経営者インタビュー映像を企画するとき、何を聞き、どの場面を撮るか決められずに迷っていませんか?届ける相手と用途を定め、伝えたい話題に合わせて質問と撮影内容を組み立てることが基本です。
この記事では、目的と話題の設計、用途別の伝え方、質問と映像構成、企画から公開までの準備と確認、収録や修正で困ったときの直し方について取り上げます。聞き手・撮影・編集の分担に基づく内製・外注の判断基準と、見積もりを比較する際の条件もお伝えします。
この記事でわかること
- 経営者の言葉を中心に、目的と話題を設計する考え方
- 採用・取引先向け・社内共有で伝える内容の分け方
- 届ける相手に合わせた質問と映像構成の作り方
- 企画から公開までの社内分担と準備・確認の手順
- 抽象的な話・短い回答・予定外の話・修正の戻りへの対処の考え方
- 聞き手・撮影・編集の分担と見積条件に基づく内製・外注の判断基準
経営者の考えを伝えるなら、目的と話題から設計する
経営者インタビュー映像は、経営者自身の言葉と表情を通じて、企業の考え方を伝えるコンテンツです。まず担当者と制作側で、見てもらいたい相手と、視聴後に理解してほしい内容を決め、その目的に合わせて質問と映像構成を選びます。
経営者の言葉を中心に据える
経営者インタビューで聞き手が尋ねるのは、企業理念や将来の展望と、その考えに至った経緯です。映像には声のトーン、表情、話し方も残り、視聴者は発言内容と合わせて経営者の人柄を知る手がかりを得られます。
企業PR動画を検討する場合は、担当者と制作側で、事業全体の紹介と経営者の考えのどちらを中心に置くかを整理してください。製品や現場を見せることと、経営者が判断の背景を語ることのどちらに比重を置くかによって、構成の組み方が変わります。
例えば、採用候補者に会社の価値観を伝える場合、聞き手が尋ねるのは、理念の内容と、日々の仕事でその理念をどう実践しているかです。取引先向けには、事業への想いや、仕事を進めるうえで大切にしている点を聞きます。
話題を準備し、回答の余地を残す
撮影前には、担当者と制作側で伝えたいメッセージと触れておきたい話題を整理します。回答の全文を先に作るかどうかは、発言の文言を事前に正確に整えておく必要性と、会話から具体的な言葉を聞きたい目的を踏まえて決めてください。
経営者が自分の経験を語る場面では、聞き手が答えを想定しすぎない準備が大切です。聞き手は用意した質問を起点に、当日の説明を受けて掘り下げる余地を残します。話題をどこまで事前に共有するかも、制作側と確認してください。
採用・取引先向け・社内共有で、伝える内容を変える
経営者インタビュー映像を選ぶ基準は、経営者の考えを知ることが、視聴者の判断に役立つかどうかです。採用、取引先向け、社内共有では必要な情報が異なるので、担当者と制作側は最初の用途に合わせて話題と公開場所を選び、公開後にどのような反応を確認するかも決めます。
採用では、働くうえでの価値観を伝える
採用向けでは、経営者の人柄や、企業文化を理解するための話を中心にします。採用サイトや会社説明会など、候補者が会社について考える場面を選び、その場で何を知ってほしいかを整理してください。
聞き手は「どのような人と働きたいか」に加えて、その考えが日々の仕事とどうつながっているかまで尋ねます。公開後は、採用担当者が視聴した候補者に、印象に残った話や、さらに確認したい点を聞き、伝わり方を確かめてください。
応募者数の変化も確認項目に含められますが、その数字だけでは、具体的に何が伝わったかが見えにくくなります。面接での企業理解度など、視聴内容に結びついた反応も合わせて確認してください。
取引先向けでは、事業と判断の背景を伝える
取引先向けで取り上げるのは、現在の事業、創業の経緯、仕事で大切にしている考えです。企業Webサイトや営業資料など、取引先が会社の情報を確認する場面に合わせて、経営者の説明と事業を示す映像を組み合わせます。
経営者の想いを長く語る構成と、事業の内容を中心に紹介する構成では、見る側が得られる情報が変わります。まず伝えたい内容を選び、公開後は取引先からのフィードバックや問い合わせの内容を確認してください。
社内共有では、考えの経緯を説明する
社内向けでは、企業理念や将来の展望に加え、経営者がその考えに至った歩みを共有します。社内研修、オリエンテーション、社内ポータルなど、社員が見る場面に合わせて話題を絞ってください。
事業承継や新体制への移行を扱う場合、構成の一案は、経営者がこれまでの考えと、これからの方針を整理して語る流れです。公開後は、社内担当者が社員アンケートなどで理解できた点と説明が足りなかった点を確認し、次に共有する内容を考えます。
質問と映像構成は、届ける相手から組み立てる
聞き手は視聴者が知りたい内容から質問を選び、収録では経営者が話しやすい順番に整えます。以下に示すのは、実際の制作実績とは区別した、採用向けと取引先向けの想定例です。纐纈智英が実際に行っている聞き方については、想定例のあとをご覧ください。
想定例:採用候補者に会社の価値観を伝える
採用サイトで公開し、候補者に経営者の考えと企業文化を知ってもらう想定です。聞き手は現在の事業から入り、仕事で大切にしている点と、その背景にある経験を聞きます。
質問例は「現在の事業について教えてください」「仕事で大切にしていることは何ですか」「その考えを持つきっかけはありましたか」です。制作側は、理念の言葉と具体的な経験を結びつけて、経営者がどのような考えで経営しているかを映像で示します。
制作側は、完成映像の冒頭で採用候補者にまず知ってほしい内容を紹介し、次にその背景、最後に今後の展望を見せます。採用候補者が、経営者の考えとその背景、今後の展望を順に知るための構成です。会社説明会でも使う場合は、担当者と制作側で上映できる時間と、上映の前後に担当者が説明する内容を合わせて確認します。
想定例:取引先に事業の考え方を伝える
企業Webサイトで公開し、取引先に事業と経営者の考えを知ってもらう想定です。聞き手は経営者に現在の事業を具体的に説明していただき、そのあとで創業の経緯や、仕事の進め方につながる価値観を尋ねます。
質問例は「現在の事業の特徴は何ですか」「この事業を始めた経緯を教えてください」「仕事を進める際に大切にしていることは何ですか」です。事業を示す現場の映像も必要か、撮影前に検討してください。
| 比べる項目 | 採用向けの想定例 | 取引先向けの想定例 |
|---|
| 主に伝える内容 | 人柄、価値観、企業文化 | 事業、創業の経緯、仕事への考え |
| 質問の重点 | 考えが日々の仕事にどう表れるか | 事業と経営者の判断がどうつながるか |
| 主な掲載先 | 採用サイト、会社説明会 | 企業Webサイト、営業資料 |
| 公開後の確認 | 候補者の企業理解、面接での反応 | 取引先の反応、問い合わせの内容 |
聞き手が現在の事業から過去の歩み、これからの展望へと話を聞く順番については、「経営者インタビューの聞く順番|現在・過去・展望をつなぐ理由と使い分け」で詳しく説明しています。
企画から公開まで、社内の担当と確認順を決める
制作前に決めるのは、目的、公開場所、話題、撮影条件、確認担当です。担当者と制作側は公開希望日から各工程を逆算し、社内で判断する時期と制作側が作業する時期を調整します。制作期間と撮影時の拘束時間は、具体的な内容を共有して確認してください。
企画:用途と必須メッセージを整理する
担当者は、誰に見てほしいか、どこで使うか、何を理解してほしいかをまとめます。経営者には、必ず伝えたい点と触れておきたい話題を確認し、質問づくりの材料にしてください。
公開希望日が決まっている場合は、担当者と制作側で、企画、撮影、初稿確認、修正、納品の各日程を組み、経営者、広報、採用などの関係者がどの段階で確認するかも決めます。公開直前に判断が集中しないよう、確認の時期と担当者を予定に入れてください。
撮影準備:場所と必要な映像を選ぶ
オフィスや社長室では企業の雰囲気を、会議室では経営者の話を中心に見せる構成を検討できます。工場、店舗、現場の映像を組み合わせる場合は、担当者と制作側で何を撮るか、対談と同じ日に撮るかを整理してください。
撮影前に準備するのは、伝えたい内容をまとめた資料、質問のもとになる会社情報、撮影場所の候補です。担当者と制作側は、背景に何が映るか、会話の音を収録しやすいか、経営者や現場の予定に支障がないかを確認し、その条件に合わせて当日の進め方を決めます。
収録:対談と周辺作業の時間を分ける
纐纈の対談は一対一で1時間から、長いときは2時間です。これは話を聞く時間で、撮影全体の拘束時間とは分けて扱います。機材の準備、追加カット、片付けを含む予定は、撮影内容に合わせて確認してください。
聞き手は、予定した話題を踏まえつつ、実際の回答を聞いて対談を進めます。当日の連絡や場所の調整を担うのは、社内担当者です。経営者が話に集中できるよう、関係者は収録前の打ち合わせで役割分担を共有してください。
編集・確認:内容と表現をまとめて確かめる
初稿では、担当者が伝えたい内容が残っているか、発言の意図が伝わる順番か、事実関係に誤りがないかを確認します。修正意見は社内で整理し、どこを、どう直したいかをまとめて制作側へ伝えてください。
修正後は、担当者と制作側が掲載先と納品内容を照らし合わせ、複数の用途で使う場合に必要な編集や使用範囲も確認して、公開準備を進めます。公開後の評価に向けて、社内では確認する指標と、反応を集める担当者まで決めてください。
話が抽象的になる、言葉が出ない、確認が戻るときの直し方
対談や確認で問題が起きた場合は、聞き手と社内担当者が、それぞれ質問の形や聞く内容、社内の確認手順を見直します。聞き手は相手に答え方を求めすぎず、具体的な仕事や経験へ話題を移す方法を選んでください。以下は、問題が起きる条件と、その修正方法です。
理念の説明が続くときは、具体的な前提を聞く
理念や想いの説明だけが続く場合、聞き手が尋ねるのは、仕事の進め方や、その考えが生まれた経緯です。抽象的な言葉の解釈を先に決めず、経営者に前提を説明していただき、聞き手と経営者の間でどの話を掘り下げるかを確かめます。
纐纈が経験したのは、「下調べを調べ込んだことが仇になり、質問の意図を匂わせすぎて、相手の答えを先回りしてしまう失敗」です。この経験を踏まえ、纐纈は業界を理解するための準備をしながら、対談ではお互いの前提を確かめてから話を掘り下げます。
回答が短いときは、質問を小さくする
口数の少ない方への聞き方は、短い質問を重ね、クローズクエスチョンからオープンクエスチョンへ切り替える方法です。回答が短すぎるときには、纐纈は相手に質問を復唱してから答えていただく方法も使います。
言葉がほどけない場合は、纐纈は無理に話し方を崩そうとせず、仕事の進め方や数字を聞く方向へ切り替えます。本人が説明しやすい内容を探し、そこから考えを確かめる進め方です。収録では、流暢さよりも本人が説明しやすいことを大切にします。
予定外の話は、目的と照らして扱う
纐纈が対談で感じているのは、予定していなかった「寄り道に、その方らしさが出ている」ということです。質問項目に戻すことを急がず、纐纈はどの話に本人の考えが表れているかを聞き取り、完成映像に残すかを判断します。
一方で、公開目的から離れた内容まで入れた映像は、伝えたい点が散らばりがちです。編集時には、視聴者が知る必要のある話と、経営者の考えを理解する助けになる話を選び、構成の中心をそろえてください。
修正が戻るときは、確認の順序をそろえる
社内の確認者が工程の途中で増えた場合、映像の方向性が初稿のあとで変わることがあります。担当者は企画の時点で目的と必須メッセージを共有し、初稿を確認する人と、最終判断をする人を決めてください。
修正依頼では、事実の訂正、表現の調整、構成の変更を分けて伝えます。大きな変更が必要になった場合は、担当者と制作側で対応範囲、費用、納期への影響を確認してください。修正回数の数え方も、契約前にそろえておく項目です。
内製・外注は、聞き手・撮影・編集の分担で判断する
内製と外注を判断する基準は、必要な作業を誰が担えるかです。目的と話題を社内で整理し、聞き手の担当や撮影・編集の一部を外部へ依頼する分担も選べます。見積もりでは、金額と合わせて作業範囲と納品後の使用条件を確認してください。
社内で決めることと、依頼することを分ける
社内では、視聴者、用途、伝えたい内容、公開希望日、確認担当者を決めます。そのうえで、経営者に話を聞く役、撮影を進める役、映像を構成する役をどう分担するか検討してください。
外注先の実績を見る際、担当者が確認するのは、画質や演出に加え、経営者の考えをどう聞き、どの順番で伝えているかです。比較の判断材料は、自社の目的に合う話題を扱えるか、提案内容と作業範囲が具体的かという点も含みます。
見積もりは同じ条件で比較する
費用を比較する前に、担当者は撮影場所、日数、出演人数、編集内容、追加演出、納品形式をそろえます。同じ完成映像を想定した見積もりでも、制作会社によって含まれる作業が異なる場合があるので、発注担当者は基本費用と追加費用の境界を確かめてください。
| 確認項目 | 見積もり・契約で確かめること |
|---|
| 撮影 | 対談と追加カットの範囲、場所変更や追加日の扱い |
| 編集・納品 | 本編、短尺版、縦型版などの納品範囲 |
| 修正 | 回数の数え方、軽微な修正と構成変更の扱い |
| 納期 | 初稿、社内確認、修正、納品の予定 |
| 使用条件 | 著作権の帰属、使用媒体・期間、二次利用、編集加工 |
将来の再編集や複数媒体での使用を考えている場合は、発注担当者が契約前にその用途を制作側へ伝えます。著作権の帰属と、発注企業が使える範囲を分けて確認し、予定する使い方が契約に含まれるかを確かめてください。
アストライドの制作実績は、制作実績ページでご覧いただけます。経営者の言葉の残し方や話の組み立てを、自社が伝えたい内容と照らして確認する際の材料としてお使いください。
まとめ
制作を具体化する際は、最初の用途、見てもらいたい相手、必ず伝えたい内容、公開希望日を社内で決めてください。経営者と担当者はこの条件を共有したうえで、聞き手、撮影、編集を誰が担うかを整理します。
採用向けに考えていた映像を取引先にも使うなど、用途が広がる場合は、担当者と制作側が必要な話題、追加編集、使用条件を確認し直します。見積もりの内容と完成後の使い方が一致するよう、目的の変化を制作条件にも反映してください。
次の準備は、これらの条件を一つにまとめ、確認担当者を決めることです。その資料をもとに、撮影時の拘束時間、制作工程、修正範囲、納品内容を具体化してください。
この記事からわかるQ&A
撮影時の服装はどう選べばよいですか?
服装選びの基本は、普段の仕事に合う服装です。スーツを着る企業ならスーツ、カジュアルな社風ならジャケットやビジネスカジュアルを候補にしてください。 細かな柄、白や黒の服、目立つアクセサリーは、制作側と背景や照明との組み合わせを確認します。着用予定の服を事前に伝え、一律に避けるかどうかを決める前に、撮影場所に合うか制作側と相談してください。
当日に緊張して、話が止まったらどうすればよいですか?
いったん休憩する、話しやすい話題へ戻る、言い直すなどの対応を聞き手に依頼してください。撮影前に経営者と聞き手が緊張したときの進め方を共有しておけば、双方が当日の対応を選びやすくなります。 撮り直しの判断基準は、撮影時間と契約範囲です。話が止まった箇所をすべて撮り直すか、編集で整理するかは、発言の内容と必要な修正を確認して決めてください。
完成する映像の長さは、先に決めるべきですか?
上映時間が決まっている場合は、担当者が先に尺の条件を制作側へ伝えます。Webサイト掲載など、時間に余地がある場合は、伝えたい内容と視聴場面を共有し、完成尺を制作側と検討してください。 収録時間と完成映像の長さは、分けて考える項目です。完成映像を短くする際も、担当者と制作側は発言の背景が伝わるか、尺の調整で意味が変わっていないかを初稿で確認します。
一つの映像を採用サイトとSNSの両方で使えますか?
採用サイトとSNSの両方で使う計画も可能です。制作前に掲載先を伝え、本編に加えて短尺版や縦型版が必要かを決めてください。 納品後に用途を増やす場合は、担当者と制作側で追加編集の費用と使用条件を確認します。短く切り出した映像だけでも発言の意図が伝わるか、掲載先に合う内容かを確かめたうえで公開してください。
公開した映像は、どのタイミングで更新すべきですか?
見直しの目安は、経営体制、事業方針、企業ロゴなどが変わり、映像の説明と現在の会社に差が出たときです。公開からの年数と合わせて、見る人が現在の情報として受け取ってよい内容かを確認してください。 変更箇所が限られている場合、担当者と制作側が検討するのは、一部の再編集や追加撮影です。経営者が語る方針全体が変わった場合は、担当者と制作側で質問と構成から見直します。