採用の情報が給与や福利厚生に偏り、自社で働く理由を十分に示せないまま、大手企業と条件面で比べられていませんか?仕事の中身、経営者の人となり、一緒に働く人の姿も、求職者が会社を選ぶために示せる判断材料です。
この記事では、人手不足の現状と採用の現場、求職者の選ぶ基準、中小企業が条件以外に伝えられることについて取り上げます。経営者が伝えたいことを考える視点や、人となりを映像で表す選択肢、採用後の定着まで見据えた考え方もお伝えします。
この記事でわかること
- 調査の数字から見る企業の人手不足の状況
- 新卒採用の充足状況と内定辞退の数字の見方
- 新卒の求職者が企業を選ぶ基準の変化
- 中途採用で求職者が期待することとのギャップ
- 中小企業が条件面以外に伝えられる判断材料
- 経営者の人となりを伝えるために考えたい内容
- 映像と文字で表現できる情報の違い
- 入社後の定着まで見据えた採用活動の考え方
調査の数字から見る人手不足の状況
帝国データバンクが2025年2月に発表した調査によると、2025年1月時点で正社員が「不足」と感じている企業の割合は53.4%に達し、コロナ禍以降で最も高い水準となりました。東京商工リサーチの調査(2024年4月)でも、「正社員不足」の企業は約7割(69.3%)に上り、前年からさらに悪化しています。
中小企業を対象とした日本商工会議所の調査(2024年)では、人手が「不足している」と回答した企業は6割超(63.0%)でした。そのうち6割以上が、事業運営への影響について「非常に深刻」または「深刻」と答えています。
採用活動の現場で何が起きているか
東京商工会議所が実施した「2024年新卒者の採用・選考活動動向に関する調査」によると、採用計画人数に対する充足率が50%未満の企業は41.5%に達しました。前年同時期の33.0%から大幅に増加しており、企業が新卒採用に苦戦している状況がうかがえます。
内定辞退の状況も確認が必要です。同調査では、内定・内々定の辞退者がいると回答した企業の割合は67.4%でした。この数字は辞退者がいた企業の割合を表しており、内定者全体に占める辞退者の割合とは区別して読む必要があります。
なぜ、これほどまでに採用が難しくなっているのか。その背景には、求職者の意識変化があります。
求職者が企業を選ぶ基準は変わった
リクルートマネジメントソリューションズが発表した「2025年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」では、興味深い傾向が示されています。
入社の決め手として最も多かったのは「やりたい仕事(職種)ができる」で、選択率は過去最高を記録しました。次いで「入社後のキャリアをイメージできる」「労働時間や勤務スタイルが魅力的」といった、働き方に関する項目が上昇しています。
一方で、「社員や社風が魅力的である」は減少傾向にあり、「企業理念やビジョン」(2.3%)、「経営方針や戦略」(1.7%)、「その会社ならではの強み」(1.7%)といった企業特性に関する事柄の選択率は低下しています。
この調査の回答では、入社の決め手として「自分に合った仕事・働き方」に関する項目が、企業理念などの企業特性に関する項目よりも選ばれています。企業側が発信したい情報と、求職者が判断に使いたい情報との間に、ギャップがある可能性を考えられる結果です。
中途採用でも同様のギャップが
この傾向は新卒に限りません。ベイジ社が2024年に実施した「中途採用における採用サイト利用実態調査」では、求職者が転職先に期待することとして「収入が増えること」が45.0%、「人間関係がうまくいくこと」が34.5%と上位を占めました。
注目すべきは、「やりがい」「パーパスやミッション」「社会的意義」への関心が相対的に低かったことです。調査レポートでは、「このあたりは企業と求職者との認識に、ギャップがあるように思えます」と指摘されています。
この調査では、「やりがい」や「社会的意義」への期待は、上位に挙がった「収入が増えること」「人間関係がうまくいくこと」よりも低い選択率でした。企業が強調したいことと、求職者が期待することに違いがある可能性を踏まえ、発信する情報を考える必要があります。
では、中小企業は何を伝えるべきか
条件面で大企業に勝つことが難しい中小企業にとって、この状況は一見厳しく映ります。しかし、条件以外の要素で勝負できる余地があるという見方も可能です。
同じリクルートマネジメントソリューションズの調査では、志望度向上に特に影響が大きかったこととして、「自分のことをよく理解しようとしてくれた」(22.0%)が上位に挙げられています。応募企業への志望度向上について、学生自身が選んだ回答です。
また、面接や最終選考を対面で行うかオンラインで行うかも、求職者との接点を考える際の確認事項です。
経営者の「人となり」を伝えるという選択
中小企業の強みの一つは、経営者との距離が近いことです。経営者が直接採用に関わる場合は、求職者に自分の考えや人となりを説明できます。
この接点を活かし、経営者が何を大切にしているのか、なぜこの事業をしているのか、どのような経験を経て今に至ったのかを伝えることは、「人となり」を知ってもらう一つのアプローチとして考えられます。
求職者が「企業理念」そのものへの関心を示していなくても、「この人と一緒に働きたい」「この人の下でなら成長できそう」という感覚は、入社を決める際の重要な要素になり得ます。理念を体現する人の姿や、その人が大切にする考えを具体的に示すことも、伝え方の一つです。そのための手段として、経営者インタビュー映像を検討できます。
映像と文字で表現できる情報の違い
採用サイトで経営者メッセージを文章として掲載する方法があります。映像を用いる場合は、言葉に加えて、経営者の表情、語気、間の取り方、視線の動きも示せる点が特徴です。語られた内容と話す姿の両方から、求職者はその人の考え方や人となりを確かめられます。
求職者が入社を判断する際には、条件や仕事内容に加えて、「どんな人がこの会社を率いているのか」「自分はこの組織に馴染めるか」も確かめたい点として考えられます。経営者が自分の言葉で想いを語る姿を見てもらうことは、入社後を具体的にイメージするための判断材料を補う方法の一つです。
映像の制作を検討する際は、何を伝えるために使うかを、採用活動全体の中で考える必要があります。語る内容、活用する場面、採用プロセスの設計を併せて検討することが大切です。応募数への影響は、映像の公開とほかの取り組みを分けて確かめます。
採用から定着までを見据えた長期的な視点
採用活動では、人を集めることに加え、入社後に定着し、活躍してもらうことまでを目的として考えます。そのため、採用時の情報発信と、入社後の働き方や職場環境を併せて検討する視点が大切です。
日本商工会議所の調査では、人材確保に向けた取り組みとして「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(72.5%)が最も多く、次いで「ワークライフバランスの推進」(38.1%)が挙げられています。条件面の改善に加えて、働き方や職場環境の整備も、企業が取り組む施策の一つです。
また、採用段階で企業の実態を正しく伝えれば、求職者は自分の希望と実際の仕事や職場が合うかを、入社前に検討できます。経営者の想いや企業文化を説明する際にも、入社後の実態と一致していることが、ミスマッチを減らす可能性を考えるうえでの前提です。
採用と定着は切り離せない関係です。短期的な採用数だけでなく、長期的な人材の確保・育成という視点で、採用活動を設計することが求められています。
採用で経営者の想いを伝える方法は、なぜ優秀な人材が集まらないのか?採用で差がつく「経営者の想い」の伝え方で取り上げています。経営者インタビュー映像の制作を検討する場合は、アストライドの「経営者インタビュー映像制作」をご覧ください。
おわりに:「選ばれる企業」になるために
ここまでの調査の数字からは、人手不足や採用計画の充足に課題を抱える企業の状況がうかがえます。中小企業の採用活動でも、自社が人を選ぶ視点と、求職者が自社を選ぶ際の判断材料を考える視点の両方が必要です。
給与や福利厚生などの条件面で大企業と競争することが難しい場合は、条件以外に伝えられる自社の特徴も検討します。経営者の想いや企業文化、働く人の姿などは、その候補です。その伝え方の一つとして、経営者インタビュー映像という選択肢があります。
映像制作を検討する際も、採用活動全体の設計、入社後のフォロー、職場環境の整備を併せて考えることが大切です。自社で働く理由を伝えるために、映像で何を補えるかという視点から検討できます。
求職者が「この会社で働く自分」をイメージできるよう、仕事内容や働き方、経営者や社員の姿を具体的に示すことが大切です。企業理念やスローガンに加えて、経営者が自分の声で大切にしていることや、その背景を語る方法も検討できます。
この記事からわかるQ&A
給与や福利厚生以外に、どのような情報を伝えられますか?
仕事の中身、経営者の人となり、一緒に働く人の姿が候補です。求職者が自分に合う仕事や働き方を考えられるよう、条件の説明に加えて、自社で働く際の具体的な判断材料を示します。
求職者に企業理念を伝える意味はありますか?
企業理念に加えて、経営者が何を大切にしているか、なぜその事業に取り組んでいるかを説明することも、選択肢の一つです。仕事内容や働き方との関係も示すことで、求職者が自分の希望と照らし合わせて考えるための材料を補えます。
経営者の人となりを伝えるために、何を考えればよいですか?
大切にしていること、事業に取り組む理由、現在に至るまでの経験を挙げてみてください。その中から、求職者に知ってもらいたいことを書き出す方法があります。理念の言葉と、それを体現する経営者の姿を併せて示す視点も大切です。
経営者メッセージを映像にすると、文字と何が違いますか?
映像では、語る内容に加えて、表情、語気、間の取り方、視線の動きも示せます。求職者が言葉と話す姿の両方を確かめられる点が、文章との違いです。採用活動全体の中で、どのような情報を補うために使うかを考えます。
採用の情報発信と、入社後の定着はどう考えればよいですか?
採用段階では、仕事内容や企業文化について、入社後の実態と一致する情報を示すことが大切です。求職者はその情報をもとに、自分の希望と合うかを入社前に検討できます。採用数に加えて、入社後のフォローや職場環境、人材の育成までを視野に入れてください。
引用・参考資料