TikTok vs Instagram vs YouTube:企業はどのSNSを選ぶべきか?

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この記事でわかること

  • TikTok・Instagram・YouTubeの国内ユーザー数と利用率
  • 各プラットフォームの特性と得意領域
  • 年代別の利用傾向と企業ターゲットへの適性
  • 目的別のSNS選定ガイド
  • 「どれか一つ」ではなく「組み合わせ」を考える視点

「TikTokを始めるべきか、それともInstagramに注力すべきか」。SNS活用を検討する企業担当者から、この質問を受けることが増えています。動画を軸としたプラットフォームが乱立する中、どれを選ぶべきか迷うのは当然のことです。

結論から言えば、「最適なSNS」は企業によって異なります。ターゲット層、発信したいコンテンツ、達成したい目的によって、適切な選択は変わる。この記事では、TikTok、Instagram、YouTubeの3つのプラットフォームを比較し、自社に合った選択をするための判断軸を提供します。


3つのプラットフォームの基本データ

まず、日本国内における各プラットフォームの基本データを確認しましょう。

国内ユーザー数

プラットフォーム国内月間アクティブユーザー数
YouTube約7,370万人(2024年5月時点)
Instagram約6,600万人(2023年11月時点)
TikTok約3,300万人〜4,200万人(2024年〜2025年推定)

YouTubeが最も多く、Instagramが続き、TikTokは成長中ながらもまだ差があります。ただし、TikTokは主要SNSの中で唯一、利用率がプラス成長を維持しており(前年比+0.7pt)、勢いのあるプラットフォームです。

全年代の利用率

総務省の調査等を基にした各種データによると、全年代の利用率は以下のように推移しています。

プラットフォーム全年代利用率
YouTube約80〜87%
Instagram約50〜56%
TikTok約28〜33%

YouTubeは圧倒的な利用率を誇り、ほぼインフラ化しています。Instagramは約半数が利用。TikTokは利用率自体はまだ低いものの、若年層に限れば高い数値を示しています。


年代別の利用傾向

各プラットフォームの年代別利用率を比較すると、それぞれの特性が見えてきます。

TikTok:若年層に強み

年代利用率
10代約55〜66%
20代約34〜58%
30代約22〜40%
40代約10〜40%
50代以上約10〜25%

TikTokは10代・20代の利用率が突出して高く、若年層へのリーチに強みを持ちます。30代以上も増加傾向にありますが、YouTubeやInstagramと比較すると利用率は低い状況です。

Instagram:女性・若年〜中年層に強み

年代利用率
10代約70〜75%
20代約70〜78%
30代約63〜70%
40代約48〜67%
50代約40〜53%
60代約22〜35%

Instagramは10代から40代まで幅広い層で高い利用率を維持しています。特に女性の利用率が男性を上回る傾向があり、ファッション、美容、ライフスタイル系のコンテンツとの相性が良好です。

YouTube:全年代に浸透

年代利用率
10代約96%
20代約97%
30代約98%
40代約92%
50代約83%
60代約71%

YouTubeはほぼ全年代で高い利用率を誇ります。特に10代〜40代では90%以上が利用しており、もはやSNSというよりも動画視聴のインフラとして定着しています。


各プラットフォームの特性比較

3つのプラットフォームは、それぞれ異なる特性を持っています。

TikTokの特性

コンテンツ形式: 短尺縦型動画(15秒〜10分、主流は60秒以内)

発見のされやすさ: アルゴリズム主導の「おすすめ」が中心。フォロワー数に関係なく、コンテンツの質次第で多くのユーザーに表示される可能性がある。

ユーザーの利用目的: 暇つぶし、エンタメ、トレンドの把握、情報収集(最近増加)

コンテンツの寿命: 短い。バズれば一気に再生されるが、数日で落ち着くことが多い。

制作ハードル: 低い。スマートフォン1台で撮影・編集・投稿が完結。

強み:

  • フォロワー0でもバズる可能性
  • 若年層への高いリーチ力
  • 制作コストが低い
  • 「偶然の発見」による認知拡大

弱み:

  • 成果の不確実性が高い
  • コンテンツの寿命が短い
  • 40代以上へのリーチが限定的
  • 検索流入が弱い

Instagramの特性

コンテンツ形式: 写真、ストーリーズ(24時間で消える)、リール(短尺動画)、長尺動画

発見のされやすさ: フォロワーへの配信が基本。発見タブやリールを通じて新規ユーザーにもリーチ可能だが、TikTokほどの「偶然の発見」は起こりにくい。

ユーザーの利用目的: 情報収集、商品探し、ブランドとの接点、友人との交流、自己表現

コンテンツの寿命: フィード投稿は比較的長い。ストーリーズは24時間で消える。

制作ハードル: やや高い。写真や動画のクオリティが求められる傾向。

強み:

  • ビジュアル訴求に強い
  • 女性ユーザーが多い
  • 購買検討との親和性が高い
  • ブランドの世界観を構築しやすい

弱み:

  • フォロワー獲得に時間がかかる
  • クオリティへの期待値が高い
  • 10代男性へのリーチが弱い

YouTubeの特性

コンテンツ形式: 長尺動画(数分〜数十分)、ショート動画(60秒以内)

発見のされやすさ: 検索流入とレコメンドが中心。検索意図を持ったユーザーにリーチしやすい。

ユーザーの利用目的: 情報収集、学習、エンタメ、ハウツー、レビュー確認

コンテンツの寿命: 長い。検索で継続的に視聴される「資産型」のコンテンツになり得る。

制作ハードル: 高い。長尺動画の企画・撮影・編集には相応の時間とスキルが必要。

強み:

  • 検索流入が強い
  • コンテンツがアーカイブとして蓄積される
  • 詳細な情報を伝えられる
  • 全年代にリーチ可能

弱み:

  • 制作コスト・時間がかかる
  • 競合が多く、埋もれやすい
  • 継続的な投稿が求められる

目的別:どのSNSを選ぶべきか

企業のSNS活用目的に応じて、適したプラットフォームは異なります。

採用活動が目的の場合

最適:TikTok

20代〜30代前半の採用を考える場合、TikTokは有力な選択肢です。Z世代の就活生の約80%がTikTokをきっかけに企業に興味を持った経験があるというデータもあり、採用ターゲットとの接点を持ちやすい。職場の雰囲気や社員の人柄を、短い動画で直感的に伝えられる点が強みです。

次点:Instagram、YouTube

Instagramは企業の世界観を伝えるのに適しており、採用ブランディングに活用できます。YouTubeは社員インタビューや会社紹介など、詳細な情報を伝える場として機能します。

ブランディング・認知拡大が目的の場合

最適:TikTok、Instagram

新規認知を獲得したい場合、TikTokの「偶然の発見」の仕組みは効果的です。フォロワーがいなくても、コンテンツ次第で多くのユーザーにリーチできます。Instagramは、ビジュアルを通じてブランドの世界観を構築するのに適しています。

次点:YouTube

YouTubeは認知獲得よりも、すでに興味を持っているユーザーへの詳細な情報提供に向いています。ただし、YouTubeショートを活用すれば、TikTok的な認知拡大も狙えます。

店舗集客・来店促進が目的の場合

最適:TikTok、Instagram

飲食店や小売店など、実店舗への集客を目的とする場合は、ビジュアルで「行ってみたい」を喚起できるTikTokとInstagramが有効です。TikTokは「バズ」による一時的な大量集客、Instagramは継続的な情報発信による安定的な集客に向いています。

次点:YouTube

店舗の詳細な紹介動画をYouTubeにアップし、検索流入を狙う方法もあります。「地域名+店舗ジャンル」で検索するユーザーへのリーチが期待できます。

EC・商品販売が目的の場合

最適:Instagram、YouTube

商品の購買につなげたい場合、Instagramの購買検討との親和性は見逃せません。ユーザーが商品を探す際にInstagramを活用するケースが増えており、ショッピング機能との連携も進んでいます。YouTubeは商品レビューやハウツー動画を通じて、購買の後押しが可能です。

次点:TikTok

TikTokは「TikTok売れ」という現象が示すように、爆発的な販売につながる可能性があります。ただし、狙って起こせるものではなく、認知拡大から購買への導線設計が必要です。


3つのプラットフォームを比較表で整理

項目TikTokInstagramYouTube
国内MAU約3,300万〜4,200万人約6,600万人約7,370万人
主要ユーザー層10代〜20代10代〜40代(女性多め)全年代
コンテンツ形式短尺縦型動画写真・動画・ストーリーズ長尺動画・ショート
発見されやすさ◎(アルゴリズム主導)△(フォロワー中心)○(検索+レコメンド)
コンテンツ寿命短い中程度長い
制作ハードル低いやや高い高い
採用活動
ブランディング
店舗集客
EC・商品販売

「どれか一つ」ではなく「組み合わせ」を考える

実際のところ、多くの企業は複数のSNSを組み合わせて活用しています。それぞれのプラットフォームには得意・不得意があり、単独で完結させるよりも、役割分担を意識した運用が効果的です。

組み合わせの例

TikTok × Instagram
TikTokで認知を獲得し、興味を持ったユーザーをInstagramに誘導。Instagramでブランドの世界観を深掘りしてもらい、ファン化を促進する。

TikTok × YouTube
TikTokでバズったコンテンツの「ロング版」をYouTubeで公開。短尺で興味を持ったユーザーに、詳細な情報を提供する。

Instagram × YouTube
Instagramでビジュアル訴求を行い、YouTubeで商品の使い方やレビューを詳しく解説。購買検討から購買決定までの導線を構築する。

リソースに応じた優先順位

複数のSNSを同時に運用するには、相応のリソースが必要です。リソースに限りがある場合は、まず1つのプラットフォームに集中し、成果が出てから拡大するアプローチが現実的です。

採用が最優先なら: TikTokから始める
ブランド構築が最優先なら: Instagramから始める
検索からの流入を狙うなら: YouTubeから始める


判断フローチャート

自社に適したSNSを選ぶための簡易フローチャートです。

Q1. メインターゲットの年代は?

  • 10代〜20代 → TikTok優先
  • 20代〜40代 → Instagram優先
  • 全年代 → YouTube優先

Q2. 達成したい目的は?

  • 採用 → TikTok
  • ブランディング → Instagram or TikTok
  • 店舗集客 → TikTok or Instagram
  • EC販売 → Instagram or YouTube
  • 情報発信・教育 → YouTube

Q3. 確保できるリソースは?

  • 少ない(週1〜2本、スマホのみ) → TikTok
  • 中程度(週2〜3本、写真撮影可能) → Instagram
  • 多い(週1本以上、動画編集体制あり) → YouTube

まとめ

TikTok、Instagram、YouTubeはそれぞれ異なる特性を持ち、向いている目的やターゲット層が異なります。TikTokは若年層へのリーチと「偶然の発見」、Instagramはビジュアル訴求とブランド構築、YouTubeは検索流入とアーカイブ性に強みがあります。

「どのSNSが最強か」という問いに正解はありません。自社のターゲット層がどこにいるのか、何を達成したいのか、どれだけのリソースを投下できるのか。これらを踏まえて、最適な選択をすることが重要です。

次の記事では、TikTokのアルゴリズムについて詳しく解説します。「おすすめ」に表示される仕組みを理解することで、効果的な運用の第一歩を踏み出せるはずです。

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。前職を含め地域企業を中心とした200社以上の経営者インタビュー映像を制作。現在は「左脳と右脳のハイブリッド」を掲げ、戦略設計から映像・Web・各種コンテンツ制作まで手がける。 これまで音楽家として楽曲提供、行政職員として12年間 制度運用・予算編成等に従事。その後、NPO法人、映像・マーケティング分野に転じ、現在に至る。現在は大学非常勤講師として映像編集ソフトの操作指導も行う。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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