HomePodcast Programガンジス川でスクロール#02 「ぶっ○すぞ」を訳せますか ── インドビジネスで通訳に必要な胆力
ガンジス川でスクロール 2026.04.09 24分37秒

#02 「ぶっ○すぞ」を訳せますか ── インドビジネスで通訳に必要な胆力

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

メインMC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

MC

今日のテーマは「インドビジネスにおける通訳の胆力」です。 「ぶっ殺すぞ」と社長が怒鳴っているのに、通訳が「もし良ければ」と訳してしまう──インドとの交渉現場ではこうしたコミュニケーションの断絶が日常的に起きています。インド駐在4年の内藤さんが、交渉を壊す”丁寧すぎる通訳”の実態と、通訳選びで本当に見るべきポイントを語ります。カースト制度が名前に残る現実や、契約書を目の前で破られたエピソードなど、現場でしか得られないリアルな話が満載です。

このエピソードで話していること

  • 内藤さんの性格──「スーパーポジティブ」でなければインド駐在4年は乗り切れなかった
  • 契約書を目の前でビリビリに破る社長──副社長と合意しても、トップがひっくり返すインドの企業文化
  • カースト制度は公式には廃止されたが、名前や就職枠に今も色濃く残っている
  • 名字がない社員に「名字は?」と聞いた大失敗──知らなかったでは済まないモラルの地雷
  • 通訳に必要なのはTOEICの点数ではなく、社長の怒りをそのまま伝えられる「胆力」
  • 「ぶっ殺すぞ」を「もし良ければ」と訳す通訳──丁寧すぎる翻訳が交渉を完全に破壊する
  • 「difficult」と言えば「じゃあやれ」──「できない」を「難しい」と訳すだけで意味が変わる
  • 言葉だけでなく怒りの熱量と表情まで再現できなければ、通訳としては機能しない
  • 「お前」呼びのインド人通訳ゴルちゃん──生意気だが社長の意思を正確に伝える最強の存在
  • インド英語×タイ英語が通じない現場で、ジャングリッシュの内藤さんが橋渡し役に
  • 日本の「とはいえ契約外のこともやってあげる」文化は、インドでは一切通用しない
  • インドではプレゼン資料の文字量が多いほど信頼される──日本と真逆の資料文化
  • 通訳の面接で「俺を罵倒しろ」──胆力を見極めるための究極のフィルター

こんな方におすすめ

  • インドとの商談・交渉を控えており、通訳の選び方に不安がある方
  • 海外ビジネスで通訳を介したコミュニケーションがうまくいかないと感じている方
  • インドのカースト制度や名前の文化について実務レベルで知っておきたい方
  • 日本式の「察する文化」や契約の曖昧さが海外で通じず困った経験がある経営者
  • インド駐在・出張を控え、現場のリアルな失敗談から事前に学びたい方

このエピソードからわかるQ&A

通訳に「胆力」が必要というのはどういう意味ですか?

内藤さんによると、インドとの交渉では社長同士が激しい言葉で衝突する場面が日常的にあります。その際、通訳が「ぶっ殺すぞ」という発言を「もし良ければ」と丁寧に訳してしまうと、相手は「嫌だ」と断ってしまい、交渉が成立しません。言葉の意味だけでなく、怒りの熱量や表情まで再現して伝えられる度胸──それが「胆力」です。TOEICの点数より、社長の気持ちを代弁できるかどうかが重要だと語っています。

インドでは契約書を目の前で破られることがあるのですか?

内藤さんが実際に経験した話として、副社長と何度も打ち合わせを重ねて作成した契約書を、最終承認の場で社長が「俺は認めない」と言ってビリビリに破いたエピソードが紹介されています。インドでは副社長がOKでも社長が覆すケースがあり、最初からトップを交渉の場に出すべきだったという教訓を語っています。

カースト制度はもうなくなったのではないですか?名前との関係は?

公式にはカーストは廃止されていますが、内藤さんによると実際には名前でカーストがわかる場合が多いそうです。たとえばシャルマさんは最上位のバラモン、シンさんやクマールさんも比較的上位のカースト。一方で名字がない人もおり、それは比較的下の出身であることを示します。内藤さんは知らずに「名字は?」と聞いてしまい、相手のコンプレックスを踏んでしまったという大失敗を語っています。

通訳を面接するとき、胆力があるかどうかをどう見極めればいいですか?

エピソード内で半ば冗談交じりに提案されたのが、面接の場で「今、俺を罵倒してくれ」と通訳候補に依頼するという方法です。社長を目の前にして「このハゲ」と言えるような人は、インド人相手でもちゃんと強い言葉を伝えられるだろうと内藤さんは語っています。極端な例ですが、何かしらの方法で胆力を見ないと、英語を話せない依頼者には通訳が何と訳しているかわからないという本質的な問題があります。

「difficult」と言うとなぜ問題になるのですか?

内藤さんによると、交渉の場で「できません」と伝えたいのに通訳が「difficult(難しい)」と訳すと、相手は「難しいだけでできないわけではない。じゃあやれ」と返してきます。「できない」と「難しい」は英語でも意味が違うのに、日本人通訳は遠慮して「difficult」と言いがちです。結果として、断っているのに受け入れたことにされてしまい、コミュニケーションが噛み合わなくなるという問題が繰り返されると説明しています。

メインMC

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

https://minari-partners.co.jp/

アイシン(旧アイシン精機)で12年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。

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纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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