HomePodcast Programガンジス川でスクロール#03 賄賂がなければ動かない国 ── インドビジネスの「見えないコスト」
ガンジス川でスクロール 2026.04.16 19分12秒

#03 賄賂がなければ動かない国 ── インドビジネスの「見えないコスト」

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

メインMC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

MC

今日のテーマは「インドビジネスにおける賄賂の現実」です。日本ではほぼ縁のない賄賂が、インドでは行政・警察・消防・調達のあらゆる現場に「呼吸するように」存在します。書類処理3000円、見逃し500円という日常から、コンテナ単位のキックバックまで──金額もエスカレートしていく。コンプライアンスと現実のはざまで線をどう引くか、駐在4年の内藤さんがインド経済の成長見通しも含めて語ります。

このエピソードで話していること

  • 日本のビジネスで賄賂に遭遇することはほぼゼロだが、インドでは「呼吸するように」存在する
  • イギリス植民地の文化的遺産──英語が話せる・メシがまずい・賄賂というセット
  • 悪いことをしている感覚がほぼない──文化として根づいた商慣習の現実
  • 行政窓口での賄賂:書類が処理されない→3,000〜5,000円の「課金」で順番が繰り上がる仕組み
  • パスポート発行のリードタイムが最短即日〜最悪半年──差を生むのは賄賂の有無
  • 警察の例:整備不良や飲酒運転でも500円渡せば見逃してもらえる──検問すら「お小遣い稼ぎ」
  • 消防署の抜き打ち訪問──チャイとクッキーと数千円で工場ストップを回避。給料の低い公務員の生活費補填という側面も
  • 初めて目撃した時の衝撃と「Yes, yes」という部下の反応
  • とある会計処理の事例:「For my son’s present」という名目で処理する会社が存在
  • エスカレートするリスク──味を占めると要求額がどんどん上がっていく
  • 調達現場での露骨な要求:1コンテナあたり何万円のキックバックをメールで堂々と要求される
  • 「うまくやれよ」と「完全ブラックはダメ」の間で線引きをする難しさ
  • インドの経済成長と日本の立場──10年後にはインドが雇用する側になる可能性
  • ダイバーシティの時代に他国の文化を理解し、身の振り方を知っておくことの重要性

こんな方におすすめ

  • インド進出を検討していて、現地の商慣習を事前に把握したい経営者
  • インド駐在・出張を控えていて、賄賂への具体的な対処法を知りたい方
  • 海外ビジネスにおけるコンプライアンスと現実のバランスに悩んでいる方
  • インドの経済成長と日本企業の関係性について考えたい方
  • 異文化ビジネスにおける「グレーゾーン」の判断基準を持ちたい方

このエピソードからわかるQ&A

インドの賄賂は具体的にどのくらいの金額ですか?

内藤さんによると、日常的な賄賂の金額は意外と少額です。行政窓口の書類処理で3,000〜5,000円程度、警察の見逃しで500円程度、消防署の訪問対応で2,000〜3,000円程度。ただし調達の現場では「1コンテナあたり何万円のキックバック」をメールで堂々と要求してくるケースもあり、エスカレートすると基本給を超えるような金額になることもあると語っています。

賄賂を断ったらどうなりますか?

内藤さんは「払わなくてもいつかは処理される」としながらも、行政では書類の処理順が後回しにされ続け、パスポート発行が半年かかるケースもあると説明しています。消防署の場合は、チャイと数千円で帰ってもらわなければ工場内に入られて「あそこがダメ、ここがダメ」と指摘され、最悪の場合は工場ストップになる可能性があるとのこと。「ワイロはダメだとなっちゃうと、そもそも成り立たないのがリアル」と語っています。

日本の法律との兼ね合いはどうなりますか?

エピソード内では、インドでの賄賂対応を日本の警察に指摘されたケースにも触れています。内藤さんは「グレーなものはグレーとして扱う」必要があり、日本としての会計処理を考えた上で身の振り方を決めるべきだと述べています。露骨にやれば当然捕まるリスクがあるため、こうした点も踏まえてインド進出を行うかの是非を社内で検討されては?と語っています。

要求のエスカレートを防ぐにはどうすればいいですか?

内藤さんは「味を占めると要求がどんどん上がる」と警告しています。最初は2,000〜3,000円だったのが、少しずつ増えていき気づいたら基本給を超える額になることも。「テレビ買ってくれ、車買ってくれ」と際限なくなる前に、会社としての基準を事前に決めておくことが必要です。また、賄賂があることで結果的にパフォーマンスも上がる点にも触れています。

「インドとは仕事しない」という選択肢はありですか?

内藤さんは「それも本当にいい判断だと思う」と認めた上で、インドが日本のGDPを超えて世界第3位になることが確実視される中、10年後にはインドが雇用する側になる可能性もあると指摘しています。インドと直接仕事をしなくても、NASAや外資のボードメンバーなどあらゆる場所にインドの方がいる時代。日本のルールが世界標準ではないことを前提に、異文化の商慣習をどう受け入れるかを考えておく必要があると結論づけています。

メインMC

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

https://minari-partners.co.jp/

アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。

MC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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