経営者インタビュー映像と企業PR動画の違いが分からず、自社でどちらを作るか決められないままにしていませんか?選ぶ際の判断軸は、作る目的、制作手法、期待する効果の出方です。
この記事では、経営者インタビュー映像の特徴と企業PR動画との違い、自社に向いているかを判断するための企業の特徴について取り上げます。向いていない企業の特徴を踏まえ、自社が映像を作る目的を一文で整理するための考え方もお伝えします。
この記事でわかること
- 経営者インタビュー映像の定義と特徴
- 目的・制作手法・効果の出方から見たPR動画との違い
- 経営者インタビュー映像が向いている企業の特徴
- 経営者インタビュー映像が向いていない企業の特徴
経営者インタビュー映像とは何か?
経営者インタビュー映像とは、経営者の想いや哲学を「ありのまま」に記録する映像です。商品やサービスの紹介よりも、経営者がなぜその事業を営んでいるのか、どのような想いで会社を経営しているのかを語る本人の言葉に重点があります。
経営者インタビュー映像の特徴とは?
この映像形式には、いくつかの特徴的な要素があります。
まず、台本を使用しないという点です。経営者は、あらかじめ用意された原稿を読み上げる代わりに、インタビュアーとの対話を通じて自分の言葉で想いを語ります。そのため、映像に収められるのは、練り上げられた美しい言葉よりも、その場で生まれる率直な表現です。
次に、過度な演出を控えるという点があります。制作側が大切にするのは、華やかなCGや派手な効果音よりも、経営者の表情、声のトーン、間の取り方といった「非言語情報」です。視聴者は映像を通じて、言葉だけでは伝わりにくい人柄や雰囲気に触れられます。
さらに、対話形式による本音の引き出しという特徴もあります。インタビュアーの問いかけをきっかけに、経営者自身も気づいていなかった想いや、普段言葉にしていない哲学を語る場面が生まれるのも、対話形式ならではの特徴です。
アストライド代表の纐纈智英は、前職で2018年から2023年までの5年間、毎週、経営者インタビューを行いました。訪問した会社は250社以上、直接話を聞いた経営者は200名超です。その経験から、纐纈は経営者の想いを、企業の独自性を形づくる要素の一つだと考えています。経営者インタビュー映像は、経営者の原体験や価値観を本人の言葉で記録し、企業の独自性を考える材料として活用できる手法です。
企業PR動画との決定的な違いは何か?
経営者インタビュー映像と企業PR動画は、一見すると似ているように思えます。目的、制作手法、効果の出方の3点で比べると、両者の違いは明確です。
目的の違い:「売る」と「伝える」
企業PR動画の主な目的は、商品やサービスの認知拡大や販売促進です。視聴者の購買意欲を高め、行動を促すことを目指します。そのため、商品の機能やメリット、競合に対する優位性を端的に訴求する構成が中心です。
一方、経営者インタビュー映像の目的は、経営者の想いや企業の価値観を「伝える」ことです。この映像では、直接的な販売促進よりも、企業への理解と共感を深めることを重視します。視聴後すぐの購入行動よりも、「この会社で働きたい」「この会社と取引したい」と思ってもらえる信頼関係の構築が目標です。
制作手法の違い:「演出」と「対話」
企業PR動画の制作では、視聴者の注意を引きつけるための演出を重視します。印象的なキャッチコピー、躍動感のある映像編集、BGMによる感情の誘導などの技法で、短時間に強い印象を残すことが狙いです。制作側の意図に沿ってメッセージを効率よく伝えられるように、構成を組みます。
経営者インタビュー映像の制作では、演出よりも経営者の考えをそのまま記録することを優先します。経営者が語る言葉をそのまま活かし、編集でも過度な加工は避けるのが基本です。インタビュアーの姿や質問は最終的な映像に映さず、経営者と視聴者が1対1で向き合うような構図を作ります。時間をかけて話を聞く狙いは、表面的なメッセージの奥にある経営者の哲学を引き出すことです。
効果の違い:「短期的認知」と「長期的信頼」
企業PR動画に期待できるのは、即効性のある効果です。キャンペーン期間中の認知拡大や、新商品のリリースに合わせた告知など、短期間のマーケティング活動と組み合わせやすい映像といえます。ただし、トレンドの変化や新商品の登場により、コンテンツとしての寿命は比較的短くなりがちです。
経営者インタビュー映像の効果が現れるのは、長期的な視点で見たときです。経営者の想いは短い期間で大きく変わりにくいため、制作した映像は数年にわたって使い続けられる可能性があります。採用活動、理念浸透、ブランディングなど、複数の用途に展開できる点も、この映像の特徴です。
以下の表に、両者の違いをまとめます。
| 比較項目 | 企業PR動画 | 経営者インタビュー映像 |
|---|
| 主な目的 | 商品・サービスの認知拡大・販売促進 | 経営者の想い・企業価値の伝達 |
| 制作手法 | 台本に基づく演出重視 | 対話による本音の引き出し |
| 期待効果 | 短期的な認知・購買行動 | 長期的な信頼構築 |
| コンテンツ寿命 | 比較的短い(トレンド依存) | 長い(数年単位で活用可能) |
| 主な用途 | 広告、キャンペーン、展示会 | 採用、理念浸透、ブランディング |
経営者インタビュー映像が向いている企業の特徴とは?
経営者インタビュー映像が役立ちやすいのは、次のような課題や目標を持つ企業です。
経営者の想いを言語化したい企業
「頭の中にはあるけれど、うまく言葉にできない」と感じている経営者にとって、インタビューは想いを整理し、言葉にする機会です。完成した映像は、言葉にした想いを社内外に共有する手段として使えます。
採用・ブランディングに課題を感じている企業
求職者に「条件」以外の判断材料を示したい場合、経営者インタビュー映像は選択肢の1つです。給与や福利厚生で大企業と比べられる場面でも、企業は経営者の人柄や企業文化を映像で示せます。
厚生労働省の「令和5年版 労働経済の分析」によると、若年層の就職活動において「企業の雰囲気・社風」を重視する傾向が強まっています。経営者の想いを映像で伝えることは、このニーズに応える一つの方法です。
長期的な企業価値を構築したい企業
事業承継、M&A、IPOなどの節目を見据えている企業にとって、経営者の想いを記録することは、節目を迎える前に済ませておきたい準備の1つです。創業の経緯、事業に込めた想い、次世代へのメッセージなどを映像として残すと、数字に表れにくい会社の価値を目に見える形にできます。
経営者インタビュー映像が向いていない企業の特徴とは?
一方で、経営者インタビュー映像が適さない場合もあります。期待する効果と映像の特性が合わない場合、費用に見合う効果を得られない可能性が高まるためです。
即効性のある販促効果を求める場合
「今月の売上を上げたい」「キャンペーン期間中に問い合わせを増やしたい」といった短期的な販促目標がある場合、経営者インタビュー映像は最適な選択とはいえません。経営者インタビュー映像の効果は長期的に現れるため、即効性を求める場合は企業PR動画や広告動画を検討する方が適切です。
商品・サービスの機能訴求が主目的の場合
新商品の機能を紹介したい、サービスの使い方を説明したい、といった機能訴求が主目的の場合も、経営者インタビュー映像は適しません。商品デモ動画やハウツー動画など、別の形式を選ぶ方が目的に合致します。
経営者が映像出演を望まない場合
経営者インタビュー映像は、経営者自身の出演が前提です。経営者が出演に消極的な場合、どれほど丁寧に制作しても、想いを伝えることは難しいといえます。その場合は、無理に出演を促す代わりに、社員インタビューや他の形式を検討することも選択肢です。
経営者インタビュー映像がもたらす価値は、経営者インタビューがもたらす5つの価値:社員エンゲージメントから採用までで取り上げています。経営者インタビュー映像の制作を検討する場合は、アストライドの「経営者インタビュー映像制作」をご覧ください。
まとめ:自社にとっての適性を判断するために
経営者インタビュー映像と企業PR動画には、それぞれに適した目的と場面があります。大切なのは、自社の課題や目標に合ったほうを選ぶことです。
この記事のポイントを整理します。
- 経営者インタビュー映像は、経営者の想いや哲学を「ありのまま」に記録する映像形式
- 企業PR動画との違いは、目的(伝える/売る)、制作手法(対話/演出)、効果(長期/短期)
- 経営者の想いを言語化したい、採用・ブランディングに活かしたい、長期的な企業価値を構築したい企業に適している
- 即効性のある販促効果を求める場合や、機能訴求が主目的の場合は適さない
自社に合う映像を選ぶときは、上の4点を判断の材料にしてください。
この記事からわかるQ&A
経営者インタビュー映像はなぜ台本を使わないのですか?
台本を使わないのは、経営者自身の言葉で想いを語ることを重視しているためです。インタビュアーとの対話を通じて、練り上げられた美しい言葉よりも、その場で生まれる率直な表現を映像に収めることを目指しています。
企業PR動画と経営者インタビュー映像、どちらを選ぶべきですか?
選ぶ基準は、目的です。短期的な販促や商品の認知拡大が目的であれば企業PR動画が、経営者の想いを伝えて長期的な信頼を構築したい場合は経営者インタビュー映像が適しています。
「経営者の想いを言語化する」とは具体的にどういうことですか?
「頭の中にはあるけれど、うまく言葉にできない」と感じている経営者にとって、インタビューは想いを整理する機会です。経営者はインタビュアーの問いかけに答える中で、自分でも気づいていなかった想いや、普段言葉にしていない哲学を整理し、言葉にできます。
経営者インタビュー映像の効果が「長期的」とはどういう意味ですか?
経営者の想いや哲学は短い期間で大きく変わりにくいため、制作した映像は数年にわたって使い続けられる可能性があります。企業PR動画がトレンドの変化や新商品の登場により比較的短命になりがちなのに対し、経営者インタビュー映像は採用活動、理念浸透、ブランディングなど複数の用途に展開できる点が特徴です。
経営者が映像出演に消極的な場合はどうすればよいですか?
経営者インタビュー映像は経営者自身の出演が前提となるため、経営者が出演に消極的であれば、想いを伝えることは難しいといえます。選択肢として挙げられるのは、社員インタビューや他の映像形式です。
引用・参考資料
厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」(2023年)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34423.html