Home > ナレッジ > 社内でポッドキャストを使いたいという意図は、なぜ伝わりにくいのか。国内外の使い道を、聴き手ごとに整理する

社内でポッドキャストを使いたいという意図は、なぜ伝わりにくいのか。国内外の使い道を、聴き手ごとに整理する

公開 更新

社内でポッドキャストの活用を提案したとき、一般公開の番組だと受け止められ、社員向けの使い道を説明し直していませんか?聴いてもらう相手ごとに使い道を分けると、提案する人は聞く社内報を社員に向けた使い道として、公開の番組と並べて説明できます。

この記事では、公開の番組と受け止められやすい理由や、聴き手ごとの使い道、国内外の活用例について取り上げます。公開と社内限定で変わる話せる内容、新しい回の知らせ方、成果の見方と、自社の使い道を決める順序もお伝えします。

この記事でわかること

  • 社内でポッドキャストが一般公開の番組と受け止められやすい理由
  • 聴き手ごとに分けた、ポッドキャストの4つの使い道
  • ブランドの理解と採用に使われている、公開の番組の例
  • 顧客と社員に向けた、聴ける範囲を限った配信の例
  • 公開と社内限定で変わる、内容・知らせ方・成果の見方
  • 聴き手・目的・社外への公開の可否から使い道を決める順序

社内で「ポッドキャスト」と言うと、一般公開の番組だと受け止められやすい理由

アストライド代表の纐纈智英は、BtoBの会社の方には、情報発信は必要ないと言う人が多いと捉えています。

国内のポッドキャストの利用者がどのプラットフォームで聴いているかは、オトナルと朝日新聞社の共同調査で確かめられます。2026年2月に公表された第6回の調査の対象は、全国の15歳から69歳の10,000人と、ポッドキャストを日常的に聴く利用者800人です。

全体のうち、月に1回以上ポッドキャストを聴く人は18.2%でした。利用するプラットフォームの1位はYouTube、2位はSpotifyです。利用者の約7割は、映像のついたビデオポッドキャストを月に1回以上視聴しています。

米国では、12歳以上の半数を超える人がポッドキャストを利用しています。Edison Researchは2026年1月に、米国の12歳以上の2,050人を対象に調査を行いました。直近1か月にポッドキャストを聴いた、または視聴した人は58%でした。同社は、この割合を12歳以上の人口に当てはめると約1億6,700万人にあたると推計しています。

国内で利用されるプラットフォームの上位2つは、どちらも一般の利用者が自由に聴ける公開型のサービスです。私自身も、ポッドキャストはやはり一般に公開するための仕組みだと捉えています。社内だけで聴く使い方はこの一般的な受け止め方から外れるため、提案する担当者が言葉で補う必要があるのは、目的と聴ける範囲の説明です。

使い道は、聴き手ごとに4つに分けられる

ポッドキャストの使い道は、誰に聴いてもらうかで分けると整理しやすくなります。聴いてもらう相手は、不特定の聴き手、採用の候補者、取引先や顧客、社員の4つです。

聴き手主な目的聴ける範囲公表資料で確かめた例
不特定の聴き手会社やブランドを知ってもらう一般公開クラシコム「チャポンと行こう!」(日本)
採用の候補者社内の様子と働き方を知ってもらう一般公開メルカリ「mercan.fm」(日本)
取引先や顧客人柄や考え方を、会う前に知ってもらう自社サイトの中、または相手を限るみなりパートナーズのアーティスト紹介(日本)
社員経営の考えや他部署の仕事、研修を社内に届ける社内に限る社内ラジオ(日本)、公的機関の学習用ポッドキャスト(インドネシア)

上の2つは一般公開の番組として、下の2つは聴ける人や再生できるサイトを限った配信として使われています。聞く社内報が当たるのは、4つ目の社員に向けた使い道です。

一般公開の番組は、ブランドの理解と採用に使われている

不特定の聴き手に向けた例には、クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」のポッドキャスト「チャポンと行こう!」があります。番組の開始は2018年5月で、話し手は同社取締役で「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤さんと、スタッフの青木さんです。

クラシコムは2022年11月、番組の再生が1,200万回を超えたと発表しました。同社は2022年10月30日に、この番組の公開収録イベントも開いています。

米国には、企業やブランドが配信する番組への関心を調べた調査があります。Sounds Profitableの2023年10月の調査では、18歳以上の米国人の40%が、好きなブランドや製品についての番組であれば聴く可能性が高いと答えました。同社は、ブランドの番組を独立したジャンルとして扱うと、米国での関心の高さは上位3つに入ると位置づけています。

採用の候補者に向けた番組の例には、メルカリの「mercan.fm」があります。mercan.fm は、同社の採用サイト「mercan」の番組です。2021年5月4日公開の第78回では、グループで採用を担当するメンバーが、力を入れている職種や「働く魅力」について話していました。

音声で届けられるものと、文字のまま残すべきものの線引きについては、求人票で伝わらないものは何かで詳しく記載しています。

聴ける人を限った配信は、顧客と社員に向けて使われている

取引先や顧客に向けた例には、みなりパートナーズの取り組みがあります。同社は、アストライドが運営する配信サービス「KOEGURA」を試験導入し、所属するアーティストの紹介ページに、本人が7分20秒語る音声を載せました。そのアーティストを初めて知る企業の担当者は、プロフィールと作例に加えて、本人の話し方からも人柄を感じ取れます。

代表の内藤健司さんは、「個性豊かなクリエーターの個性を直接会うことなく伝える手段の1つが『声』でした」とコメントしています。なお、内藤さんは、アストライドが制作する番組「ガンジス川でスクロール」のメインMCも務めています。

社員に向けた配信は、国内では「社内ラジオ」や「聞く社内報」と呼ばれています。オトバンクは2025年6月に、社内ラジオを導入した企業で、実際に社内ラジオを聴いたことがある社員144名を対象に調査を行いました。取り上げてほしいテーマは、「業界情報・ニュース」が81%で1位、「経営陣の考えや今後の方針」が69%で2位、「他部署の仕事紹介」が60%で3位でした。

この調査の回答者は、社内ラジオをすでに聴いている社員に限られています。社内ラジオを聴いていない社員の受け止め方は、この数字には表れていません。数字を読むときの注意点については、社内報が読まれないのはなぜかで詳しく記載しています。

海外には、インドネシアの大規模な公的機関で、職員の学習に使われているポッドキャストを調べた研究があります。Sediyaningsihらが2026年に発表したこの研究の対象は、質問紙の調査が338人、面接が20人です。

職員は、時間と場所を選ばずに聴ける点と利用しやすい点を評価しており、とくに政策の理解と継続的な能力開発を支える手段として捉えていました。利用するかどうかを左右していたのは、年齢よりも、組織の状況や仕事の経験、それまでのメディアの使い方でした。

海外には、社内向けの配信を前提にした機能を持つ配信サービスもあり、米国の Transistor は解説ページで社内向けの使い道を紹介しています。挙げられているのは、社員向けの継続的な音声研修、入社したばかりの社員への案内、CEOが全社員へ週1回届けるメッセージです。

社内向けの音声の効果が研究でどこまで確かめられているかについては、社内ポッドキャストに、研究の裏づけはどこまであるかで詳しく記載しています。

公開する番組と、社内だけの番組で変わること

同じポッドキャストでも、一般に公開するか社内に限るかで、作り方の前提が3つ変わります。変わるのは、話せる内容、新しい回の知らせ方、成果の見方です。

話せる内容

一般公開の番組では、社外の誰が聴いても差し支えない内容と言葉を、話し手が選ぶ必要があります。経営者の多くは、意図しない相手に広く情報が公開されることを望んでいない、というのが私たちの見方です。あらかじめ聴ける範囲を決められれば、経営者は身構えずに、ありのままの声で思いを残せます。

新しい回の知らせ方

一般公開の番組であれば、まだ会社を知らない人も、検索や配信プラットフォームのおすすめから番組を見つけられます。社内だけの番組には、社外の検索やおすすめから見つけてもらう経路がありません。担当者が社内ポータルや朝礼、メールで新しい回を知らせ、社員に聴く習慣が少しずつ根づくよう働きかけます。

成果の見方

一般公開の番組では、再生数を他社の番組と並べられます。ただし、題材や配信の歴史、広告の有無が番組ごとに違うため、順位だけでは成果を判断できません。社内だけの番組では、聴ける社員の数が再生数の上限です。たとえば社員50人の会社で、1回でも再生した社員が30人であれば、その回を聴いた社員の割合は60%と数えられます。

社内向けの番組を何で評価するかについては、社内配信が続かない会社に共通する3つの条件で詳しく記載しています。

自社の使い道を決める順序

聞く社内報を社内に提案する前に、次の3つを紙に書き出してみてください。

  1. 誰に聴いてもらいたいか
  2. その相手に、何を知ってもらいたいか
  3. その内容を社外の人が聴いても、取引や人事、機密の面で困らないか

3つ目の答えが「困る」であれば、一般公開は避けたほうが安全です。そのうえで、聴ける人を限った配信にするか、公開できる範囲に内容を絞るかを決めてください。話し手や頻度、尺の決め方については、社内音声配信を始める前に決める5つで詳しく記載しています。

次の記事では、社内報が読まれているのに組織が変わらない理由を、インナーブランディングの研究から確かめます。

自社で聞く社内報を始めたい場合は、アストライドの「社内ポッドキャストの導入と運用」をご覧ください。

まとめ

社内でポッドキャストと言うと、一般公開の番組だと受け止められやすい傾向があります。国内の調査では、利用するプラットフォームの1位がYouTube、2位がSpotifyでした。米国の調査では、12歳以上の58%が、直近1か月にポッドキャストを聴いた、または視聴したと答えています。

聴き手ごとに分けると、ポッドキャストの使い道は大きく4つに整理できます。この記事で見た例では、不特定の聴き手と採用の候補者に向けたものが一般公開の番組、取引先や顧客と社員に向けたものが聴ける人や再生できるサイトを限った配信でした。

聞く社内報は、このうち社員に向けた使い道です。聴ける人を限ると、話せる内容、新しい回の知らせ方、成果の見方の3つが、一般公開の番組とは違ってきます。

提案の前に、誰に聴いてもらうか、何を知ってもらうか、社外の人が聴いても困らないかの3つを書き出してください。3つ目の答えによって、一般公開にするか、聴ける人を限るか、公開できる範囲に内容を絞るかが決まります。

この記事からわかるQ&A

ポッドキャストは、一般公開の番組にしか使えませんか

ポッドキャストは、聴ける人を限った配信にも使えます。その仕組みの例が、米国の配信サービス Transistor の解説ページで紹介されている、聴く人ごとに専用のRSSフィードを発行する方式です。同じページは、使い道として社員向けの研修と、入社したばかりの社員への案内を挙げています。国内での呼び名は、「社内ラジオ」や「聞く社内報」などです。

国内で、社内向けに音声を使っている会社はありますか

オトバンクは2025年6月に、社内ラジオを導入した企業で、実際に社内ラジオを聴いたことがある社員144名を対象に調査を行いました。取り上げてほしいテーマでは、「経営陣の考えや今後の方針」が69%で2位でした。ただし対象はすでに聴いている社員に限られるため、これから始める会社が同じ水準の関心を見込む根拠にはなりません。

海外では、社内向けのポッドキャストはどう使われていますか

インドネシアの大規模な公的機関を調べた研究では、職員の学習にポッドキャストが使われていました。2026年に発表されたこの研究は、338人に質問紙で調査し、20人に面接を行っています。研究チームの報告では、職員は時間と場所を選ばずに聴ける点を評価し、とくに政策の理解を支える手段として捉えていました。米国の配信サービス Transistor は、使い道の1つに、CEOが全社員へ週1回届けるメッセージを挙げています。

公開の番組と社内だけの番組では、何が変わりますか

変わるのは、話せる内容、新しい回の知らせ方、成果の見方の3つです。あらかじめ聴ける範囲を決められれば、経営者は身構えずに、ありのままの声で思いを残せます。社内だけの番組では、聴ける社員の数が再生数の上限です。新しい回は、担当者が社内ポータルや朝礼、メールで知らせます。

聞く社内報を考える前に、何をすればよいですか

誰に聴いてもらいたいか、その相手に何を知ってもらいたいか、その内容を社外の人が聴いても困らないかの3つを、紙に書き出してください。3つ目の答えが「困る」であれば、一般公開は避けたうえで、聴ける人を限った配信と、公開できる範囲に内容を絞る方法のどちらかを選ぶ段階です。話し手や頻度など、始める前に決めておく5つの項目は「社内音声配信を始める前に決める5つ」にまとめています。

出典

  • オトナル・朝日新聞社「PODCAST REPORT IN JAPAN 第6回ポッドキャスト国内利用実態調査」2026年2月公表。全体調査は全国15〜69歳10,000人、ユーザー調査は人口構成比で抽出した日常的に聴く利用者800人。月間利用率18.2%、聴取プラットフォームの1位YouTube・2位Spotify、ユーザーの約7割が月1回以上ビデオポッドキャストを視聴 https://otonal.co.jp/podcast-report-in-japan06
  • Edison Research「The Infinite Dial 2026」2026年3月12日公表。2026年1月、米国の12歳以上2,050人への全国調査(約半数は SSRS Opinion Panel から確率抽出)。直近1か月にポッドキャストを聴いた・視聴した人58%(推計1億6,700万人)、直近1週間45% https://ssrs.com/insights/the-infinite-dial-2026/
  • 株式会社クラシコム「1200万回超再生の『北欧、暮らしの道具店』ポッドキャスト 約9割が満足度満点の『チャポンと行こう!』初の公開収録イベントレポート」2022年11月16日。番組開始2018年5月、1,200万回再生を突破、公開収録2022年10月30日 https://kurashi.com/news/13129
  • Sounds Profitable「The Power of Brands in Podcasts: A Podcast Landscape Study」2023年10月18日公表。18歳以上の米国人の40%が、好きなブランドや製品についての番組を「聴きそう」と回答。ブランドの番組を1つのジャンルとすれば関心の高さで上位3つに入ると位置づけ https://soundsprofitable.com/research/the-power-of-brands-in-podcasts/
  • メルカリ mercan「mercan.fm #78」2021年5月4日公開。メルカリグループの各ディビジョンで採用を行うメンバーが、「採用注力ポジション」や「働く魅力」を話す回 https://careers.mercari.com/mercan/articles/28294
  • アストライド「限定公開型ポッドキャスト配信サービス『KOEGURA(声蔵)』の提供を開始しました」2026年8月28日。みなりパートナーズ株式会社の試験導入(所属アーティストの紹介ページに本人が話す7分20秒の音声)、代表 内藤健司氏のコメント(掲載許諾取得済み) https://ast-ride.com/knowledge/15972/
  • 株式会社オトバンク「社内ラジオ利用調査レポート」2025年6月16〜19日実施、インターネット調査、社内ラジオ導入企業の社員で再生実績がある人 n=144。取り上げてほしいテーマは業界情報・ニュース81%/経営陣の考えや今後の方針69%/他部署の仕事紹介60% https://note.com/audiobook/n/n7ceb4756b808
  • Sediyaningsih, S., Hariyanto, I. T., Irmayati, I., & Adning, M. (2026). “Podcast-based learning and organizational communication in the public sector: a mixed-methods analysis.” Frontiers in Communication, 11. インドネシアの大規模な公的機関、調査338人・半構造化面接20人 https://doi.org/10.3389/fcomm.2026.1827936
  • Transistor「How to Create a Private Podcast in 2026」2025年2月5日付。聴く人ごとに専用のRSSフィードを発行。使い道として社員向けの継続的な音声研修、新入社員の受け入れ、全社員への週1回の CEO メッセージを紹介 https://transistor.fm/private-podcast/

この記事の著者

纐纈智英

纐纈智英アストライド-Astride- 代表

  • Facebook
  • Instagram
  • Threads
  • X
  • LinkedIn

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

30分の無料オンライン相談

何をつくるべきか、まだ決まっていなくても大丈夫です。

採用・広報・理念浸透に向けた映像やポッドキャストの活用方法を、30分の無料オンライン相談で一緒に整理します。

30分で課題を整理する(無料)

お問い合わせ

ご相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。

採用・広報・映像・ポッドキャストに関するお悩みを、まずはお気軽にお聞かせください。

お問い合わせ

ニュースレター

企業の「伝わる発信」を考えるニュースレター

ポッドキャストの更新情報、映像・音声・SNS運用の実践知を、定期的にお届けします。