#13 自己評価は全員S ── インド人部下の「プリンス問題」とKPI
内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
メインMC
纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
MC
今日のテーマは「自己評価は全員S──インド人部下の『プリンス問題』とKPI」です。前回の「採用」に続き、今回は採用後に「一緒に働く」リアルと「評価」の苦労を取り上げます。引き継いだ部下は「あなたが教えてくれれば、できます」と未来の自分を想像して答え、背景には「自分はプリンス(王子様)」という強烈な自己肯定感が。評価面談では自己評価がほぼ全員「S」で来るため、定量的なKPIがないと「Sでない理由」を説明できず平行線になります。ダミーの発注書で達成を演出する、工場前で写真を撮って訪問件数を水増しする──ルールの隙を突くKPIの抜け穴も赤裸々に。定量目標とエビデンス確認、目標設定面談の記録まで、インドでのマネジメントの勘所を内藤さんが語ります。
このエピソードで話していること
- 前回の「採用」に続き、今回は採用後に「一緒に働く」リアルと「評価」の苦労がテーマ
- 後任で引き継いだ部下が「思ってたのと違う」。A・B・Cができると聞いていたのに…
- 本人いわく「あなたが教えてくれれば、できます」。未来の自分を想像して面接に答えている
- 悪気はなく、入社後に指導される前提で「できる」と言う文化
- だから面接では「できる根拠」を確認しないと見抜けない(前回のレゴの話につながる)
- 背景に強烈な自己肯定感。「自分はプリンス(王子様)」という感覚
- カースト(バラモン)で「いいところに生まれ育った」ので掃除はしない、という価値観
- 「掃除をするプリンスを見たことがあるか?」プリンスへの解像度をめぐるやり取り
- 評価の難しさ:自己評価はほぼ全員「S」。一人を除いて
- その一人は日系勤務・日本で学んで帰国した人。自らBやCと申告してくる
- KPIが定量化されていないと「Sでない理由」を説明できず平行線になる
- KPIの抜け穴:ダミーの発注書(PO)を親戚・友人の会社からもらい、翌日キャンセル
- 「キャンセルは含まない」と明記しないと達成扱いに。訪問件数も工場前の写真詐称が起こる
- 転職文化が強く、給料・食堂・送迎バスなど条件で簡単に流れる。評価の月だけ急に残業する話
- 次回予告:7月はインドで協業するラジャトさんをゲストに迎え、日系特化のヒューマンサポートのリアルを伺う
こんな方におすすめ
- インドで現地スタッフのマネジメント・評価に悩む経営者・管理職
- 海外拠点で「評価制度・KPI」を設計する立場の方
- インド人の自己肯定感・キャリア観の背景を理解したい方
- 採用後の「こんなはずじゃなかった」を防ぎたい方
- インドビジネスのリアルな現場感を知りたい方
このエピソードからわかるQ&A
採用後に「思っていたのと違う」と感じるのはなぜですか?
インドの応募者は「あなたが教えてくれれば、できます」という前提で面接に答える傾向があるからです。これまでにやったことではなく、入社後に指導されて成長した未来の自分を想像して「できる」と言う。悪気はなく、文化的なものです。だから面接では「できる根拠」を確認しないと、入社後に「A・B・Cができると聞いていたのに知らない」というギャップが生まれます。
インド人部下の「プリンス問題」とは何ですか?
強い自己肯定感の背景に「自分はプリンス(王子様)」という感覚があることを指します。カースト(バラモン)で「いいところに生まれ育った」ため掃除はしない、という価値観の人もいます。「掃除をするプリンスを見たことがあるか」と返してくるような、自分を高く位置づける意識が、評価や指示出しの場面で表面化します。
評価面談ではどんな苦労がありますか?
自己評価がほぼ全員「S」で来ます(日系勤務経験者など一部の例外を除く)。自己肯定感が高いため、なぜSではないのかを説明しても、定量的な根拠がないと平行線になります。「俺の話を聞けばSの理由が分かる」と主張してくることもあり、頑張りと評価は別問題だと線を引くためにも、KPIによる定量評価が欠かせません。
KPIにはどんな「抜け穴」がありますか?
ルールの隙を巧妙について来ます。たとえば「新規受注◯◯円」というKPIなら、親戚や友人の会社にダミーの発注書(PO)を出してもらい、翌日キャンセルして達成扱いにしようとします。「キャンセルは含まない」と明記していないと防げません。訪問件数なら、工場の前で写真を撮っただけ、関係ない人と肩を組んで「工場長」と称する、といった詐称も起こります。KPIは定義と根拠の確認方法までセットで設計する必要があります。
インドでの評価制度はどう設計すればいいですか?
まず定量的なKPIを必ず用意し、「ここまでできたらこの評価」という基準と、エビデンスの確認方法まで細かく決めておくことです。期初(例:4月)に目標設定面談を行い、内容を記録(できれば録音)しておくと、評価時にアピールされても基準で判断できます。転職文化が強く、給料・食堂・送迎バスなどの条件で簡単に人が流れるため、評価の月だけ急に残業するといった行動も見越して、運用を整えておくことが大切です。
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メインMC
内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
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纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。
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課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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