HomePodcast Programデザイン審美眼#32 「デザイン費一式」の中身、聞いていいですか? ── 見積書を工程に分解して読む
デザイン審美眼 2026.08.06 19分40秒

#32 「デザイン費一式」の中身、聞いていいですか? ── 見積書を工程に分解して読む

的場仁利

メインMC

纐纈智英

MC

今日のテーマは「見積書のブラックボックスを解体する」です。第3部「契約と価格の審美眼」の2回目。デザイン会社や広告代理店、工務店から届く「デザイン費一式 ○○万円」。経営者がいちばん不透明に感じるこの一行を、的場さんは「デザインは目的を達成するために計画された工程だから、工程に分解して書くべきだ」と説きます。宣伝会議のアドメニュー、JAGDAのデザイン料金表という2つの公開基準を手掛かりに、リーフレット1件の内訳と、そこに必ず「企画」が入る理由を読み解きます。

このエピソードで話していること

  • 「デザイン費一式」は経営者がいちばん不透明に感じる一行。デザインを経営のインフラと考えるなら、内訳を分解して評価したほうがいい。工務店やシステム開発の見積書でも同じことが起きている
  • デザインは目的を達成するために計画された工程。リサーチ・コンセプト設計・企画・レイアウト・試作・レギュレーション(マニュアル)が項目として並んでいるかを見渡すことが、見積書の正当性を測る目になる
  • 料金の公開基準は2つある。宣伝会議の『広告制作料金基準表(アドメニュー)』(1万円ほどの書籍)と、JAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイン協会)のデザイン料金表。後者はWebで無料公開されていて特におすすめ
  • 発行部数1,000枚のリーフレットの例は、クリエイティブディレクション3万円+デザイン3万円+コピー3万円+ラフ2万円+カンプ2万円+フィニッシュ1万円で計14万円(印刷費・写真・イラストは別)。しかもこの基準は30年変わっていない
  • 企画(クリエイティブディレクション)はデザインと同額で必ず必要。企画も撮影もコピーもひとりで担う人こそ項目を立てるべき。「なんでも3案」という慣習への疑問や、有効期限1ヶ月を書いておく実務まで

こんな方におすすめ

  • デザイン会社の見積書が「一式」で、中身が分からず不安な経営者
  • デザインの適正価格や相場の根拠を、公開されている基準で確かめたい
  • 自分の見積書の項目立てと金額設定に迷っているデザイナー・制作者
  • ラフ・カンプ・フィニッシュの違いを整理したい
  • 「3案出す」ことが本当に必要なのかを考え直したい

このエピソードからわかるQ&A

デザイン審美眼 #32のテーマは何ですか?

「デザイン費一式」と書かれた見積書を、工程に分解して読む方法がテーマです。第3部「契約と価格の審美眼」の2回目として、デザインの見積書にどんな項目が並ぶべきか、公開されている料金基準をどう手掛かりにするかを扱っています。

なぜ「一式」ではなく項目に分けたほうがいいのですか?

デザインは目的を達成するために計画された工程であり、その工程に対して対価をいただくものだからです。リサーチ・コンセプト設計・企画・レイアウト・試作・レギュレーション作成といった項目が並んでいれば、何にいくら払っているのかが分かり、交渉の寄り所にもなります。

デザインの料金相場を確かめられる資料はありますか?

2つあります。ひとつは宣伝会議が出している『広告制作料金基準表(アドメニュー)』で、1万円ほどの書籍です。もうひとつはJAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイン協会)のデザイン料金表で、以前は書籍でしたが現在はWebで無料公開されています。

リーフレット1件のデザイン費は、どのくらいが基準ですか?

JAGDAの料金表では、発行部数1,000枚程度のリーフレットで、クリエイティブディレクション3万円、デザイン3万円、コピー3万円、ラフ2万円、カンプ2万円、フィニッシュ1万円の合計14万円が示されています。印刷費・写真・イラストは別です。この基準は30年変わっていません。

企画(クリエイティブディレクション)は必ず必要ですか?

必要です。企画があってはじめてデザインが成り立つため、JAGDAの料金表でもデザインと同額に置かれています。企画も撮影もコピーもひとりで担っている場合は項目を立てにくいと感じるかもしれませんが、実際にその作業をしているのですから、そういう方こそ書いたほうがよいと言えます。

メインMC

的場仁利

Mat N. Studio代表

https://japan-designers.jp/profile/1453/

タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。

MC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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