実績や知名度がまだ少ないなか、投資家・取引先・採用候補者に、自社を信頼してもらうための説明に苦労していませんか?経営者が事業を始めた理由や目指す姿、困難に向き合う姿勢は、実績を補う信頼の材料です。
この記事では、創業期の信頼獲得の課題と、投資家・取引先・人材が見る経営者の考えや人となりについて取り上げます。経営者インタビュー映像を使う相手や場面の選び方と、「なぜこの事業をやるのか」を整理する要点もお伝えします。
この記事でわかること
- 創業期の企業が信頼を得る際に直面する課題
- 経営者の想いや人となりが信頼の材料となる理由
- 投資家・取引先・採用候補者に向けた映像の使いどころ
- 事業を始めた理由の整理と映像の制作・更新の要点
創業期の企業が抱える信頼獲得の課題とは?
実績・知名度・取引先の少なさによる壁
創業期のスタートアップは、あらゆる場面で「信頼の壁」に直面します。
東京商工会議所の調査によると、スタートアップ企業では半数以上が「あまり順調ではない・まったく順調ではない」と回答しています。
具体的には、以下のような場面で壁にぶつかります。
資金調達の場面 投資家は多くのスタートアップから投資先を選びます。事業計画書やピッチ資料だけでは、他社との差別化が難しく、「なぜこの会社に投資すべきか」を伝えきれません。
取引先開拓の場面 大手企業との取引を希望しても、実績がないために門前払いを受けることがあります。「御社の実績は?」「導入事例は?」という質問は、創業期の企業にとって答えにくい問いです。
人材獲得の場面 リクルートマネジメントソリューションズの調査では、スタートアップの人事・組織戦略上の課題として「採用ブランドが低く、欲しい人材が集まらない」が1位になっています。
大手企業と条件で比べられる際の課題
スタートアップが大手企業と同じ採用手法や営業手法で戦おうとしても、知名度や資金力の差から不利になりがちです。
求人広告を出しても、自社を知ってもらえるとは限りません。営業活動でも、実績や事業への理解を得るまでに時間がかかる場合があります。
では、どうすればこの壁を乗り越えられるのか。
その答えの一つが、経営者自身の考えや人となりを、信頼を得るための材料として示すことです。
経営者の「想い」はどのように信頼の材料となるのか?
投資家が本当に見ているもの
投資家は、スタートアップのどこを見て投資を決めるのか。
日経クロストレンドの記事によると、投資家は技術的な完成度以上に、「なぜ起業したのか」「どんな目標を持っているのか」「どのように社会を変え得るのか」など、経営者のビジョンや情熱、人となりを見極めようとします。
日経クロストレンドの記事では、投資家が経営者のビジョンや人となりも見極めようとする点が紹介されています。技術や事業の説明に加え、経営者が何を目指し、なぜその事業に取り組むのかを示すことも、検討したい点です。
数字を補う経営者自身の言葉と人となり
事業計画書やピッチ資料の数字だけでは、経営者が事業を始めた理由や、困難に向き合う考え方を十分に説明しにくい場合があります。インタビューは、経営者が創業の動機や目指す姿を自身の言葉で語る場です。
その際は、抽象的な決意に加えて、困難に直面した時のエピソードや失敗から学んだことを話す方法も考えられます。言葉とともに表情や声のトーンを記録した映像は、相手が経営者の人となりを知るための材料です。
採用においても「ビジョンへの共感」が決め手
人材獲得においても、同じことが言えます。
給与や福利厚生で大手企業と比べられた際の評価は、企業ごとの条件や候補者が重視する点によって異なります。ミッションやビジョンへの共感も、自社で働くことを検討してもらうための材料の一つです。
キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏は、3,000名以上の経営者との対話の中で、こう指摘しています。「給料が下がってビジョンもなんかイマイチだな」となったら絶対採用できない。逆に言えば、ビジョンに強く共感できれば、給料が下がっても入社を決める人材がいます。
スタートアップへの入社を決める人のなかには、「この経営者の想いに共感した」「この会社のビジョンを一緒に実現したい」という動機を持つ人もいます。経営者自身が事業への想いや目指す姿を語ることは、候補者が共感できるかを考えるための材料です。
経営者インタビュー映像を投資家・取引先・人材獲得にどう活用するか?
ピッチ資料を補完する「人柄の可視化」
スタートアップの資金調達において、ピッチ資料は必須のツールです。しかし、ピッチ資料だけでは伝わらないものがあります。
それは、経営者の「人柄」です。
経営者インタビュー映像は、ピッチ資料を補完する役割を果たします。
事業計画の数字やロジックをピッチ資料で説明し、経営者の情熱や覚悟、人となりをインタビューで語る方法があります。両方を用意することは、投資家が事業と経営者を検討するための材料を示す方法の一つです。
実際の活用シーンとしては、以下のようなものが考えられます。
- ピッチの事前送付資料として映像のリンクを添える
- 投資家との面談後のフォローアップとして送付する
- 自社サイトに掲載し、投資家が事前リサーチで閲覧できるようにする
「この人についていきたい」と思わせる採用ツール
人材獲得の場面でも、経営者インタビュー映像を、候補者が経営者の考えを知るための資料として活用できます。
スタートアップの採用では、経営者自身が採用活動に関与する場合があります。ただし、ほかの業務との兼ね合いで、すべての候補者と直接対話する時間を確保できるとは限りません。
経営者インタビュー映像があれば、候補者は選考プロセスの早い段階で経営者の想いに触れることができます。
候補者が「この経営者と一緒に働きたい」「このビジョンを実現する仲間になりたい」と感じるかどうかは、人によって異なります。映像で示せる経営者の言葉や表情、声のトーンは、候補者が人柄や事業への姿勢を考える際の手がかりです。
採用ピッチ資料や求人票に加えて、経営者インタビュー映像を活用することで、「なぜこの会社で働くのか」というストーリーを強化できます。
取引先への信頼構築にも効果を発揮
創業期のスタートアップが大手企業との取引を開拓する際にも、経営者インタビュー映像を、事業への考えや姿勢を説明する資料として活用できます。
実績や導入事例がない段階では、「この会社は信頼できるのか」「この経営者は本気で事業に取り組んでいるのか」という不安を払拭する必要があります。
経営者インタビュー映像を通じて、事業への想いや覚悟を伝えることで、実績がない段階でも「この人なら信頼できる」という印象を持ってもらえる可能性が高まります。
商談の事前送付資料として、または自社サイトの「代表メッセージ」として活用することで、取引先との最初の接点を強化できます。
スタートアップが経営者インタビュー映像を活用する際のポイント
「なぜこの事業をやるのか」を語る
経営者インタビュー映像で整理しておきたい内容の一つは、「なぜこの事業をやるのか」という問いへの答えです。
この問いへの答えは、投資家・求職者・取引先が、経営者の事業への姿勢を考える際の材料として示せます。
市場機会の説明に加えて、経営者自身がこの事業に取り組む理由、解決したい課題への想い、実現したいビジョンを語る方法があります。こうした個人的な動機は、聞き手が経営者の考えを理解するための材料です。
事業計画書では伝わらない「覚悟」を見せる
事業計画書には、リスクへの対応策やマイルストーンが書かれています。しかし、「本当にやり切れるのか」という覚悟は、文字だけでは伝わりません。
経営者インタビュー映像では、困難に直面した時のエピソード、失敗から学んだこと、それでもこの事業を続ける理由などを語れます。こうした「覚悟」は、信頼を得るきっかけの一つです。
早い段階で制作し、継続的にアップデートする
経営者インタビュー映像を制作する時期は、資金調達や採用活動の予定、説明したい内容、制作に使える時間や予算を踏まえて検討できます。
実績が少ない段階で経営者の想いを説明する必要があれば、創業期に制作する選択肢もあります。まずは誰に、どの場面で見てもらうかを決め、その予定に合わせて制作時期を考える方法です。
また、事業フェーズが進むにつれて、語るべき内容も変化します。定期的に更新することで、その時点の想いを発信し続けられる点も利点です。
経営者インタビュー映像の制作を検討する場合は、アストライドの「経営者インタビュー映像制作」をご覧ください。
まとめ
創業期のスタートアップでは、実績や知名度、取引先が少なく、信頼を得るための材料が限られる場合があります。その際に検討できる方法の一つが、経営者自身の考えや事業への姿勢を示すことです。
本記事のポイントを整理します。
- スタートアップは実績・知名度・取引先がない中で、投資家・取引先・人材からの信頼を獲得しなければならない
- 日経クロストレンドの記事では、投資家が経営者のビジョンや人となりも見極めようとする点が紹介されています。
- ミッションやビジョンへの共感は、候補者が入社を検討する際の動機の一つとなり得ます。
- 経営者インタビュー映像は、ピッチ資料や採用ツールを補完し、経営者の「人柄」を可視化する手段として有効
- 実績が少ない創業期には、経営者の想いを信頼の材料として示す方法も選択肢です。
創業期には、会社として積み重ねてきた歴史や実績を十分に示せない場合があります。一方で、経営者が事業を始めた理由や、これから取り組む課題への想いは、創業時点でも語れる内容です。
経営者自身が情熱や覚悟を具体的な言葉で語り、投資家・取引先・採用候補者がそれを判断材料として受け取れば、信頼を得るきっかけとなる可能性があります。
この記事からわかるQ&A
創業期のスタートアップが直面する「信頼獲得の壁」とは何ですか?
創業期の「信頼獲得の壁」とは、実績・知名度・取引先が少なく、投資家・取引先・採用候補者に自社を判断してもらうための材料が乏しいことです。東京商工会議所の調査では、スタートアップ企業の半数以上が「あまり順調ではない・まったく順調ではない」と回答しています。ただし、この回答だけから、事業の状況と信頼獲得の難しさとの因果関係は判断できません。
投資家はスタートアップのどこを見て投資を決めるのですか?
日経クロストレンドの記事では、投資家が経営者のビジョンや情熱、人となりも見極めようとする点が紹介されています。事業や技術の説明に加えて、「なぜ起業したのか」「どんな目標を持っているのか」といった経営者の考えも、検討の対象です。
資金調達の場面で経営者インタビュー映像をどう活用できますか?
ピッチの事前送付資料に映像のリンクを添える、投資家との面談後のフォローアップとして送付する、自社サイトに掲載する、といった使い方が考えられます。事業計画の数字やロジックはピッチ資料で説明し、経営者が事業を始めた理由や目指す姿はインタビューで語るなど、資料ごとに説明する内容を分ける方法です。
スタートアップの採用において「ビジョンへの共感」が重要な理由は何ですか?
ビジョンへの共感は、候補者がその会社で働きたいと考える動機の一つです。キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏は、3,000名以上の経営者との対話の中で「給料が下がってビジョンもなんかイマイチだな」となったら絶対採用できないと指摘しています。ただし、この発言だけで、ビジョンへの共感があれば採用できるとは言い切れません。給与や福利厚生を含む条件と、候補者が重視する点を合わせて考える必要があります。
スタートアップが経営者インタビュー映像を活用する際のポイントは何ですか?
ポイントは、事業に取り組む理由を整理すること、困難への向き合い方を具体的に語ること、活用予定に合わせて制作・更新の時期を検討することです。まず「なぜこの事業をやるのか」を一文で書き出し、解決したい課題や実現したいことを整理します。困難に直面した時のエピソードや失敗から学んだことも、事業への姿勢を説明する材料の候補です。制作前には映像を使う相手と場面を決め、公開後は事業の変化に応じて内容を見直す方法があります。
引用・参考資料
HR NOTE「3,000名以上の経営者と会って気づいた、スタートアップ時の採用で大切なこと」
東京商工会議所「創業・スタートアップ実態調査」(2022年)
リクルートマネジメントソリューションズ「成長企業における人材・組織マネジメントに関する実態調査」(2019年)
日経クロストレンド「投資家が最も重視し、スタートアップ経営者が見落としがちな”盲点”」
オプトベンチャーズ「投資家が重視する資金調達を左右する事業の『4つの軸』」