TikTokのユーザー層:「若者だけ」は誤解、最新データで見る年代別利用実態

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この記事でわかること

  • 「TikTokは若者向け」という誤解が生まれた背景と、実際のユーザー構成
  • 総務省の最新調査に基づく年代別利用率の実態
  • 30代・40代の利用が拡大している理由と、その利用傾向
  • エンタメ以外に広がる利用目的の多様化
  • 企業がTikTokでリーチできるターゲット層の可能性

「TikTokって、10代の子たちがダンス動画を投稿するSNSでしょう?」

企業のマーケティング担当者や経営者と話をすると、こうした反応をいただくことが少なくありません。確かに、TikTokが日本で急速に広まった2018年頃は、10代を中心とした若年層のプラットフォームでした。しかし、2025年現在のTikTokは、そのイメージとは大きく異なる姿へと変化しています。

総務省が2025年6月に発表した最新調査によると、TikTokは主要SNSの中で唯一、利用率が前年比で増加したプラットフォームです。しかも、その成長を牽引しているのは10代ではなく、30代・40代のユーザー層。本記事では、最新のデータをもとに、TikTokのユーザー層の実態と、企業がこのプラットフォームをどう捉えるべきかを解説します。


「TikTokは若者向け」という誤解はなぜ生まれたのか?

TikTokに対する「若者専用SNS」というイメージは、日本市場への参入初期に形成されたものです。

2017年に日本でサービスを開始したTikTokは、当初、リップシンク(口パク)動画やダンス動画を投稿・共有するプラットフォームとして認知されました。「TikToker」と呼ばれるインフルエンサーの多くが10代〜20代前半であったこと、学校や友人間での「バズり」を競うカルチャーが注目を集めたことから、「若者のためのSNS」というイメージが定着したと考えられます。

実際、サービス開始から数年間は、10代の利用率が突出して高い状態が続いていました。総務省の調査でも、2020年度時点では10代の利用率が約40%であったのに対し、30代以上は10%台にとどまっていました。

しかし、この状況は2022年頃から大きく変化し始めます。コロナ禍を経て、動画コンテンツへの接触時間が全世代で増加。TikTokのアルゴリズムが「興味関心に基づくレコメンド」を精緻化したことで、エンタメ以外のコンテンツ——料理、ライフハック、ビジネス情報、子育てなど——が充実し、幅広い年代のユーザーを惹きつけるようになりました。


国内ユーザーの年代構成はどうなっているのか?

では、2025年現在のTikTokユーザー層は、実際にどのような構成になっているのでしょうか。総務省情報通信政策研究所が2025年6月に公表した「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」のデータを見てみましょう。

年代別TikTok利用率(2025年調査)

年代利用率
10代65.7%
20代58.7%
30代39.7%
40代39.9%
50代25.5%
60代18.8%
全年代33.2%

(出典:総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年6月)

注目すべきは、30代と40代の利用率がともに約40%に達している点です。これは、Instagram(52.6%)やX(43.3%)と比較しても、決して低い数字ではありません。

さらに重要なのは、TikTokが主要SNSの中で「唯一、利用率が前年比で増加した」プラットフォームであるという事実です。全年代の利用率は前年比+0.7ポイント。Instagram(-3.5pt)、X(-5.7pt)、Facebook(-3.9pt)がいずれも減少傾向にある中で、TikTokだけが成長を続けています。

ユーザーの平均年齢は上昇傾向

TikTokユーザーの平均年齢は、サービス開始当初と比較して着実に上昇しています。複数の調査によると、日本国内のTikTokユーザーの平均年齢は34〜36歳程度とされており、「若者だけのSNS」という認識は、すでに実態と乖離しています。

また、性別構成についても興味深いデータがあります。「TikTokは女性ユーザーが多い」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実際には男性55.2%、女性44.8%と、やや男性の比率が高い傾向にあります(調査によって数値は異なります)。


30代・40代の利用はどのように拡大しているのか?

30代・40代のTikTok利用が拡大している背景には、いくつかの要因があります。

コンテンツの多様化

TikTokは当初、ダンスやリップシンクといったエンタメコンテンツが中心でしたが、現在は多様なジャンルのコンテンツが充実しています。

30代・40代の女性ユーザーを中心に人気を集めているのは、料理レシピ、収納・片付けのライフハック、子育て情報、ファッション・メイクといった「生活に役立つ情報」です。1分以内の短尺動画で、要点だけを効率的に得られる点が支持されています。

男性ユーザーの間では、ビジネス系のショートTips、投資・資産運用の基礎知識、DIY・ガジェット紹介などのコンテンツが視聴されています。

「ながら視聴」との親和性

30代・40代は、仕事や子育てに忙しい世代です。まとまった時間を確保してコンテンツを視聴することが難しい中で、TikTokの「短尺動画」というフォーマットは、スキマ時間の活用に適しています。

通勤電車の中、家事の合間、就寝前のリラックスタイムなど、「ながら視聴」できる手軽さが、この世代の利用拡大を後押ししていると考えられます。

レコメンドアルゴリズムの精度

TikTokの「おすすめ」フィードは、ユーザーの視聴履歴や滞在時間をもとに、興味関心に合ったコンテンツを自動的に表示します。フォローしていないアカウントの動画でも、自分の関心に合ったものが次々と流れてくるため、「何を見ればいいかわからない」という参入障壁が低い点が特徴です。

この仕組みにより、30代・40代のユーザーは、若者向けのダンス動画ではなく、自分の興味に合った料理動画やビジネス情報に自然と出会える環境が整っています。


利用目的はどのように多様化しているのか?

TikTokの利用目的も、「娯楽・暇つぶし」から大きく広がっています。

情報収集ツールとしての活用

米国の調査では、Z世代の約40%が「Googleの代わりにTikTokで検索する」と回答したというデータがあります(Adobe調査)。日本でも同様の傾向が見られ、特に以下のような情報を検索・収集する目的でTikTokを利用するユーザーが増えています。

  • 飲食店・カフェの口コミ、雰囲気確認
  • 旅行先のおすすめスポット
  • 商品レビュー、使用感の確認
  • How To(やり方)動画

テキストや写真だけでは伝わりにくい「実際の雰囲気」や「使用感」を、短い動画で確認できる点が評価されています。

購買行動への影響

TikTokで見たコンテンツをきっかけに、商品を検索・購入するユーザーも増加しています。2025年6月に日本でも本格展開が始まった「TikTok Shop」(アプリ内EC機能)の影響もあり、「TikTokで見て、そのまま買う」という購買行動が一般化しつつあります。

ある調査では、TikTokを利用する女性ユーザーの82%が「TikTokで見た商品を購入した経験がある」と回答しています(株式会社CREAVE調査、2025年)。

学習・スキルアップ

語学学習、資格取得のための勉強法、Excel・PowerPointの時短テクニックなど、学習系コンテンツも充実しています。「1分でわかる○○」「知らないと損する○○」といった形式で、専門知識をわかりやすく解説するクリエイターが人気を集めています。


企業がリーチできるターゲット層はどこまで広がっているのか?

ここまでのデータを踏まえると、企業がTikTokでリーチできるターゲット層は、従来のイメージよりもはるかに広いことがわかります。

採用活動における可能性

TikTokは10代・20代の利用率が高いため、新卒採用や若手人材の獲得において有効なチャネルとなり得ます。求人票やテキストでは伝わりにくい「職場の雰囲気」「社員の人柄」「仕事のリアル」を、短い動画で伝えることができます。

実際、運送業や製造業など、従来は若手人材の確保に苦労していた業種において、TikTokを活用した採用活動で成果を上げている事例も出てきています。

30代・40代へのマーケティング

BtoC企業にとって、30代・40代は購買力の高いターゲット層です。TikTokの利用率が約40%に達しているこの世代に対して、商品やサービスの認知を広げるチャネルとしての活用が検討できます。

特に、以下のような業種・商材との親和性が高いと考えられます。

  • 住宅・不動産(内覧動画、ルームツアー)
  • 自動車(試乗レビュー、機能紹介)
  • 保険・金融(わかりやすい解説コンテンツ)
  • 飲食・小売(店舗の雰囲気、商品紹介)
  • 人材・求人(職場紹介、社員インタビュー)

BtoB企業の活用可能性

BtoB企業にとっても、TikTokは無関係ではなくなりつつあります。直接的なリード獲得は難しいものの、企業認知の向上や、採用ブランディングにおいては活用の余地があります。

「堅い業種だからTikTokは合わない」と決めつけるのではなく、自社のターゲット層がどのようなコンテンツを視聴しているかを調査した上で、活用の可否を判断することが重要です。


まとめ

「TikTokは若者だけのSNS」というイメージは、2025年現在の実態とは大きく異なります。

総務省の最新調査によると、TikTokの全年代利用率は33.2%。30代・40代でも約40%が利用しており、主要SNSの中で唯一、前年比で利用率が増加しているプラットフォームです。利用目的も娯楽から情報収集、購買、学習へと多様化しており、幅広い年代・目的のユーザーが集まる場へと進化しています。

企業がTikTok活用を検討する際は、「若者向けSNS」という先入観を脇に置き、自社のターゲット層がTikTok上にどれだけ存在するか、どのようなコンテンツが視聴されているかを、データに基づいて判断することが大切です。

次回の記事では、TikTokの「アルゴリズム」の仕組みと、企業がフォロワー0からでも再生数を獲得できる理由について解説します。

この記事からわかるQ&A

TikTokの国内利用率はどれくらいですか?

総務省の令和6年度調査によると、全年代のTikTok利用率は33.2%です。主要SNSの中で唯一、前年比で利用率が増加(+0.7pt)しているプラットフォームとなっています。

30代・40代のTikTok利用率はどの程度ですか?

同調査によると、30代は39.7%、40代は39.9%と、ともに約40%の利用率に達しています。「若者だけのSNS」というイメージとは異なり、幅広い年代に浸透しつつあります。

TikTokユーザーの利用目的は娯楽だけですか?

娯楽以外にも、情報収集(飲食店や旅行先の口コミ確認、商品レビュー)、購買(TikTok Shopの利用)、学習(語学、ビジネススキル)など、利用目的は多様化しています。

TikTokは企業の採用活動にも活用できますか?

10代・20代の利用率が高いため、新卒採用や若手人材の獲得に有効なチャネルとなり得ます。職場の雰囲気や社員の人柄を動画で伝えることで、求人票だけでは伝わらない魅力を発信できます。

BtoB企業でもTikTokは活用できますか?

直接的なリード獲得は難しいものの、企業認知の向上や採用ブランディングにおいては活用の余地があります。自社のターゲット層の利用状況を調査した上で、活用の可否を判断することが重要です。

引用・参考資料

  • 総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2025年6月)
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000125.html
  • Adobe「The Future of Digital Search」調査
  • 株式会社CREAVE「TikTok利用状況調査レポート2025」

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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