#29 インドでは、給与明細が翌日には同僚に知られている ── 白井紀充さんゲスト③
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内藤健司
メインMC
纐纈智英
MC
白井紀充
ゲスト
TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの3回目です。インドに4年駐在した内藤健司さんが現地で悩まされたのは、年に1回は起きるストライキでした。白井さんは、労働者の保護が厚いインドの労働法の仕組み、2025年11月に施行された新しい労働法典、中央政府と州の役割分担を説明します。給与明細がすぐ同僚に共有されるインドで、労務のトラブルを防ぐ考え方も聞きました。
このエピソードで話していること
- 内藤さんの駐在中、インドではストライキが多く、電車も港も会社も止まった。年に1回は決まって起きる感覚で、前もって「明日から止める」と告げられるため対応はできたものの、内藤さんは調達の担当として別の輸送ルートを探すのに追われた。ストライキがその後どう決着したのかは気にしてこなかったと内藤さんは振り返り、調達の側がしかるべき金額で買っていれば防げた可能性もあると話す
- 白井さんによると、インドでは給料が年に10%ほど上がることもあり、周りとの差が見えやすい。もともと労働者の保護が厚く、権利意識も強い国で、ものによっては政党色の強い一派が入ってトラブルが大きくなる。ストライキはあるものとして平時から備える点は、災害への備えと同じ。会社側で労務を担う白井さんは、不満は小さなきっかけから溜まって最後に爆発するので、日ごろの対話で予防するのが大切だと話す
- インドはもともと労働者を守る法律の数がとても多く、守るためのコストが大きかった。29本の中央労働法は4つの労働法典にまとめられ、2025年11月に施行された。工場で働くブルーカラーと、事務職などのホワイトカラーとでは適用されるルールが大きく違う。ブルーカラーは解雇がほぼできず、紛争になると専用の機関で会社側が勝つのは難しい。ホワイトカラーは、契約で定めておけば欧米のように解雇できる
- 労働法は、中央政府も州も決められる分野にあたる。中央の法律に州が上乗せや緩和を加えられるため、州のルールとあわせて見る必要がある。お酒の税金のように州が決める分野もあり、州によって大きく違う。ラジャスタン州のニムラナとハリヤナ州のマネサールは車で行き来できる距離でも、適用される州法が違う。白井さんは、GSTの導入で州境のトラックの行列が減ったように、モディ政権は制度をシンプルにする方向で改正を進めていると話す
- インドでは、もらった給与明細を翌日にはほぼ全員が見せ合い、少しでも金額が違えば理由を問われる。評価やボーナスの査定には客観的な基準を設け、説明できる差なら堂々とつければよいと白井さんは言う。インドの人は要求を遠慮なく口にし、断られても簡単にはへこまない。日本的な繊細さを持ちながら、ある種の図々しさを身につけられたら国際社会で強いとして、白井さんは若手の研修先にインドを勧める
こんな方におすすめ
- インドに拠点や工場を持ち、労務やストライキへの備えを考えている
- インドの新しい労働法典が、自社にどう関わるか知りたい
- インドで拠点を置く州を検討している
- インドの社員の評価や給与の決め方に悩んでいる
- 若手社員を海外で鍛える研修先を探している
このエピソードからわかるQ&A
インドでは、ストライキはどのくらい起きるのですか?
インドに4年駐在した内藤健司さんの感覚では、年に1回は決まって起き、電車も港も会社も止まりました。前もって「明日から止める」と告げられるため対応はできたものの、内藤さんは別の輸送ルートを探すのに追われたそうです。白井紀充さんは、ストライキはあるものとして平時から備えるよう勧めています。
インドの新しい労働法典とは何ですか?
インド政府は、29本の中央労働法を、賃金、労使関係、社会保障、労働安全衛生の4つの労働法典にまとめ、2025年11月21日に施行しました。白井さんによると、インドはもともと労働者を守る法律の数がとても多く、企業が守るためのコストが大きかったので、この再編で企業の負担は軽くなる方向にあります。
ブルーカラーとホワイトカラーで、何が違うのですか?
工場で働くブルーカラーは解雇がほぼできず、紛争になると専用の機関で会社側が勝つのは難しいと白井さんは話します。一方で事務職などのホワイトカラーについては、契約で定めておけば、欧米のような解雇も認められる仕組みです。この区別は、新しい労働法典でも残りました。
インドの労働法は、州によって違うのですか?
労働法は中央政府も州も決められる分野で、中央の法律に州が上乗せや緩和を加えられます。そのため企業は、拠点を置く州のルールとあわせて確かめる必要があり、白井さんは、ラジャスタン州のニムラナとハリヤナ州のマネサールは車で行き来できる距離でも、適用される州法が違うと説明しました。
インドの社員の給与や評価で、気をつけることは何ですか?
白井さんによると、インドでは給与明細を翌日にはほぼ全員が見せ合い、少しでも金額が違えば理由を問われます。評価やボーナスの査定には客観的な基準を設け、説明できる差であれば堂々とつけてよいと白井さんは話しました。
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ゲスト
白井紀充
TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士
https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html
愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。
帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。
インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。
プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。
メインMC
内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
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纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。
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私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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