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展示会で交換した名刺が、なぜその後につながらないのか

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この記事でわかること

  • 覆面調査で分かったフォローの実施率
  • 来場者の側が感じている不満の内訳
  • 「今すぐ客」が占める割合
  • B2Bの平均購買期間
  • 名刺のあとに要る2つのもの

展示会に出展して名刺を集めたあと、その名刺が商談につながらないままになる。この状態が続くと、翌年の出展そのものが社内で問われはじめます。

原因を調べた調査を並べてみると、名刺の相手は2つの層に分かれます。1つは、出展した側がフォローしていないという層です。もう1つは、フォローはしたものの、買い手の側がまだ買う時期になかったという層になります。

この記事では、それぞれの層がどれだけの大きさなのかを数値で示します。あわせて、この領域で広く流通している数字のうち、根拠を確認できないものについても書いておきます。


覆面調査では、62%がフォローしなかった

調査会社のRefTechが公開している調査があります。国際的なMICE展示会で、架空の企業の担当者が106のブースを訪問し、資料の送付を依頼するという覆面調査です。

フォローの内容割合
何もしなかった62%
何らかのフォローを実施した38%
うちパーソナライズされたメール19%
うちメーリングリストへの追加のみ19%
電話0件

資料の送付を依頼した相手に対して、62%の出展者が何も返していません。フォローを実施した38%のうち、半分にあたる19%はメーリングリストへ追加しただけです。

電話をかけた出展者にいたっては、106社のうち0件という結果になっています。

「80%がフォローされない」という数字について

この領域では「展示会リードの80%がフォローされない」という数字が広く引用されています。

ただし、この80%については一次調査の設計、対象、実施年を確認できる資料が見当たりません。二次の引用が重ねられている状態です。社内の資料に使う場合は、上のRefTechの62%のように、調査の設計が確認できる数値へ置き換えてください。

出展した側も、体制の不足を自覚している

株式会社展示会営業マーケティングは、2026年4月に国内の調査を行っています。対象は、直近1年で展示会の出展を担当した536人です。

このうち32.5%が、出展後のフォローアップ体制が不十分だと答えています。フォローが行われていない背景には、担当者の意識より体制の側の問題があるという読み方ができます。

同じ調査では、リードを獲得した出展者529人へ商談化率もたずねています。

商談化率回答した出展者の割合
10〜29%31.8%
30〜49%26.3%
5〜9%18.3%
50%以上13.4%

最も多いのは10〜29%の層になります。集めた名刺のうち7割から9割は、商談に至っていない計算になります。

来場者の71.6%は、フォローに不満を持った経験がある

同じ調査は、来場者の側にもたずねています。対象は業務目的で展示会を訪れた1,089人です。

フォローについて不満やストレスを感じた経験があると答えたのは、71.6%にのぼります。その経験者のうち29.6%が、「展示会から数週間以上後」のフォローを遅すぎると答えています。

理想的な初回のフォローの時期についても、回答が出ています。25.0%が選んだのは「展示会の翌日から3日以内」でした。

出展した側の62%がフォローせず、フォローした側も時期が遅れている。来場者の不満は、この2つの重なりから出ています。

「今すぐ客」は3分の1しかいない

もう1つ、押さえておくべき数字があります。

同じ2026年4月の調査では、国内の出展者536人へ来場者の内訳もたずねています。「今すぐ客」の割合として最も多かったのは31〜40%の層で、24.3%を占めます。調査元の加重推計では、今すぐ客が約33%、そのうち客が約34%、対象外が約33%という並びになります。

名刺を交換した相手のうち、いま買う時期にあるのは3分の1ほどにすぎません。残る3分の2の相手は、この時点では買わないということになります。

B2Bの平均購買期間は11.3か月

買う時期にない相手が、いつ買うのか。ここにも調査があります。

6senseが公表した「2024 Buyer Experience Report」では、B2Bの平均購買期間が11.3か月とされています。Demand Gen Reportがこの数値を紹介しています。

同じDemand Gen Reportが2024年に行った調査では、過去12か月にB2Bの購買決定へ関わった200人超が対象になっています。購買のプロセスが12か月を超える場合もある一方で、重要な選定の行動の多くは最初の1か月から3か月に起きるという結果が出ています。

つまり、名刺を交換した相手の3分の2は、そこから1年近く待つことになります。その1年のあいだに接点がなければ、買う時期が来たときに思い出されません。

名刺のあとに要る2つのもの

ここまでの数字を並べると、必要なものが2つ見えてきます。

1つ目は、早いフォローのほうです。来場者の25.0%が翌日から3日以内を理想としており、数週間後になると遅すぎると受け取られます。

2つ目は、長い接点のほうになります。買う時期にない3分の2の相手に対しては、11.3か月という期間をまたいで残る接点が要ります。

多くの会社は、1つ目のほうだけを整えています。各社は展示会の直後にメールを送る仕組みを作り、その先を用意しないまま終わっています。

長い接点をどう作るか

長い接点として実際に使えるものは、そう多くありません。

メールマガジンは、送り続けられる形です。ただし、一斉に配信されるメールが関係を進める力までは持ちにくいという研究もあります。韓国のサービス利用者199名を対象にした2020年の調査では、非個人的な接触では満足度への経路が有意になりませんでした。

これに対して、番組という形であれば、出展した側が相手を招く理由を作れます。展示会で話が合った相手に対して、後日あらためて取材を申し込む進め方です。

取材の依頼が受け入れられやすい理由については、取材の依頼はなぜ通るのかで詳しく記載しています。

何回語れば伝わるのかという問いは、専門性は何回語れば伝わるのかをご覧ください。

展示会と番組を組み合わせる

ここからは、具体的な進め方を順に並べます。

展示会の会場では、名刺の交換に加えて「後日お話をうかがいたい」と伝えます。この段階では、商談の申し込みまではしないでおきます。

出展した側は翌日から3日以内に、取材の依頼を送ります。来場者の25.0%が理想とする時期に収まります。

収録は1エピソードあたり30分程度です。相手の時間を1時間以上いただく形にはなりませんので、買う時期にない相手でも受けやすくなります。

週1回配信で年48本の番組であれば、番組を持つ側はそのうち12回をゲスト回に充てられます。番組を持つ側は1年で12社と、それぞれ1時間ずつ向き合う計算になります。

この方法が向かない場合

この方法にも及ばない範囲があります。

展示会で1日に200枚の名刺を集める規模の出展では、全員へ取材を申し込むことはできません。年12回のゲスト回に対して、候補が200社では回りません。

この場合は、名刺の中から取材を申し込む相手を選ぶ作業が先に要ります。選ぶ基準は、その場の会話で自社の判断に関心を示した相手かどうかです。

対象外が約33%という調査結果もありますので、全員を追う設計そのものが成り立ちません。

まとめ

国際的なMICE展示会での覆面調査では、資料の送付を依頼した106ブースのうち62%が何も返していません。フォローを実施した38%のうち、19%はメーリングリストへの追加だけでした。電話をかけた出展者は0件です。

出展した側の32.5%が、フォローアップの体制が不十分だと自覚しています。商談化率で最も多いのは10〜29%の層で、31.8%を占めています。

来場者の側では、71.6%がフォローに不満を持った経験があります。理想的な初回のフォローとして、25.0%が展示会の翌日から3日以内を選んでいます。

一方で、名刺を交換した相手のうち今すぐ買う時期にあるのは約33%です。B2Bの平均購買期間は11.3か月とされていますので、残る3分の2の相手には長い接点が要ります。

もし来年も展示会に出られるのであれば、名刺の中から取材を申し込む相手を3社だけ選んでみてください。全員を追う設計より、そのほうが残ります。

この記事からわかるQ&A

展示会のリードはどれくらいフォローされていないのですか

調査会社のRefTechが公開している覆面調査があります。国際的なMICE展示会で、架空企業の担当者が106のブースを訪問し、資料の送付を依頼しました。62%の出展者が何も返していません。フォローを実施した38%のうち、19%はメーリングリストへ追加しただけで、電話をかけた出展者は0件です。

「80%がフォローされない」という数字は使えますか

一次調査の設計、対象、実施年を確認できる資料が見当たりませんので、社内の資料には使わないほうが安全です。二次の引用が重ねられている状態にあります。調査の設計が確認できる数値として、RefTechの62%へ置き換えてください。

展示会のリードは何割が商談になりますか

株式会社展示会営業マーケティングが2026年4月に、リードを獲得した出展者529人へ行った調査があります。商談化率で最も多いのは10〜29%の層で31.8%、次いで30〜49%が26.3%、5〜9%が18.3%、50%以上が13.4%という並びです。

フォローはいつ送ればよいですか

業務目的の来場者1,089人を対象にした調査では、25.0%が「展示会の翌日から3日以内」を理想的な初回のフォローとして選んでいます。フォローに不満やストレスを感じた経験があると答えたのは71.6%で、そのうち29.6%が「展示会から数週間以上後」を遅すぎると答えています。

すぐに買わない相手はどうすればよいですか

名刺を交換した相手のうち、今すぐ買う時期にあるのは約33%とされています。B2Bの平均購買期間は11.3か月ですので、残る3分の2には長い接点が要ります。展示会で話が合った相手に後日あらためて取材を申し込み、その回を接点として残す進め方があります。

出典

  • RefTech「展示会リードフォローの覆面調査」国際的なMICE展示会で、架空企業の担当者が106のブースを訪問し資料送付を依頼。62%の出展者がフォローせず、フォロー実施は38%(パーソナライズされたメール19%、メーリングリスト追加のみ19%、電話0件) https://www.reftech.com/
  • 株式会社展示会営業マーケティング「展示会白書」2026年4月調査。国内で直近1年に展示会出展を担当した536人へのインターネット調査。32.5%が出展後のフォローアップ体制が不十分と回答(図4-8)。リード獲得出展者529人の商談化率は10〜29%が31.8%、30〜49%が26.3%、5〜9%が18.3%、50%以上が13.4%(図4-7)。「今すぐ客」の比率は31〜40%が24.3%、加重推計で今すぐ客約33%・そのうち客約34%・対象外約33%(図4-5/表4-1) https://tenjikaieigyo.com/
  • 株式会社展示会営業マーケティング「展示会白書」2026年4月調査。国内の業務目的来場者1,089人が対象。フォローに不満・ストレスの経験ありが71.6%、うち29.6%が「展示会から数週間以上後」を遅すぎると回答(図5-15/5-16)。理想的な初回フォロー時期として25.0%が「展示会翌日〜3日以内」を選択(図5-17) https://tenjikaieigyo.com/
  • 6sense「2024 Buyer Experience Report」B2Bの平均購買期間は11.3か月。Demand Gen Report が紹介 https://www.demandgenreport.com/
  • Demand Gen Report 2024年調査。過去12か月にB2Bの購買決定へ関与した200人超が対象。購買プロセスが12か月超に及ぶ場合もある一方、重要な選定行動の多くは最初の1〜3か月に起きる https://www.demandgenreport.com/
  • Jung, L., & Park, S. (2020). 韓国のサービス利用者199名を対象とした調査。接触頻度→企業満足の直接効果は非有意(β = −.006)、担当者満足を介した間接効果は有意(β = .165)。個人的接触では頻度→担当者満足が有意(β = .197, p < .01)、非個人的接触では有意でなかった https://www.econstor.eu/
  • Gartner「The B2B Buying Journey」BtoB製品の購買グループには6〜10人の意思決定者が含まれ、それぞれが独立して4〜5点の資料を集める。買い手が購買にかける総時間のうちベンダーとの直接接触は17% https://www.gartner.com/en/sales/insights/b2b-buying-journey
  • アストライド「ポッドキャスト制作・運用代行 月15万円〜|収録は月1回|三重・全国対応」番組尺15分・配信頻度別の年間本数(2026年8月時点) https://ast-ride.com/service/service-podcast/

記事を書いた人

アストライド代表 纐纈 智英

アストライド代表。「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した「論理的思考(左脳)」と、音楽コンテストでグランプリを受賞するなど「芸術的感性(右脳)」を併せ持つ、異色のバックグラウンド。これまでに200社以上の経営者インタビューを行った経験を活かし、経営者すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出して映像化する。

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
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