#28 判決には何年もかかり、差し押さえは数日で出る ── 白井紀充さんゲスト②
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内藤健司
メインMC
纐纈智英
MC
白井紀充
ゲスト
TMI総合法律事務所の白井紀充弁護士をお迎えする5回シリーズの2回目です。白井さんは2014年から2017年まで、ムンバイに1年、デリー・グルガオンに2年弱駐在し、現地で日系企業を支えてきました。インドの裁判は日本と同じ三審制ですが、弁護士が法廷で弁論に時間をかけるため、一つの裁判が何年も続きます。一方で、裁判所が財産の差し押さえを数日で認めることもあるそうです。インドで契約と訴訟に向き合うときの心構えを聞きました。
このエピソードで話していること
- インドでは外国の法律事務所が参入できないため、白井さんはコンサルタントの肩書きで現地の法律事務所と会計事務所に席を置いた。扱った案件は、訴訟大国ならではの紛争や契約トラブル、労働者に手厚い法律にまつわる労務、当局が積極的な税務、事業に必要な許認可など。いまは所属する事務所の約600人の弁護士と分野ごとにチームを組み、インドに関わる相談の窓口を務めている
- 白井さんの感覚では、ミャンマーあたりから西の国々は契約の考え方が欧米に近く、契約書は分厚く、定義も細かい。東南アジアから異動してインドへ赴任する人は、ここで意識を切り替える必要がある。インドで初めて自分の目で契約書を確かめて交わした内藤健司さんは、日本に戻ってから「契約、契約とうるさい」と言われるようになった
- インドは大国で、人々のプライドも高い。日本から来た側が相手を下に見ると信頼関係が築けず、それがうまくいかない原因になることが多いと白井さんは見る。議論では対等にぶつかり合い、時間をかけて信頼を築けば最高のパートナーになり、世界に広がる印僑のネットワークにも入っていける。内藤さんも、日本の側からインドの人へ敬意を持って接してほしいと話す
- 裁判は地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所の三審制で、日本と似ている。違うのは口頭弁論のあり方で、日本では書面のやり取りで済ませる部分を、インドでは弁護士が裁判官の前で実際に戦わせる。白井さんが弁護士になりたてのころに始まった裁判が、まだ続いている例もある。高等裁判所より上の判断は公正で、賄賂が通ることは基本的にない。1回で決着する国内の仲裁も増え、信頼性が上がってきた
- 判決には時間がかかる一方、財産の差し押さえなど仮の救済は2、3日で出ることもあり、まず財産を押さえてから交渉する方法が使える。大事な訴訟では、法廷での弁論を専門にするシニア・アドボケイトを立てることになり、費用は1回あたり数十万円から100万円を超えることもある。現地の苦労が本社に伝わらない「OKY(お前が来てやってみろ)」を防ぐため、内藤さんは本社の側にも研修が要ると話す
こんな方におすすめ
- インドへの赴任や出張を控え、現地の契約や訴訟の実情を知りたい
- インドの取引先と、契約を交わす予定がある
- インド子会社のトラブル対応で、本社と現地の認識をそろえたい
- 海外の裁判制度の違いに関心がある
- インドの人と信頼関係を築く方法を知りたい
このエピソードからわかるQ&A
白井紀充さんは、インドでどんな仕事をしていたのですか?
白井さんは2014年から2017年まで、ムンバイに1年、デリー・グルガオンに2年弱駐在しました。インドでは外国の法律事務所が参入できないため、当時の肩書きはコンサルタントで、現地の法律事務所と会計事務所に席を置いて日系企業を支えていたそうです。扱ったのは、紛争や契約トラブル、労務、税務、許認可などの相談でした。
インドの契約は、日本とどう違いますか?
白井さんの感覚では、ミャンマーあたりから西の国々は契約の考え方が欧米に近く、契約書が分厚く、定義も細かいのが特徴です。東南アジアから異動してインドへ赴任する人は、ここで意識を切り替える必要があると白井さんは話します。内藤健司さんも、インドで初めて自分で契約書を確かめて交わした経験を語りました。
インドの裁判は、なぜ長くかかるのですか?
インドの裁判は日本と同じ三審制で、違うのは口頭弁論のあり方です。日本では書面のやり取りで済ませる部分を、インドでは弁護士が裁判官の前で実際に弁論するため、一つの裁判が何年も続きます。白井さんが弁護士になりたてのころに始まった裁判が、まだ続いている例もあるそうです。
裁判が長いなら、どう対応すればよいですか?
白井さんが挙げたのは、仮の救済を使う方法です。財産の差し押さえは2、3日で認められることもあり、まず財産を押さえてから交渉に入れます。高等裁判所より上の判断は公正で、1回で決着する国内の仲裁も増えてきました。戦うべき案件と早めに和解すべき案件を見極める紛争マネジメントが大切だと白井さんは話します。
インドで訴訟をすると、弁護士費用はどれくらいかかりますか?
大事な訴訟で相手が法廷での弁論を専門にするシニア・アドボケイトを立ててきたら、こちらも同じくらいの経験を持つ弁護士を立てる必要があります。白井さんによると、その費用は1回あたり数十万円からで、高い方では100万円を超えるそうです。インドの弁護士のタイムチャージは日本とほぼ同じか、むしろ高いくらいだと白井さんは話しました。
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ゲスト
白井紀充
TMI総合法律事務所 名古屋オフィス パートナー弁護士
https://www.tmi.gr.jp/people/n-shirai.html
愛知県出身。英国セント・アンドリュース大学、慶應義塾大学法科大学院を卒業後、パナソニック株式会社での勤務を経て弁護士に。2014年から約3年間インドに駐在し、ムンバイやグルガオンの法律事務所・会計事務所で勤務。インドの法律だけでなく、現地のビジネスや文化、人々の考え方を肌で学んだ。
帰国後も一貫してインドに関わり、日系企業のインド進出から、M&A・合弁(JV)、労務、コンプライアンス、紛争解決まで、幅広いインド法務を手掛ける。現在はTMI総合法律事務所名古屋オフィスを拠点に、頻繁にインドへ足を運びながら、日本とインド双方の視点を持つ弁護士として、日印ビジネスのさらなる発展のため奔走している。
インドとの付き合いは10年以上。「法律」だけでは語れないインドビジネスの面白さや難しさ、そして急速に変化するインドの今を、現場で見続けてきた一人でもある。
プライベートでは、英語落語にも挑戦中。ビジネスだけでなく、笑いを通じても日本とインドをつなぐ「日印の架け橋」を目指して活動している。
メインMC
内藤健司
みなりパートナーズ株式会社 代表取締役
https://minari-partners.co.jp/
アイシン(旧アイシン精機)で13年間、製造業の調達業務に従事。うちインド駐在4年を含む現場経験を持つ。その後KPMGコンサルティングでシニアマネージャーとして5年間を経て、2025年に独立。現在はサプライチェーン戦略・調達コスト削減・インド北部における業務支援を専門とする。インド企業・インド人との直接的なパイプを持ち、日本人ネットワーク経由ではない現場のリアルを知り尽くした実践者。美術学生サポート財団 理事長。著書に『それでもWin-Winなコンサル転職』。
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纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。
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私たちアストライドは、経営者のインタビュー映像の制作に圧倒的な強みを持っています。
課題や要件が明確でなくても問題ございませんので、お気軽にご相談ください。
アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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