日本のポッドキャスト市場:成長率・広告費・企業活用の現状

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この記事でわかること

  • 日本国内のポッドキャストリスナー数と利用率の推移
  • 米国・グローバル市場との比較と日本市場の成長余地
  • ポッドキャスト広告費の現状と予測
  • 企業によるブランデッドポッドキャストの増加傾向
  • 日本市場の特徴と今後の展望

「ポッドキャストは成長市場なのか」「稟議資料に使える市場データが欲しい」——企業がポッドキャスト活用を検討する際、市場の現状と成長性を把握することは重要な判断材料となります。

この記事では、国内外の最新調査データをもとに、ポッドキャスト市場の現状を整理します。リスナー数の推移、広告費の動向、企業活用の状況など、意思決定に必要な情報を網羅的に解説します。


国内ポッドキャストリスナー数の現状

月間利用率は17.2%、着実に成長

オトナルと朝日新聞社が共同で実施している「PODCAST REPORT IN JAPAN」によると、2024年12月時点の国内ポッドキャスト利用率(月1回以上聴取するユーザーの割合)は17.2%となっています。

調査開始時の2020年には14.2%だった利用率が、5年間で約3ポイント上昇しました。急激な成長ではないものの、着実に拡大を続けている状況です。

調査年月間利用率
2020年14.2%
2022年15.7%
2023年15.7%
2024年17.2%

(出典:PODCAST REPORT IN JAPAN 各年度調査、オトナル・朝日新聞社調べ)

若年層の利用率は約3割

年代別に見ると、若年層の利用率が高いことが分かります。

年代月間利用率
15〜19歳34.0%
20代27.3%
15〜29歳平均29.3%
全年代平均17.2%

(出典:PODCAST REPORT IN JAPAN 第5回調査、オトナル・朝日新聞社調べ)

15〜29歳に限定すると、利用率は29.3%に達します。この数値は、Amazon Prime VideoやNetflixを上回る水準です。若年層にとって、ポッドキャストは主要なメディアの一つとして定着しつつあります。

他メディアとの比較

同調査では、複数メディアとの利用率比較も行われています。ポッドキャストは全年代でTikTokに次ぐ利用率を示し、Netflix、Facebook、雑誌、ABEMAを上回る結果となりました。

「ポッドキャストはニッチなメディア」というイメージがあるかもしれませんが、実際には主要な動画配信サービスと同等かそれ以上の利用率を持つメディアとなっています。


世界市場との比較:日本市場の成長余地

米国では成人の3分の2がリスナー

Edison Researchの調査「2024 Infinite Dial」によると、米国では12歳以上の人口のうち約1億9,200万人がポッドキャストを聴取しており、これは総人口の約3分の2に相当します。週に1回以上聴取する「週間リスナー」は約9,800万人に達しています。

ロイター・ジャーナリズム研究所の「Digital News Report 2024」では、調査対象20カ国の平均で35%が月間リスナーであると報告されています。この数値と比較すると、日本の17.2%という利用率は、まだ成長余地があることを示しています。

グローバル市場規模は270億ドル超

Global Market Insightsの調査によると、世界のポッドキャスト市場規模は2023年に270億ドル(約4兆円)を超え、2024年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)15%以上で成長すると予測されています。

オンデマンドコンテンツへの需要増加、スマートフォンの普及、Spotify・Apple Podcasts・YouTube Musicなどプラットフォームの充実が成長を後押ししています。


ポッドキャスト広告費の動向

米国:24億ドル超の広告市場

IAB(Interactive Advertising Bureau)の調査によると、2024年の米国ポッドキャスト広告収益は24億ドル(約3,500億円)に達しました。2023年の19.25億ドルから約25%の成長を遂げています。

2026年には約25.62億ドル(約3,800億円)に達する見込みで、ポッドキャスト広告は米国のデジタルマーケティングにおいて確立された広告手法となっています。

日本:成長初期段階

日本のポッドキャスト広告市場については、米国ほど大規模な公式データは存在しません。ただし、市場調査レポートによると、2024年の日本ポッドキャスト広告市場は約3.5億ドル(約500億円)規模とされ、2033年には約13億ドル(約1,900億円)に成長すると予測されています。

日本市場は米国と比較すると規模が小さいものの、成長率は高く、今後の拡大が見込まれる分野です。

広告効果の特徴

ポッドキャスト広告の特徴として、高いエンゲージメント率が挙げられます。BBCが行った調査によると、ポッドキャスト内でブランドについて言及されると、他のメディアと比較してエンゲージメントが16%高く、記憶への定着率も12%高いという結果が出ています。

「ながら聴き」というポッドキャストの特性が、リスナーの意識を独占しやすい環境を生み出しているとされています。


企業によるブランデッドポッドキャストの増加

ブランデッドポッドキャストとは

「ブランデッドポッドキャスト」とは、企業が自社で運営するポッドキャスト番組のことです。広告を出稿するのではなく、企業自身がコンテンツの発信者となり、ブランドメッセージや専門知識を届ける手法です。ブログやオウンドメディアの「音声版」と捉えることができます。

世界で8,000番組以上

ポッドキャスト分析プラットフォームChartableのデータによると、2021年時点で世界のブランデッドポッドキャスト数は8,000番組以上に達しています。2020年から2021年にかけて200%の成長を見せており、企業のマーケティング手法として急速に普及しています。

日本企業の活用事例

日本国内でも、ブランデッドポッドキャストを活用する企業が増加しています。

  • トヨタ「トヨタイムズ」:CMと連動したポッドキャスト活用でブランド認知向上
  • 資生堂:2021年から継続的に番組を制作し、150話以上を公開
  • 朝日新聞社「朝日新聞ポッドキャスト」:月間250万回聴取される主要メディアに成長

その他にも、人材関連企業、百貨店、ビールメーカー、IT企業など、多様な業界でポッドキャスト活用が始まっています。オトナルの調査では、2024年12月時点で国内企業のポッドキャスト事例は90番組以上が確認されています。

企業が番組を持つ理由

CoHostの調査によると、企業の76%が「業界の思想的リーダーになるため」にブランデッドポッドキャストを開始しています。ポッドキャストを通じて専門性を発信し、信頼を構築することが主な目的です。

また、90%の企業がブランデッドポッドキャストの効果に満足しているというデータもあり、企業のマーケティング手法として定着しつつあります。


日本市場の特徴と課題

「ながら聴き」が主流

PODCAST REPORT IN JAPANによると、日本のポッドキャストユーザーの87.1%が「ながら聴き」でポッドキャストを聴取しています。主な聴取シーンは以下の通りです。

聴取シーン割合
車の運転中23.8%
公共交通機関23.5%
家事中23.4%
歩いている時23.3%
趣味の作業中22.2%

(出典:PODCAST REPORT IN JAPAN 第4回調査、オトナル・朝日新聞社調べ)

通勤時間や家事の時間など、他のメディアでは接触しにくいタイミングでリスナーにリーチできるのが、ポッドキャストの特徴です。

聴取プラットフォーム

2024年の調査では、聴取プラットフォームの利用率は以下の順となっています。

  1. YouTube(動画含む)
  2. Spotify
  3. Amazon Music
  4. Apple Podcast
  5. YouTube Music

近年はYouTubeでの「ビデオポッドキャスト」視聴が増加しており、音声だけでなく映像付きで聴取するスタイルも広がっています。

日本市場の課題

日本市場特有の課題として、以下の点が指摘されています。

  • 認知度の低さ:「ポッドキャスト」という言葉自体の認知度がまだ十分でない
  • 制作ノウハウの不足:企業がポッドキャストを始める際のハードルが高い
  • 効果測定の難しさ:ダウンロード数以外の指標が確立されていない

ただし、これらの課題は「まだ競合が少ない」「差別化しやすい」という見方もできます。先行者利益を得られる可能性がある段階ともいえます。


今後の市場予測と企業への示唆

成長は続く見込み

各種調査を総合すると、日本のポッドキャスト市場は今後も成長を続けると予測されています。若年層での高い利用率、プラットフォームの充実、企業活用の増加など、成長を支える要素が揃っています。

ただし、米国のような急激な成長よりも、緩やかに市場が拡大していくシナリオが現実的です。「すぐに結果が出るメディア」ではなく、「中長期で取り組むメディア」として捉える必要があります。

B2B企業にとっての意味

B2B企業にとって特に注目すべきは、ポッドキャストユーザーに企業の意思決定層が多いというデータです。PODCAST REPORT IN JAPANによると、ポッドキャストユーザーのうち企業の決裁権者(経営者・役員・管理職)は13.1%で、非ユーザーと比較して3.9ポイント高い数値となっています。

経営者や管理職が「学びの手段」としてポッドキャストを活用している傾向があり、B2B企業にとってはターゲット層にリーチしやすいメディアといえます。


まとめ

日本のポッドキャスト市場は、着実な成長を続けています。月間利用率17.2%、若年層では約3割という数値は、もはやニッチなメディアとは言えない規模に達しています。

米国と比較すると市場規模は小さいものの、それは成長余地があることを意味します。企業によるブランデッドポッドキャストも増加しており、マーケティング手法としての認知も広がりつつあります。

「今すぐ始めるべきか」という問いに対する答えは、企業の状況によって異なります。ただし、市場データを見る限り、「遅すぎる」ということはなく、むしろ「まだ早い段階で参入できる」タイミングであることは確かです。

次の記事では、ポッドキャストの歴史と進化を振り返り、なぜ今このメディアが注目されているのかを解説します。


引用・参考資料

  • PODCAST REPORT IN JAPAN 第5回ポッドキャスト国内利用実態調査(2025年2月、オトナル・朝日新聞社)
  • PODCAST REPORT IN JAPAN 第4回ポッドキャスト国内利用実態調査(2024年3月、オトナル・朝日新聞社)
  • Edison Research「2024 Infinite Dial」
  • Reuters Institute「Digital News Report 2024」
  • IAB「U.S. Podcast Advertising Revenue Study 2024」
  • Global Market Insights「Podcasting Market Size Report 2024-2032」
  • Chartable「Why Branded Podcasts Are Exploding」
  • CoHost「State of Branded Podcasts Report」

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

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