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デザイン審美眼 2026.10.15 22分38秒

番外編#03 金山を芸術と文化の拠点へ ── 妙香園・田中良知さんと考える街の文脈とデザイン

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的場仁利

メインMC

纐纈智英

MC

田中良知

ゲスト

名古屋・金山のTOUTEN BOOKSTOREで行った公開収録、全3回の最終回です。ゲストは前回に続き、妙香園の4代目で、金山駅前まちそだて会の会長を務める田中良知さん。名古屋市は金山を、名駅・栄に続く第三の拠点として、文化と芸術を軸に再整備しようとしています。市の計画と、金山で商売を続けてきた田中さんの実感を、的場仁利さんと纐纈智英が突き合わせました。

このエピソードで話していること

  • 1989年、世界デザイン博覧会の年に、それまで分かれていたJR・名鉄・地下鉄の駅がまとまり、金山総合駅ができた。東海道線の金山駅もこのとき生まれ、改札から改札まで直線で100メートルほどの場所に、中央線、東海道線、名鉄、地下鉄の名城線・名港線、バスが集まる。田中さんによると毎日約47万人が行き来するものの、乗り換えに便利なぶん、金山は目的地になりにくい。その弱みを再開発でどう変えるかが議論されている
  • 金山は音の街でもある。市民会館が建つ前の金山体育館では大相撲の名古屋場所が開かれ、沢上まで跳ね太鼓の音が聞こえたと、田中さんは祖父から聞いた。いまは市民会館の大ホール・中ホール、音楽プラザ、アスナル金山の常設ステージがあり、駅前では毎日のように路上の演奏がある。田中さんは、音楽を大事にする街にしていきたいと話す
  • 名古屋市の当初の計画では、市民会館とアスナル金山を同時に閉じて建て替える予定で、北口の景色が8年ほど仮囲いに覆われることになっていた。目的地になる2つの施設が同時になくなれば周りの飲食店は持たないと、田中さんたちは行政と議論を重ねた。アスナル金山の営業は2035年度末まで延び、田中さんによると、名古屋市は市民会館の建て替えを先に進める手順に改めた。延びた期間のうちに、アスナルの商業と憩いの機能をどこへ移すか、南口の整備を含めて社会実験をしながら話し合っている
  • 田中さんは、目的地になる個人店が集まれば、金山の課題は解けると考える。TOUTEN BOOKSTOREはその代表で、クリエイティブ・リンク・ナゴヤは、金山で始めたプロジェクト「MINED&MIND」で尖った個人店を紹介している。金山に47年住む田中さんにも、このイベントで初めて入って常連になった店ができた。市民会館には、演目のない日も人が入れる施設にしてほしいと田中さんは要望している。田中さんによると、市民会館の北と南の道路を廃道にして、市の土地をひとつながりにする計画もある
  • 金山にはかつて、バラックのような居酒屋や屋台、馬券売り場があり、下町の喧騒がいまも残る。高級ブランドの店やデパートがなく、学生や勤め帰りの人が一杯飲める店が多いのも金山らしさだと3人は話す。田中さんは、金山の再開発について「平均点取りに来ないでほしい」と話し、ナショナルチェーンだけが並ぶ街にはしたくないと語る。セントレアから乗り換えなしで来られる金山は外国からの玄関口にもなりうるとして、まちそだて会は「駅から街へ出よう」と呼びかけている

こんな方におすすめ

  • 名古屋・金山で働いている、または金山の再開発に関心がある
  • 駅前や商店街のまちづくりに関わっている
  • 行政の再開発計画に、地域の声をどう届けるか考えている
  • 個人店の多い街を、どう紹介すれば人が訪れるか考えている
  • 妙香園や田中良知さんの取り組みに関心がある

このエピソードからわかるQ&A

金山総合駅は、いつ、どのようにできたのですか?

1989年、世界デザイン博覧会の年に、それまで分かれていたJR・名鉄・地下鉄の駅がまとまってできた駅です。東海道線の金山駅も、このとき新たに開業しました。田中良知さんによると、改札から改札まで直線で100メートルほどの場所に路線が集まり、毎日約47万人が行き来しています。

金山の課題は何ですか?

乗り換えに便利なぶん、目的地になりにくいことです。田中さんは、そこへ行きたいという理由で人がわざわざ訪れる個人店が集まれば、金山はこの課題を打ち破れると考えています。TOUTEN BOOKSTOREは、田中さんが街の宝物と呼ぶ、目的地になる本屋さんです。

アスナル金山と市民会館の建て替えは、どうなっていますか?

名古屋市の当初の計画では、2つの施設を同時に閉じて建て替える予定でした。田中さんたちは、目的地が同時になくなれば周りの飲食店が持たないと行政に伝えてきました。アスナル金山の営業は2035年度末まで延び、田中さんによると、名古屋市は市民会館の建て替えを先に進める手順に改めたそうです。

田中さんは、金山の再開発に何を求めていますか?

箱物を作って終わりにせず、演目のない日も人が入れる施設にしてほしいと要望しています。田中さんは、金山の再開発について「平均点取りに来ないでほしい」と話し、ナショナルチェーンだけが並ぶ街にはしたくないと語りました。下町の喧騒や、学生や勤め帰りの人が一杯飲める店も、金山らしさとして残したいと考えています。

MINED&MINDとは、どんな取り組みですか?

クリエイティブ・リンク・ナゴヤが金山で始めたプロジェクトで、金山の個人店や活動する人を紹介しています。的場仁利さんは、個人店にスポットを当てる点を評価しました。金山に47年住む田中さんにも、このイベントで初めて入って常連になった店ができたそうです。

ゲスト

田中良知

株式会社妙香園 代表取締役

1998年、家業である日本茶専門店「株式会社妙香園」に入社。2020年、創業105年目を迎える年に代表取締役に就任。伝統とは挑戦の連続を持って創るものと考え、暖簾にあぐらをかくことなく新たな取り組みをし続ける。また、名古屋青年会議所での活動をきっかけに、まちづくり活動にも積極的に参画し、2014年、あつた宮宿会チャーターメンバーで副会長(現在は相談役)。2021年、「金山駅前まちそだて会」が発足し、初代会長を務める。毎日、数十万人が乗降する金山駅のポテンシャルを活かし、金山駅前地域を名古屋の玄関口とし、様々な魅力を発信することで「交通拠点」から「交流拠点」へと進化させる活動をしている。

メインMC

的場仁利

Mat N. Studio代表

https://japan-designers.jp/profile/1453/

タイポグラフィーの論客として、多数のデザイン書に携わる。高校でデザインを学び、大学で技術経営を専攻。営業職として年間1億円超の案件を担当した経験も持つ。現在は本・冊子・パッケージのデザイン、タイポグラフィ執筆を手がける傍ら、浮世絵・春画をモチーフにしたアートプロジェクト「艶絵グレース」のクリエイティブディレクターを務める。中部デザイン協会75年誌のブックデザイン・編集に携わるなど、デザインと経営の両面に精通。公益社団法人日本グラフィックデザイン協会会員、アドビ コミュニティエキスパート。

MC

纐纈智英

アストライド-Astride- 代表

「左脳と右脳のハイブリッド」を武器に、人の心の深層に迫るインタビュアー。行政職員として12年間、予算編成や徴収業務に従事した論理性と、音楽コンテストでグランプリを受賞した芸術的感性を併せ持つ。Adobeコミュニティエキスパートとして活動。これまでに200社以上の経営者インタビューを重ね、本人すら気づいていない「言葉にならない想い」を引き出し、ひとつの物語として残してきた。

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