#26 その写真、嘘くさくないですか? ── 作為と事実の境界線
的場仁利
Mat N. Studio代表
メインMC
纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
MC
今日のテーマは「その写真、嘘くさくないですか?──作為と事実の境界線」です。ウェブやパンフレットで写真を使わない企業はほとんどありません。そして写真ほど、経営者の「誠実さ」がダイレクトに伝わってしまうメディアもない、と的場さんは言います。肖像画の代わりから真実の記録(報道写真)へ、さらに思想を伝えるものへ──写真の歴史をたどりながら、そこに必ず入る「作為」をどう扱うかを掘り下げます。肌を補正しすぎて「嘘くさく」なる罠、空の記憶色、町工場の現場写真をどう整えるか、萬古焼の品評やサルバドール・ダリ、国宝絵巻の色再現まで。「作為がバレた瞬間ダメ」という基準を軸に、「作為」と「事実」の境界線をどこに引くかを考える回です。
このエピソードで話していること
- 前回予告どおり今回は「写真」編。歴史・文化の文脈から読み解く
- パソコンでデザインする今、ウェブやパンフレットで写真を使わない企業はほぼない
- 写真ほど、経営者の「誠実さ」がダイレクトに伝わってしまうメディアはない
- 写真の歴史:肖像画の代わり → 真実の記録(報道写真)→ 独自の役割へ
- 写真には必ず撮り手の「作為」が入る。レタッチもその作為の一つ
- 肌をツルツルに補正しすぎると一見格好良くても「嘘くさい」と逆効果に。リアリズムにはざらついた質感が似合う
- 写真は「真実を写すもの」から「思想・考え方を伝えるもの」へ進化してきた
- 写真は一番先に目に飛び込む。だからこそ内容に合っているか・信用できるかに直結する
- 「作為がバレた瞬間ダメ」。作為を作為と見せないのが技術であり視点(的場さんの和欧混植の例)
- プロの現場の実例:腕の毛やシミの補正、空の「記憶色」(実際より青く見せる)
- 業種・媒体ごとに越えてはいけない「一線」がある(テレビの演出とやらせの違い)
- 町工場の雑然とした現場写真は、補正・掃除して整える判断もあり(それも作為と言える)
- 萬古焼など陶芸の品評会では「作為が入りすぎ」がマイナス評価になる、という視点
- サルバドール・ダリの空中写真、国宝絵巻の色再現──「作為=悪」と一概には言えない事例
こんな方におすすめ
- ウェブやパンフレットの写真を「なんとなく」で選んでいる経営者
- 自社の写真が「嘘くさい」と言われないか不安な方
- レタッチや補正をどこまでやってよいのか迷う方
- 自社の現場や社員の写真をどう見せるか考えたい方
- 「作為」と「誠実さ」のバランスを掴みたい方
このエピソードからわかるQ&A
なぜ写真は「経営者の誠実さ」が伝わるメディアなのですか?
写真は紙面やウェブで一番先に目に飛び込むメディアだからです。文字より早く、本能に直接訴えかけます。そのぶん「内容に合っているか」「信用できるか」がダイレクトに判断され、過度な演出や実物とかけ離れた加工は「嘘くさい」と受け取られてしまいます。どんな写真を選び、どう見せるかに、その会社の誠実さが現れます。
レタッチ(補正)はしてはいけないのですか?
いいえ、レタッチそのものは問題ではありません。プロの現場でも、腕の毛やシミを補正したり、空を「記憶色」として実際より青く見せたりと、必ず何らかの作為が入っています。大切なのは度合いです。肌をツルツルにしすぎて実物とかけ離れると逆効果になりますし、リアリズムを伝えたい場面ではあえてざらついた質感を残す方が似合います。
「作為」と「嘘」の境界線はどこにありますか?
的場さんの考えでは「作為がバレた瞬間にダメ」になります。逆に言えば、作為を作為と感じさせず、自然なものとして受け取ってもらえる状態が理想です。的場さん自身の和欧混植も「どこを組み合わせたの?」と気づかれないことが大成功だといいます。業種や媒体ごとに越えてはいけない「一線」があり、テレビの演出とやらせの違いのように、許容される範囲は変わります。
自社の現場や工場の写真が「映えない」場合はどうすれば?
雑然とした町工場のような現場でも、補正や「掃除をして整える」ことで掲載できる状態にできます。それも一種の作為ですが、盛りすぎなければ問題ありません。ありのままが必ずしも正解ではなく、伝えたい印象に合わせて、どこまで整えるかをチームで共有しておくことが大切です。
「作為は絶対ダメ」という意見についてどう考えればいいですか?
大御所のアーティストが「作為は入れてはいけない」と語ることがありますが、それを初心者がそのまま鵜呑みにすると前に進めなくなります。実際には、一枚の作品の裏に大量の没作品が隠れているように、創作全体としては必ず作為が入っています。萬古焼の品評で「作為が入りすぎ」がマイナスになる一方、サルバドール・ダリは構図を大胆に変えて何枚も撮り一枚に行き着く。国宝絵巻の色再現も、ニュートラルにするか黄ばみを活かすかでディレクターの意図が分かれます。「作為=悪」と一概には言えないのです。
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メインMC
的場仁利
Mat N. Studio代表
https://japan-designers.jp/profile/1453/
タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。
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纐纈智英
アストライド-Astride- 代表
「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。
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アストライドは、代表・纐纈が200社以上の経営者インタビューで培ってきたノウハウと対話力を軸に、BtoBマーケティングの視点からクライアント様それぞれのステージに合わせた各種クリエイティブをご提案・制作します。

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