャストの認知は76%、活用は12.8%。最大の課題は制作ノウハウの不足 https://prtimes.jp/
  • アストライド 実査記録 2026-08-12 版(買い手質問台帳 E93)。「番組の90%が3エピソードで終わる」という通説について、二次記事は Podnews の2025年5月レポートを出所として挙げるが、該当する一次レポート・集計母集団・定義・算出の方法を確認できない。事実として引用しない
  • アストライド 実査記録 2026-08-12 版(買い手質問台帳 E98)。実際に終了した企業ポッドキャストを追跡し、その理由を聞いた大規模で公開された日本の調査は確認できない。「企業番組が続かない理由」について因果を断定できるデータは存在しない
  • アストライド「経営者インタビュー映像制作」代表・纐纈智英は前職の伝七ステーションで2018年から2023年までの5年間、250社以上を訪問し200名超の経営者へインタビューを行い、1〜2時間の対談を10〜15分の映像へ編集して毎週配信した https://ast-ride.com/service/service-interview/
  • アストライド「ポッドキャスト制作・運用代行 月15万円〜|収録は月1回|三重・全国対応」月1回=年12本/月2回=年24本/週1回=年48本、番組尺15分、1エピソードの収録は30分程度。配信先はSpotify・Apple Podcasts・Amazon Music・KOEGURA(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/
  • アストライド「ポッドキャストの成果は、どこまで測れるのか」再生数・完了率・商談化の測り方と、測れない範囲を整理した記事 https://ast-ride.com/knowledge/14898/
  • アストライド「ポッドキャストの20年。聴かれる場所はどこへ移ったのか」配信先と聴取環境の変遷を国内外の公表資料から整理した記事 https://ast-ride.com/knowledge/15332/

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。