HomePodcast Programガンジス川でスクロール#04 インド人が言う「Win-Win」を信じてはいけない ── 契約書はラブレター、離婚条件まで書く国
ガンジス川でスクロール 2026.04.23 21分13秒

#04 インド人が言う「Win-Win」を信じてはいけない ── 契約書はラブレター、離婚条件まで書く国

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

メインMC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

MC

今日のテーマは「インド人との契約のリアル」です。「契約書はラブレター」──うまくいっている今だからこそ、離婚条件までしっかり書いておくのがインド流。裁判所の準拠地、支払い条件、契約解除条件の3点は譲ってはいけないという実務県の説明から、役職にこだわるインド人社員のマネジメント、量産直前の値上げ交渉への対処まで、インド駐在4年の内藤さんが契約・交渉のリアルを語ります。

このエピソードで話していること

  • ハンコ文化の日本と細かい契約文化のインド──契約書への向き合い方がまるで違う
  • 「契約書はラブレター」──一緒にやっていくためのエンゲージメント
  • 日本の契約書は発注者有利で受注者が訴えられない構造になりがち
  • フェアな契約は「双方に」という書き出しから始まる
  • 海外取引で最も見落とされる「裁判所の準拠地」──日本と書いていますか?
  • 支払い遅延の延滞利息、契約解除条件──書いていないと守られない
  • インドは役職へのこだわりが極めて強い──給料より昇格、タイトルで人生が決まる
  • 転職文化が前提だから、前職のタイトルが次のサラリーレンジを決める
  • インド人のギブ&テイクは明確──もらったら返す、なければ返さない
  • 日本の「無償で助ける」文化とは違う、実利ベースのウィンウィン
  • 量産直前の値上げ交渉──足元を見られないための相見積もり運用
  • フランスの結婚観に近い契約観──離婚条件を決めておくのが愛情
  • 譲ってはいけない3点:裁判所、支払条件、解除条件
  • 来週は「調達という仕事の重要性」──アイシン・KPMGの現場経験から

こんな方におすすめ

  • インドとの契約・取引をこれから本格化させたい経営者
  • 海外企業との契約書レビューに不安がある方
  • インド人スタッフのマネジメントや評価制度に悩んでいる方
  • サプライチェーン・調達交渉の基礎を学びたい方
  • 国際契約の「譲れないポイント」を押さえておきたい方

このエピソードからわかるQ&A

「契約書はラブレター」とはどういう意味ですか?

内藤さんは「これから一緒に結婚しましょう、というエンゲージメントが契約書だ」と語っています。うまくいっている時の利益配分だけでなく、うまくいかなかった時にどう"離婚"するかまでしっかり決めておくのが、お互いを守る本当の愛情。インドではこれを徹底するのが当たり前で、「今が盛り上がっている時にしかできない話」だからこそ契約段階で書き切るのだと強調されています。

インドとの契約で絶対に譲ってはいけないポイントは何ですか?

内藤さんが挙げたのは3点。①裁判所の準拠地──海外で裁判になると日本人にはほぼ勝ち目がないため、どちらの国でもできる形にするのが基本線。②支払い条件──キャッシュは命綱なので、自分たちが不利にならない条件交渉が不可欠。③契約解除条件──どういう条件で離婚できるかを明確にしておかないと、関係悪化時に「お前が来い」の不毛なやり取りで互いが身動きできなくなると語られています。

インド人はなぜそんなに役職(タイトル)にこだわるのですか?

内藤さんによると、インドは転職文化が前提のため、前職のタイトルが次の会社でのサラリーレンジを決めるからです。つまり金額より役職が先に付いてきて、金額はその後。現場でも「給料変わらなくていいから役職だけ上げてくれ」という声があるほど。マネジメント側は給料改定ではなくタイトル昇格を明確な目標として提示することで、相手のモチベーションとコミットを引き出せます。

インドの「ギブ&テイク」は日本とどう違うのですか?

内藤さんは「日本は無償で助けてもなんとなくでしか返ってこないが、インドはもらったら絶対返す、もらえなければ返さない」と語ります。ドライと言えばドライですが、分かりやすい。だからウィンウィンを作るには、まずこちらから与える→相手がギフトを感じる→相手が返してくれる、というステップが明確に存在する。定性的な友情ではなく、実利ベースで積み上がるのがインド流です。

量産直前に値上げを要求されるという話は本当ですか?

本当にあると内藤さんは証言します。金型も作り、材料も買い、あと1ヶ月で量産というタイミングで「この金額にしなければ生産しない」と足元を見てくる──これはインドに限らずよくある交渉戦術。対策として、相見積もり禁止ではなく期限内の相見積もりを許可する、理屈に合わない値上げは分面上認めないよう契約条項で先に定めておく、外部要因による価格変動は上下どちらも反映する、といった運用が有効だと紹介されています。

メインMC

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

https://minari-partners.co.jp/

アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。

MC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

ポッドキャスト番組一覧

knowledge / ナレッジ

私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。