ポッドキャスト用語集:企業担当者が知っておくべき基本用語

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この記事でわかること

  • ポッドキャストの基本用語と仕組み
  • 配信・技術に関する専門用語
  • 広告・収益化に関する用語
  • 制作プロセスで使われる用語
  • 効果測定・分析に関する用語

ポッドキャストの導入を検討する際、専門用語が壁になることがあります。制作会社との打ち合わせ、社内への説明、効果測定の議論など、さまざまな場面で用語の理解が必要となります。

この記事では、企業担当者が知っておくべきポッドキャスト関連用語を、カテゴリ別に整理して解説します。辞書的に参照できるよう、五十音順ではなく機能別に分類しています。


1. 基本用語

ポッドキャストの仕組みを理解するための基礎的な用語です。

ポッドキャスト(Podcast)

インターネット上で配信される音声コンテンツの形式。RSSフィードを通じて配信され、リスナーは任意のタイミングでダウンロードまたはストリーミングして聴取できます。「iPod」と「broadcast」を組み合わせた造語が語源とされています。

エピソード(Episode)

ポッドキャストの各回のコンテンツ。テレビ番組における「1話」に相当します。ポッドキャスト全体を「番組」や「ショー」、各回を「エピソード」と呼ぶのが一般的です。

RSSフィード(RSS Feed)

ポッドキャストの配信に使われる技術規格。新しいエピソードが公開されると、RSSフィードが更新され、各配信プラットフォーム(Apple Podcasts、Spotifyなど)に自動的に反映されます。ポッドキャストの根幹をなす仕組みです。

ポッドキャッチャー(Podcatcher)

ポッドキャストを再生するためのアプリケーション。Apple Podcasts、Spotify、Google Podcasts、Amazon Musicなどが代表例。「ポッドキャストアプリ」「ポッドキャストプレイヤー」とも呼ばれます。

購読(Subscribe)

リスナーが特定のポッドキャストを登録し、新しいエピソードが公開されると通知を受け取れる状態にすること。「フォロー」と呼ぶプラットフォームもあります。

ショー(Show)

ポッドキャスト番組全体を指す言葉。「番組」「シリーズ」とも呼ばれます。1つのショーは複数のエピソードで構成されます。

シーズン(Season)

エピソードをまとまりごとに区切る単位。テレビドラマのシーズンと同様の概念で、テーマや期間ごとにエピソードをグループ化する際に使用します。


2. 配信・技術用語

ポッドキャストの配信と技術基盤に関する用語です。

ホスティングプラットフォーム(Hosting Platform)

ポッドキャストの音声ファイルを保管し、RSSフィードを生成・管理するサービス。Anchor、Buzzsprout、Libsyn、Spotify for Podcasters、Art19、Megaphoneなどが代表的なサービスです。自社サーバーでの運用も可能ですが、専用サービスを利用するのが一般的です。

ディストリビューション(Distribution)

ポッドキャストのRSSフィードを各配信プラットフォームに登録し、リスナーがアクセスできる状態にすること。Apple Podcasts、Spotify、Amazon Music、Google Podcastsなど、複数のプラットフォームへの配信が標準的です。

ダウンロード(Download)

リスナーがエピソードの音声ファイルを端末に保存して聴取する方式。オフラインでの再生が可能になります。ポッドキャストの効果測定では、ダウンロード数が基本的な指標となります。

ストリーミング(Streaming)

音声ファイルをダウンロードせず、インターネット接続を通じてリアルタイムで再生する方式。Spotifyなど、ストリーミング再生を主とするプラットフォームが増えています。

フィードマイグレーション(Feed Migration)

ポッドキャストのホスティングプラットフォームを変更する際に、RSSフィードを新しいプラットフォームに移行すること。301リダイレクトを設定することで、既存の購読者を失わずに移行できます。

埋め込みプレイヤー(Embed Player)

ウェブサイトやブログに設置できるポッドキャスト再生用のウィジェット。自社サイトでポッドキャストを直接再生できるようにする際に使用します。

ビットレート(Bitrate / kbps)

音声ファイルの品質を示す指標。単位はkbps(キロビット毎秒)。数値が高いほど音質は良くなりますが、ファイルサイズも大きくなります。ポッドキャストでは128kbps〜192kbps程度が標準的です。

MP3

ポッドキャストで最も広く使用されている音声ファイル形式。ほぼすべてのプラットフォームとデバイスで再生可能な業界標準フォーマットです。

IAB(Interactive Advertising Bureau)

デジタル広告の業界標準を策定する団体。ポッドキャストのダウンロード計測方法についてもガイドラインを定めており、「IAB認定」を受けたホスティングプラットフォームは、標準化された計測方法を採用していることを示します。


3. 広告・収益化用語

ポッドキャスト広告と収益化に関する用語です。B2B企業が自社番組を運営する場合でも、広告の仕組みを理解しておくことは有用です。

CPM(Cost Per Mille)

広告の価格設定方式で、1,000回の再生(インプレッション)あたりの費用。「Mille」はラテン語で「1,000」を意味します。ポッドキャスト広告の業界相場はCPM 2,500円〜4,000円程度ですが、人気番組やニッチな専門番組では7,500円〜15,000円以上になることもあります。

インプレッション(Impression)

広告が再生された回数。1人のリスナーが同じ広告を複数回聞いた場合、それぞれがインプレッションとしてカウントされます。

リーチ(Reach)

広告に接触したユニークリスナー数。1人が10回聴いても、リーチは1とカウントされます。インプレッションとは異なる指標です。

ホストリード広告(Host-Read Ad)

ポッドキャストのホスト(司会者)が自分の声で読み上げる広告。事前に録音された広告素材ではなく、ホストが自分の言葉で商品やサービスを紹介するスタイル。リスナーからの信頼度が高く、効果も高いとされています。

プロデューサーリード広告(Producer-Read Ad)

ホスト以外の声(プロデューサー、ナレーター、声優など)が読み上げる広告。ホストリード広告と比較すると、親近感は劣りますが、制作の柔軟性は高まります。

ダイナミック広告挿入 / DAI(Dynamic Ad Insertion)

エピソードのダウンロードまたはストリーミング時に、リアルタイムで広告を挿入する技術。リスナーの属性や地域、時期に応じて異なる広告を配信できます。過去のエピソードにも新しい広告を挿入可能で、広告の差し替えも容易です。

ベイクイン広告(Baked-In Ad)

エピソードの音声ファイルに直接編集で組み込まれた広告。一度組み込むと変更・削除が困難ですが、ホストの語りと自然に融合しやすい利点があります。「インテグレーテッド広告」とも呼ばれます。

プレロール(Pre-Roll)

エピソードの冒頭(本編開始前)に挿入される広告枠。

ミッドロール(Mid-Roll)

エピソードの中間部分に挿入される広告枠。リスナーの離脱が少なく、最も効果が高いとされる広告枠です。CPMも最も高く設定されることが多い。

ポストロール(Post-Roll)

エピソードの終了部分に挿入される広告枠。完聴したリスナーにのみ届くため、リーチは最も少ないものの、熱心なリスナーに訴求できます。CPMは最も低く設定されます。

プロモコード / バニティURL(Promo Code / Vanity URL)

リスナー向けの特別な割引コードやURL。広告効果の測定に使用され、何人のリスナーがアクションを起こしたかを追跡できます。

CTA(Call To Action)

リスナーに具体的な行動を促すメッセージ。「今すぐウェブサイトにアクセス」「コード〇〇を入力」などの呼びかけを指します。

プログラマティック広告(Programmatic Advertising)

アルゴリズムを用いて自動的に広告枠の売買を行う仕組み。DSP(Demand Side Platform)とSSP(Supply Side Platform)を通じて、リアルタイムで広告のマッチングが行われます。

スポンサーシップ(Sponsorship)

特定の企業がポッドキャスト全体または特定のエピソードを支援する形式。「この番組は〇〇の提供でお送りします」という形式が典型的です。直接的な商品宣伝ではなく、ブランド認知を目的とすることが多い。


4. 制作用語

ポッドキャストの企画・収録・編集に関する用語です。

フォーマット(Format)

ポッドキャストの番組形式。主なフォーマットには以下があります。

  • ソロ(Solo):1人のホストが語る形式
  • 対談(Co-hosted):2人のホストが会話する形式
  • インタビュー(Interview):ゲストを招いて話を聞く形式
  • パネルディスカッション(Panel):複数人で議論する形式
  • ナラティブ(Narrative):ストーリーを語る形式

ショーノート(Show Notes)

各エピソードに付随するテキスト情報。エピソードの概要、話題のタイムスタンプ、参考リンク、ゲスト情報などを記載します。SEO効果やリスナーの利便性向上に寄与します。

トランスクリプト(Transcript)

エピソードの音声を文字に起こしたもの。アクセシビリティの向上、SEO対策、コンテンツの二次利用(ブログ記事化など)に活用されます。

イントロ / アウトロ(Intro / Outro)

エピソードの冒頭と終了部分に使用する定型のパート。番組名、ホスト紹介、テーマ曲などを含み、番組のブランディングに寄与します。

ジングル(Jingle)

番組で使用する短い音楽やサウンドロゴ。イントロ、アウトロ、セクション間の転換などに使用し、番組の印象を強化します。

収録(Recording)

ポッドキャストの音声を録音すること。スタジオ収録、リモート収録、現場収録など、さまざまな方法があります。

リモート収録(Remote Recording)

ホストやゲストが異なる場所にいる状態で収録を行うこと。Zoom、Riverside、Zencastrなどのツールが使用されます。

編集(Editing)

収録した音声を加工し、完成品に仕上げる工程。不要な部分のカット、音量調整、ノイズ除去、BGMの追加などを行います。

ミキシング(Mixing)

複数の音声トラック(ホストの声、ゲストの声、BGM、効果音など)のバランスを調整し、一つの音声ファイルにまとめる作業。

マスタリング(Mastering)

ミキシング後の音声ファイルに最終的な調整を加え、配信に適した状態に仕上げる工程。音量の標準化、音質の最終調整などを行います。

ラウドネス(Loudness)

音声の聴感上の音量。ポッドキャストでは-16 LUFS(Loudness Units relative to Full Scale)が推奨される標準値とされています。

ドロップデート(Drop Date)

エピソードを公開する日時。「ドロップ」は「公開する」「リリースする」の意味で使用されます。


5. 効果測定・分析用語

ポッドキャストの効果を測定・分析するための用語です。

ダウンロード数(Downloads)

エピソードがダウンロードされた回数。ポッドキャストの最も基本的な指標ですが、IABガイドラインに準拠した計測方法でないと正確性に欠ける場合があります。

ユニークリスナー(Unique Listeners)

重複を除いた実際のリスナー数。1人が同じエピソードを複数回ダウンロードしても、ユニークリスナーは1とカウントされます。

完了率 / 完聴率(Completion Rate)

エピソードを最後まで聴いたリスナーの割合。ポッドキャストでは70%前後が一般的な水準とされています。

リテンション(Retention)

リスナーがエピソードのどの時点まで聴き続けたかを示す指標。時間経過に伴うリスナー数の推移をグラフ化したものを「リテンションカーブ」と呼びます。

平均再生時間(Average Listen Time)

リスナーがエピソードを平均してどれだけの時間聴いたかを示す指標。

購読者数(Subscribers)

ポッドキャストを購読(フォロー)しているユーザーの数。新しいエピソードが公開されると通知を受け取る潜在的なリスナー数を示します。

エンゲージメント(Engagement)

リスナーがコンテンツにどれだけ関与しているかを示す総合的な概念。完了率、コメント、シェア、レビューなどが含まれます。

アトリビューション(Attribution)

ポッドキャスト広告やコンテンツが、最終的なコンバージョン(購入、問い合わせなど)にどれだけ貢献したかを測定すること。プロモコードやバニティURLを使用した直接測定と、アンケートによる間接測定があります。

ロングテール(Long Tail)

公開直後だけでなく、長期間にわたってダウンロードされ続ける現象。ポッドキャストはアーカイブとして残り続けるため、過去のエピソードが継続的に価値を生み出す特性があります。


6. ネットワーク・業界用語

ポッドキャスト業界の構造に関する用語です。

ポッドキャストネットワーク(Podcast Network)

複数のポッドキャストをまとめて運営・管理する組織。広告営業、制作支援、クロスプロモーションなどのリソースを共有します。

クロスプロモーション(Cross-Promotion)

あるポッドキャストの広告枠を使って、別のポッドキャストを宣伝すること。同じネットワーク内や、ジャンルの近い番組間で行われることが多い。

ブランデッドポッドキャスト(Branded Podcast)

企業がマーケティング目的で制作・運営するポッドキャスト。自社の専門性やブランド価値を伝えるコンテンツを配信し、直接的な広告ではなく、信頼構築を目的とします。

オウンドメディア(Owned Media)

企業が自ら所有・運営するメディア。ブランデッドポッドキャストは、オウンドメディアの一形態として位置づけられます。


まとめ:用語を理解することの意味

ポッドキャストの用語を理解することは、単なる知識の習得にとどまりません。制作会社との円滑なコミュニケーション、社内への正確な説明、効果測定の適切な設計など、実務のあらゆる場面で役立ちます。

特に重要な用語を整理すると以下の通りです。

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。前職を含め地域企業を中心とした200社以上の経営者インタビュー映像を制作。現在は「左脳と右脳のハイブリッド」を掲げ、戦略設計から映像・Web・各種コンテンツ制作まで手がける。 これまで音楽家として楽曲提供、行政職員として12年間 制度運用・予算編成等に従事。その後、NPO法人、映像・マーケティング分野に転じ、現在に至る。現在は大学非常勤講師として映像編集ソフトの操作指導も行う。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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