HomePodcast ProgramWebマーケティング特捜部#34 品質を取るか、スピードを取るか ── システム発注、真逆の二文化
Webマーケティング特捜部 2026.08.20 11分12秒

#34 品質を取るか、スピードを取るか ── システム発注、真逆の二文化

⁠硯里宏幸

メインMC

纐纈智英

MC

今日のテーマは「システム開発会社の“攻め”と“守り”」です。同じ「システムを作る会社」でも、文化がまるで逆だという話。硯里宏幸さんは富士通グループで硬いシステムを、その後ベンチャーでWebシステムを開発してきました。品質と不具合ゼロを積み上げる守りと、まず早く作って検証する攻め。どちらが優れているかではなく、作りたいものに合わない側へ発注すると、コミュニケーションの段階から噛み合わなくなります。

このエピソードで話していること

  • 守りのシステム会社の「硬さ」とは、品質の高さ、不具合を出さないこと、セキュリティ要件を守ること、業務に導入したときにハレーションが生まれないよう運用すること。当たり前のことを当たり前にやる、その基準自体が高い。反面スピードは遅くなり、仕様のすり合わせにも時間と労力がかかり、単価も上がる。そこまでの品質が本当に必要かを問わないとオーバースペックになる
  • 攻めのシステム会社は、集客や売上に直接つながる開発を得意とする。そもそも作ったところで事業として成立するか、ニーズがあるかどうか分からない段階では、多少品質が粗くても早く作って検証するほうが事業としては正しい。品質を重視するかスピードを重視するかで、文化は真逆になる
  • 守りの会社は共通化を徹底する。「右にはい、左にいいえ」とボタンの配置を決めたら徹底的に使い回すので、LPやサービスページにまで同じボタンが出てくる。フォントをこうしたらいいという議論は、守りの現場ではまず発生しない。開発側からすれば「そこに食いつくのか」という感覚になる
  • 攻めの会社が持っているのはスピードだけではない。使いやすい動線の設計、目を引くキャッチコピー、ファーストビューの見せ方、広告を回すときにどの指標で回すかという考え方、ABテストの仕組み。持ち合わせているものが根本から違う
  • ウォーターフォールとアジャイルという開発プロセスの違いだけでなく、不具合をどこまで許容するか、集まってくる人のマインド、評価のされ方まで文化が違う。しかも「守りから攻め」はあっても「攻めから守り」というキャリアは成立しにくいため、両方を知っている人は稀

こんな方におすすめ

  • システム開発会社とのコミュニケーションが噛み合わないと感じている
  • 新規事業の立ち上げで、システム開発の発注先を選ぼうとしている経営者・事業責任者
  • 見積もりが想定より高く、オーバースペックではないかと疑っている
  • ホームページやLPの制作を、既存の取引先システム会社に頼むか迷っている
  • ウォーターフォールとアジャイルの違いを、開発文化の違いとして理解したい

このエピソードからわかるQ&A

システム開発会社の「攻め」と「守り」は何が違うのですか?

守りは品質の高さ、不具合を出さないこと、セキュリティ要件を守ることを最優先し、業務に導入したときにハレーションが起きないよう運用します。攻めは集客や売上に直接つながることを優先し、多少品質が粗くても早く作って検証します。優劣ではなく文化の違いなので、作りたいものに合う側を選ぶことが重要です。

守りのシステム会社に依頼すると、費用が高くなるのはなぜですか?

当たり前とされる基準そのものが高く、品質を作り込むプロセスやセキュリティ対策にノウハウと工数をかけるためです。仕様のすり合わせにも時間と労力がかかります。そこまでの品質が必要ない案件では、オーバースペックな見積もりになりがちです。

LPやサービスページの制作を、既存のシステム会社に頼んでもよいのでしょうか?

守りのシステム会社は共通化を徹底するため、決めたボタン配置をLPにまで使い回す傾向があります。ファーストビューの見せ方や動線設計、ABテストの仕組みは攻めの会社が持つ領域です。集客を目的とするページは、攻めを得意とする会社に依頼するほうが噛み合います。

新規事業の立ち上げでは、どちらに発注すべきですか?

事業として成立するか、ニーズがあるかがまだ分からない段階であれば攻めの会社が適しています。早く作って検証すること自体が事業の価値になるためです。事業が固まり、安定運用と品質が求められる段階になったら守りの領域へ移していく考え方もあります。

攻めと守りの両方を知っている人は、なぜ少ないのですか?

守りから攻めへ移るキャリアはあっても、攻めから守りへ移るキャリアが成立しにくいためです。品質への考え方、開発プロセス、不具合の許容度、評価のされ方まで文化が異なるため、両方を経験した人材は稀な存在になります。

メインMC

⁠硯里宏幸

株式会社アスターリンク 代表

https://www.aster-link.co.jp/

名古屋工業大学大学院 情報工学専攻 修了。新卒で富士通(現・富士通株式会社)に入社し、SEとして堅実なシステム開発・プロジェクトマネジメントに従事。その後、メガベンチャーのエイチームへ転職。Webエンジニアとして「ナビクル」等のバックエンド刷新を担当する傍ら、SEOの才能が開花。激戦ジャンルで検索1位を獲得し、コンテンツマーケティング部を統括する。2019年に独立。「Webは作品ではなく資産」をモットーに、エンジニアリングとマーケティングを掛け合わせた実践的なWeb集客コンサルティングを行う。

MC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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