私は2018年から2023年までの5年間、毎週、経営者インタビューの映像を制作してきました。1回の対談の時間は1時間から2時間で、私はそこから10分から15分の映像を作っていました。
2時間を10分に縮める作業は、120分÷10分=およそ12分の1に落とす作業にあたります。100分以上をどこかで落とすわけですから、何を残すかよりも何を落とすかの判断が先に来ます。
この記事では、私が落としているものと残しているものについて書いていきます。あわせて、この判断がポッドキャストの編集にどうつながっているのかもお伝えします。
2時間を10分にするときの縮め方
私ははじめに、素材を縮めていくときの手順を並べてお示しします。
| 順番 | 何をするか |
|---|---|
| 1 | 通しで聴き、言葉が変わった場面に印を付ける |
| 2 | 事実確認のやりとりを落とす |
| 3 | こちらの質問そのものを落とす |
| 4 | 残した発言を、伝わる順番へ並べ替える |
| 5 | 音量とノイズを整える |
1時間から2時間の素材に対して、私はこの5つを順に進めます。最初の通し聴きで私が印を付けるのは、たいてい5箇所から10箇所ほどになります。
最初に落としている3つのもの
私が素材から最初に落とすのは、次の3つのものになります。
ひとつ目は、事実確認のやりとりです。ここに入るのは、創業年、従業員数、そして拠点の場所といった項目になります。この3つは、映像の中でお話しいただくより、字幕や概要欄に置いたほうが短く済みます。
ふたつ目は、こちらが投げた質問そのものです。私が20秒かけて聞いた質問を残した場合、その20秒だけで10分のうちの3パーセントを使ってしまいます。私は質問を落とし、答えの側だけを並べるようにしています。
3つ目は、同じ話の繰り返しにあたる部分です。経営者の方は、大事な考えを対談の中で2回か3回おっしゃいます。私はその2回か3回の中から、いちばん言葉が具体的だった1回を残しています。
間を消さない理由
私が落とさずに残しているものの筆頭は、話し手の間になります。
対談の中には、話し手が言葉を探して黙る時間があります。3秒から5秒ほどのその沈黙を、私は詰めずにそのまま残しています。編集の作業としては、ここを詰めたほうが映像の尺は縮みます。
ただし、その沈黙は相手がその場で考えている時間にあたります。すでに用意されていた答えであれば、その方の言葉に間は空きません。間が空いたということは、そこから先の言葉がその日に生まれたものだという印になります。
私は音楽活動で楽曲制作を経験し、島村楽器「録れコングランプリ2014」で総合グランプリを受賞しました。私の音と間に対する判断は、ここが土台になっています。
言いよどみをどこまで残すか
「えー」「あのー」「まあ」といったつなぎ言葉のことを、私たちはフィラーと呼んでいます。ただし、私たちがそのすべてを消してしまうことはありません。
すべてのフィラーを消してしまった音声は、聴いていて不自然に感じられます。人が実際に話すときには必ず入る音ですので、それが1つもない状態は、原稿を読み上げた録音に近づきます。
私が残しているのは、言い直しの直前に入るフィラーになります。「いや、あの、そうじゃなくて」という並びは、話し手が自分の言葉を直そうとしている場面にあたります。ここを消してしまうと、聴く側にはその動きが見えなくなります。
テロップを最小限にしている理由
映像の編集において、私はテロップの量を最小限に留めています。
テロップを入れた場合、視聴する側の目はそちらの文字へ向いてしまいます。すると、話し手の表情と声の調子のほうが届きにくくなります。私は視聴する側に、この2つのほうを受け取っていただきたいと考えています。
私がテロップを入れるのは、固有名詞と数字が出てきた場面だけです。文字にするのは、会社名、地名、製品名、年号の4つになります。この4つは、耳で聞いただけでは正しく残らないためです。
並べ替えをどこまでするか
私は残した発言を、話した順のままでは使いません。私は残した発言を、伝わる順番へ並べ替えていきます。
対談の後半で出た一言を頭に持ってくると、同じ素材でも聞こえ方が変わります。最初の10分から20分はよそゆきの言葉が続きますので、そのまま頭から並べた映像は、立ち上がりが弱くなります。
ただし私は、並べ替えによって発言の意味を変えることはしていません。ある質問への答えを、別の質問への答えとして置き直す作業は行いません。ここを越えた時点で、その作業は編集から作文へ変わってしまいます。
私はラジオ番組とテレビ番組の構成と出演を続けてきました。私が素材を並べ替える順番の判断は、その経験から来ているものです。
音の処理
並べ替えを終えたあと、私たちは音のほうを整えていきます。
アストライドが納品する音源は、ラウドネスを -14 LUFS、トゥルーピークを -1 dBTP に収めています。この2つの数値を守っておくと、再生時にプラットフォーム側で音量が自動調整されることがなくなります。
対談の収録では、話し手ごとに声の大きさが違ってきます。マイクとの距離も人によって変わりますので、並べ替えたあとの音源は、そのままでは回ごと発言ごとに音量が揺れています。
納品物と音の基準については、ポッドキャスト制作の納品物は何かで詳しく記載しています。
ポッドキャストでの適用
アストライドのポッドキャストは、1エピソードあたりの収録を30分程度とし、そこから15分の番組を作ります。縮める割合は、30分÷15分=およそ半分という計算になります。
映像で2時間を10分にしていたころと比べた場合、落とす割合はかなり小さくなります。そのぶん、質問を残すか落とすかの判断のほうが変わってきます。ポッドキャストでは、聴き手にとって会話の流れが分かる程度に、私たちの質問も残しています。
週1回配信で年48本の番組であれば、私たちはこの編集を年48回繰り返します。1本ごとに4つの工程を行いますので、年間では48本×4工程=192回の作業になります。
落として後悔する場面
私が後悔してきたのは、雑談として扱ってしまった部分です。本題の合間に出てきた短い話が、あとから聴き返すとその方の考え方をいちばん表していた、という場面がありました。
この経験から、私は最初の通し聴きで印を付ける場所を、本題の中だけに限らないよう気をつけています。話が横道へ逸れた場面についても、私は印を付けて残すようにしています。
まとめ
私は1時間から2時間の対談を、10分から15分へ縮めていました。2時間を10分にする場合、私は120分÷10分=およそ12分の1に落とすことになります。
私が素材から最初に落とすのは、次の3つになります。落とすのは、事実確認のやりとり、こちらの質問そのもの、そして同じ話の繰り返しになります。
私が残しているのは、話し手の間です。3秒から5秒の沈黙は、話し手がその場で考えている時間にあたりますので、私はそこを詰めずに置いています。
私はテロップを最小限に留め、固有名詞と数字が出てきた場面だけに入れています。会社名、地名、製品名、年号の4つは、耳で聞いただけでは正しく残らないためです。
もし社内で対談の編集をされる場面があれば、話し手が黙った3秒を1度だけそのまま残してみてください。その3秒を挟んだ前後の言葉の重みが、そこで変わってきます。
この記事からわかるQ&A
2時間の対談は何分になりますか
私が制作していた経営者インタビューでは、10分から15分の映像にしていました。2時間を10分にする場合、私は120分÷10分=およそ12分の1に落とすことになります。ポッドキャストの場合、1エピソードあたりの収録は30分程度で、そこから15分の番組を作ります。縮める割合は、30分÷15分=およそ半分です。
何から落としますか
私は3つのものから落としていきます。落とすのは、創業年や従業員数といった事実確認のやりとり、こちらが投げた質問そのもの、そして同じ話の繰り返しの3つです。私が質問を20秒残した場合、10分の映像のうち3パーセントをそこで使うことになります。
間は詰めたほうがよいですか
私は詰めずに残しています。3秒から5秒の沈黙は、話し手がその場で考えている時間にあたります。すでに用意されていた答えであれば間は空きませんので、間が空いたことは、その先の言葉がその日に生まれたものだという印になります。
テロップはどれくらい入れますか
最小限に留めています。私が入れるのは、会社名、地名、製品名、年号という4つの固有名詞と数字が出てきた場面だけです。テロップを入れると視聴する側の目はそちらへ向きますので、話し手の表情と声の調子が届きにくくなります。
発言の順番を入れ替えてよいのですか
私は、伝わる順番へ並べ替えるようにしています。対談の後半で出た一言を頭に持ってくると、同じ素材でも聞こえ方が変わるためです。ただし、ある質問への答えを別の質問への答えとして置き直す作業は行っていません。そこを越えた時点で、その作業は編集から作文へ変わってしまいます。
出典
- 纐纈智英「CBN営業戦略」講演台本 v17(2026年6月18日/伝七ステーションでの2018年から2023年まで5年間・毎週の経営者インタビュー制作、訪問250社以上・経営者200名超、1〜2時間の対談を10〜15分へ編集、言葉が変わる30分過ぎの場面)
- アストライド「ポッドキャスト制作・運用代行 月15万円〜|収録は月1回|三重・全国対応」番組尺15分・配信頻度別の年間本数(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/
- アストライド「社内ポッドキャストの導入と運用|条件・社内工数・費用」ラウドネス -14 LUFS・トゥルーピーク -1 dBTP(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/internal/
- アストライド「ポッドキャスト番組制作のご提案」2026年6月26日版・全18ページ p15(提供内容8項目=編集、ノイズ除去・MAほか)/p2(島村楽器「録れコングランプリ2014」総合グランプリ受賞、三重テレビ・東海ラジオでの番組出演)/p3(音と間に対する感性が収録・編集・MAへ反映されていること)
- 纐纈智英(アストライド代表)への確認記録「ポッドキャスト契約条件の確定事項」2026年8月9日版・確定3件(1エピソードあたりの収録時間30分程度ほか)
記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英
アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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