HomePodcast Programガンジス川でスクロール#11 JVで2億円が消えた話 ── 撤退基準と契約のつくり方
ガンジス川でスクロール 2026.06.11 21分56秒

#11 JVで2億円が消えた話 ── 撤退基準と契約のつくり方

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

メインMC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

MC

今日のテーマは「JVで2億円が消えた話──撤退基準と契約のつくり方」です。前回はインド進出の4形態(独資・M&A・JV・TA)の概要回でしたが、今回はいよいよ「大失敗回」。内藤さんがバイヤー時代に橋渡し役として関わったジョイントベンチャーで、立ち上げに投じた2億円がそのまま消えた実話を取り上げます。期待した発注量に届かず、固定費だけがかさんで合弁解消(「離婚」)に至った原因と、解消条項がインド優位すぎたという二つの大きな失敗。日本のなあなあ契約とインドのグローバル標準の契約文化のギャップ、そして「撤退基準を事前に決める」「インドに強い弁護士を入れる」という具体的な教訓まで。「日本が常に上に立ち続ける」前提を捨てる視点を、内藤さんが赤裸々に語ります。

このエピソードで話していること

  • 前回は進出形態(独資・M&A・JV・TA)の概要回、今回はいよいよ「大失敗回」
  • 内藤さんがバイヤー時代に橋渡しした2億円のJV失敗の話
  • JV立ち上げに投じた2億円+駐在・出張の時間が、結果的に何も残らなかった
  • 製造業のJV:日本の技術と発注力を、インド側の設備・人材に組み合わせる構想
  • 期待した発注量が出ず、固定費だけがかさんで合弁解消(「離婚」)に至った
  • 当時はバイヤーの立場で、JV側の契約書中身まで踏み込めなかった
  • 失敗の正体は「解消そのもの」と「解消条件がインド優位すぎた」の2点
  • 日本は契約をなあなあで進める文化、インドはグローバル標準の契約文化
  • 通訳を介したコミュニケーションも、思いが伝わりきらない壁になった
  • 教訓①:時期・金額・人など「撤退基準」を事前に決めておく
  • 教訓②:解消条項までインドに強い弁護士に見てもらう
  • 自社外の会社が成功するための視点(経営コンサル的な視野)が欠けていた
  • インドはターゲットプライス文化、日本の見積もり感覚では受注に届かない構造
  • 9年後にはインドのレベルは上がり、「日本側いらない」となるリスクも現実的
  • 「日本が常に上に立ち続ける」前提を捨て、相手のアドバンテージを尊重する姿勢へ

こんな方におすすめ

  • インドでJVや合弁を検討している経営者
  • 海外進出で「失敗の構造」を先に知っておきたい方
  • 製造業の調達・サプライチェーン担当者
  • 海外企業との契約書づくりに不安がある経営者
  • インド市場の長期動向を踏まえて戦略を立てたい方

このエピソードからわかるQ&A

内藤さんが経験した2億円のJV失敗とは、どんな案件でしたか?

日本の製造業企業とインドの会社で立ち上げた合弁会社の話です。日本側の技術と発注、インド側の設備・人材を組み合わせれば回るはずでしたが、想定していた発注量が出ず、固定費だけがかさんで合弁解消に至りました。立ち上げに突っ込んだ2億円に加え、出張・駐在の時間も含めると損失はさらに大きくなりました。

なぜJVを「離婚」できなかったのですか?

契約書のうち「うまくいかなかった時にどうするか」という条項がインド側に圧倒的に有利だったためです。日本は契約をなあなあで進める文化が残っていますが、インドはグローバル標準で「契約に書いてあること」が判断基準になります。揉めながら長期間続き、最終的に円満とは言いがたい解消になりました。

同じ失敗を避けるには、何を準備しておくべきですか?

まず「撤退基準」を事前に決めておくことです。期間・累積損失額・人員などを基準に「ここまでなら撤退する」というラインを引いておく。さらに、解消条項を含めて契約書はインドに強い弁護士に見てもらう。日本側の常識で進めず、契約文化に合わせた準備をすることが鍵だと内藤さんは語ります。

JV成立後、当事者として何を意識すべきでしたか?

「自分の会社」以外の視点を持つことです。当時の内藤さんはバイヤーの立場で「自社の発注をどう乗せるか」が中心でしたが、JVが本当に成功するためには「相手企業が新規受注を取れるかどうか」まで踏み込む必要がありました。経営コンサル的な視点で、相手会社のポートフォリオやインド側のターゲットプライス事情まで見る視野が欠けていたといいます。

インドとのJVを今後考えるうえで、もっとも大事な前提は何ですか?

「日本がインドの上に立ち続けることはない」と認めることです。インドの技術力・経営力は着実に上がっており、9年後には「日本側はいらない」となるリスクも現実的です。だからこそ、契約で長期の関わり方を担保しつつ、相手のアドバンテージ(市場・人材)を尊重する。ある意味で「インドにごますりをする」気持ちで関わる方が、結果的にうまくいくと内藤さんは語ります。

メインMC

内藤健司

みなりパートナーズ株式会社 代表取締役

https://minari-partners.co.jp/

アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。

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纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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