#18 「誰のための素材か」を問い直す ── 名刺・ボールペン・ロゴに宿る品格

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今日のテーマは「バーチャルな時代だからこそ問われる素材質感」です。

色・素材・文字の3要素のうち、今回は「素材」を深掘り。紙の白さの違いから、再生紙とコーティング紙が黒に与える印象、SNSで流行るノイズ表現まで、デジタル時代に質感が果たす役割を的場さんが解説します。さらに、億単位の契約で差し出されるボールペンが伝える無意識のメッセージや、「ボールペンは相手が使うことで機能する」という審美眼から、ロゴも素材も「相手のためにある」という視点を提示します。


このエピソードで話していること

  • 色・素材・文字の3つのうち、2つ目の「素材」について深掘りする回
  • 紙の白さには「気なり」「アイボリー」「スーパーホワイト」「オフホワイト」など多様な選択肢がある
  • 再生紙のくすみは黒インクを目に優しく、コーティング紙はパキッと強い印象を作る
  • 紙の繊維の方向(紙の目)が、名刺の腰やふにゃふにゃ感を決めている
  • デジタルでは布目・木目・石目を画像で再現できるが、手触りは共有できない限界
  • SNS画像にノイズを加える流行は、ツルッとしたデジタルに質感を取り戻す試み
  • 製品や空間に広がる素材の世界──金属・ガラス・木・竹、模様や文字の凹凸まで
  • なぜ素材にこだわるべきか──素材質感は嘘をつけないから
  • 億単位の契約の場で安価なプラスチックペンを差し出すと無意識に伝わってしまうもの
  • 営業のセオリー「ボールペンは金属の重いもの」は剛性と信頼を物語る道具
  • ボールペンは「自分が使う」のではなく「相手が使うことで機能する」道具という審美眼
  • 自社のロゴもCIも、お客様のためにあるという視点の転換
  • 全部を高級にできない時、素材で外してはならないのは「作法・ロジック」
  • 葛飾フォントでオールドの情緒を出したいのに「なんちゃってオールドフォント」では整合性が崩れる
  • 基準を持つには小学校の国語の原稿用紙の書き方や美術の教科書にヒントがある

こんな方におすすめ

  • 名刺・ボールペン・ロゴなど、ビジネスツールの素材選びに迷っている経営者の方
  • デジタル時代に「触感」をどう伝えるかを考えているクリエイターの方
  • 自社の品格やブランディングを素材レベルから見直したい方
  • 限られた予算の中で、どこに素材のこだわりを集中させるべきか知りたい方
  • 営業現場で相手に与える無意識の印象を高めたい方

この記事からわかるQ&A

紙の白さの違いは印象にどう影響するのですか?

紙の白には「気なり(クリームがかった暖かい白)」「アイボリー(黄色っぽい白)」「スーパーホワイト(青みがかった冷たい白)」「オフホワイト(ニュートラルな白)」など多様な選択肢があると的場さんは解説しています。同じインクで印刷しても、再生紙のくすんだ白は黒を目に優しく見せ、コーティングされた真っ白な紙は黒をパキッと強く見せる。紙の表面が泥のような粘土でコーティングされているか、繊維がデコボコしているかで、インクが乗るのか沈むのかが変わるためです。

デジタル時代に「素材感」が見直されているのはなぜですか?

画面では布目・木目・石目を画像で表現できますが、触ってみればフラットなガラスやプラスチックでしかなく、手触りはデジタルでは共有できないと的場さんは語っています。最近SNSで一色塗りの画像にあえてノイズを加える流行は、ツルッとしてしまうデジタルに質感を取り戻そうとする試み。綺麗なものが溢れているからこそ、クリエイターたちは「質感のあるもの」を作ろうと試行錯誤しているとのこと。バーチャルだからこそ、リアルの素材感が際立つ時代になっているのです。

なぜ経営者が素材にこだわるべきなのですか?

素材質感は嘘をつけないからだと的場さんは語っています。画面のデザインやキャッチコピーでどれだけ立派に飾っても、お渡しする名刺の紙が薄くて腰がなくふにゃふにゃだったり、億単位の契約の場で安価なプラスチックの使い捨てボールペンを差し出されたら、お客様は無意識のうちに「この企業は契約をどう考えているのか」を察してしまう。口にする人はいなくても、無意識的に伝わるものは確かにあるという指摘です。

「ボールペンは金属の重いもの」というのはどういう意味ですか?

営業現場で優秀な人もそうでない人も口を揃えて言うアドバイスだと的場さんは話しています。金属製で重いボールペンは、単なる見栄ではなく、その独特の重みや冷たさが「何者にも屈しない剛性」を物語る道具──契約の重みを受け取る側の手のひらに直接伝える役割を担っているのです。さらに重要なのは、ボールペンは「自分が使うため」ではなく「相手が使うことで機能する」道具だということ。CIやロゴも同様に「お客様のためにある」という視点が審美眼の核心だと語られています。

全てを高級にできない時、素材選びで外してはならない基準は何ですか?

理念に結びつくのが理想だが個別性が高いため、的場さんは「ロジック・作り方の作法から外れていないこと」を最低限の基準として勧めています。例えば名刺は紙の繊維の方向(紙の目)が長辺と平行ならしっかりするが、縦目ならふにゃふにゃになる──見た目には分からなくても合っている方がいい。葛飾フォントで古い情緒を出したいのに「なんちゃってオールドフォント」を使うのも整合性が取れない例。基準を持つには、小学校の国語の原稿用紙の書き方や美術の教科書にも答えのヒントがあるとのこと。

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番組情報

デザイン審美眼──社長の第六感をカタチにするデザインの話

タイポグラフィを探求し続けるデザイナー・的場仁利が、デザインの世界で積み上げられてきた「判断の原理」を経営者の言葉に翻訳し、社長の「第六感」を確かな判断軸に変えていくビジネス番組。AIがあらゆる選択肢を出力する時代に、「これは自社に合っているか」を見定める力——それが「デザイン審美眼」。毎週木曜配信。

メインMC

的場仁利
Mat N. Studio代表
https://japan-designers.jp/profile/1453/

タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。

サブMC

纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
https://www.ast-ride.com⁠

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

番組への感想、MCへのメッセージは以下までお寄せください。

matnuovo@gmail.com

制作

アストライド-Astride-(⁠https://www.ast-ride.com⁠

サウンドロゴ(クレジットコール):松島史奈

カバーデザイン

的場仁利(Mat N.Studio)

※ この番組は「THE VIOCE PLATFORM」から配信されています。企業の番組参加については こちら

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。