動画とポッドキャストの使い分け。購買のどこに置くか

この記事でわかること
- BtoBで動画に手応えのあった場面の順位
- 音声が入り込んでいる時間の割合
- 買い手が候補を何社に絞るか
- 同一条件で比べた調査が無いという事実
- 動画と音声をともに展開する場合の考え方
動画と音声のうち、御社はどちらから始めるべきか。この問いを、私たちは商談の場でよくいただきます。
御社が求めておられるのは、どちらが優れているかという評価よりも、自社の場合にどちらを先に置くべきかという順序だと私は受け止めています。
この記事では、Lumii・オトナル・朝日新聞社・IT-Communicationsが公表している調査を並べます。あわせて、この領域で数字が独り歩きしやすい理由にも触れます。
同じ条件で比べた調査は、見当たりません
はじめに、私たちが調べて分かった限界をお伝えします。
YouTubeの視聴完了率とポッドキャストの聴取完了率を、同じ番組・同じ尺・同じ流入条件で全国比較した国内の公開調査を、私たちは確認できませんでした。
比べにくい理由は2つあります。1つ目は、動画と音声とで計測の仕様がそもそも違っているという点です。2つ目は、視聴者の集まり方の違いになります。YouTubeは推薦から初めて出会う人が多く、ポッドキャストは自分で番組を選んだ既存の聴き手が多くなる傾向があります。
「音声は動画の2倍の再生率」「音声の編集は動画の3分の1」という数字が流通しています。これらは、ある制作会社が自社の1番組で得た事例と実務の目安として公表しているものです。全国の平均でも業界の標準でもありませんので、そのまま自社へ当てはめないでください。
BtoBの動画は、商談の場で手応えが出ています
株式会社Lumiiが、BtoB企業で動画を活用している402人へ調査を行っています。
| 最も効果を実感した場面 | 割合 |
|---|---|
| 商談 | 34.3% |
| リード獲得 | 25.6% |
動画を使う目的としては、認知の獲得が44.0%、理解の促進が32.3%と上位に並びました。
商談が1位に来る理由は、動画が持っている性質から説明がつきます。表情、製品、図解、現場。画面を見なければ伝わらない情報を運ぶ形として、動画は音声より前に立つと私は考えています。
音声が入っているのは、画面を見られない時間です
オトナルと朝日新聞社が、2025年12月に国内の利用実態調査を行いました。対象は15歳から69歳の10,000人と、人口構成比で抽出した利用者800人です。
月に1回以上聴く人の割合は18.2%でした。そして利用者の80.8%が、何かをしながら聴くと回答しています。
移動、家事、歩行、運転。動画が取れない時間帯へ入り込める点が、音声の側の性質になります。画面を見られない時間を取りにいく手段だとお考えください。
聴かれる場所がどう移ってきたかについては、ポッドキャストの20年にまとめています。
買い手は、3社以内に絞っています
IT-Communicationsが公表しているBtoBの購買行動調査に、押さえておきたい数字があります。
検討のときに使う主な情報源は、各種Webメディアが49.3%、提供企業のWebサイトが35.4%、雑誌・専門誌が31.1%、展示会が25.7%という結果でした。
そして、比較の対象を3社以内へ絞る買い手が81.4%を占めます。ワンマーケティングの購買プロセス白書でも、初回の営業面談の時点で候補がほぼ決まっている買い手が29%、いくつかに絞り込んでいる買い手が56%と報告されています。合計85%が、会う前に候補を絞っているという数字になります。
候補に残るための情報設計が、初期から比較の段階にかけて問われているとお考えください。
どこの段階を見据えるかを選択の基準にする
ここまでの数字を並べると、選び方の形が見えてきます。ここで問われているのは、優劣の判定よりも、購買のどの段階にどちらを置くかという設計です。
| 段階 | 動画の役割 | 音声の役割 |
|---|---|---|
| 課題の認識・認知 | 60〜180秒で、経営者の顔と現場と実績を見せる | 5〜15分で業界の課題を語り、切り抜きをSNSやメールへ回す |
| 比較・検討 | 製品の説明、図解、事例。3社以内に残るための材料を並べる | 判断の背景にある考え方を、時間をかけて伝える |
| 商談 | 34.3%が手応えを感じた場面。営業の場で実際に見せる | 商談の前後に聴いてもらい、理解の土台を作っておく |
| 継続の関係 | 更新の負担が大きく、続けにくくなりやすい | 移動や作業の時間へ入り、接点を保ち続ける |
動画は比較と説明と営業の支援へ、音声は関係を育てる側へ置く。これが、公表資料から言える範囲の設計になります。
制作にかかる手間の違い
工数についても、公表されている目安があります。ある制作会社が示している実務の値では、30分のコンテンツで音声の編集が2時間から4時間、動画は8時間から12時間とされています。
この数字を、一般の価格表として読まないでください。制作会社が工程の差を示すために出した参考の値になります。
差が生まれるのは、動画に撮影・画づくり・カット・テロップ・サムネイル・色補正という工程が加わるためです。音声のほうは、整音・編集・BGMとSE・ミックスが中心になります。
弊社では、月1回の収録から番組を作っています。配信の本数は、月1回で年12本、月2回で年24本、週1回で年48本という設計になります。番組の尺は15分で、1エピソードあたりの収録は30分程度です。
動画と音声、ともに展開したい場合の考え方
動画と音声の両方をお考えの会社もあります。その場合に私たちがお勧めしているのは、1回の収録から両方の素材を作る形です。
収録の場にカメラを入れておけば、音声と映像の両方が残ります。別々に企画して別々に収録すると、社内の負担がそのまま2倍になってしまいます。
気をつけていただきたいのは、尺の設計です。動画は60秒から180秒の短いものが求められ、音声は5分から15分の長さが聴かれます。同じ素材から2つの尺を作る前提で、収録の時間を決めてください。
効果の測り方
完了率どうしを比べる形を、私はお勧めしません。先にお伝えしたとおり、計測の仕様と視聴者の集まり方が動画と音声とで違っているためです。
代わりに置ける見方が2つあります。1つは平均の接触分数です。もう1つは、商談まで進んだ人がどちらの媒体に触れていたかという確認になります。
購買の検討段階でポッドキャストがどこまで寄与したかを測った国内の公開調査を、私たちは見つけられませんでした。自社で確かめる場合は、商談の場で「番組を聴いていましたか」と質問するところから始めていただくのが確実です。
測れる範囲については、ポッドキャストの成果はどこまで測れるかで詳しく記載しています。
まとめ
株式会社Lumiiが動画を活用する402人へ行った調査では、最も効果を実感した場面は商談が34.3%、リード獲得が25.6%でした。動画を使う目的は認知の獲得が44.0%、理解の促進が32.3%と上位に並んでいます。
オトナルと朝日新聞社の調査では、月間の利用率が18.2%で、利用者の80.8%が何かをしながら聴くと回答しました。画面を見られない時間へ入り込める点が、音声の側の性質になります。
IT-Communicationsの調査では、比較の対象を3社以内へ絞る買い手が81.4%を占めました。候補に残るための設計が、初期の段階から要るという結果です。
動画と音声を同じ条件で比べた国内の公開調査は見当たりません。流通している「2倍」「3分の1」という数字は、ある制作会社の自社事例と実務の目安として公表されたものです。
選ぶ基準は、優劣よりも置く場所にあると私は考えています。画面を見なければ伝わらないものは動画へ、移動や作業の時間へ届けたいものは音声へ。両方を出されるのであれば、私たちは1回の収録から2つの尺を作る形をお勧めします。
この記事からわかるQ&A
動画と音声、どちらのほうが手応えがありますか
同じ条件で比べた国内の公開調査は見当たりません。計測の仕様が違い、視聴者の集まり方も違っているためです。Lumiiの調査では、動画で最も効果を実感した場面が商談の34.3%でした。オトナルと朝日新聞社の調査では、音声の利用者の80.8%が何かをしながら聴いています。置く場所によって選び分けてください。
どちらから始めるべきですか
答えは会社の状況によって変わります。製品の説明や図解が伝わらないという課題であれば動画から、接点が続かないという課題であれば音声からになります。IT-Communicationsの調査では、比較の対象を3社以内へ絞る買い手が81.4%でした。候補に残る段階で何が足りていないかを、先に確かめていただくのが順序だと考えます。
音声のほうが安いと聞きました
ある制作会社が示している実務の目安では、30分のコンテンツで音声の編集が2〜4時間、動画は8〜12時間とされています。工程の差を示す参考の値であり、一般の価格表とは性格が違っています。動画には撮影・画づくり・カット・テロップ・サムネイル・色補正が加わるため、工数がその分だけ増えます。
両方をやる場合、どう進めますか
私たちは、1回の収録から両方の素材を作る形をお勧めします。収録の場にカメラを入れておけば、音声と映像の両方が残ります。別々に企画して別々に収録すると、社内の負担がそのまま2倍になってしまいます。動画は60〜180秒、音声は5〜15分という尺の違いを前提に、収録の時間を決めてください。
効果はどう測ればよいですか
完了率どうしの比較はお勧めしません。代わりに、平均の接触分数と、商談まで進んだ人がどちらの媒体に触れていたかという2つを見てください。購買の検討段階でポッドキャストの寄与を測った国内の公開調査は見つかりません。御社の場合も、商談の場で「番組を聴いていましたか」と質問するところから始めていただけます。
出典
- 株式会社Lumii「BtoB企業の営業・マーケティングにおける動画活用の実態調査」BtoB企業で動画を活用する402人が対象。最も効果を実感した場面は商談34.3%、リード獲得25.6%。動画活用の目的は認知獲得44.0%、理解促進32.3% https://lumii.co.jp/
- オトナル×朝日新聞社「PODCAST REPORT IN JAPAN 第6回ポッドキャスト国内利用実態調査」2025年12月実施・2026年2月公表。15〜69歳10,000人と、人口構成比で抽出した利用者800人が対象。月間利用率18.2%、利用者の80.8%が「ながら聴き」 https://otonal.co.jp/news/2955
- IT-Communications「BtoB購買行動調査」検討時の主情報源は各種Webメディア49.3%、提供企業のWebサイト35.4%、雑誌・専門誌31.1%、展示会25.7%。比較対象を3社以内に絞るケースが81.4% https://www.it-comm.co.jp/
- ワンマーケティング「BtoB購買プロセス白書 2025年度版」全国の仕入・購買・契約関与者600人が対象。初回営業面談の時点で候補が「ほぼ決まっている」29%、「いくつかに絞り込んでいる」56%。情報源は候補企業のWebサイト38.5%、検索エンジン32.2% https://www.onemarketing.jp/
- PitPa「YouTubeとポッドキャスト、どちらをやるべき?」ある対談番組の自社事例として、ポッドキャストの平均再生率がYouTubeの約2倍。30分コンテンツの編集工数の実務目安は音声2〜4時間、動画8〜12時間。サンプル・尺・流入・計測式の詳細は非公開であり、全国平均や業界標準として公表されたものではない https://pitpa.jp/
- アストライド「ポッドキャスト制作・運用代行 月15万円〜|収録は月1回|三重・全国対応」月1回=年12本/月2回=年24本/週1回=年48本、番組尺15分、1エピソードの収録は30分程度。配信先はSpotify・Apple Podcasts・Amazon Music・KOEGURA(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/
- アストライド「経営者インタビュー映像制作」代表・纐纈智英は前職で2018年から2023年までの5年間、250社以上を訪問し200名超の経営者へインタビューを行い、1〜2時間の対談を10〜15分の映像へ編集して毎週配信した https://ast-ride.com/service/service-interview/
- アストライド「ポッドキャストの20年。聴かれる場所はどこへ移ったのか」配信先と聴取環境の変遷を国内外の公表資料から整理した記事 https://ast-ride.com/knowledge/15332/
- アストライド「ポッドキャストの成果は、どこまで測れるのか」再生数・完了率・商談化の測り方と、測れない範囲を整理した記事 https://ast-ride.com/knowledge/14898/
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。
Astride(アストライド)
〒510-0016 三重県四日市市羽津山町1-6
© Astride All rights reserved.



