#06 給料は月15,000バーツ(約7万3000円) ── タイ人デザイナーが語るアジアの現実

今日のテーマは「タイのデザイナーの現実と、自己発信の文化的な違い」です。 ゲストはみなりパートナーズ在籍でタイのUX/UIデザイナー・ベンジーさん。タイのグラフィックデザイナーの月給は18,000バーツから15,000バーツ以下へ下落、AI普及で「誰でもデザインできる」状況に。卒業後の不安定さ、地域差(バンコク・南部)、自己発信の壁──タイの現場のリアルを聞きながら、日本との違い、双方の強みを掛け合わせた新しいクリエイティブの形を探ります。
このエピソードで話していること
- みなりパートナーズ在籍でタイのデザイナー・ベンジーさん(UX/UIデザイナー)が来日しゲスト出演
- 内藤さん会社のもう一つのビジョン「優秀なのに稼げないデザイナー・イラストレーターの社会価値向上」
- ベンジーさんの仕事は「人の行動をデザインする」── 組織のコスト削減と業務効率化が目的
- タイの経済成長は自動車と観光が中心、デザイナー需要も一定数ある
- グラフィックデザイナーの月給は18,000バーツから15,000バーツ以下に下落している
- AI普及で「誰でもグラフィックデザインができる」状況、報酬の下方圧力が続く
- 卒業後はギャラリー出展も自前、美術用品もPRも自費で大きな壁になる
- 「本業で稼いでから夢に専念する」戦略を選ぶアーティストも多い
- タイ国内の地域差──バンコク・北部・東北はアートが評価、南部は学歴・キャリア重視
- タイ人は制作過程をTikTok・Instagramで発信、日本人は完成品しか見せない
- 「เปิดก่อนค่อยปิด(まず開いて、ダメなら閉じる)」── やる前から悩まないタイ流の哲学
- 「モックアップ・ピープル」戦略──自作の付箋やコメントで本物の注目を集めた実例
- 日本は集団主義、タイは個──双方の強みを掛け合わせて新しいものを作る
- 次回は日本×タイのコラボ動画&書家ゲストの予告
こんな方におすすめ
- インドだけでなく、東南アジアのデザイナー事情に関心がある経営者・ビジネスマン
- 自社のデザイン部門・クリエイター人材の育成や評価制度を見直したい方
- SNSでの自己発信や情報発信に苦手意識を持つクリエイター・経営者
- 海外人材とのコラボレーションで成果を出したいと考えている企業
- AIの普及で揺らぐクリエイティブ職の将来を考えたい方
この記事からわかるQ&A
ベンジーさんが言う「人の行動をデザインする」とは、具体的にどういう仕事ですか?
一般的なUX/UIデザイナーがウェブやアプリの画面をデザインするのに対し、ベンジーさんは「組織の中の人の行動を変える」仕事をしていると説明しています。業務プロセスを設計し直すことで、コストを下げ、業務効率を上げる──いわば組織内の動線設計者。グラフィックの見た目ではなく、人がどう動くかを設計対象にしているという点で、デザインの定義を広げる興味深い仕事です。
タイのグラフィックデザイナーの給与は、なぜここまで下がっているのですか?
ベンジーさんによれば、以前は月給18,000バーツが平均だったものが、現在は15,000バーツ以下にまで下がっているそうです。原因の一つは「グラフィックデザインは誰でもできる」という認識が広まったこと。さらにAIの普及により、もともとデザイナーではなかった人もデザインができるようになった。加えて、グラフィック1つの仕事で動画・サウンド・全領域を求められるようになり、専門性に対する正当な対価が払われにくい構造になっていると話されています。
タイの中でも地域によってアーティストの扱いが違うって本当ですか?
本当です。ベンジーさんはバンコク、北部、イサーン(東北部)ではアートが評価され、人々がアーティストの作品により価値を見出すと話しています。一方、南部はアカデミックやキャリアの達成を重視する文化が強く、無料ギャラリーで展示しても作品が売れにくく、アーティストとして生きていくのが特に厳しい地域だそうです。背景の苦しさから美大を中退し、歌手やパートタイム労働者として「普通の生活」を選ばざるを得ない人もいる現実が語られました。
タイ人と日本人で、自己プロモーションのやり方はどう違いますか?
ベンジーさんによれば、タイのアーティストはTikTokやInstagramで「描いている過程」「色を塗る様子」「なぜそう描いたのか」を発信し、フォロワーと一緒に完成までの旅を共有するそうです。一方、日本のアーティストは完成品だけを見せる傾向が強い。タイ人は無料のSNSを使い倒して自分で売り込む、日本人は控えめで開放的な発信を躊躇しがち──この違いが、結果的に日本人デザイナーがプロモーションのチャンスを失う原因になっているかもしれない、とベンジーさんは話しています。
ベンジーさんが話していた「モックアップ・ピープル」戦略とは何ですか?
ベンジーさん自身がギャラリー展示で実験した戦略です。Tシャツ作品を出したものの誰も見てくれない状態から、自分で違う筆跡・違う言語のコメントを書いた付箋を4〜5枚作品の周りに貼り付けたそうです。すると次の週には20〜30枚の本物の付箋が貼られていた──「人は他人が注目しているものに注目する」という心理を利用した手法です。フェイクの再生数や偽コメントから本物の関心を呼び込む。倫理的な議論はあるものの、無名のアーティストが「最初の一手」を打つには有効だと語られています。
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番組情報
ガンジス川でスクロール〜日本人がインドで失敗する方法〜
アイシンで12年、KPMGで5年。製造業の調達現場でインド駐在4年を含む実務経験を積んできたインドビジネスの専門家・内藤健司が、パンフレットには載っていないインドビジネスの現実──通訳の落とし穴、賄賂の実態、時間感覚のズレ、カーストの影響──を失敗談として赤裸々に語るビジネス番組。「成功を真似るより、失敗を避ける方が確実」をコンセプトに、インド市場への進出を考える経営者・ビジネスマンに実務者目線のリアルな知恵をお届けします。毎週木曜配信。
メインMC

内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。
番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。
kenji.naito@minari-partners.co.jp
制作
アストライド-Astride-(https://www.ast-ride.com)
サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈
カバーデザイン
みなりパートナーズ株式会社
※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。
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